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昭和初期の日本各地に沢山あった心の物語と言って良いだろう。
女学校卒の新米女(おなご)先生と12人の小学生との仲睦まじい学校生活にホッコリしながらも、当時の庶民の生活や雲行きが怪しくなる世相が描かれている。
戦争が拡大するにつれて瀬戸内の小さな村にも、その影響が浸透してくる。
貧困、徴兵、赤狩り、食料不足が当時の日本の隅々までやってきて、悲しみが充満していた様子を大石先生の目線でつぶさに描かれている。
夫も教え子の男の子も戦争に送り出す女性の悲しみはいかばかりだろう。
後半は涙無しには読み進められなかった…
この時代を生きた人々の子孫たる私達が読みついで行きたい作品だった
作中の小豆島弁が物語を一層色濃くした
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幼稚園の時に小豆島へ家族で行って、24の瞳のコケシを買ってもらった。今まで、若い泣き虫先生が11人の小学生たちと海に出て校外学習している時に遭難して船で全員が亡くなった話だと理解していた。読んでみたら全然違った。戦争が色濃く出ていた。最近、小豆島の近くの直島に行ったので島の景色、そこに通う子供たちの雰囲気はつかみやすかった。
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小豆島の漁村に師範学校を出たばかりの大石先生が赴任し、そこで12人の子供たちと出会いう。
彼らが卒業する頃には次第に戦時色も強くなり、男の子たちは戦地へと赴く・・・。百合の花の弁当箱や服や草履にこっそり明るい色をしのばす女の子たちの姿にやるせなさを感じる。そして、戦争によって家族が亡くなっても大っぴらには悲しめない、そのこと自体が許されない社会で、大石先生の息子が父親が戦死したことを「名誉」だと当たり前に感じている姿が怖かった。
疑問を抱くことすら出来ない社会が今もあることを忘れてはならないと思う。
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自分の感情に素直になること、が1番印象に残ったなぁ。
愛する人(異性とかそういうのではなく)を大切に思う気持ちとか、向き合う力とか、それの根底にあるのは、"素直さ"なんだなぁ〜っと。
これを贈ってくれた友達からのメッセージも含まれてるとするならば、
「素直」これが結構リアルで胸をつくなぁ〜〜〜
素敵なお話でした。
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泣いた。素晴らしい作品、の一言。
高校生のときに読んでおきたかった。でも今読めて本当に良かった。
平和な時代に生まれてきた僕は、平和な世の中を当たり前と思っていた。
でもこの作品には、そんな当たり前はなかった。
僕たちには、この平和な時代を守り、そして二度と戦争がおこらないようにする義務があると強く感じた。
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罪もない若人の命を奪っていく戦争は次のような時代だった。
国民精神総動員。戦争に身も心も投げ込めと教え、従わされた時代。
男たちにはどうしても逃れることのできない道。
母親たちには戦場で散る命を惜しみ悲しみ止めることもできない。
治安を維持するということは、命な大切さを訴え命を守ることではない時代。
戦争に取られる不安を口にしてもいけない時代。
自分だけではないという理由だけで、発言権を取り上げられていた時代。
学徒は戦争に動員され、女子供は勤労奉仕にでる時代。
航空兵を志す少年はそれだけで英雄となる時代。
花のように散ることが究極の目的とされる時代。
それが栄誉とされる時代。
戦士が名誉である時代。
そういう教育をされる時代。しなければいけない時代。
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こんな時代があっていいものか。いや、良いはずがない。
平和のために自分のできること。それは海外の友達や外国人同僚との交流を更に深め、相手を理解し、相手の文化や風習をリスペクトすること、そして、対話を持って解決策を模索していくことにあると思う。
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岬 村 一本松 大石先生 自転車 一年生 落とし穴
