【感想・ネタバレ】蕩尽王、パリをゆく―薩摩治郎八伝―のレビュー

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Posted by ブクログ

面白そうなタイトルだな…と思ったら「馬車が買いたい」「明日は舞踏会」の鹿島茂さんの本だったので、手に取りました。

それにしてもまあ、昔の紳士たちは格好良かったのですね…。生活することが仕事、という恵まれた人々は、そう多くはありませんが、薩摩治郎八という人は、まさに生きることが芸術であり、仕事であった。勤勉に働いて、慎ましく暮らすことの幸せは、我が身に似合うものと思っていますが、読むだけなら、自分と全く違う人生を歩いた人のことを知りたいと思います。

無理に真似したり憧れすぎる必要もないけど、すごい人がいたんだなあって、感嘆するばかり。夢のようなお話の中にある、ひやりとするなにかに触れられたらそれこそ読書の楽しみというものです。

それにしても、この本を読んで印象的だったのは、お金に飽かせた豪遊が素晴らしいのではなくて、良いものに囲まれて生きた人は、生き方の進退挙措が
潔い気がすることです。その点で、薩摩治郎八という人は、きっと一級だったに違いありません。

大正から昭和のある時期までの爛熟した文化が生んだ洗練を身体と心で具現化してみせた人たち。心優しく教養も高く、胆力もあって。芸術や美しいものを愛する、やっぱり桁外れですね。

ところで、この本をきっかけに、獅子文六さんの本を読みたくなりました。確か実家に一冊あったけれど、変わったお名前だなって思っただけで子供の頃の私は見向きもせず、処分してしまった覚えがあります。人気作家だったのよ。知らないの??と呆れられました。むー、一体何の本を手放したのでしょう。関係ないけど気になる~!

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2020年01月26日

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