【感想・ネタバレ】錠剤Fのレビュー

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Posted by ブクログ

井上荒野にハズレなし。「著者史上最もグロテスクで怖い」という帯の言葉通り、ゾクゾクしながら読む短編10。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

おどろおどろしい表紙のイラストが、「覚悟して読んでください」という感じ。
特別な、あるいは凶悪な事件が起きるわけではないが、日常に潜む、じわじわ来る恐怖が描かれている。
刑事事件と違って、「解決」される事がないのも、終わった感がなくて却って恐ろしい。
人に話しても、へ〜え、とか、よくあるよね、みたいに人ごとにされてしまうかもしれないところが、当事者たちにとっては胸がモヤモヤするのでは?
作品中、はっきり書かれていない事も多く、はっきり書かれていないけれど、読者が察するべき事項と、この先どうなるか本当にはっきりしない事項、そして、本当に起こったのかどうかも曖昧な事項・・・といろいろある。
もしかしたら、読み返した方がいいかもしれない。
隠れている何かが見つかるかも。

個人的には、目の前に立ちはだかって、自分の言いたいことを、強圧的に、あるいは泣き落とし的に、あるいは下心を持って、ずいずいと主張してくる「老夫婦」たちが怖いです。
並んだ老夫婦の、止め絵のまま近づいてくるような覇気のない立ち姿にぼんやりとした恐ろしさを感じます。

『乙事百合子の出身地』
コロナ禍の中ならではの、飛び込み営業の、騙すか騙されるかの緊張よりも・・・
『ぴぴぴーず』
触らずに孕ませる特殊能力?
『あたらしい日よけ』
いやらしい想像して言いがかりつけてる自分たちをむしろ恥じなさいよ!
『みみず』
地味な女の、ぬるぬるした内面
『刺繍の本棚』
夫の隠し事より、個展に乱入してきた女の主張が気になる
『墓』
いなくなったテルにそっくりな茶トラの猫が現れる
『スミエ』
切ないけれど、いい話かもしれない
『ケータリング』
孤立する者は、誰かを取り込もうと必死
『フリップ猫』
可愛い物への愛と、興味本位の悪意が同じ場所にあること
『錠剤F』
これも、誰かを取り込もうとした孤独・・・の話だったのかな

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2024年05月17日

Posted by ブクログ

見事に後味の悪い話しかない短編集。面白いのか面白くないのか、オチはなんなのとか、そんなことはどうでもよろしい。これぞ井上荒野、といった風情の日常の一コマ?が表現されている。お気に入りは比較的オチが落ちている以下4作。『墓』→死んだはずの猫に生き写しの猫が来てくれたけど...『ケータリング』→食に興味がなさそうなのにやたら料理人の俺にケータリングを頼んでくる夫婦。『フリップ猫』→フリップ猫、という存在そのものがなんか今時。昔でいえばなめ猫か。『錠剤F』→楽に死ねる薬をめぐる一悶着。これは深い話かも。切ない。

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2024年04月03日

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 短編というより掌編という感じのショートストーリー。だから言葉一つ一つに込められた意味が、まるで宝探しのようです。
 後味があまりよろしくないものが多かったので、☆5個は出せません。ほとんどホラーみたいなのもあったね。
 余韻がありすぎて、それはもう欲求不満にも似たものになってしまうので、やはり荒野さんには、長編を書いてほしいなあ。

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2024年03月28日

Posted by ブクログ

『錠剤F』を初め、タイトルにそそられた。孤独の寂しさを埋めようと踠く人、鬱憤晴らしに因縁をつける人、執着心から抜け出せない人…常軌を逸した人がわんさと登場。陰湿な物語だが後を引かない。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

やっぱり、陽が当たる部分だけって事は無いですよね。

そんな事を痛烈に伝えて来ます。心して読まなくては負けてしまいそうです。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

「乙事百合子の出身地」
「ぴぴぴーズ」
「あたらしい日よけ」
「みみず」
「刺繡の本棚」
「墓」
「スミエ」
「ケータリング」
「フリップ猫」
「錠剤F」
10篇収録の独立短編集。

井上ワールド全開。

物語全体から気怠さが漂い、孤独と闇を感じた。
明るさは微塵もない。
心地良さは皆無だが独特な世界観が癖になる。

240頁の中に10篇の物語が収録。
1篇が僅か20数頁の作品であるというのに、冒頭で読み手の心を捉え結末まで目を逸らす事が出来なくなる。

どの短編も秀逸で甲乙付け難いが、衝撃的だったのは「フリップ猫」と「錠剤F」。

闇の深さに慄く。

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2024年02月04日

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10編収録されている短編集。日常の中に不穏な空気が広がっていく。自分の中に、他人との間にそれはあってそこでは孤独のように独りでその空気感が怖い。それが何気ない日常から不意に現れるからゾッとするしこの作品たちに惹かれていってしまう。ずっと不気味さや恐怖感のようなものが付き纏っている作品集。

