【感想・ネタバレ】黄金の王 白銀の王のレビュー

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ネタバレ

黄金の王 白銀の王
それぞれが物語開始時19歳と15歳の若者の王でありながら、それぞれが「なすべきことをなそう」とする王である。
その若さと、王としての責務を全うしようという意志、その難しさ、そこから生まれる物語の地をしっかり踏んだような力強さを感じる一冊でした。

黄金の王・穭が考え至った苦渋の選択に、白銀の王・薫衣が決断を迫られる。
そんな時に薫衣が偶然耳にした穭の妹の言葉に対して、

p.105
ーー迪師、私は未熟な人間です。あの娘ほどの強さも持ち合わせていないようです。心が砕けようとも務めを果たさなければならない。そんなあたりまえのことを、受け止める勇気が出る ないのです。

と薫衣が心の中で話すシーンは、ぐっと来ました。
ぐっとくるシーンはたくさんあるけど、最初にぐっときたのがこの言葉。
2人の立場の難しさ、考えなければならぬことの重さ、アイデンティティとこれからなすべきことの違い。

19歳15歳でこんな重たい帰路に立たされる、導くものとしての責務と、まだ若い年齢であるからこその激しさにジーンとしました。

今の世の中で、こんなに身を引き裂かれるような選択をしなければならないことってある?


この国の中では導く者は、1番濃い血のこの2人であるけど、
日本という国の中では、もっと分散しているよね。

民自主主義のなかでは、国民もその1人として考えを共有したり、考えを吸い上げてもらうこともしてもらえる国ではあるけど、(そうあるべきなのだけど)、実際にはそうじゃなかったりする。
19歳と15歳の王のような決断をする覚悟を、日本の政治家にも持ってもらいたいものだなー。
その覚悟を持って立候補して欲しいものだわ。
と、ファンタジーの物語の中に、これからの未来を考えてしまったよ。


兎にも角にも、
鳳穐(ほうしゅう)と旺廈(おうか)という仇でありながら、同じ報告に向かっていくと決めた2人の物語は、すごく深くまで細部まで語られていて、その国の中枢に自分も入り込んでいるような感覚。

物語の中で年齢を重ね、2人で決断した成すべきことの目標をぶらすことなく、より深く考え行動できるようになり、また目標を見定め、そんな成長。

見定めている目標は、2人のいる世界では理想の世界かもしれないけど、それを現実に落とし込み実現していこうとする力の強さに涙が溢れそうになる。
机上の空論・絵空事の理想で留まる、日本の代表者よ、これが導く者だ。(またこれかい)

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2023年04月24日

Posted by ブクログ

初めて澤村さんの作品読んだけど、久々の★5つだな
作品の説明しようと思ったけど、読むのが一番‼
この作品が、何も受賞していないというのが信じられない
私がお薦めしたい作品です

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2023年03月19日

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この本、凄く考えさせられる…。
戦争だったり、憎しみの連鎖って想像以上に苦しいし、負の遺産としてずっとずーっと続いてく。
この本の主人公達のように、強く決意して変えていけたら…
世界も変わるなぁ…

世界中の上に立つ人に読んでほしい!

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2022年07月24日

Posted by ブクログ

為すべきことをなせ。2人の頭領が代々のうらみを一つにまとめて血筋を融合させる。
長く苦しい時代を平和にするためにお互いを犠牲にして治めていく壮大な物語。
信念が揺らぐことなく回り道をしながら進んでいく話に半日が一日読んでいたと思うぐらいの充足感。
全てにルビがあるのでスラスラと読め集中力が途切れずに読めたのも満足感があるのかも知れない。

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2022年04月03日

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ネタバレ

長年争いを続けていた氏族同士の王が、国を一つにすることを目的に共闘し、なすべきことに向かって一歩一歩進んで行きます。この話を読んで思ったのは、本当に大きなことをなし遂げるというのは、誰の称賛を受けることもなく、険しく苦しい道を長く長く歩いていかなければならないものなんだということです。それでもこの本の題名にある通り、二人の王と言うのが大切なのかなと思いました。どんなに険しい道のりでも、一人ではないというのが力になるのだと、立場が違えど絶対に国のために正しいことをするという信念を曲げなかった、この二人の王が、時には反発し合いながらも、信頼を深めていく姿がストーリーが進んでいくたびに胸を打ちます。王たちがなすべきことをなした先にどんな世界が広がっていくのか。ぜひ最後まで読んで確かめてほしいです。

