【感想・ネタバレ】対決のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

政治家の息子を裏口入学させていた統和医大。その調査の過程で、女子と多浪人の受験生の点数を意図的に下げていた事を、新聞記者の檜葉菊乃は掴んできたのだが。
男女差別問題を当事者としての女性の立場と、無頓着に差別を押し付ける男たちの当たり前に、セクハラ、パワハラの中で生きてきた記者の檜葉と病院理事の神林は、共感しながらもお互いの立場から対決しなければならなくなる。
男女差別への深い無関心を描き、泣き所もあり、充分に満足できる小説だった。

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2024年05月27日

Posted by ブクログ

まだ5月だが、間違いなく今年の個人的ベスト3に入るだろう熱量のある大力作。面白いという表現を許さないような凄みのある社会派小説。東京医科大学入試での女子学生一律減点事件にインスパイアされた題材で、性差別問題を愚直に真っ向勝負で切り刻んでいく。と同時に、女性差別に苦しみ改善していきたい、立場の違う新聞記者と大学理事の女性二人の生きてきた道程をたどりながらその職業矜持でぶつかり合う様は、川中島の戦いも真っ青なぐらいの女の意地の真剣勝負。その科白ひとつひとつに感銘を受ける。最後の「対決」は涙なしで読めない。世紀の大スクープが政治と企業の癒着から薄れていく様もハッピーエンドで終わらせない著者の矜持を感じさせる。勿論エンターテインメント小説ではあるが、それで終わらない深みを味わえる必読本。

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2024年05月22日

Posted by ブクログ

この対決はどうなるんだろう?片や新聞記者片や医科大学の理事問題は大学入試で女性一律減点不正をめぐる攻防。さらに全編にわたりセキハラ、パワハラ、そしてアカハラ(アカデミックハラスメント)まで、主人公二人とも応援したくなる、でも不正は正して欲しい。さて著者はどう纏める?ハラハラドキドキ時に憤りを感じながら読み終えた。

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2024年05月20日

Posted by ブクログ

医学部入試の不正を暴く新聞記者と隠蔽を図る病院理事、男社会で女性同士の理不尽な戦いの有り様 #対決

■あらすじ
日邦新聞の社会部に勤務する菊乃は、統和医大でのスキャンダルの情報を得ていた。その医大の入試では、女性の合格率をさげるため一律点数をさげているらしい。憤慨した彼女は独自での取材を始めた。

一方統和医大では、その問題に対する隠蔽工作に躍起になっていた。女性でありながら理事を務めていた晴海に白羽の矢が立ってしまう。男性理事たちにむりやり難題を押し付けられた彼女の戦いが始まる。

■きっと読みたくなるレビュー
まず何より悲しいのが、これ本当にあったことなんすよね…

世の中にある入試や資格試験というのは、「公平」な勝負なんです。性別、外見、性別、年齢、その他様々な条件は一切関係ない。試験範囲はここですよ、と提示されたものに対して、その人がどれだけ努力できるのか、ただそれだけで測られるべきでしょうが。ホント低レベルで開いた口がふさがらないわ。

そんなかつてあった事件をベースに、病院VS新聞記者の構造で物語が綴られていきます。全編にわたって男社会、女性差別が背景にある本作。病院の女性理事である晴海の苦悩がしんどすぎるよ。これまでも理不尽な男社会で戦ってきたのに、何が楽しくてこんな仕事をやらねばならんのだと…

私ならすぐにでも逃げ出す自信ある。それでも彼女は戦い続けるなんて、めっちゃ男前!(←これも性差別)ただ意思をもって、胸を張って立ち向かうのは本当にクールで頭が上がりません。

新聞記者である菊乃も、男性中心の職場環境で自身の信条を貫いてゆく。読めば読むほど、なぜ男と女を区別されなきゃいけないのか分からなくなるし、それを自体を意識しないといけないかもわからない。ただ事実として受け入れ、ひとりひとりが歩み寄ることが必要なんでしょうね。

そして考えられなかった病院の愚策も、読み進めると実情が理解ができてくる。たしかに医者の入学試験や医局という制度は、就職試験の意味合いも含んでいる。つぶしも聞かない職業だし、医者の人数も少ない、さらに年齢を重ねてしまうと現場で活躍する機会が減ってしまう。

時代と共に変わってゆくべきなんでしょうが、責任をとらず問題を先送りにするのが得意な我が国では改革は遅々として進まないのでしょうね。

物語は終盤までもつれにもつれて、どうなるのって感じでワクワクが止まりませんでしたね。菊乃も晴海も、ホントお疲れさまでしたと言いたい。できればこれからは手を取り合ってほしいなぁ。二人なら血の通った優しい世の中に作り替えることができると思いました。

■ぜっさん推しポイント
「髪きった?」「爽やかで、素敵になったね」

かつて私が挨拶がわりに言っていたようなセリフ。いやらしい意味は一切なく、むしろ嬉しいと思ってもらえるように気遣ったつもりなんですが、今やこんなセリフすら言いづらい…

