【感想・ネタバレ】ロボットとは何か 人の心を映す鏡のレビュー

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Posted by ブクログ

「ロボットも心を持つことができる」と考えている石黒先生。
心とは、自分でもどこにあるのかわからない、実体のないものである。だから、「人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけである」という言葉からこの本は始まる。
でも私は、人間には心があると信じている。
ロボットがどんなに人間に似ても、どれだけ精巧にプログラミングされても、心を持つことはないのだからそれが人間とロボットとの違いだと思ってきた。
でもこの本を読むと、ロボットに心を持たせることができるのではないかと思わされる。
心とは何か、それを突き詰めて考え、それが解明されれば、ロボットに心を持たせることはできるのかもしれない。

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2019年11月14日

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ヒューマノイドロボ研究の目的から、今後の課題、夢までを筆者の経歴ベースで概観した明晰な本。研究者としての葛藤も含め凝縮された内容。技術者として読んで、共鳴することが多く、平易かつ端的な記述ながら奥深さを感じる名文と感じた。多くのロボット研究紹介本のなかでも特によかった。

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2012年08月30日

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これは面白い。

講演を聞いたことあるし、彼のロボットを見たことあるしで、
研究内容について目新しいことは何もなかったが、
彼の意図する研究の深い意義について理解でき、
彼の研究を改めて面白いと思った。

下手な哲学書とか読むより良い。
「人間とは何か」非常に面白いテーマです。

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2012年08月19日

Posted by ブクログ

石黒先生のロボットに関する2009年の新書。といっても石黒先生の開発するロボットの話なのでだいぶ偏っています。人口知能カテゴリにいれちゃいましたが、人口知能というよりはどっちかっていうと、石黒先生にとってのロボット研究は「人間とは何か」なのである意味哲学より。
科学なので実験してますが。

一見気持ち悪いロボットの数々をつくることがなぜ必要か。
そこには「気持ち悪い」と思うことに鍵がある。
人間とロボットの違いは?その間の「不気味の谷」にウキウキできる人には、語り口も一文が短くわかりやすく(わからないということがわかりやすいともいう)、かつ石黒先生の情熱(見方をかえれば失礼ながら変態かもしれないが……)も伝わってくるので本当にオススメです。

初の☆5つ。
いい悪いは別にして単純に好きで相当楽しく読んだからです。
読んだのは今年の夏。だな。多分。

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2011年12月15日

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サイボーグ論との関連で友人にすすめられて読んだのですが、
やはり実践的であるという面で、非常に興味深かったです。
単なるメタファーでも机上の空論でもないというのは非常に強力な論拠になりますからね。

ただ、筆者の「意見」の部分には論理矛盾も見られたように思います。
筆者の言葉通り「心=相互的なもの」と考えるなら、
ロボットが人間に心を認めないかぎり、「ロボット自身が心を有するだろう」とはいえないのでは、という疑念がわきました。

しかし、それを除しても本当に面白かったです。
研究に限らず、新たな視点を取り入れたいという人におすすめです。

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2011年11月13日

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ネタバレ

人類の科学史・哲学史を変えるくらいのインパクトを持った一冊。「人間とは何か」という昔から哲学者達を悩ませてきた問題に対し、「ロボットとは何か」という双対問題から解釈を与えようとしている点が非常に面白い。
特に印象に残ったのはロボット演劇のエピソードで、演劇にロボットを出演させ、ロボットが、完全に決められたタイミングで、決められた動作やセリフを言うという実験だが、この演劇を見た人の大半はロボットに心があると感じたという。この結果から、筆者は、心というのは、「人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけ」で、「ロボットでも十分に心を再現することができる」としている。哲学的な言い方ではあるけれど、科学的な面からもとても面白いと思っていて、「人間とは何か」をこのように解明していくことによって、例えば、人間の感覚を騙すようなアプローチも可能になってくる。
また、研究という行為の意義についても考えさせられる。筆者は、元々コンピュータービジョンの研究をしていたが、そのうちにロボットを研究するようになり、さらにロボットを研究するうちに、「人間とは何か」という問題に興味が移ってきているという。「人間とは何かを知りたい」という非常に根源的な欲求が、筆者のモチベーションとなっており、次の研究に向かわせている。表層的な問題ばかりを見ていると、研究の一貫性がなかったり、モチベーションが持続しなかったりすることがあると思うが、筆者の在り方は、まさに理想的な研究者としての生き方だと思う。

