【感想・ネタバレ】充たされざる者のレビュー

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Posted by ブクログ

面白かったの一言に尽きる。ページが進めば進むほど引き込まれていった。不思議な雰囲気が癖になる。カズオ・イシグロ作品の中でいちばん好きかも。

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2024年05月14日

Posted by ブクログ

とても風変わりな作品。私はこういうの好き。

夢の中のように脈絡なく続くストーリー、歪んだ時間、辿り着かない目的地、見知らぬ知人達(矛盾してるけど"見知らぬ知人"が正しい表現だと思う。)
永遠と続くワンカットシーンのような小説。

読後は長い夢を見終わったような気だるさ。

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2020年11月16日

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この本はすごい。ほとんどもしくはすべての登場人物が自分のことしか考えられない。もどかしい思いで何度も本を閉じたのだが、読みきったあともう一度それぞれのエピソードを読んでみると、噛めば噛むほど味が出てくる。吸い尽くせないほどに。頑張って読み切る価値がある。

自分は果たして本当に誰かのことを知りたいと思ったことがあったのか? そう思っていたと感じていたときでも、ただ自分のことを誰かがどう思っているかを知りたかっただけではなかったのか? 時に誰かに優しくすることはできるが、結局いつも自分のことばかりだったんじゃないか? そんなことを思う。

最初は荒唐無稽で夢のような世界の話だと思うのだが、読み終わって数日が過ぎたあたりから、だんだんとそれが世界の本当の姿なんじゃないかというふうに思えてくる。みんな言いたいことだけを言っていて、すべての人同士がすれ違っている世界。でも、それは全くもってありのままの現実なんじゃないかと。

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2020年04月19日

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巻末の解説によると、発表当初から賛否が大きく分かれたという本書。デビューからそれまでに寡作ながらいずれも高い評価と栄誉ある賞を得た作家が、本当に書きたかったものを書いたそうです。

出だしから登場する人たちの長いセリフ、それに続く非現実な場面転換。序盤から、読み進める側は、この奇妙な小説をどう受け止めていいのか、戸惑います。否定的な感想を持つ人は、おそらくこの戸惑いを消化できなかったのではないでしょうか。そうした気持ちも当然と言えるほど、風変わりな小説です。

自分は、その風変わりさが、ルイス・キャロルのファンタジー小説に通じるものとして呑み込み、非現実な進行も含めて楽しむようになり、中盤からは予想もつかない展開にスリリングな興奮を感じるようになった口です。※なお、補足すると三月兎やハンプティダンプティ的なものは登場しません。あくまでもひと同士の想いのズレや行き違いを描いたものです。

もっとも印象深い小説のひとつ。そう評したいです。

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2018年11月01日

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深い動揺と混乱を得た。
夜見る夢をこんなにも緻密に具現化したものは見たことがない。恐ろしい。悪夢である。

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2018年01月19日

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カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』が面白いと話題なので読んでみようかと思ったのだが、そう言えば『充たされざる者』が未読だったのを思い出して、読んでみた。

時間も空間も歪んだ世界で、登場人物は何重にも重なり、悪夢のような(というか悪夢そのものの)不条理が延々と続くが、個々のエピソードが魅力的でグイグイと読ませる。大きな話の筋は世界的ピアニストのライダーが「町の命運は音楽藝術の解釈次第にかかっている」と信じられている町に招かれて演奏と講演を行うというストーリー。その枝葉として、やがて彼の義父であることが明らかになるポーターのグスタフとその娘ゾフィーとの不条理な関係、その関係と相似する名指揮者グロツキーとその元妻コリンズの関係、その関係と反比例する平凡な(しかし自己欺瞞の権化のような)ホテル支配人ハフマンとその婦人との関係、ライダーの幼少期と重なるゾフィーの息子ボリス、ライダーの青年期と重なるハフマンの息子シュテファンなどが描かれる。場面転換のたびに「あー、そちらに気を取られて本線を外れてはいけない」と思いながらも、話は枝葉から枝葉へと迷い込んでいく。

