【感想・ネタバレ】金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件のレビュー

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久保銀蔵や磯川警部といった金田一耕助シリーズの主要人物達が登場する作品。
久保銀蔵は金田一の支援者で、本陣殺人事件の被害者である花嫁克子の叔父。
私はこの銀蔵氏がとても好きなのだ。彼はこの時代にアメリカへ渡り苦学してカレッジを卒業している。渡航すること自体大変なことだろうに、さらにあちらで働き生活をしながら自力で学校を卒業したのだ。物語の人物だとしても、とても尊敬できる人物である。また、金田一がアメリカにいた頃に彼の学費の面倒をみたり、帰国後も何かと気にかけて援助をしたり、金田一が「おじさん」と呼ぶところを見ても彼と金田一の信頼関係がよく分かる。

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2023年11月26日

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金田一耕助が最初に登場した『本陣』をはじめとする初期の三つの事件。
この三つの事件から分かった金田一耕助の来歴はこんな感じ。

●十九歳で、同窓生の風間俊六(『黒猫亭』に登場)と共に東京に出て大学に通う。
●1930年代:なんかふらりと渡米してしちゃった。アメリカでは毎日ぶらぶら暮らして危うく麻薬中毒患者となりそうなところを日本人街で起こった殺人事件を見事に解決!それを見た日本人実業家久保銀造(『本陣』の関係者)が耕助のことを気に入り、パトロンになった。この時耕助はアメリカのカレッジの学費を出してもらってる。金田一耕助はアメリカの大学を卒業していた!!もじゃもじゃボサボサよれよれだけどアメリカの大学卒業って、この時代にすごい経歴ですよね。
●1930年代半ば:日本に帰り、久保銀造から費用をせしめて探偵事務所を開設する。初めは「門前雀羅(もんぜんじゃくら)、事務所には閑古鳥」状態だったけれど、大阪で起きた大事件を見事解決し、日本中にその名前を轟かせ、警察の上層部とも知り合いになる。
●1937年(昭和12年):24、5歳で『本陣殺人事件』を解決する。この時知り合った磯川常次郎警部とは、今後も岡山県で起きる事件で組むことになる。
『本陣殺人事件』は、「疎開中の横溝正史が、村の人々から聞いた話」という体裁となっている。
●1940年くらい:召集されて、中国や南洋の戦地を転戦する。(終戦後、そのまま「獄門島」に向かう。)
●1946年(昭和21年) :34、5歳。『獄門島』事件の帰りに、岡山に疎開していた探偵作家・Y(横溝正史)を訪ねる。ここで横溝正史は正式に金田一耕助の記録作家になり、親交が始まる。
『車井戸はなぜ軋る』もこの年の事件。
●1947年(昭和22年):探偵事務所はもう閉めたらしい。召集時に閉めたのかな。
終戦後、同郷で同窓生の風間俊六と再会する。風間俊六は建築業の親分となり、茶目っ気と男気があり、鋭さも若々しさも持っている男で、金田一耕助は、風間の二号だか三号だか十七号だか…がやっている旅館に住まわせてもらっている。(『黒猫亭事件』)
金田一耕助のパトロンは、久保銀造と、この風間俊六の二人に増えました 笑

なお、金田一耕助が警察と合同捜査できるのは「警察上層部の推薦状」を持っているからということ、そして人を惹きつける性質のためついついみんなが助けてしまうという人柄のため。
金田一耕助の捜査方法は、「警察による足跡捜査や、指紋検出から得た結果を論理的に分類総合して推理する」という方法です。

『本陣殺人事件』
終戦を迎えた横溝正史は「これからは本格小説一本でやっていこう」と決意する。
横溝正史が取り上げたテーマは「日本家屋における密室殺人」。どうやらこれが日本の推理小説初の密室殺人事件のということ。