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2011年10月03日

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<poka>
ロボットを通して人間や自分を考えさせられる。

<だいこんまる>
私もロボットだったりして…。

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2011年09月03日

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大学で哲学の教授に薦められて読みましたが、面白かったです。「人間と何か」「心とは何か」といった哲学的な問いを、ロボットを用いた実験と観察という伝統的な自然科学の手法を通して考察する石黒氏の研究の一部を垣間見ることができます。人間探求の新しい手法に触れた思いでした。

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2011年08月14日

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 読みやすい、わかりやすい、ワクワクするの三拍子でした。特に、これまでのインターネットを人間の情報伝達のツールとして捉え、ロボットも同じように進化し発展していくだろうという見解に共感できました。しかし、技術的にはそうであっても、経済の観点からはなかなか難しいのではという疑問をいだいてしまいました。ビジネス書ではないわけですし、アンドロイドをつくる目的を知り、人間とはなんであるかという哲学をする本としては最適ではないかと思います。
 この本を通して個人的に得ることの出来た一番のことは、ロボットに性を与えることが実は重要なことなのではないかということです。他にも、心に限らずのことですが、周りの人間がそう思うことによって自分を認識しているのが人間ではないだろうかという説は、自分の持っている考えを後押しするような形になってくれました。
 ロボットを知りたいという理系の人にも、人間とはなんだろうと考えている哲学する人にも、今後どんな新しいものが出てくるのだろうと感じている経済人にも、それぞれ得るものがある本であると思います。

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2010年09月25日

ネタバレ 購入済み

ロボットで考える人間の中身

「人に心はなく、人は互いに心を持っていると信じているだけである」生粋の科学者である石黒浩が切り出したるは、そんな哲学的な命題だ。普通の人ならば、少し本を読んだり思索にふけって「ふむ難しい」と投げ捨ててしまう話だろう。しかし彼は、人間を知りたいという欲求を工学的なフィールドで追い求めて続ける。見かけと動きを人間に似せたロボットは人間らしく見えるか。遠隔操作ロボットと会話したらどうか。そんな考えで作られた「人間らしい心の無い」ロボット達を見れば、自分に心はあるのだろうかと、そう感じること請け合いである。

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2019年12月20日

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外連味溢れる愛すべき教授。なにが素晴らしいといえば、専門外の部分での不用意な発言である。しかも、それが、最もらしくて、とても刺激になる。新書というフォーマットを熟知した著作と言える。新書は論文ではないから、自分の思い、思い込みを発表することは適しているし、みんな論文なんて別に楽しくないから読みはしないのだ。

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2019年07月15日

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その風貌から一種のマッドサイエンティストを想像していたのだが、著者は「ど」がつくほどに真面目で誠実。
だからこそ、世界観を根底から覆すような大きな真理を発見するわけではない。
ものすごい労力をつぎ込んで、想像しうる範囲の知見を得、考えを得る。
しかしそれはさらに大きな疑問や研究テーマに結び付く
そもそも人間という存在が謎で、鏡が迷宮であるならば、落着など永遠に得られないのだ。
もっともっと根源的な謎が引きずり出される。これが本書の熱いところ。
視覚、表面、皮膚から、社会や心へのシフト。
技術論ではない。誠実に積み重ねられた研究からはじき出される謎の深化。哲学論だ。