長らくカズオ・イシグロで一番好きだったのは『わたしたちが孤児だったころ』だったのだが、『充たされざる者』はそれを上回るかもしれない。願わくば原著で再読してみたいところだが、長いからなぁ…。

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2018年05月17日

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丁寧な物言いなのに無遠慮な、愚かしい悩みを延々と聞かされる。昔だったらつまらない、と読めなかっただろう。愚かしい悩みが他人事でなくなってくる歳だから読めたと思う。

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2016年09月17日

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これまでのイシグロ作品比べて長さ的にも内容的にも格段に読みにくく、つかみにくかったにもかかわらず、読後は本当にいろいろと考えさせられた。読書会があれば参加して見たいと初めて思った作品だった。不毛なコミュニケーション、過度な要求、ゆがんだ空間と時間、それが最後の電気技師で初めて噛み合う。しかし、ライダーは全然完成されていかない。また、本作は無名の登場人物が象徴的な意味を持っているようだ。

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2012年11月26日

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カズオ・イシグロの4作目。ハヤカワ文庫で948P(厚いし重い。物理的に読みづらくて手こずった)。

不条理ゆえか、焦燥から喪失、郷愁‥‥いろいろな感情がよぎった。今までにない不思議な読後感。

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2023年06月04日

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最後のなにも解決してないのに知らない下層階級の人に泣きついて朝食を食べるラストが気持ち悪すぎて変な夢を見た。
でも読んだ本に左右されて眠れなくなるほど心に色が付いていない部分があったんだと知って嬉しくなる。ずっと子どものまま小さいものも大きく感じたい。

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2022年07月27日

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「充たされざる者」(カズオ・イシグロ : 古賀林 幸 訳)を読んだ。
読んでいる間中〈混乱〉か〈苛立〉もしくは〈混乱と苛立〉に支配される。
『ライダー』は泥濘んだ方泥濘んだ方へと足を踏み出さざるを得ない状況に落ちていく。
カズオ・イシグロ氏は読み手の辛抱強さを試しているみたいだ。(笑)
過去に一度挫折した作品だが、今回は腰を据えてじっくりと向き合った。
最後の最後に救済が待っていた。

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2022年02月28日

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そろそろ桜が咲こうかという時季になんだけど、今年みた初夢の話。
 燦々と陽光降り注ぐ部屋でクリスタルピアノを弾いているYOSHIKIが、メロディを奏でるのをやめ、グラサンを指先でスッとあげながら、こちらを見ると、じゃ、20分後に、これ舞台で歌って下さい、と言って出て行った。 
 オッケー!任しときな!と安請け合いしたのはいいものの、よく考えたら、俺、歌詞を知らないや、ということに気づいた。さすがにお客さんの前でカンペみながら歌うのも失礼だし、手のひらに書いて、それみながら歌うってのも、様にならないし、さて、どうしよう・・・
 ってところで目が覚めた。 
 完全に大晦日にみた紅白の影響だ。

 だいたい夢って、その先の展開が読めなくなって困ってくると、目が覚める。自分の想像力以上のものは出てこない。
 じゃ、もし覚めなかったらどうなるかっていうと、この小説みたいな展開になる。
 延々と困った、困った、が続く。
 
 充たされざる者、ってそういうこと?

 主人公はたぶん世界的に有名なピアニストのライダー。故郷に凱旋公演で戻ってきた。街中誰もが彼のことを知っていて、誇りに思っているので、あっちこっちで声をかけられる。有名人の宿命だから、それは我慢しなくてはいけないこととわかりつつ、公演を前に肝心のピアノを弾く練習が出来ない。
 会う人会う人、私がどれだけあなたを尊敬しているかとか、昔あなたに会ったことがあるとか、今度こういう会があるからぜひ来て下さい、ちょっと寄ってひと言スピーチをしてくださるだけでいいんです、とか。
 ライダーも、忙しいのに、まあ、ちょっとだけなら顔を出しましょう、とあっちこっちで安請け合いしてしまうので、もう、スケジュールがメチャクチャ。そもそも自分の公演までのスケジュールってどうなってんの?となってしまう。