岬を舞台にした、12人の子供達と大石先生の物語。
岬という舞台がとても美しく描かれることと相反して、
彼らに襲いかかる戦争が生み出す
苦しさ、ひもじさ、
身内、親戚、友達が死にゆく悲嘆。
それに対し一心不乱に戦い散っていく命、と
生きながらえる命。
小学校教師として、
彼らに夢を持たせたにもかかわらず
兵役に就く男の後ろ姿、それにやるせない感情を抱いた
大石先生には同情しかねない。
戦争の悲惨さ、
そして現在、我々が当たり前のように享受している
平和、裕福さ、それらを
ひしと感じた作品であった。
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戦争の理不尽さ。
終わったものとして今まであまり考えたことがなかったけど、こんな昔があったんだと、知ろうとしなかった自分、毎日欲ばかりの自分が恥ずかしく思える。
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小学生の時に読んだときは、戦争はいけないなとかそういうことしか考えていなかったけど、改めて読んでみて、こんなにキラキラした小説だったのかと正直驚いた。その分、最後の方の悲しみがより濃くなる。
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戦前期の日本の生活がわかる小説。この物語を読むと、庶民の生活水準が現在と比べて低かったと想像できる。それは物資の欠如はもちろんのこと、家庭環境の影響が、現代と比べて大きく、そのせいで自分の夢を諦めて、若いうちに家庭、さらに国家に貢献するように働くのである。そのため現代人がこの本を読むと、自分たちが昔の人たちよりも、いかに裕福でかつ自由気ままに生活を送っていられるのかと感じるのではないだろうか。
しかしその一方で、たとえ全体の生活が貧しかったとしても、近隣に住んでいる人々の交流から、お互いを心配したり助け合ったりと、いわゆる共助、協働の精神がこの物語から読み取れる。このように本作は、昔と現在の日本の生活に注目し、一体何を得て何を失ってしまったのかを考える題材として適切だと思われる。
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タイトルこそ知っていたが読んだことがない本だった。こういう話だったんだな。戦争そのものよりも、生活に忍び寄る貧困による悲劇の方が印象に残る。読んでよかった。
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ドラマや映画等であまりにも有名ですが、原作を読むのは初めて。
叙情的な文章の中に、戦争に対する悲惨さ、理不尽さ、残酷さ、悲しさが余すところなく表現されていて、不朽の名作と言われる所以がわかった。
Posted by ブクログ
こうした時代が、確かに存在したこと。
一人ひとりとの繋がりが今よりも濃く、
自らの意思と関係のないところで
断ち切られてしまう時代。
今の僕らは繋がりを求めるようになった。
目の前の人間に対してではなく、
顔も知らない大勢と。
現代において、教師と生徒は、ビジネスライクに繋がっている。
そうでなければ成り立たないからだ。
しかし、かつてのように目の前の人間を大切にし、目の前の人間の将来の幸せを願う心を忘れてはならない。
教師に勧められる理由がよくわかる。
Posted by ブクログ
この小説を読む随分昔の幼い頃から何度も小豆島の祖父に連れられて、ロケで使われていた岬の分校へ遊びに行っていました。
当時はまだ今の新しい方ではなく古い方だけでした。
程なく小学生になった私に誰が手渡したのかは覚えていませんが、二十四の瞳の分厚い本と出会うことになります。
幼い頃の私は読んでも読んでも「戦争反対」以外の意図を読み取ることは出来ず、ただ聞きなれた方言のセリフに親近感を覚えていたのははっきり覚えています。
そこから30年以上経った先日、ふと思い出して読んでみようと思いました。
私は大石先生が泣きみそ先生と呼ばれる歳になっていたことも忘れて。
やはり年月が経ってから読むと違いますね。
戦争はよくないという主張だけではない、ヒューマンドラマが色濃い作品だと思いました。
重くない作風は壺井栄先生の軽やかな言い回しだからでしょう。
それとも30年以上経った今でも、生徒や岬の大人たちが話すセリフのイントネーションが正しく言える故郷の言葉のせいでしょうか…