窮屈に感じることも多いんですが、やっぱり意識を高めることと、それを続けることが大切なんだろうなと思いました。

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2024年06月09日

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対決を通じて様々な視点が提供される
最後まで安易な結論とすることなく、進んでいく様に良心を感じた

結論の出ない問題ではあるかも知れず、差別に対する方向性を示したに止まっているものの
読後感は良かった

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2024年06月08日

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2人の対決がどうなっていくのか、どんな対決になるのかとてもスリルのあるもので読みやすかったです。
少しずつ差別は減っていってる気はするけど、なかなかなくならないんじゃないかなと思ってしまいます。
どこまでを差別とするのか、どこまでを男女差とするのかも難しい問題だと思いました。

初めての作家さんでしたが、社会派小説をうまく描いていて面白かったです。

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2024年06月08日

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 月村了衛さんの最新作、この作品のテーマは「大学入試の不正問題」…その裏にある、ジェンダー平等という大きな問題を描いています。

 この作品は新聞記者の檜葉菊乃と統和医大理事の神林晴海が、タイトル通り大学入試の不正を巡って「対決」するものです。統和医大では、大学入試において女子学生及び多浪生の一律配点減点が長年に渡り横行している…。そこのことをつかんだ新聞記者の檜葉菊乃と、隠蔽したい大学理事の神林晴海…。ふたりの女性の勝負の行方は、いかに…。

 ふたり、全く違うようで、そうではなくすべての女性のために…という終着点は同じなんですよね…!差別はいけません…とは、思っていたけれど…この作品を読んで医療現場が抱える課題も見えてきました、と、いうか、女性医師が結婚しても妊娠しても出産しても、続けて医師をも専念できる社会づくりが必要なんじゃないか…そんな風に感じました。それにしても、月村さんの作品は重いけれど社会派感スゴイっ!!結構好きです。

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2024年06月03日

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医学部入試で女子受験者の得点を減らす不正事件を嗅ぎつけた女性新聞記者。事務方から大学理事にまでなった女性二人の闘いを描く。

最初はどうかなと思って読んでいたら、理事側から描くパートになって俄然面白くなってきた。東京医大の事件が元になっているのだろう。

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2024年05月28日

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東京医大や順天堂など10大学の女性差別の不正入試。まだ2年前の話なのに、遙か昔の出来事のよう。改善されたのだろうか?月村さん、ついに社会派小説まで。ドキュメンタリーのようだけど、味わい深い人間讃歌。

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2024年05月20日

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統和医科大学の強制捜査は、政治家子息の裏口入学の捜査であった。
政治家も受諾収賄容疑で逮捕され、統和医大の学長と理事長も贈賄容疑で在宅起訴されている。
そのときの捜査で関係書類の中から「あの書類」まで検察が持っていったと噂が…
「あの書類」とは…

その噂を聞いた新聞記者の檜葉菊乃は、大学入試の際、女子受験生への一律減点操作が行われていたことだと知り、独自に調査を始める。
シングルマザーである檜葉の娘も医学部を目指していたから余計に力が入る。

目をつけたのは医大理事の神林晴海で、容易ならざる敵にお互い一歩も譲らず…。


男性優位の社会の中で理不尽な思いをしてきた二人だからこそ思いは通じるはずだと…。



性差というものが存在する限り、人間社会からは性差はなくならないのかもしれない。
だが、少しずつでも良い方向に変えていくよう努力し続けることはできる。

これからの未来のためにも変えていく必要はある。











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2024年05月12日

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月村さんの社会派小説は時事問題が割と描かれていて好みであり、たまたま入試不正に関することをSNSで知ったので、本作を手に取りました。秘密を暴きたい記者と、大学を守りたい大学理事よ相手の急所をいかにつくかの攻防戦が緊迫感があってとても面白かったです。

物語としては、官僚と癒着し不正入試を行なっていた医大が検察に同時に入試の採点資料も預けてしまうところから始まります。その採点資料には、女子や浪人生に不利な基準が設けられていました。それを知った記者である、檜葉がその真相を追うことになる。その中で檜葉が目につけたのは女性理事で入試について担当している神林であった。

本作の題材の根幹にあるものとしては、男女差があるのかなと。どうしても男女の身体的差って埋められないが故に、どこを区別と取るのか、差別とするのか、すごく難しい問題だなと思いました。

機会の平等性を保証しつつも、男女差を認めたうえ、個性や考え方、アイデンティティを尊重しなければならないというのは、正直制度だけでどうにかなるものではないのかなと思います。だからこそ、これだけ個人個人のモラルが重要であると叫ばれる世の中になったのかなと思いました。

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2024年04月30日

Posted by ブクログ

私立医大入試の不正をめぐる社会派小説。
女子だけ一律に減点するなんて考えられないけど、なぜそうなったかという理由を読んで医局の過酷な状況や研修医制度の改正など様々な要因があって根が深いと思った。

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2024年05月18日

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