 困った。困った。

 まんがにっぽん昔ばなしのおじいさんのナレーションが延々とリフレインする状況に陥る。
 そのうち、時間の流れもおかしくなり、空間もあやしくなってくる。
 そして、ひたすら、困った、困った。

 だまし絵のエッシャーの世界を小説で表現したらこんな感じになるんじゃないかな。なんか拗れてて、どこかでループしてて、知らないうちメタモルフォーゼしちゃったよ、みたいな感じ。

 この作品、傑作か駄作か評論家のあいだでも評価が分かれているらしいが、たんに好きか嫌いかだと思う。
 自分はこういうの、嫌いじゃないから、途中退屈したけど、最後まで読んで良かった、面白かった、と思えた。でも人には薦めない。

 だって長いんだもん。

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2021年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

悪夢を彷徨うような不条理な小説でした……
ふわふわ、あてどなく1000頁近くも彷徨うのはいささか疲れました。

なのにシュールリアリスティック的ではなく、最後まで読ませる力があるのは、作者の確かな手腕によるものでしょう。

そんな夢の中で、挟まれる断片的なエピソードは、誰でも覚えのあるような根源的な傷を抉ってきます。
両親とシュテファンの関係とかお辛い…
ライダーの両親が来ないこととの相似性もありますね。

ブロツキーとミス・コリンズとの関係は、ゾフィーと自分との関係とも相似しているような気がする。
過去、現在、未来を淀んだ形で顕現した世界なのかもしれない

そう考えると、グッと面白くなった

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2021年06月22日

Posted by ブクログ

これまでのイシグロ作品と一線を画す非常に不思議な小説。読んでも読んでもつながらない、なにか少しずつずれていく、現実もしくは非現実。自分の考えの小さなサイクルが帰ってこない、ボールペンの試し書きのような思考と行動。なんでしょう、理解できないものは永遠に平行線になる、といったような不寛容を感じされる、まさに”充たされざる者”の物語。そういう解釈にたどり着くラストになぜかすっと入る読後感。

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2020年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ライダーは著名なピアニスト。中欧のこの国のある街に演奏会の招待できている。街をあげての記念式典だそうだ。タクシーでホテルに到着したが、迎えにでる人もなく、運転手がとまどうばかり。ようやくポーターが出てきたが、本来は支配人が出迎えるべきなのに申し訳ないと何回も詫びる。これから先もライダーは色々な人に用事を頼まれ、それを成し遂げようと努力するごとにまた不思議な出来事にさえぎられるということが続く。不思議な霧の中でお話がすすむような感じを受ける。

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2018年10月19日

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人々は自分の理由をしゃべり、空間は自在につながる。

名を成したピアニストのライダーは「木曜の夕べ」というコンサートに出演のため、ヨーロッパのある町にやってきたが、出会う人々からいろいろな相談を持ち掛けられ打合せもままならない。

ホテルのポーター、ポーターの娘とその子供、ホテルの支配人、支配人の息子の若いピアニストなどが一方的に事情を話し出す。またそれに丁寧に応えてしまうライダー。またレセプションの会場、カフェ、ポーターの娘の部屋、写真撮影の建築物などががぐるぐると、あるいはドアからドアへとふいに現れ、途切れ、繫がる。

ポーターの娘とその息子ボリスのアパートに行くあたりまでの7,80ページくらいまでは普通に事が進んでいくようだったが、人間関係と建物の位置関係がだんだん歪んで来て、しかし内容は人々のライダーへの一方的な相談が延々と続く。

