【感想・ネタバレ】自分以外全員他人のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

太宰治賞受賞作というだけあって、最初から最後まで、え、この主人公は私では?と思わざるを得ない作品だった。
ここまで思い詰めてしまっていると、こわいけど笑える。主人公の彼(私)は一貫して大真面目なのだから。
タイトルを見て衝動的に購入した後、取り憑かれるように一瞬で読み終わってしまった。

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2024年04月25日

Posted by ブクログ

主人公の生死感が自分と似ていて、共感しながら読んだ。他者を傷つけるのが嫌だから自分を抑圧して生きているところも。他人はどこまで行っても他人。でもそんな他人の中で一握りの知己を得られたら、人生をもっと前向きに生きていけるんじゃないかと思った。

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2024年02月10日

Posted by ブクログ

一つ一つの文章が短く、歯切れ良いので読みやすくどんどん進んだ。題名通り冷えた内容だけど、その考えもわかるので身につまされる。生きるって他人との関係性なのでそれが築けないと、本当に辛い。他の人はできるのにできない自分を責めてしまう。自分がダメだと思うのは他人との比較でしかないのに、どうしても順位がついてしまいそれを気にするのも他人との比較なのに、なんとなく勝ったようでふふふん、と思い、負けた気がするとウジウジ恨んでいる。そういうこと私もある。私とテイラー・スウィフトを比べるのでなく、認めて尊敬しないと関係って築けない。彼女の暗い面もさらけ出し表現に変えて伝える強さを尊敬する。否定で自分を守るのは心重くなる。この主人公はそれ分かってる分、とっても気の毒。95

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2024年02月10日

Posted by ブクログ

けっこうな鬱小説でした。孤独な中年男性の、もの悲しい日常が描かれていました。

主人公は妙に真面目でひたすら内向き。人のことは言えませんが、狭い世界で小さな出来事に大きく心を揺り動かされていました。
自分を攻撃していた負の感情が、爆発してよからぬ方向に向かったところが怖かったです。

読むほどに暗い気持ちになりました。

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「ただ、死ぬならなるべく人に迷惑をかけない形にしたいとは思いますけどね。取り込みとか飛び下りはもちろん、その姿が発見者にトラウマを与えるようなことにならないように。そうゆう配慮の無い自殺はみっともなくてダサいと僕は思います。」

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2024年03月17日

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コロナ下という閉塞感のある社会状況の中、マッサージ師として日々を過ごす主人公。吐き出せずにいる不平不満が心の中から溢れ出す最後の瞬間、これって誰にでも起こり得るような気がして怖くなった。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

⚫︎受け取ったメッセージ
人は自己矛盾をかかえ、他人の矛盾も受け入れて、基本自分本位で生きていくしかない

⚫︎あらすじ(本概要より転載)
♛第39回 太宰治賞受賞作
誰の中にもある、暴れてとめられないもの、心の中の暴れ馬、の正体が書かれてありました。
読後、暫くの間、サイレンのような叫びが鳴り止みませんでした。そしてなぜか、人にやさしくしたい、と発作のように思いました。
――町田康(作家)

「自分は何も悪くないのに。(…)よしんば自分のせいだったとしても、こうなりたくてこうなったわけじゃないのに。」
真っ当に生きてきたはずなのに、気づけば人生の袋小路にいる中年男の憤りがコロナ禍の社会で爆発する!
マッサージ店で勤務する柳田譲、44歳、独身。傷つきやすく人付き合いが苦手な彼の心を迷惑な客や俗悪な同僚、老いた母や義父が削り取っていく。自分が暴発してしまうまえに自死することだけが希望となった柳田をさらに世界の図らざる悪意が翻弄する――。 

⚫︎感想
母に他人に優しくしなさいと言われた一方で、母にお前は周りを傷つける奴だと言われる。自己矛盾を抱えることになった結果、主人公は死にたいという気持ちが希望になり、逆に生きている。死にたいと思っていても、「禿げたら生きていけない」と思う。母の「やっぱり家族だから…」に、辟易しながらも、母との付き合いをやめない。全てのことが矛盾してしまって、折り合いが付けられず、根は優しいはずの主人公でも暴力事件を起こしてしまう。

