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Posted by ブクログ
まとめれば、
「やたら『忠臣蔵』を推しながら好きなミステリ小説を引合いにだしつつさりげなく無難なことを書いて、途中から本気を出して具体的な説明をしてくれる小説の書き方を教える本」
です(長。
森村誠一なりに独自の観点から文体やプロットの作り方を解説してくれます。
「小説の書き方」というタイトルですが、まず導入の第一章は具体性に欠いていました。第四章も同様に抽象的な話だったので、無難な話をとりあえず書いたな、という印象でした。
また、「実践編」とはあるものの、別に何がしのトレーニングをすれば云々の技術が身につく、というような話はしません。
それでも他の章は完成度が高く、森村誠一が自らの読書経験から引っ張り出してきた種々の図書の文を使って具体的な説明を行っていきます。
しかしながら、具体的な説明とはいえ、決して手取り足取り、手順とステップを教えるなんていうことはしません。
作者は何回か「文は人なり」という言葉を引用します。考えてみると、小説の書き方の手順とステップを教えないのは、森村誠一に知識と技術が不足しているからというわけではなく、「文は人」だからなんですね。「十人十色」というように、文=小説の構築というのも、人それぞれの個性がある。だから、作者は手順を教え渋っているのではなく、手順を知らないのでもなく、手順が存在しない。
様々な例を用いて小説の書き方を多面的に切り取っているのですが、いかんせん、抽象的な部分はとことん抽象的でした。そこがやはり欠点です。また、やたらとミステリー系の話を引用したり話題にあげたりします。
買って損はしません。
★★★☆☆