昭和12年。
江戸時代には宿場の本陣であった一柳家で、40歳で当主で賢蔵氏と、27歳で元女学校の教師の克子の婚礼が行われた。
その明け方に鳴ったまるで引っ掻くような琴の音。そして悲鳴と倒れるような物音。
人々が夫婦の別宅に飛び込むと、そこには惨殺された夫婦の死体があった。
入り口はすべて閉ざされ、庭に積もった雪には足跡もない。
そこへ登場した金田一耕助という探偵。そしてまた琴の音が響き…。

===
動機が、没落する田舎の旧家で代々の気質が組み合わさって起こったかなり特殊なものになっている。それでも当時の閉鎖的な村の因習やら、登場人物たちの気質やらを考えると、この時代の本人たちにしてみたらそうなるしかなかったのか…と思えてしまう。
犯人は密室にするつもりはなかったのに、偶然の出来事と、犯人の心理が大きく動いたたために結果的に密室になった、ということがより劇場的になっている。

『車井戸はなぜ軋る』
K村の名家本位田家は、先代夫婦が車井戸に身を投げたことにより没落を辿っていた。
現当主の庄次郎は名家の跡取りとして鷹揚に育っていた。しかし彼には母親違いで小作人の伍一がいた。
二人は出兵し、庄次郎だけが戻ってきた。だが彼は盲目となり、人が変わったように暴力的な性格となっていた。はたして帰ってきたのは本当に庄次郎なのか。

『黒猫亭事件』
横溝正史は金田一耕助に「”顔のない死体”の推理小説って、だいたいが入れ替わりなんだよね。それだけじゃない”顔のない死体”推理小説が書きたいなあ、なにかいいネタないかい?」と聞いてみた。すると金田一耕助がこんな事件を提供してくれた。

色町の酒場「黒猫」の裏庭で、顔の判別がつかない女の死体が見つかった。「黒猫」の女将のお繁かと思われ、亭主の大伍の行方が捜索される。
だがこの夫婦にはそれぞれ密会の相手がいたらしい。お繁の男は建設業の親分の風間俊六。大伍の囲い女はお艶。
それではこの死体はお艶なのか、お繁なのか?

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2023年07月23日

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金田一耕助初登場作品。
元々は東西ミステリーベスト100で1位の『獄門島』を読むつもりでしたがまずはシリーズ第1作を読まねばと思った次第です。

『本陣殺人事件』
終戦後間もない1946年に書かれた作品です。
日本家屋に関する言葉の意味が分からなさすぎて、現場の情景が浮かばず、その都度スマホで画像検索しました。枝折り戸、四つ目垣、格子戸、戸袋、欄間、鴨居…等々。
約200ページの話ですが、金田一耕助が出てくるのは70ページを過ぎたところ。
登場時点(昭和12年の事件)で25、26歳の青年だけど、20歳の頃にアメリカに渡って麻薬常習者になってたという話が出てきて、じっちゃんってそんなファンキーな人だったの!?と驚愕しました。
『金田一少年の事件簿』に漂うおどろおどろしさはじっちゃん譲りなんですね。トリックも思った以上に大掛かりで、これだけの話が戦後間もない時代に既に考えられていたことに驚きました。
(小説を読んだ後に連続ドラマ版(古谷一行主演、1977年)をU-NEXTで観ました。あの大掛かりなトリックが映像だとどう表現されるのかが一番の目的でしたが、見事に原作通りで、家屋等のロケ地もよく見つけたなという感じだし、犯行動機の改変も説得力があり、面白かったです。また、推理小説をそのまま映像化するのは難しく、どう取捨選択するかが大事であることがよく分かりました。映像化する時はトリックの詳細な説明よりも犯行動機などの抒情的な部分を強調した方がドラマとして受け入れやすいのでしょうね。あと70年代の女優さんは本当に美しいですね。)

『車井戸はなぜ軋る』
見事に騙されました。物語冒頭で僕は「事の真相はこうだろうな。ちょっと簡単すぎじゃないかな」と思って、実際そういう方向で進んでいくのですが、終盤の怒涛のどんでん返しに圧倒され、読み終わった後の脱力感が凄かったです。
これ金田一必要ないんじゃない?と思って調べてみたら、元々は1949年に発表された作品で、1955年に改稿して金田一ものにしたという経緯だったそうで、なるほどーと思いました。

