【感想・ネタバレ】ひと呼んでミツコのレビュー

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Posted by ブクログ

角川文庫の著者紹介文に「独特の倫理主義」と表現されている倫理観をコメディータッチのファンタジーで表現した作品。著者の単行本デビュー作。
私立薔薇十字女子大英文科に在籍する女子大生「ミツコ」が不思議なパワーで悪徳を懲らしめます。ここでの悪徳とは「冷静に考えれば悪徳なのだが、なぜか、まかり通ってしまっている、見逃しがちな悪徳」です。
例えば、人込みでの喫煙、職場での暴言……。法律的には精々軽犯罪法に引っ掛かる程度の悪徳を、ミツコさんが懲らしめます。懲らしめるといっても、殺人などの過剰防衛に走らず、破廉恥なことには破廉恥で、ちょっとした暴力にはちょっとしたお仕置きで。適度な警告を発します。
純文学表現をお好みの方は、同じ著者の「ドールハウス」(角川文庫1997/07)をお勧めしますが、軽快に、痛快に日ごろのウップンを晴らしたい方には、この一冊がお勧めです。
七編の連作形式で、それぞれ違った形の悪に違った形でお仕置きをするミツコさんに「これは、悪ではないのでは?」と思われる事柄も含まれるでしょうが、多くは共感の持てる事柄だと思いますので、サラサラっと読んでみましょう。
熟読すると、普段何気なく人を傷付ける言葉に対する指摘(例えば、「変わった人ね。」と人を評することの意味など)に、含蓄の深さを感じてしまいますが、どの程度読むかは、人それぞれ。
僕などは、なるべく口に出すのは控えている積もりですが(頻繁に口にしているような気もしますが)「普通はこうでしょ。」と言う人に「それは、君の常識だろ。」といちいち反撥を覚えるので、七編全てのミツコさんのお仕置きを楽しめました……。
以上、講談社文庫版を読ん時の感想です。1999年5月21日

「時代がミツコに追いついた  姫野カオルコの早すぎたデビュー作が21世紀の倫理を確立すべく、装いも新たにバージョン・アップ大復活」と帯に巻かれて集英社文庫に移籍。「今月の新刊」として本屋さんに置かれていたから、買って読んでみました。
感想は……、二年前に読んだときと同じ(笑)。コメディーなんだから、難しいことを考えずに、笑えば良いのです。
ただ、僕が再読し始めたのが、休日の午後でした。このサイトからもリンクしているバンドのライブを観るため、JR青梅線から中央線直通の電車で都心のライブハウスに向かっている車中でした。羽村駅から乗り込んだとき、この電車は空いていました。空いていたから、僕はこの電車のシートに座り、ミツコの活躍を楽しんでいました。ちょうど、「Vol.1 昼下がりの事情」が佳境を迎える頃、電車は中央線を走り始め、混み始めました。物語では、若いカップルの車内でのマナーの悪さに業を煮やしたミツコがサイキックパワーを炸裂させています。そして、いつのまにか僕の前には初老の夫婦が立っています。「席を譲るか、譲らないか。そこが問題だ。」ミツコの物語と自分の立場の微妙な関係性に思いをはせているうちに、三つ隣の若い女性二人が電車を降り、初老の夫婦は席に座れました。
そんな事がありました。
だから、どうした。と言ってしまえばそれまでのことですが……。
では、なぜ、そんなつまらないことを書くかと言うと、僕と同い年のミツコは、単行本出版から十年を経て今は三十三歳。時代の流れを感じさせるエピソードや、講談社文庫との違いなどを指摘しようかと思ったのですが、集英社文庫の解説で中条省平が、かゆいところに手の届く解説でしっかり解説されているのです。さらには、著者のデビュー作で、その後の立脚点となる倫理観についても、親切に書かれているのです。
と、言うわけで、僕は、単純にコメディーを読んで楽しんだのでした。特筆すべきはミツコが僕と同じ年に生まれていた事に気付いた点でしょうか(^^;A

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2015年11月21日

Posted by ブクログ

笑った!笑った!ほんと面白い。読むと元気になって、よくわからんパワーが出る。あー、ミツコのように生きてもいいのか否か。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

どこまでも真面目で律儀で正論を突き通すミツコ。それが故に、曲がったり歪んだヤツは放っておけない→盲腸が痛み出す→超能力発揮という設定が斬新。そこがまた爽快だった。

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2018年12月26日

Posted by ブクログ

姫野作品で3番目くらいにお気に入り。最初電車で笑いをこらえつつ読んでた。とりあえず笑えて笑えて大好きだった!姫野作品に共感してしまうのって公言していいのかどうかわからない。でも常に非常に共感。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

姫野カオルコは天才だった。
ごめん、過去形で。

この人は、処女のまま
エロ小説でデビューし
そのまま孤独に処女道を貫いた
(いや、貫いてないから処女なんだけど)
エロ教の修道女のような
孤高の存在である。

処女を描いた三部作シリーズまで
完成させてしまった。
3冊とも素晴らしかった。

んで、中盤の彼女は
「自分ってイケてるんだけど
 なんでモテないの?
 なんで抱いてくれないの?」
という孤独を切々と綴った
自伝なんだか小説なんだか
よくわからんジャンルに突入。
姫野カオルコがイケてるかどうかは
あえてコメントしません。
しかし、このジャンルを
ここまで極めた人も珍しい。

そんな彼女の初期作品が
この「ひと呼んでミツコ」
無名な彼女がいきなり原稿を持っていって
そのまま出版されたという
伝説の本。
この本を読むと彼女が天才であった
ことがわかります。
「サティが好きなの」と言う女と
戦うミツコが好きです。

姫野カオルコはまだ処女なんでしょうか?
よく知らないけど、
最近の彼女の本はあまり読む気がしません。
もしかしたら処女パワーがなくなったのか??
処女を失ったら
魔法が使えなくなった魔女のように
ならないことをお祈りしております。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

久々に読み直したけど面白いな〜。姫野カオルコ他の小説も好きだけどやっぱりこれが一番好き。あこがれます。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

気分爽快になる、勧善懲悪のお話。

多数派であれば正しいと思っていて、自分は他と違うと思っている多数派の不道徳な悪を許せないミツコ。
彼女の盲腸痕が熱を帯びると、彼らに罰が下る。

文章の巧みさも同時に楽しめる、エンターテイメント作品です。

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2022年10月03日

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