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2016年07月15日

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人間酷似型ロボット(アンドロイド)研究の第一人者が、自らの研究開発の過程と、そこから生まれた「人間とロボット」についての考察をまとめたもの。2009年発刊。
著者が2006年に作成した、自身をモデルにした遠隔操作型アンドロイド「ジェミノイドHI-1」は世界中の注目を集め、2007年に著者は英コンサル会社による「生きている世界の天才100人」の26位(同順位には、ダライ・ラマ14世とスティーブン・スピルバーグ)に選出された。
著者はもともとコンピュータビジョン(カメラから得られた画像をコンピュータで解析し、その画像に何が写っているかをコンピュータに認識させる研究)を研究していたが、コンピュータが人間と同等の認識能力を持つためには、人間と同じように、環境の中で動き回り、物に触れる体が必要になるとの考えから、ロボットの世界に研究の範囲を広げたのだという。
そして、人間型ロボット「ロボビー」(1999年)、自分の娘(4歳)のアンドロイド「リプリーR1」(2001年)、NHK女性アナウンサーのアンドロイド「リプリーQ2」(2005年、愛知万博に出展)、「ジェミノイドHI-1」(2006年)等を次々と作成する過程で、著者の問題意識が、「人間らしさとは何か?どのようにロボットで再現するか?」から「ロボットは心を持てるか?」、「心とは何か?」という、認知科学や脳科学の研究領域である、より深いものに変わっていったことが綴られている。
具体的な研究実験の結果で興味深かったのは、周りの環境・反応に合わせて操作者が指令を送る、遠隔操作型の「ジェミノイドHI-1」を使った実験で、第三者にジェミノイドの頬を突かれると、操作者が顔を避けようとしたり、「やめてくれ」と叫んだり、ジェミノイドを自分の体と錯覚するような反応を示したということである。著者はそれを「人間の体と感覚は密につながっていない」からと分析している。
「心(意識)とは何か」、「心(意識)はどのようにして生じるのか」というテーマは、現代科学の究極のテーマのひとつである。そうした中、アンドロイドの人間らしさを向上させるためには、人間についての理解を深めなければならず、また、開発したアンドロイドの性能を人間社会で試した結果をフィードバックすることにより、認知科学や心理学が進化していくことも事実であり、今後、相互の研究領域オーバーラップは進んでいくのだろう。
(2015年7月了)

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2017年03月25日

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人間らしいロボットをつくるということは、人間とは何かを突き詰めること。いつか、人間と見分けのつかないほどのロボットが現れる日が来るのだろうか。それは、人類にとって希望であり、脅威にもなるだろう。
筆者の石黒先生はマツコロイドを監修しており、「マツコとマツコ」にも出演されているので、録画して見てます。

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2015年07月05日

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精神と肉体は切り離されているのか?という二元論的な問いを考えていた時に、先輩が貸してくれた本。

非常に面白かったです。
アンドロイドと言うと、ついつい内容的な部分(こんな新しいことができる!とか)に目がいってしまいますが、外見がこんなに重要だと思わなかったです。

面白かったのは、自分とそっくりなアンドロイドが、整備のために頭を開かれている時に衝撃を感じるとか、うっかり急停止ボタンを押してしまい、萎んで崩れて行く姿は「人の死」を感じさせるという話。
物質的には機械だし、自分ではないはずなのに。

あと、ロボットを遠隔操作している時に、ロボットが人に触れられると、自分が触れられたような妙な感覚になるという話。これに関しては実際に試してみたいなーと思わされましたw
それが事実なら、精神と肉体を接続するものって実に曖昧なんだなと。デカルトが考えたように、あくまで人間の本体は精神であって、身体はたまたまくっついているだけなのかも。
人間って、心って、不思議ですね。

石黒さんにとって、アンドロイドを開発する意義が、人間の存在を問うたり、心を解き明かしたりすることであるというのが、とてもすごいことだなと敬服しました。
研究していくうちに、そういう疑問に突き当たった部分も大きいのかもしれませんが、科学技術的な面だけに収まらないというのが面白いです。