終盤のクライマックスまで、飽きずによめる作品だった。主人公や登場人物も「こういう人」という枠に収まりすぎず、それは誰しも自己矛盾や多面性を一人で持っているという事実と一致しており、リアルさがあった。ちょっと行きすぎたところがあったり、笑える部分があったり、人間味があった。

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2024年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

繊細すぎるのか、生きづらい主人公が、なんとか耐えて生きているけれど、最後は積りに積もって全てを発散してしまい、暴力行為をしてしまうお話。
共感できるところはあまりなかったけれど、読み終わったあと、苦しい気持ちになった。
こういう人たちはどうやって生きていけば良いんだろう…って思う。

ちょうど、九段理江さんの「東京都同情塔」を読んだばかりだったので、犯罪者に同情する気持ちになった。

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2024年02月07日

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あらゆるストレスを普段から積み上げて押さえ込んでいるのに、本当にささやかなきっかけで、自分でもダメだと分かっているのに抑えが効かなくて、瞬発的に暴力にはしる事って人間誰しもあるのではないかとしみじみ感じた。
人よりも正義感が強くて繊細な人の方が生きづらいんだろうなと常々思うけれど、正義感が強くて繊細に生きていた人たちが今更大雑把に何も気にせず生きていく事なんて難しいよなと思う。
自分以外全員他人、本当にそうだとは思う。

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2024年01月30日

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人生の歯車が狂うと、見るもの感じるものが悪い方向に引きずられ、気にかけてくれる人すら理解してくれないと拒絶する。なにかのきっかけでこの悪循環に入りうる恐怖を感じた。

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2024年01月28日

Posted by ブクログ

私生活とキャリアの両方が充実していないと、どんな人でもこれに近い状況になると思う。できる限り寛容な心を持ち続けたいと思った。

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2024年01月26日

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憤怒、苦笑、悲愴、共鳴…人間のあらゆる感情を次々に提供してくる物語。柳田の美点である真面目で繊細、洞察力の鋭さが自身の心を蝕んでいく。駐輪場のスプレー場面は、理性を失うも冷静な柳田を見事に表現。

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2024年01月24日

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まずはタイトル。装丁もシンプルで黒地に白で、こちらに何かを訴えかける。
主人公は何も持たぬ35歳の中年男性。
生きることに疲れ死ぬことを目標になんとか生きる。自分勝手な他人、自分は陰日向を歩き、目立たず、主張せず、生きているのに、他人はなんて自分勝手だ…
主人公は幼少期から人に迷惑をかけない、人のために、人に優しくと母に育てられた。よってその人生の呪いに苦しむ。この母の教えはいたって真っ当でありながら、母は夫の暴力の末、罵詈雑言を口にする。そして主人公の唯一愛した女性をも否定する。揺らぐ自分のルーツと親、この呪縛もひとつのテーマであり、序盤から中盤まで
主人公に非常に腹が立つが食べなくなって急激に痩せていく過程から、別の人?って感じに変わっていく。贅肉に対する作者の否定を読み取った。物語の顛末より過程に引き込まれた。しかしながら、大きな主張を汲み取れなかったので次回作に期待大。
内容は面白かったです。

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2024年01月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第39回太宰治賞受賞作。ページを捲るたびに苦しくなるそんな小説。バックグラウンドにあるコロナ禍で、人の死が身近になっていたこともあり、主人公が繰り返す「自殺したいのではなく、自分が正しいと思う生き方をしたらきっと死んでしまう」という言葉も受け入れてしまい最後まで読み進みました。全く境遇も性格も出来事も無縁なはずなのに、まるで自分が経験したような気分にさせられるのは、この希望の少ないストーリーが文学として昇華しているからだろうと思います。冒頭で語られた自転車の愉しみがラストには…

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2024年01月20日

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