『黒猫亭事件』
こちらも見事に騙されました。冒頭で事件の真相に触れていて、途中でなるほど、そういうことかと思ったのですが、終盤でさらにどんでん返しがあり、そのことも最初から堂々と書いてあることに気づいた時の衝撃が凄まじかったです。
金田一耕助は実在の人物で、横溝正史は彼が関わった事件の話を本人から聞いて、それを小説にしているという設定なんですね(『本陣殺人事件』の時は無許可で名前を出してるのはどうかと思いましたが)。次はいよいよ『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』でも名前だけ出てきた『獄門島』を読みます。

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2023年02月04日

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金田一初登場作品!機械的トリックが凄い、犯行動機もまた凄い!!日本でしか発想できない日本的推理小説!!!

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2023年01月29日

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『本陣殺人事件』名探偵金田一耕助の推理が光る。旧家の新郎新婦が惨殺死体で発見された。密室トリックの作り方と、犯人の意外性が良かった。ラストの語り手の記述に嵌められた。
『車井戸はなぜ軋る』本位田家という名家の娘が療養中の兄に宛てた手紙で物語が進む。
戦争から復員したもう一人の兄と、その異母兄弟が入れ替わっているのではないかという疑惑が、サスペンスの雰囲気を醸し出していた。殺人のトリックも井戸を上手く使っていた。
『黒猫亭事件』黒猫という店で相好の分からない死体が見つかった。『顔のない死体』は密室殺人、一人二役に並ぶ探偵小説の大トリックである。警察の捜査は難航するが、金田一耕助は分かっていた。最初の、探偵小説家の「私」と、金田一耕助の会話がラストに効いてくる。一人二役は読者に悟られてはならない、伏せておくトリックである。

金田一耕助は凄い。難事件をいとも簡単に解決する。正に名探偵!

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2022年10月11日

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ネタバレ

初横溝正史だったけど、めっちゃくちゃ面白かった……!!!!
かなり古い本だから読みづらい部分もあるのかと思ったけど、むしろ逆。すごく読みやすくて、無駄な情報も装飾もなく頭に入ってくる。登場人物多いけど、あっさりこの情報は関係ないって捨てるのが斬新で驚いた。
きいた話を小説に起こすという手法でとられているのね。
有栖川有栖ばっか読んでたからか、淡泊だけど分かりやすい文体なのが印象的なのかもしれない。推理小説の中でもかなり読みやすいと思う。
展開も二転三転して飽きないし、どうなるんだろうって夢中になって一気読み。有休とったからもうちょっとほかのことしようと思ってたんだけど。
おどろおどろしい雰囲気と真相の恐ろしさは当然ながら、金田一のキャッチーさが可愛くてギャップ萌え。
驚いてどもる人を、僕の真似しなくていいですよっていちいち訂正するとこが好き。あと風間も好き。

本陣殺人事件はあまりにもすごいトリックと動機にびっくり。三本指だと琴が弾けるってのと、初夜を押入れに潜んでじっと見てたっていう文章に恐怖。猫の墓のシーンと窯から死体見つけたところ怖すぎた……。

車井戸はなぜ軋る、これはとっても残酷な話だよ。
疑心暗鬼になり崩壊していく名家の話。書簡形式好きなんだよね。聡明な妹がかわいそう。

黒猫亭事件が一番好きかなー。完全に犯人の手の上で転がされていました。金田一が犯人のことを散々な言葉で称するから気になってたけど、まさにって感じ。風間が好き、もう浮気すんな!(笑)猫が死んだ理由とか、鮎子という女とか、糸川の浮気の真相とか、回収がとっても気持ちよかった。

次は獄門島読む!
時々出てくる「あの獄門島事件の」って言葉が気になって気になってしょうがなかったの!