その問いの答えは簡単には見つからないと思いますので、石黒さんにはこれからもアンドロイドを開発して、面白い本を書いてほしいなと思います。
最近、落語家のアンドロイドを開発した?とのニュースをみました。いつか本物のアンドロイドを見に行きたいな。

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2012年07月24日

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ネタバレ

ロボット研究の第一人者による新書。2009年刊。
より“人間らしい”ロボットを模索するうちに、「人間とは何か」という根源的な問いを意識するにいたった著者の、研究と思索が 明快に詰め込まれた書。

なぜ人間は、人型のロボットに対して飽くなき探求を続けるのか。そこには、技術開発を通じた“人間理解”への欲求があるのだと氏は論ずる。

ロボット研究における人間らしさ(特に見た目や動作を中心として、知覚・感情・発達といった部分まで)を追求する取り組みが興味深い。→ジェミノイド(人間もどき)、ロボット演劇、ロボット化社会予想

・体を持たないコンピュータに真の認識が可能か
・なぜ人間型ロボットなのか
・人間らしさとは何か(ロボット研究における切り口)
・感覚と体のつながりとは
・ロボットは人間を支配するか

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2012年11月14日

Posted by ブクログ

≪目次≫
プロローグ  ロボットは人の心の鏡
第1章     なぜ人間型ロボットを作るのか
第2章     人間とロボットの基本問題
第3章     子供と女性のアンドロイドー人間らしい見かけと仕草
第4章     自分のアンドロイドを作るー(人間らしい存在)とは
第5章     ジェノミノイドに人々はどう反応し、適応したか
         -心と体の分離
第6章     「ロボット演劇」-人間らしい心
第7章     ロボットと情動
第8章     発達する子供ロボットと生体の原理
第9章     ロボットと人間の未来
エピローグ  ロボット研究者の悩み

≪内容≫
人間型ロボット(アンドロイド・ジェノミノイド)の第一人者のもの。
ロボットを研究することで何がわかるか…わかるのは人間。そして、
今までのさまざまな学問・研究は、実は人間について何も分かって
いなかったこと。特に「心」の問題は、興味津々の内容。また、
子供ロボットが人間の子供と同じように、覚えながらロボットになっていく
(?)くだりは、小説よりも面白かった。

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2012年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ロボットを通じて、「人」を研究する。そのためには誤解や多くのタブーも存在する事を改めて実感。哲学的な部分も多いが、ロボット研究の最近の状況も知ることが出来る。

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2012年01月14日

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ネタバレ

 2009年までのロボット技術の今が語られた本。出来ることと出来ないことが明確に分かっておもしろい。ロボット≠人間、片方を知ることでもう一方の輪郭が見えてくる。

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2012年04月08日

Posted by ブクログ

ロボットを通じて人間の存在について考えさせられた。心があるかないかは表面的なことからしか分からない。。

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2011年07月04日

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人間でないものを通じて人間を理解しようとする試みとしてのロボット研究のありようを,解説している。僕が院生の頃書いたレポートで展開した思考実験に似た記述を見つけた時は,失ってはいけない魂を再確認できた感があります。福岡伸一氏のような技巧的な文章は特に見当たらないですが,研究者の姿勢であるとか,その哲学を持つに至る来歴とか,学ぶことが多い一冊だと言えます。

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2011年04月01日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
英国コンサルティング会社SYNECTICSの「生きている天才100人」調査で日本人最高位の26位に選出(2007年)。
石黒研究室が参加する「Team OSAKA」は、「ロボカップ世界大会」サッカー競技ヒューマノイドクラスで4連覇を達成(2004~2007年)。
自身のアンドロイド「ジェミノイド」とともに、欧州最大のメディアアートの祭典「アルスエレクトニカ2009」でフィーチャードアーティストとして展示を行う(2009年)。