小豆島に帰りたくなりました。
Posted by ブクログ
小豆島に行った際に購入した本。偶然にも敗戦から七十六年を経て、戦争を考えさせられた。
始まりは瀬戸内海べりの小学校に赴任した新米教師が、12人の生徒達との交流からであるが、なんとも全体を通して、展開の早さがある。
しかしその展開の早さは、まさに日本と世界の戦争の激化、それに伴う国民の生活の窮乏さが窺えると同時に、その影響が大きいことを表していよう。
昭和36年に初版が発行されたものだが、今も読むに値するのは、現代において忘れ去られている教師と教え子の時を超えた繋がり、戦争というものに対して全ての国民が耐え忍ぶことにすら疑問を抱かないこと等、戦争がこれから起こりそうな時やコロナ禍で翻弄される今日の警鐘となろう。
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読んだことなかった名作。
戦時中の人々の本音が見え隠れするようだった。
戦争下に生まれ育った幼い大吉の、当然のような「戦死=栄誉、羨望」という思考に、人間が教育や環境によっていかようにもなってしまう怖さを感じた。
Posted by ブクログ
小豆島合宿を前に再読。木下恵介の映画版を見てから読み直すと、思いのほか大石久子の内言がしっかり書き込まれているという印象。とくに、〈「妻」「母」として「戦争を憎む気持ち」〉が強く前景化されている。また、岬の卒業生のうち、松江と富士子がどうやら色街に売られたらしいこと、松江がラストの岬の歓迎会に姿を見せていることも気になった(木下版では松江はいなかったはず)。
1928年の小学1年生だから、岬の子供たちは1922年生まれか。1941年に徴兵検査を受けているので、おそらく最も戦死者が多かった世代にあたる。舞台こそ小豆島だが、じつは情景描写があまりない。でも、逆にそうであることで、この物語を日本列島に一般的に見られた「悲しい物語」として受容される道筋が作られているのでは? と感じる。
角川文庫版「解説」の窪川鶴次郎は、1952年の夏に作者がこの作品を執筆した背景に「日米MSA協定」「自衛隊法成立」という情勢があったことを指摘している。朝鮮戦争の最中に、まさに「戦争に巻き込まれる」不安が作者の筆を駆った、と言いたいのだろう。
アジア太平洋戦争によって列島の人々は、確かにみな家族になにがしかの欠損を抱えることになった。そのことじたいは確かに悲しく、哀れなことである。しかし、そのことは、侵略した中国、東南アジア、南太平洋の諸島も、日本が植民地化した朝鮮や台湾でも同様であるはずだ。他人の戦争が自分たちの「平和」を壊しかねない、という認識の仕方は、いかにも「戦後民主主義」的としか言いようがない。想像力は徹底して、列島の内側に閉じられる。
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どこか牧歌的な田舎物語を思わせる前半部分とは対照的に、怒涛の悲劇が襲ってくる後半。優しく巧みな文章表現に心が満たされていく。間違いなく今後も語り継がれるだろう良書。読んだあと、心の中にぽっかりと穴が空いたような感じ・・・。
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終戦の7年後に発表されたというこの小説。デリケートな題材を感情に訴えているからか私の心に刺さる。
自分の人生なのに自分で進む道を決められなかった時代。他国から輸入(?)された今の我々の価値観からは想像がつかない。
小学生の頃、道徳の授業で習ったと記憶するが、改めて読むと記憶違いや忘れていることが多く、新鮮な気持ちで読めた。
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戦争が子どもを殺した。でも、そうやって戦って死んだ家族がいることが名誉だった。そんな時代が数十年前にはあった。こういう本を読むたびに信じられないことばかりだけれど、戦争のことを知れば知るほど、知ることや人に伝えることの大切さ、教えることの怖さなど、人の営みって難しいなぁと感じさせられる。世界中から戦争がなくなるといいなぁ。銃で脅して押し付けるのではなく、言葉で私たちは分かり合えるんじゃないだろうか。