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2022年06月28日

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『陰摩羅鬼の瑕』を読んだら、どうしても『本陣殺人事件』が読みたくなってしまった。
随分久し振りの再読だったので、金田一耕助シリーズの語り手がY氏……もとい、横溝正史本人と気付くのに少しかかってしまった。そうか、伝聞調でストーリーが進むのだったっけ。
3編からなる1冊。表題の『本陣殺人事件』はまさしく『陰摩羅鬼の瑕』につながる部分がありつつも、趣きは180度違う。機械仕掛けのトリックも、物語の装飾如何で受け取る印象も深刻になる。琴と不審人物と雪……事件の背景としてこれ以上のものはないよなあ。
『車井戸〜』も『黒猫亭〜』も、人間の業の深さというか、ムラ的因縁とか、その辺の湿っぽさが壮絶だ。謎やトリックはもちろんのこと、そういった人間的背景が時代感も伴って物語に陰影を与えてるように感じる。
それにしても…………金田一耕助というキャラクターは、魅力的でずるいよなあ。事件の合間を飄々と飛び回る。「金田一耕助」だからこそ、この一連の事件簿はたまらなく面白いのだろう。他も改めて読み直してみようかな。

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2024年03月24日

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 日本を代表する名探偵、金田一耕助のデビュー作「本陣殺人事件」を含む三編が収録された一冊。カーに影響を受けた鮮やかな密室トリックの「本陣殺人事件」は勿論、顔のない死体をテーマにした(一風変わった)「黒猫亭事件」も面白く、読みやすかった。

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2024年02月19日

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1.おすすめする人
→探偵小説が好き、日本文学を感じたい、
 ハラハラしたい

2.内容
→金田一耕助の絡む話が3話入っている短篇集。
 中でも「車井戸はなぜ斬る」は
 かなりゾッとした。
 人間の狂気が全面に現れた作品。
 没落貴族から復讐を受け、
 また復讐を受けた貴族も没落貴族へ堕ちて行く。
 名言が多数含まれている。

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2023年11月30日

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【本陣殺人事件】

これが…噂の本陣殺人事件……⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝
なるほどなるほど…!!



横溝正史と言えば……!?

『犬神家の一族』
『悪魔の手毬唄』
『八つ墓村』

と並ぶほど有名な『本陣殺人事件』

アメリカから帰国した金田一耕助初登場の作品である———。

……アメリカっ?!((( ;゚Д゚))
金田一耕助はサンフランシスコのカレッジを卒業していたのですね〜。
シリーズ6冊も読んでて知らなかった…(^▽^;)
刊行順に読まないのは如何に恐ろしいことかが分かりますね笑笑


そしてお恥ずかしながらググる。
本陣とは……江戸時代以降の宿場で、身分が高い者が泊まった建物。大名や旗本、幕府役人らが利用した。
原則として一般の者を泊めることは許されておらず、営業的な意味での「宿屋の一種」とはいえない。
宿役人の問屋や村役人の名主などの居宅が指定されることが多かった。(Wikipedia)


ふむ。
とにかく格式高い家柄での殺人事件てことで。笑

当主(賢蔵)の元に嫁入りしてくる女は、小作人の娘。
明るく教養があり、女学校の教師である彼女に惹かれ、周りからの反対を押し切り結婚を決める。
しかし婚礼の夜、事件が起こる。
3本指の指紋が残る現場。
嫁の叔父(久保銀蔵)とアメリカで知り合った金田一耕助が現場に赴く——。


この作品は読んでおきたい作品。
ミステリーを読む上で、知識としてよく挙げられている。
読んでみて理由がわかった(。-∀-)
これはすごい。

何がすごいって——って書きたいが、書けない笑
1箇所ものすごく気に入った点が……♡
書けないけど笑笑

他作品にはない魅力が満載。


【車井戸はなぜ軋《きし》る】

めちゃめちゃ面白い(°д° )!!