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2024年01月25日

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現実に置いて行かれた精神だけが取り残されて、歪に肥大していくような。
今まで立っていた場所がぐにゃりと歪んで不安定になった身体が頽れていくような。
そんな一冊。
黒荒野もいいですね。

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2024年01月13日

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妖しい、不思議なお話。短編10作。
やっぱり不思議な面白さ。文学。変な人がたくさん出てくるんだけど、私だって変かもしれない。
日常に潜む孤独、本当に誰にもあることかも。

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

シニカル、という表現がしっくり来る。
短編集でそれぞれの作品は繋がっていないが、世界観は同じなのだろう。
カタルシスも特になく、人々の営みを見せつつ、時折不穏なものを差し込んでくるのは上手い思うが、面白かったかと問われるとよくわからなかった、というのが本音。

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2024年05月15日

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この人ならでは、という短編集。
ちょっとシニカルというか、イミフな所が此処彼処にある、というか…(笑)

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

共感や共鳴などを全く感じられなかった短編作品。だからこそ、違和感や違う感情や異なる感覚を深く感じとれた内容でした。

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2024年05月03日

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初めて読む作家さん。ちょっと不気味な表紙と帯に書かれていた日常の隙間にひそむ「孤独」を描き出す著者史上最もグロテスクで怖い10の物語という1文に思わず手にとってしまいました。

確かにどの短編も不気味さがあるのだけれど、真相がはっきりわからないまま終わった物もあったので読後感はちょっとモヤモヤ。

そんな中でも『墓』の子猫の話の展開は面白かった。ラストの叫びがすごく印象的。それと『ケータリング』は都内から八ヶ岳の南麓の小さな町に移住して定食屋さんをオープンした夫婦の話。ケータリング依頼の目的にはゾワッとしました。

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2024年04月27日

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Podcastでおすすめされていた本。この本には日常生活にあるような不穏な感じが描かれている。でも、それは実際に私たちの生活の中でもまぁまぁあるようなことで、それを文章化したらこんな感じになるんだなって思った。不穏なことは実際にどうなるのか、ハッキリと分からないって所も、この本のオープンエンドな終わり方に似ている。表題作の錠剤Fが一番分かりやすかったかな

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

装丁と帯で充分不穏な短編集と想像できる。

本当に短い短編で、もう終わるのにどんなオチがあるのかと心配?するも、見事に完結するのである。
そして、完結ではなく読後に違和感や疑問、そして妙な余韻やが残るのである。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは何とも…好きとも嫌いとも言えない短編集だった。荒野さんの小説には必ず「冷たい男」が出てくると勝手に思っているが、この短編には「怖い人間」が沢山出てきた。

息子がいないから自分たちのところに養子に来ないかと誘い、どんどん勝手に話を進めていく夫婦や、コンビニであなたの子種が欲しいと言ってくる女など、どこか不気味で周囲にいてほしくないタイプの人間たちだ。

最も楽しめたのは「みみず」という短編。「みみず千匹」を持つ女性が、自分の中にみみずがいなければ良いのに、いや、みみずこそ自分だと葛藤するシーンが強烈。自分のアイデンティティがみみず千匹なのに、本当に愛されているんだったらみみずなんていなくても良いはずと信じた女性が、他の男性と性行為し、みみずの有無を確かめようとするのだ。
悲しいかな、この女性はもしかしたら凄い名器の持ち主かもしれないのに、自分ではその素晴らしさを味わえないんだよね。
いっそのこと名器を持っていない方が、自分に自信が持てたのだろうか。

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2024年02月15日

Posted by ブクログ

ちょっとブラッキーな荒野さんの10作になる短編集。どれも日常のありふれた光景なのにズドーンと落とされる不気味さが凄い。面白かったが私の好きな荒野さんではなかったので☆3

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2024年02月06日

Posted by ブクログ

短編集です。どの話もダークでした。
たとえば、タイトルになっている最終話の『錠剤F』は、同僚が怪しい男から怪しい薬(苦しまずに楽に死ねる)を買おうとする話です。

いや、これはないでしょうと思いながらも、もしかしたらひょっとして、と思ってしまうような。
ぬるい絶望を感じました。

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2024年02月03日

Posted by ブクログ

10篇を収録した短篇集。すべて独立した作品で連作ではないが、あえて共通点を探すならば、どの作品もダークサイド寄りということかな。でもまあ、いつもの荒野さんのような気もする。
どれも読んでいる間はおもしろいのだが、読み終わった途端に忘れてしまった。あまり印象に残らなかった。

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2024年01月25日

購入済み

合わなかった

私には全く合わなかったです。何処が面白いのか理解出来ませんでした。文章も好きではなかったです。買って後悔しました。

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2024年02月02日

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