[ 目次 ]
プロローグ ロボットは人の心の鏡
第1章 なぜ人間型ロボットを作るのか
第2章 人間とロボットの基本問題
第3章 子供と女性のアンドロイド
第4章 自分のアンドロイドを作る
第5章 ジェミノイドに人々はどう反応し、適応したか
第6章 「ロボット演劇」
第7章 ロボットと情動
第8章 発達する子供ロボットと生体の原理
第9章 ロボットと人間の未来
エピローグ ロボット研究者の悩み

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年11月26日

Posted by ブクログ

感想を書いてしまうと、話の核心をついてしまいそうなので
(ネタばれしてしまいそうなので)
敢えて書きませんが
この本を読むと、ロボットに対する考え方が変わると思います!!
私もこの本を読んで、将来ロボットは心も持てるようになるかもしれない・・と思いました。
ただ、皆さんがハリウッド映画などから想像されている形とは違うでしょうが。

また、科学だけでなく、工学、心理学、哲学・・・と分野の境を越えて
人間の根源的な問いを研究されている石黒先生の姿は
昔のデカルトやダヴィンチのように思えて、すごいと思います。

一読の価値はあり!!

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2010年08月30日

Posted by ブクログ

読みながらうなずけるところがたくさん。
研究の難しいことはわからないけど、すごい可能性を感じさせてくれる。
機械と人間の境界がますます曖昧になっていく。

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2010年06月06日

Posted by ブクログ

半分自伝的でさらっと流し読みしてしまった。ちょっと真理に対する理解が近似し過ぎな気もしたけど、結構同感。もっと深くまで考察した上での結論かも知れない。あと、「悪用できない技術は偽物である」ってのは名言だと思った。

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2013年11月16日

Posted by ブクログ

研究は、最も基本的問題を探ることである。

最新の研究は、絶望と向き合うことである。


研究は、自分に耐えることが必要である。


石黒先生は天才ではなく、誰よりも探究心が強く、誰よりも考えている。


・そして彼は自分に正直で素直で矛盾を作らない。自分に妥協はしない。


研究に没頭するだけでなく、研究者のあり方や位置付けをしっかりわきまえている。


不可能と思う時点で、真の研究はできない。


人は、人を知るために生きている。



研究テーマ間の繋がりがはっきりしていて、まるでストーリーのようである。



最終目的が明確であるからこそ、今必要なことを選択できる。






『私は天才などではない。単に一つのことを誰より考えてただけだ。』

アインシュタインの言葉が頭をよぎる。



私は、本書から

・研究という営みはどういうことか?

・天才はいない。天才らしき人はそれなりの行動をしている。

・物事を考えることはもっともっとできる。突き詰めて考えることの本当の意味。


以上3点を強く感じた。

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2013年07月23日

Posted by ブクログ

一読して,人間は思った以上に自分自身・人間自身のことをわかっていないし,わかりづらいのだなと感じた.そのためにもロボットを作ることで人間を理解するというアプローチは面白い.
また,ロボット演劇では人間とロボットに対する支持の出し方が同じ,という話も面白かった.これは人間の「心」とは観察を通して感じるものであることに起因していると思った.
たにちゅ先生の記号創発論と合わせて読むと尚おもしろいかも.あっちはルールベースの限界を書いてるけど,こっちは環境を限定すれば感情があるように見せられると書いてる?