父親が同じ腹違いの息子2人。
この2人は、目が二重と一重以外は見分けが付かないほどそっくり。
大助は金持ちで本家の息子。伍一は分家で育ての父親が自殺した貧しい息子。
伍一は大助に嫉妬していた。
この2人が戦争へ。やがて復員したのだが、伍一は戦死。
大助は両面を負傷し義眼で帰ってきた——。


大助の妹、鶴代が、兄、慎吉に対して送っていた手紙の内容で話が進む。

登場人物の状況と事件の真相が少しずつ描かれ、どうなるのかが気になり一気読み。

二転三転する真実に驚愕でした。
おもしろい!!


【黒猫亭事件】

黒猫亭で起きた顔無し死体のトリック!

お見事(*゚∀゚)!!


改装中の黒猫亭の庭先で、女性の死体が掘り起こされる。
その死体の顔は判別不可能であった。

金田一耕助の小説を公認で執筆するY氏の話から始まる。
金田一との出会いが書かれており、ここから始まったのかぁ〜と感慨深い。

顔無し死体と言えば…とのトリックを語る2人だったが、ある日金田一が類似の事件に携わり、Y氏に手紙を送ってきた。

小説内のこんなエピソードがすごく好き♡
実在するかの様な2人のやり取りが堪らない。
私が読んだ事のあるシリーズモノで初めてだと思う。(〃´-`〃)♡

顔無しトリック+タイトルからポーを連想させるのも、ミステリーにおいてミスリードさせる要因かなと警戒する。
犯人当てはとっくにあきらめていますがね(^▽^;)


金田一シリーズ、次に読むのはいよいよ『犬神家の一族』かな。
楽しみ(*´艸`)♡

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2023年10月18日

Posted by ブクログ

言わずとしれた金田一耕助シリーズ第一作。
陰鬱でおどろおどろしい雰囲気。なのですが、神秘的な雪密室で起きた惨劇と事件に用いられた様々な日本古風なガジェット、それらを合わせる事で、どことなく美しく妖しい雰囲気を醸し出していて夢中になって読んでしまった。
横溝作品は未読だったんですが、他のシリーズも早く読みたい。

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2023年10月02日

Posted by ブクログ

かの有名な本陣殺人事件。探偵の証拠集めと解決編の描写は好みの問題だと思うのですが、これは☆4くらい。獄門島に期待。

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2023年09月29日

Posted by ブクログ

初の横溝正史作品。
本陣殺人事件は、あーなるほどねー、そうかー、という感じ。
黒猫亭事件は、面白かった。

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2023年09月24日

Posted by ブクログ

金田一シリーズの1作目。
自分にとっても初横溝作品。
3つの中編からなる小説。
どれも殺人事件。
内容を書くとネタバレになってしまうの書きませんが、今読んでもしっかりとミステリーしている良作。
悲しい話が多かったです。

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2023年08月26日

Posted by ブクログ

『本陣殺人事件』は自選集で読んでいたので再読。『車井戸はなぜ軋る』と『黒猫亭事件』は初読み。初期の作品なので金田一の設定が分かるというのが嬉しい。読者に挑戦的な感じも面白いなと思いました。昭和の時代にリアルタイムでわくわくしながら楽しんでいた人たちがいたのだろうなと想像してしまいます。

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2023年08月24日

Posted by ブクログ

「横溝正史を1,2ヶ月に1冊のゆるいペースで読み返していこう」と決意しての記念すべき一冊目は金田一耕助最初の事件『本陣殺人事件』他中編2編でございます

まぁ、話の中身については淳水堂さんや地球っこさんが素晴らしいレビューをあげていますのでそちらを読んで下さいw
あとおそらく近いうちにおびーが良いのあげんじゃね?(鼻ホジホジ)

もう私のレビューなんて淳水堂さんへの中継地点で十分です
むしろ使命感を持って中継地点の任を果たしたい

あーでもさすがに最初の事件だけあって、まだ金田一耕助のキャラクターがふわふわもこもこしてたかなくらいは書いておこうかな
いやもこもこはしてないわ!