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2022年03月20日

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ひとつの国の支配権を巡って、互いを仇敵と憎みあい、百数十年にわたって戦を続けてきたふたつの氏族。
戦によって疲弊した国を、より良い国へとみちびくため、現在の支配者である氏族の頭領は、もう一方の氏族の頭領と語らいあい、ただお互いだけを真の理解者として、もっとも困難な道を選んだ。


沢村凛さん、初読。
たった一冊で語られたとは思えない、深く濃い物語だった。
読んで良かった。

互いの正統性を主張しあい、果てのない争いを続ける愚かさ。敵を想定し、すぐそこに戦がある前提で保つ平和の脆さ。そこからの脱却の、いかに難しいことか。

廸学を正しく教えられる師が薫衣を育んだ事が、間違いなく重要な分かれ道だったろう。
生まれた時から、『先祖の恨みを忘れない事が子孫の正しいあり方だ』『敵を出来るだけ多く殺す事が神の望みだ』と教えられていては、ここには辿り着けない。
本当に多くのことを考えさせられた。
今のこの世界は、あと何百世代ののちに、この道を知るだろう。


以下、書き留めておくことにする。

「人はみな、どんな相手に対しても、〈殺したくない〉をもっているのではないだろうか。ただそれが、いろいろな理由から生まれてくる、〈殺せ〉や〈殺したい〉に押しやられてしまうだけで」
彼のまわりには、たくさんの〈殺せ〉があった。〈殺したい〉があった。何より〈殺さなければならない〉があった。

そんなものが人の心に押し寄せてこない世にしていくことが、彼らの闘いだったのかもしれない。

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2021年10月12日

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久しぶりにこんなに沁みる小説読んだな。。まるで本当に起きたことで、歴史を辿っているように夢中になって最後までページをめくっていた。
「小事に囚われることなく大事を見よ」
それができる2人のような君主がいるならば、今の世界はもっと違っていただろうに。

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2021年01月07日

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国を育む為に、争いに終止符を打つ決断から始まる長い物語。様々な犠牲を踏み越えて進む、果てしない道のり。

その道を歩む2人の王の心情がとても細やかに描かれている。
苦しみや葛藤の中で、敵同士だった2人は信頼し合う関係になってゆくが、お互いに国の頭領として、その関係の根本は“益になる故”であり、友情なんていうものじゃない。
けれど、国を背負っているからこそ、その繋がりには特別な重さ、強さがある。
そして、同じ志を持つ存在がいることは、互いにとって救いになっていく。

読んでいる間中、ひづちと薫衣の想いがどうか報われてほしいと祈らずにはいられない。

気高い2人の王の生き様に、ひたすら胸を打たれた1冊。

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2019年08月21日

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これは、泣いてしまう。
外伝が読みたい!漫画化もしてほしい!
二つに分かれた氏族を統一しようと画策、奮闘する二人の若き頭領の物語。魔法やら化け物やらは出てこないけれど、とても上質で世界観が確立されたファンタジー。
守り人シリーズ、十二国記、アルスラーン戦記が好きな人はきっとはまる。

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2018年12月06日

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一気に読んでしまった!
主人公2人それぞれの苦悩やそれを取り巻く人々の心情が良く描かれていて、ページをめくる手が止まらなかった。
今の世の中もそうだけど、自分の考えと違うからと言って悪戯に責めるのではなく、その人の立場や置かれている状況をしっかり見極めた上で行動すれば、摩擦とか減るのかなって思わされる作品。

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2018年05月21日

Posted by ブクログ

すごい、凄すぎる。
中盤から止まらなくて面白くて一気に読破。次の展開に手に汗握り、固唾を呑んだ。起承転結の型にはまり過ぎず、次に何が来るのか読めない不安定さも良さの一つかもしれない。これはこれで完成されているが、欲を言えばシリーズとしてかせめて分冊化しても良かった気がする。2度目の討伐や薫衣の2人目の妻の心情、ひづちの息子、豊穣の成長などなど、もっとじっくり味わいたい場面があった。何よりもこの世界観にもっと浸っていたかった。和製大河ファンタジーを語るのに不可欠な1冊。

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2017年11月10日

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最高に面白かったの一言!時間を忘れて読みふけったのは久しぶり。ファンタジーが好きなひとには、ぜひ読んでほしい!大切な1冊。