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2013年01月05日

Posted by ブクログ

タイトルは「人間とは何か」という命題に換言できる。

石黒氏の著書『どうすれば「人」を創れるか』を哲学的とするならば、こちらはより写実的といえる。タブー視される性衝動が本来人間の根源てあること(芸術ならば許容される)、定義できない知能や心の存在に対して疑問を呈している点など、筆者の豊かで刺激的な主張が冴えている。

本書はロボット自体より研究者として筆者の思想に焦点が当てられているため、石黒氏を知るにはまず『どうすれば「人」を創れるか』を読んでから本書を読むことをお薦めする。

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2012年05月26日

Posted by ブクログ

大阪大学大学院教授で、人間酷似型ロボット(アンドロイド)研究第一人者の著者は、「ロボットも心を持つことができる」と主張する。心は人間固有のものじゃなかったの?! ― 本書を読むと、ロボットには踏み込めないと考えていた心の領域が、実は不確かなものであったと気付かされる。心があるから人間なのではなく、心を知りたいと考え続けるのが人間なのだと、教えてくれる。

心の仕組みは、脳科学や認知科学でも解明されていない。そこで著者は「先にまずロボットやアンドロイドを作ってみて、そこから人間を知る」というアプローチ(構成論的アプローチ)をとる。科学の知見を取り込んで、まずロボットを作る。人間のまばたきや仕草、容姿など細かなところまで再現。ロボットと接した研究者らがどのような感情を抱いたかを分析し、「人間らしさの再現」に迫るという。

研究者らに、アンドロイドと対面してもらう。遠隔操作しているアンドロイドと会話をしてもらう。また、平田オリザさんが脚本・演出するロボット演劇も企画する。立ち位置や間の取り方をプログラムした男女のロボット2体と、2人の役者が「人間の心の葛藤とロボットの心の葛藤が交差する」物語を熱演。演劇後のアンケートではほとんどの人が「ロボットに人間のような心を感じた」と感想を述べたという。

このような研究や企画から「人間は、相手の表情や仕草、口調から感情を単に想像しているだけである。ただ単に想像して、あの人は怒っている、悲しんでいるなどと思い込む」と感情の本質を説く。

「心とは、感情とは、人間が人間同士や、人間とロボットの相互作用を見て感じる、主観的な現象である。そして、それは優れた直感を持つ演出家の力を借りれば、十分にロボットでも再現可能なものである。
また、加えて大事なことは、人間は自分に心があるかどうかは分からないが、他者は心を持つと信じることによって、自らにも心があると思い込むことができることである」

僕は感情の起伏が激しい。極力オモテに出さないようにつとめているけれど、言葉で説明できない何かが胸元から飛び出してくる感覚がある。尊敬する先輩と刺激的な会話をかわしているとき、素敵な女性が隣にいるとき、いかにもなチンピラにからまれたとき…ワクワク、ドキドキ、ハラハラする。反省、後悔、悦に入ったり、嗚咽をもらしたり。自然と溢れてくる、そんな何かをすごく大切なものとして扱っている。

心は人間の専売特許ではない。けれど、その人だけの感情は必ずある。著者がいうように、アンドロイドが日常のいたるところで活躍する日が遠くない将来にくるのだろう。そうなっても、余計な恐怖心や不気味さを抱く必要はなく、自分の心と付き合っていけばいい。「ロボットを鏡とする」ことで、より自分と向き合えるかもしれないと思った。

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2010年09月07日

Posted by ブクログ

★ロボットを媒介とした人間論★ロボットの技術論ではない。「なぜロボットの見た目に気を配らないのか」と著者は強調し、ロボットを利用するには見た目とそれに反応する人間の心が重要だと指摘。人間そっくりの見た目のロボットを作ってきた。技術的にもすごいのだろうが、著者の関心はそれを見る人間の意識へと移るようで、人を人として成り立たせるものは何かを追求する。何があれば人と認識されるのか。顔なのか、目なのか、会話、ゆらぎ‥。あくまでロボットをツールとし、人間研究へと変わってきた。

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2010年06月27日

Posted by ブクログ

研究内容やロボットの説明に終始するかと思ったが、荘でもなかった。
論文として書かれることを、わかりやすく示されてあった。失礼だが読みやすかった。
ロボットに心はあるのか。そもそも人はなにを持って心を感じるのか、そこからきちんと議論されてる。
一応ロボットに携わったことのある自分のだが、多くのことを知った、考えさせられた。
う〜む

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2010年05月18日

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