それにしてもやっぱ横溝正史は角川文庫やわ〜
角川文庫がしっくりくるわ〜
まぁできれば杉本一文氏の表紙が良かったんですがね
横溝正史ファンの方たちには絶対同意して頂けると思うんですが、横溝正史と言えば杉本一文氏の表紙ですよね
まとめサイトとかあるんで懐かしく眺めたりしております

というのも、わい全部持ってたんよな〜
横溝正史の角川文庫
100冊くらい?
プチ勘当中に親父に全部捨てられちゃったんだよね〜
惜しいことしたな〜
凄い数の海外の古典の探偵モノとか秘蔵のエロ本コレ○○ョンとかも全部捨てられちゃったんよ(伏せ字が意味ないとこ!)
ほんともう犯罪だわ
ハヤカワのクリスティ文庫とかも全部揃ってたのに!

うん、ゆっくり読み返していこう
先は長いぜ!

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2023年08月07日

ネタバレ 購入済み

「本陣殺人事件」は金田一のデビュー作。

表題作に関しては正直、文章だけだと全然想像がつかなくて頭が???になってしまった。あと動機に関しても説得力がいまいちなんじゃないかなと思ってしまう。ただこの後の金田一シリーズも結構狂気的な犯行が多いので、デビュー作からだんだん洗練されていったのかなと面白い。

同時収録の「車井戸はなぜ軋る」がどうなるのかハラハラしながら読めて一番面白かった。最後が何とも言えず後味が悪いと言うか哀しい。顔のよく似た親戚、指紋比べなど「犬神家の一族」に共通する要素もありこれが原型になったのかなと思った。

#ドキドキハラハラ

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2023年03月15日

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ネタバレ

記念すべき第一回探偵作家クラブ賞(現日本推理作家協会賞)受賞作品。

再読のはずだが、例によって犯人もトリックも動機も全く覚えてない。ただ、横溝作品に濃密にただよう猟奇的な雰囲気のみをよく覚えていて、再読したのもそれを楽しみたかったから。

改めて再読して動機の部分では、今ではありえないものであるのに驚いた。とは言っても80年くらい前の話であるので、日本のその後の変わりようが凄まじいと言わざるをえないが。

上記のように古臭さはあるが、お話はそのものはよく出来ているし、同時代の事件を描いた併録の二作品も楽しめた。横溝作品は手元に何冊か積読状態であるので、また楽しみたい。

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2023年03月05日

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表題作では密室殺人、『黒猫亭事件』では顔のない屍体のトリックに挑んでいる。既に作者お得意の、日本の古い伝統、因習の残る社会で起こる殺人事件によって物語に漂う暗く重い、一種独特の雰囲気が出来上がっている。『車井戸はなぜ軋る』は『犬神家の一族』の原型と言っていいだろう。ミステリーファンならば一度は手に取って欲しい一冊。

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2022年09月05日

Posted by ブクログ

初横溝正史作品。
表紙復刻に魅せられて買ってしまいました。
字体に古さを感じるけど、練られたトリックと、入り乱れた複雑な人間関係は現代でも通用する傑作でした。

表題作よりも、「車井戸はなぜ軋む」が、面白かったです。文通形式で進むタッチは読んだこと無かったので、意外と新鮮な気持ちで楽しめました。

黒猫亭事件は、人間の汚さ、おどろおどろしさが詰まったくらーい話でした。

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2022年07月27日

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横溝正史の作品を初めて読みました。
江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。
一柳家の長男である賢蔵と女学校の先生をしていた克子。
その二人の婚礼を終えた深夜四時に人々の悲鳴と琴の音が響き渡る。人々が離家に行くと座敷には新郎新婦が血まみれで殺されていた。枕元には、家宝の名琴"おしどり"と三本指の血痕の付いた金屏風が残され、一面に降り積もった雪は、離家を完全な密室にしていた……。

