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Posted by ブクログ
NHKの「100分de名著」で放送されていて面白かったのでカミュの「ペスト」を読んでみた。
が…番組はなんとうまいことわかりやすくまとめてくれていたんだ!!と本編を読んで思ったので、こちらのテキストをあらためて読んでみた。
英語の人物名がごちゃごちゃになって(私、英語名が苦手なもので)いたけど、テキストはわかりすくまとめてあってとても理解しやすい。
そしてこの作品に込められた色々な意味が非常にわかりやすく解説しており、おもしろい!さすが!!
自分にできることをするだけと感情を押し殺して治療する医師のリウー
たまたまこの町に来て封鎖されてしまった不幸を訴える新聞記者のランベール
何か秘密がありそうな、裕福そうな青年のタルー
ペストという災厄に神の功徳を説く司祭のパヌルー神父
市役所に勤める下級役人のグラン
闇貿易などで金儲けをしている商売人のコタール
ペストなのにその病名を宣言する責任を取りたくない医師会会長リシャール
予審判事のオトン
血清を作り出した老医師カステル
様々な人々がペストという災厄の中で自分の生き方と人生に向き合わざるをえない。
カミュの本質「ためらい」を感じる論理的感性。
自分が善であることを疑わず自分の外側に存在する悪と戦うことの正当性の恐ろしさへの訴え。
このテキストを読んであらためてカミュの鋭い感性と人間への思いを感じる。
小説の「ペスト」を読む前でも後でもこのテキストを読むことをオススメします。
Posted by ブクログ
「100分de名著」の「ペスト」の回が面白かったので読んだ本。P79の歴史を作るのはほかの人々だ」などの言葉が良かった。この本を読んでかカミュののことを
を知ることができて良かった。
Posted by ブクログ
『ペスト』という物語の中で、カミュが何を描こうとしているかが解説されています。
「自分はどう在るか」について、カミュが歩んできた人生がどのように影響していると考えられているのかがとても興味深く、『ペスト』も読んでみたくなりました。
今この時代だからこそ、より響く内容だと感じました。
Posted by ブクログ
地元の本屋で積んであった。NHKBSの再放送は見逃した。
ざっと40年前、大学時代にカミュの「異邦人」、サルトル「嘔吐」は読んだが、その頃でも不条理とか実存主義なんて遥かな昔と感じていた。
不条理って、「異邦人」の主人公ムルソーのように普通の共感を欠落した人間の話だと思っていた。だから、ペストもそういうテイストの話と思っていた。
群衆劇であり、献身的に医療に携わる者、傍観者であったのがやがて協力するもの、凡庸な老人、神職者、悪人をきっちり描写しているという。
理念が人を殺す。戦争、宗教、死刑制度が殺人を是とする。その制度の中で生きていること。「僕たちはみんなペストのなかにいる。」
キリスト教が人間については悲観論、人間の運命については楽観しているのに対し、人間は原罪を負って生まれてくるものでない、という認識が対比される。
ホント、不条理とか実存主義に自分が無理解だったんだと気付かされた。
共産主義革命へのアンガージュマンを唱えるサルトルとの対立についても知らなかった。
カミュの文章力を褒めている個所も散見され、文学者カミュの認識を改めさせられた。
カミュについて、何にも知らなかったんだなということ、「ペスト」はかなり濃密な興味深い作品だということが今回の収穫。
念のため。
死刑制度について、僕は否定するものではありません。
Posted by ブクログ
コロナが本格的に流行期に入った頃、「そういえばペストってどうやって終息したんだっけ?」とふと疑問に思って。そこから、カミュの『ペスト』を読んでみようかなと思ったのです。
でも、カミュの作品と言えば、高校生で『シーシュポスの神話』に挫折、大学生で『異邦人』を読んだもののいまひとつ理解出来ず、という過去があった為、『ペスト』の横に並べられていたこちらの本を購入しました。
わかりやすくて面白かったです。本編の前にこちらを読むことにしてよかった。
結局『ペスト』はまだ読んでいないんですが、もうこの解説本だけで読んだ気になって満足してしまいました。
さて、これから『ペスト』読むかなぁ?