【感想・ネタバレ】この間取り、ここが問題です!のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

家の間取りの問題点を暮らしの観点から洗い出す本。
本書は「間取りで暮らす」というシミュレーション方法の説明と、5つの観点と25の事例によるケーススタディで構成されている。
私自身はITエンジニアであり、建築業ではないし施主になったこともなくて間取りの作成に縁はないが、ヒトの行動や人間工学に基づいて複雑な工業製品を構築するという点では似た点があり学びがあった。IT土方という言葉もあるくらいだし。
事例は多いが問題点や解決方法は共通点も多く、全体的に内玄関やシューズクロークは好まれず、吹き抜けによる採光が好まれる傾向にあるのがおもしろかった。

21ページ
「注文住宅の世界では、施主が考えた間取りは、「神聖不可侵」なものとして扱われます。施主(お客様)が考えた間取りなのだから、(客観的に残念に見える場合でも)尊いものであり汚すべきではない、という意識があるようです。また「言われなければ、それでよし」というスタンスもあります。」
→ITエンジニアリングでもありがちだけど、良くない風潮だと思う。尊いという認識をするのは良いけど、本当に良いものや適切なものにしたいなら口や手を出さないといけなくて、これがプロの仕事であろう。

33ページ〜34ページ
家具・家電・モノを間取りに配置する
「間取り図に書いたほうがよい家具・家電・モノはこちらです。
(中略)
・靴、スリッパ(土間・床に置く場合)」
→良い観点。靴は間取りではないし家具・家電のように固定するわけでもないけど、実際の利用シーンでは置きっぱなしになって通過するときに邪魔にならないかをシミュレーションしましょうという主張。神は細部に宿ると言うし、細部とはいえ影響は小さくないことはちゃんと解像度高く考えるほうが望ましい。

38ページ
「ポジティブプランニング&ネガティブシミュレーション」
→これが良い場合と逆が良い場合の両方があるような気がするけど、この言葉と発想は覚えておきたい。計画と予測や構想は似て非なるものだからスタンスが異なっていても良い。

41ページ
「人の運動の強さを示す指標にアメリカスポーツ医学会が発表しているMETs(代謝当量)がありますが、日本では厚生労働省が健康づくりのための運動指針として使用しています。これによると、自宅でモノを持って階段を移動することは、フラットな床を移動する時の3倍ほどの労力がかかるそうです。」
→たしかにそんな気もする。建築士は建築自体だけではなくスポーツ医学のなど幅広い知識が要求されるようだ。具体的な数値とその根拠が示されている点が良い。

162ページ
「一般的に総2階は耐震性が高く、下屋がある間取りは耐震性が低くなります。ただ後者の場合でも、2階外壁下に1階壁があるなら耐震性を担保できます。」
→おもしろい建築知識。プロジェクトマネジメントのリスク管理における対策の考え方に近いものがある。

184ページ
「2つある玄関框が狭い」
→玄関框という言葉を初めて見たし、読み方も全然わからず、漢字を表現するのも難しくて検索するのも難しかった。「げんかんかまち」と読む。

0
2024年02月25日

「暮らし・健康・美容」ランキング