いつのまにかポーターの娘と息子のボリスがライダーの妻と子供になっていて、会話の内容も過激に、絵具を全色塗りたくったようなものになってゆく。いいかげん人々の独白に飽きて、ライダーがリハーサルできないのにいらいらしてくるが、だんだん混沌としてくるあたりから、ウォン・カーウァイあたりの映像でやったらけっこういいのでは、などと思い始めると、物語世界を楽しめた。

全939ページ、厚さ3.5cm。上下にしたらきっと下を買う人は半分以下かも。1冊で重かったが途中斜め読みしてしまったが、なんとか読み終えた。

カバー絵の黄色い街灯に照らされたこげ茶の建物と路地が内容にぴったりだ。一点透視の路地の先は歪んだ時空間に続くようだ。

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2018年08月30日

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この作家は、読者に霧のなかを歩かせる。名声高いピアニスト、ある街のリサイタルに招かれるが、住民の厄介ごとに巻きこまれ....。テーマは家族愛だろうか。最後救いあるけど、仕事人間のお父さんへのペーソスを感じる。どこの国、時代、家庭にもありそうな不条理。読み終えるのが難渋で、再読はしたくない。

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2018年06月25日

Posted by ブクログ

不思議と読み進めてしまう

非常に独特で、つかめそうでつかめないような、笑えるような笑っちゃいけないような、ぬるぬるした小説。
これは誰もが見る「夢」の共通言語で描いたというインタビューを見て、その描写のあまりの巧みさに気付いた。

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2017年12月21日

Posted by ブクログ

時間も歪み、空間も歪み、常にズレがある世界で起きる出来事は、現実なのか主人公ライダーが見ている長い長い悪夢なのか…
モヤモヤとしたものに包まれているような感覚になりました。
そして、ここまで登場人物達の言動にイラつかされる小説も珍しい。
主人公に次々と利己的な頼みごとや相談を持ちかける人、何か起きても永遠と言い訳するだけの人…
そして何よりライダーの身勝手さ、我儘さにイライラ。
もう、ライダーに関しては最後の方はイラつきを通り越し「またか」という呆れが勝りましたが。

でも、どんなにイラっとさせられても、途中で読むのを止めようとは思わない、むしろ早く続きが読みたいと思う小説でした。
好き嫌いは大きく分かれると思いますが、私は面白かったし読んで良かったです♪

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2016年05月26日

Posted by ブクログ

カフカとかがお好きな方なら、きっとお気に召すに違いない、良い不条理具合(?)です。
逆に、整合性を求める方には不向きなのかもしれませんが・・・。

939ページもある大作ですが、不思議と、読んでいてイメージが映像化されて浮かびやすいです。
どことなく、グリーナウェイの映画を観ているような印象を受けます。

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2014年03月03日

Posted by ブクログ

これは長引いた。
文庫で900ページ超と厚いし、内容はなんとも奇妙な展開が
延々とくりかえされ、ついていくのは困難。
作者自ら言っているが、これがかなり実験的な構造なのだ。
小説というもののあり方を考えさせられた。

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2011年12月05日

Posted by ブクログ

これはなんというか、ライダーの悪夢を読まされている感じです。
読みやすい文体ではあるけれど、「ダロウェイ夫人」やマキューアンの「土曜日」を思い出させる実験的な小説。

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2011年11月25日

Posted by ブクログ

すべてが夢の中の話なのかと思うほど、空中に浮かんだように感じる文庫本900ページを超える作品。それなりに話は展開されていくのであきはしないが、もう一度読み返そうとは思えない。イシグロさんの小説の中では散漫だなと思ってしまう一冊。

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2022年10月08日

Posted by ブクログ

まさに、不条理文学。みんながサイコパス。
物語って、なにか目的があってそれに向かって進んでいくものだけど、これはその途中でいろいろな別の目的がうまれて、結局当初の目的は果たされずに終わる。
しかもみんな話が長く、別のエピソードを勝手に語ったりするので、語り手と同じように読みながらイライラしてしまう。
でも不思議なことに、最後まで読めてしまった。すごいなカズオ•イシグロ。登場人物があまりに、予測不能なので、クスッと笑ってしまうところもあった。
結局、この世界は何だったのか。夢??
登場人物は結構、語り手と似ているところもあった。