金田一耕助の初登場となる作品!
密室殺人事件の設定やトリック、次々に明らかになる事実に惹き込まれました。
最後まで本当に面白かったです。

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

「日本ミステリに夜明けを告げた、若き情熱の結晶である」という帯にひかれて購入した。まず、トリックの緻密さ、その意外性が印象に残った。そして、それを見破っていく金田一耕介の推理力、観察力も素晴らしかった。その一方で、登場人物があまり深く描かれていないように感じた。金田一耕介の意外な過去の記述は興味深かったが、他のキャラクターには感情移入できなかった。中編の分量で人物を描くところまで紙幅が足らなかったのかも知れない。それでも、読者もいろいろ考えながら読むことができる。どろどろした恐怖より、トリックが崩されていく過程を楽しみたい人におすすめです。

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2022年04月14日

Posted by ブクログ

「東野圭吾」の『名探偵の呪縛』を読んで、本格推理小説の密室モノが読みたくなり、、、
「横溝正史」の『本陣殺人事件』を読みました。


『名探偵の呪縛』の中でも密室モノの例として紹介されていた作品で、名探偵「金田一耕助」の初登場作です。

単純な密室モノでは終わらず、不気味な三本指の男が登場したり小細工が琴に結びつけられたりと、怪奇色が演出してあるところが「横溝正史」の作品らしいですね。

≪ちょっとネタバレ≫
本文中にも触れられているとおり、トリック自体は「シャーロック・ホームズ」シリーズの『ソア橋の怪事件』の発展型でしたが、、、
独特の怪奇的な演出により、類似性はあまり感じませんでしたね。

-----story-------------
昭和12年(1937年)11月25日、岡山県の旧本陣の末裔一柳家の屋敷では、長男「賢蔵」と「久保克子」の結婚式が執り行われていた。
式には一柳家から「賢蔵」の母「糸子」、三男「三郎」、次女「鈴子」、分家「良介」と久保家から「克子」の義父「銀造」が顔を揃えていた。
式は「鈴子」が琴を披露するなどして、何事もなく終了した。

その夜遅く、屋敷内に只ならぬ悲鳴と、激しい琴の音が響き渡った。
「銀造」らが夫婦の寝室である離れへ駆けつけると、夫婦が布団の上で血塗れになって斃れていた。
庭の中央には血に染まった日本刀が突き刺さっており、周囲には足跡一つ残っていなかった。
周りに降り積もった雪のために、離れは完璧な密室状態と化していた。
-----------------------

ちなみに文庫本には、
■本陣殺人事件
■車井戸はなぜ軋る
■黒猫亭事件
の3篇が収録されています。

顔を負傷して戦争から復員した長男が、異母兄弟とすり替わっているんじゃないかと疑惑を抱く家族。
そんな最中、殺人事件が勃発する… 舞台や設定が、いかにも「横溝正史」作品らしい『車井戸はなぜ軋る』。

「横溝正史」と「金田一耕助」が初めて出会い、本格推理について論じ合うエピソードが収められ、"顔のない屍体"をめぐるトリックが楽しめる『黒猫亭事件』。

『本陣殺人事件』以外の2編も「横溝正史」らしい作品で、3編とも、とても楽しめました。

個人的な好みでは『黒猫亭事件』をオススメします。

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2022年03月28日

Posted by ブクログ

デビュー作込みで3本立てになっている。読んでいる内に横溝正史流、戦中戦後の混乱した世相と保守的に凝り固まった田舎の描写に慣れてきた。「〜かしらん」と普通に使ったり紫色を菫色と呼んだりする昭和感溢れる古風な文章が、人に潜む狂気や病的な部分をより劇的に見せてくれる。
個人的に『車井戸はなぜ軋る』が面白かった。話の筋と屏風のテーマを重ねた妙、語り口の変化がテンポよく話を進めること、お見事。
ルルーだのカーだの探偵小説の古典がよく引き合いに出されるので読みたくなった。

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2023年09月14日

Posted by ブクログ

江戸時代より続く旧家の婚礼の夜、新郎新婦が惨殺されて発見された。密室となった離れ座敷、悲鳴とともに聞こえてくる琴の音、得体のしれない三本指の男。岡山の農村で起こった不可解な事件に、金田一耕助が挑む。名探偵・金田一耕助の初登場作品。