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2017年01月20日

Posted by ブクログ

国を治めるために困難な道を信念を持って進む二人の王の話。とても引き込まれました。とても好きな本です。

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2016年07月18日

Posted by ブクログ

今年1番の本かもしれない。
まだ2月なのに、そう思った。

きっと、そうなるだろう。
そうなってほしい。

だって、白銀の王は、それくらい魅力的な人だった。
全てに魅せられた。
始めから最後まで。

その気高い志も。
時々みせる感情的なとこも。
その全てに。

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2016年02月15日

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私利のためでなく、なすべきことをなす。
何が最優先事項かを判断するのは苦しい。たとえそれを廸学に求めようとも、国の統治に求めようとも。それを諦めず最後まで考え抜く事により、究極の自己満足、自己肯定があるのだろう。

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2016年01月03日

Posted by ブクログ

世界観のしっかりしたファンタジーだけど
凄く読みやすかったし面白かった。

時代の流れを変えようとする二人の王のお話。
お互いに憎むべき相手なのに、
過去のことに囚われず未来のことを考えて
なすべきことをなす。
凄いことだと思った。

最後の方が駆け足になってしまった気がして残念でした。
もう少し、子供たちの話も読みたかったな。

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2015年12月10日

Posted by ブクログ

二つの部族の長である2人の思いや葛藤がすごくよく出ていて、かつどんな苦境にも負けずにいた主人公、最後まで、よくできた物語でした。本当に良かったと思えます。

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2015年09月27日

Posted by ブクログ

すごい本を読んじゃったなぁ、すごい本を読んじゃったなぁ・・・。

王に求められる資質。私利を求めず、なすべきことをなせ。例え他の誰にも理解されずとも、後世まで愚王と罵られようとも。なすべきことをなせ。

気高さが半端ない。

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2015年09月20日

Posted by ブクログ

1つの国で覇権を争う2人の王の話。
男の子向け、サラリーマン向けファンタジー。
2人の王の立場と関係、やりとりが良い。
長すぎず無駄もない話のまとまりも絶妙。

あなたはどっち派?

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2015年03月11日

Posted by ブクログ

2022.7.9
陰と陽のような2人。
立場は逆に陽と陰か…
立場は違えど、同じ志を持つ2人が尊敬しあい、
大局を変えていく姿に痺れました。
衆議院、参議院もこうであれば良いのにね…

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

好きな世界観。
人間の醜さ、美しさが描かれている。
スケールが大きいが、そのスケールの大きさを作っているのは細かい一人ひとりだと感じた。

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2022年03月20日

Posted by ブクログ

対立している部族の長たる少年ふたりが積極的妥協から平和を勝ち取ろうとする話。負の連鎖を断ち切るべく片や憎悪と軽蔑にさらされ、片や自らの誘惑と戦う。戦わないために戦うふたりが綺麗事だけでなく信念をもって突き進む姿にしびれる。アジア風味のファンタジーがお好きな方におすすめ。

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2020年11月30日

Posted by ブクログ

淡々とした語りの中に、登場人物たちの思慮深さや苦慮が読み取れる作品。自分が何者かを理解し、為すべきことを為す。きっとこういう人達が歴史を実際に動かしてきたんだろうな。自分は社会の一歯車で幸せだなと、逆説的に考えさせられた物語。

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2020年02月11日

Posted by ブクログ

これはまた太い物語。仇同士が聡明で、辛い道を未来のために共に歩んでいく。話はまったくキラキラしていなかった。
2020/1/15

驚いた。同じ本をまた借りた。初めて読んだと思っていた。登録したら感想が出てきて衝撃を受ける。ここまで忘れていたなんて。そしてたった1年前のことなのに。作品の印象が薄かったのか、自分が雑に読み流したのか。
2021/4/6

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2020年01月15日

Posted by ブクログ

繰り返されてきた戦いに、人々の中にも自分の中にも横たわるうらみ、憎しみ、敵対心。
それらをどう乗り越え、いなしてゆくか。
二人の若き頭領、それぞれの知恵と手段。葛藤。

芯に歴史小説のような骨太さを感じながらも、やわらかなタッチで読みやすい。
よく「リーダーは孤独」といわれるけれどこの二人もまさしく
この先も二人のすれ違いなど、もう少し読み続けてみたかった気もする。