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2021年11月03日

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ブロツキーとは何者なのか
Audible体験、悩んだ末に分厚さ的にも内容的にも自力で読破できるか不安な本作を選んでみたけど朗読いい感じ。しょっぱなのホテルのポーターの哲学とかハンガリアンカフェとか家族関係をつらつらと綴る感じとか幼少期過ごした部屋の話とか不思議だけどなんか好き
9番⚽
ボリスを私の息子だと言い出すライダー
『2001年宇宙の旅』
度々思い出したように出てくるゾフィーへの苛立ち
ブロツキーに延々とチンポとキモい性生活の話聞かされるの嫌過ぎるんですが…

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2021年06月05日

Posted by ブクログ

正直に、読むのにとても疲れた一冊。
カフカの小説のような不条理感がずっと続き、時間の観念が崩され、いまどこにどれくらいいるのかわからなくなりながら、停滞しそうで停滞しない感じの物語に翻弄される。そして疲れる。
最後まで気の抜けない感じで、「よし、読むぞ!」と気合いを入れないと読み進められない感覚は久しぶり。
読後の達成感を味わいたい方は、是非。

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2021年02月17日

Posted by ブクログ

一応読んだことにするが、最初の数ページで飽きた。というか自分には面白さがわからない。文学とは難しい。ページ数も多い。

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2018年12月26日

Posted by ブクログ

登場人物の会話が多い。脈絡のない場面転換。移動にも違和感が残る。夕べ見た夢をたくさんつなげて、言葉で表現するとこんな感じになるかも。
ボヤーッとした世界の霧の中をやっと歩み終えた。
チョット疲れた。

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2018年02月16日

Posted by ブクログ

こんな本は今まで読んだことはないし、技巧も文学としてもすごいのだけど、タイトルの通りすぎて、好みで言えば好きとは言えない。。。
とにかく、卵とベーコン、ソーセージ、トマトにコールドミートや熱々のコーヒー、焼きたてのクロワッサンやロールパンと言ったたっぷりの朝ごはん食べよう、と思った。

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2018年01月04日

Posted by ブクログ

<ある東欧の町にやってきた世界的ピアニスト、ライダー。
 「木曜の夕べ」で演奏することが決まっている彼の元にさまざまな相談が持ちかけられる・・・。>

今作でカズオイシグロの長編制覇!!
900ページ以上の大長編にもかかわらず、なぜか上下巻に分かれておらず文庫本で一冊。
分厚い本がすきなのですが、正直文庫本でこれは重くて仕方ない・・・
ちゃんと単行本では上下巻に分かれているのに何故なの?ハヤカワ書房さん。。

さて感想。

背表紙の内容紹介を読んだ限り予想していたのは
「わたしを離さないで」や「わたしたちが孤児だったころ」のような
“どうすることもできない運命の受容”みたいな結末かと思いましたが全然違いました。

とにかく不条理な世界の連続。一つ先の扉をくぐればまた新しい不条理な世界。
そしてその扉は時間と空間を飛び越えることを可能にする。
読んでいくうちに靄のかかった不思議な世界に迷い込み、
主人公ライダーとともに、読者もどこからが本当にあったことで、どこまでが本当はなかったことなのか、
この町の迷路にまよいこみます。

とにかく全ての人間が言い訳ばかりで少しずつ、何かが欠けている=充たされざる者。
そしてそれは主人公であるライダーも同様である。

三谷幸喜曰く
「フィクションの中で、その場にいないにもかかわらず、一人称で自分が見ていないことの内容を話すことは作法に反する」と述べていたけど、この本の場合、それがさらに靄のかかった世界観を出すのに力を貸しているんだろうな・・・

しかしいかんせん長い・・・。
たぶんこの本からカズオイシグロに入ったら、他の作品読まないだろうな 苦笑

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2012年03月05日

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