同じく農村で起こった殺人事件を書簡形式でつづった『車井戸はなぜ軋る』と、東京近郊で起こった「顔のない屍体」の事件を扱った『黒猫亭事件』の二編を併録。

最初の二編は村や一族の来歴に加え、田舎の旧弊さが強調されていて、日本的な陰険で不気味な雰囲気がただよっている。どれも金田一耕助の行動が直接描かれているわけではないので、表立って活躍している印象がないのが意外だった。

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2024年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

日本家屋での密室物理トリックを成立させた初作品。
金田一探偵、初登場作。若い。
登場人物が刑事も含めて素朴な感じがあって、時代を感じる。
しかしトリックや伏線はさすがの名作。
これをきっかけに他作も読みたくなる。

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2023年11月03日

Posted by ブクログ

昔ながらの推理小説って感じで大好き。

短編の推理小説が3作あったんだけど、自分的にはミステリってやっぱり長編の方が読み応えがあるんだよね。短編だと結末までがあっさりしてしまうというか。

それを差し引いても面白かったっす。

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2023年07月17日

Posted by ブクログ

昔の雰囲気を味わいたい時に横溝正史の小説を読む。金田一耕助が主人公だと思うのだけど、語り手が居てその人によって物語が事件が話されていく。読みづらいわけではなく、むしろ私自身も語り手と一緒になって事件を覗いているような感覚になる。今回の物語は、そこまで怖くなく、むしろその人物たちの人間模様が描かれている。

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2023年04月19日

Posted by ブクログ

あまりにも有名すぎて読む気が起こらなかった金田一シリーズ。。
個性豊かな人間たちの意味深な関係や、田舎特有の鬱屈とした雰囲気づくりが巧みで物語に没入できた。時々登場する少女のしおらしく可憐な様子が薄暗い感じを助けていて一層よかった。
とにかく作風が好みだった。
この筆者と、「一族」とか「獄」とか「村」の雰囲気はかなり相性が良さそうなので他の作品も読んでみたい。

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2023年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かつて宿場本陣として栄華を築いた一柳家で起きた密室殺人の謎に金田一耕助が挑む。
雪の降りしきる早朝、日本家屋で結婚式を挙げたばかりの新郎新婦が死体で見つかるという、趣たっぷりでワクワクする舞台設定だ。密室のトリックとしては、派手で面白いがかなり無理があるように思われる。実際にやってみたとして成功する確率は極めて低いだろう。
作中、耕助が登場人物の一人と探偵小説について語る場面があり、彼はそこで機械的な密室トリックを批判している。そして、この事件の密室も機械的なトリックで作られており、それを仕組んだのは耕助と語った相手であった。メタ的な視点だが、機械的トリックを好まなかった著者が、あえてそれを使って密室を作ったと考えると面白い。
物語の最後に著者は、必要な情報は与えているし、読者を意図的に騙すようなことはしていないと述べている。読者諸君が勝手に勘違いしただけでしょ、というようなことを言っていて、興が冷めてしまった。この記述は蛇足だっただろう。

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2022年07月25日

Posted by ブクログ

表題作のトリックは少し納得がいかなかったが、恐怖心を煽るような不気味な演出は秀逸。
因習的な旧家から滲み出る薄気味悪さ、息の詰まるような閉塞感が凄惨な事件と相まって、良い味を出している。

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2022年06月07日

Posted by 読むコレ

中短三編を収録。
表題作は金田一氏初登場の回と聞きつけての購入でしたが「2巻」とはこれ如何に?
さて余りに有名な作品故、初読とはいえ予備知識なり憶測なりを抱きつつの取り組みでした。
意外だったのは、装丁やら映像作品等から受ける怖い印象はなく、むしろ探偵のコミカルで頼りなげな印象の強い、明るめの物語だった事です。
ミステリとしては、家柄や風土が重視されがちの背景が故にトリックよりも動機が肝という所でしょうか。
探偵が動機を見てきたかの様に語る姿が気にならなければ、論理的で重厚な謎解きを楽しめます。
車井戸~がお勧め。

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2014年07月13日

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