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2015年08月02日

Posted by ブクログ

設定が単純で、登場人物が少ない。
魔法はなく、奇想天外なできごともない。
氏族の争いがあり、積年の恨みと憎しみがある。
崇高な思想と意志で国を支え、氏族を守ろうとするそれぞれの頭領。
久しぶりの清廉な主人公、完璧すぎる人格者の本。
でも、感情移入してしまった。
なすべきことを果たし、重責から解放されるとき、読むほうもほっとした。
終章が淡々として、でも爽やか。

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2015年07月23日

Posted by ブクログ

敵対する二人の王の、真の平和を見つけるまでの葛藤のものがたり。
世界観がしっかりとしている、ハイファンタジーの王道だが、伝えたいことがあるから架空の世界を作っただけで、あとはとてもリアルな人間ドラマである。
相手を憎み恨み殺すことを教えられた、2つの民族の王となった男と囚われた男。
苦しいまでの憎しみがひしひしと伝わってきて、読んでて苦しくなる。
とりあえず、もう一度読み直したい。

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2015年06月21日

Posted by ブクログ

すごく面白い歴史ファンタジーでした。穭(ひづち)と薫衣(くのえ)の共闘、国が生きるにはこれ以外の道がない故の選択だったので、はじめからすこし悲しかった。

普通だったらアツい!ってなったのかもですが、この物語の場合、そもそも敵対部族同士で戦ってたってこと、それのせいで周囲があまり理解を示さないこと、そして2人自身も自分の中に潜み続ける殺意をぬぐいきれないこと、って苦痛が根底にあり続けるので、どうあっても晴々と「熱い!」って言えない。それが面白かった。

主人公は薫衣なので、読者の目線は穭と共に彼を見るわけなんですけども、薫衣がなんかする度に、「大丈夫かこいつ、ちゃんと穭の言ったこと分かってんのかヨォー!」って思うくらい、穭に感情移入しました。

稲積と河鹿の、生まれや立場、学びからくる薫衣への対応の違いとか、それだけで泣けたよねー。薫衣が「人は血で決まるものではない」って気付くことの後押しになれた稲積!すてきですね!!

最後、終わり方が「むかしむかしの、遠い国の物語でしたーめでたしめでたし☆彡」って感じでストンと終わったので、[読者に妄想させる余白を与える本]が好きな私には「あっハイ…」って感じでしたが、まぁ作者が書きたい事書き尽くしてる本なのでそれでいいんだと思います。

この作者さんの本、他のも読もうと思います。

ところで、ひづちって漢字、ちゃんと表示されんのかな…

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2015年04月21日

Posted by ブクログ

星3.5
初めてファンタジー小説というものに触れたがなかなか読み応えがあった。
公のために生きる、私のために生きる、その間で揺れ動く心を押し殺し、本書の表現を借りれば「なすべきことをなす」感動とやるせなさ、切なさ、かっこよさ、色々な人の側面が垣間見えた。

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2024年01月27日

Posted by ブクログ

二つの氏族が王の座を争い続けている国で、その若き頭領二人それぞれの矜持を持った半生が描かれた物語。

ひとりは国の王として、ひとりは敗れた氏族の頭として常に監視を置かれる身として、対照的な立場にありながらも、彼らは運命のもと近しい距離で生きていくことになる。仲が良いわけではけしてなく、一族の積年の思いを背負うが故の葛藤にさいなまれながれも、彼らはそれぞれの「個性」や「才覚」を評価し、選択して、共闘に近い立場を保ち続ける。

その微妙な緊張感が張り詰めた二人それぞれの生きづらさや厳しさが重く、ただの若者、今だけを生きる個人としては存在できない業に行き場のない哀しさを覚えました。

その中で、敗者の頭である薫衣が愛しい人を得て、支えあって生きていく、ささやかなあたたかさがとても胸に沁みました。それでも彼は、頭領としてまっとうするために「当然のように」あの選択をせねばならなかった。それはとても外の目線からみると馬鹿らしいものなのに、彼にとってはそうでないこともしっかりと伝わるので、やはりなんともやるせなく、辛いな、と思うばかりでした。

そして、生まれながらになにかを背負わざるを得ない生って、それによってレールが決まってしまうことって、なんて残酷なんだろうと感じてすごく寂しさを覚えたのでした。

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2019年12月21日

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