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題名も、おなご先生というよびなも知っているけれど全く触れずにきたこの作品、予想と全く違かったのでびっくりしました。てっきり先生と生徒の濃密な触れ合いがあるのかと思ったらば、先生でいる期間はわずかであとは戦争に巻き込まれる民衆の辛さにスポットを当てた作品だったのですね。失礼いたしました。大石先生のハツラツとした可愛らしさと、戦争を経て40歳にして老人のように老いてしまった姿が悲しかった。今の自分の年ですからねぇ・・・。やはり戦争は起こしてはいけないです。
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純真な子供を波乱の渦に飲み込む戦争の罪深さを、主人公の先生目線で切々と語られる。先生をお見舞いに行く年少の一行の一途な気持ちが悲惨なその後を際立たせますね。活き活きとした子供達の描写がリアルに思い浮かびます。
平和が当たり前のこのご時世にも「集団的自衛権の行使容認」という名の戦争に絡む論議が進むが、当たり前の平和がこまま続くことを祈りたい。
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小学生も先生の絆は強いと思う。いつになっても先生の一言をずっと思い出す。
戦争に行くことに迷いや抵抗のない男子生徒が悲しく、先生の気持ちになってしまった。戦争は知らないけれど。
子供達の名前と特徴を覚え切らないまま進めてしまったので感動が薄かったかも。
Posted by ブクログ
「不朽の名作」と裏表紙に記されているが、この小説は文学的価値が高いというよりは戦前から戦後に至るまでの当時の日本の生活や雰囲気、人々の思想などがリアルに描かれた歴史的資料としての価値が高い作品だと感じた。
私は、新人教師とその子ども達との心の触れ合いというのが主として書かれた作品だと思ってこの本を読み始めたため、主人公の新人教師である大石先生が作中、怪我や出産で教壇から離れる期間があること、授業を行っている場面がかなり少ないことなどから、「思っていたのと違った……」というのが正直な感想だった。
話が面白いか、登場人物の造形が素晴らしいか、文章そのものは優れているか、といった点では首を傾げてしまうが戦争の悲惨さや作者の抱く戦争に対する感情といったものはひしひしと伝わってくる作品だった。
なお、似たような設定であれば『兎の眼(灰谷健次郎)』の前半部の方が作品の出来としては圧倒的に高いため、新人教師と子ども達の心の触れ合いをテーマにした作品を読みたい方は、そちらをオススメします。
(両作品のテーマや主人公である新人教師の設定が類似していること、プロレタリア文学の要素を含んでいることなどから、おそらく『兎の眼』を執筆するにあたって、作者は『二十四の瞳』を参考にしていると思われる)
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昔の作品で表現がわかりづらく、内容が捉えづらいところがあった。でも、スラスラ読めた。
舞台は香川県の小豆島。主人公の先生の教え子で、戦争で亡くなった子もいた。現代は色んなものが豊かになった。幸せな時代だ。この作品で、現代がいかに恵まれた時代か思い知らされる。
先生の娘が、食べるものがなく、我慢できず青い柿を食べてしまう。結果、腸の病気で亡くなった場面は本当に悲しかったな。
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昭和のはじめ、瀬戸内海べりの一寒村の小学校に赴任したばかりの大石先生と、個性豊かな12人の教え子たちによる、人情味あふれる物語。分教場でのふれあいを通じて絆を深めていった新米教師と子どもたちだったが、戦争の渦に巻き込まれながら、彼らの運命は大きく変えられてしまう…。戦争がもたらす不幸と悲劇、そして貧しい者がいつも虐げられることに対する厳しい怒りを訴えた不朽の名作。
Posted by ブクログ
舞台は昔の日本だが、今とは似ても似つかない社会がそこにはあった。
家長制度や治安維持法なんかの描写が、さりげなく書かれているだけだが、とてもリアル。
短い小説ですが、ひとりの女性の人生を共に歩んだような感覚になります。
Posted by ブクログ
1人の先生と、12人の生徒たちの物語。
戦争がなかったら、どうなっていたのかな。先生は大切なひとたちを失わずに済んだのだろうか。21歳の今だからこそ、生徒たちはみんな、身近に思えて。今、こうして当たり前に生きていることが、どんなに尊いことなのか、少しだけ、わかった気がした。