【感想・ネタバレ】二つの祖国(二)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

日系二世の天羽賢治の弟の勇はアメリカの軍隊に志願して一兵卒として、ヨーロッパ戦線で戦っていた。
勇が所属する、三十六師団四四二部隊(日系二世部隊)はテキサス大隊の救出に向かわされる。
275人のテキサス兵を救う為に、日系人は200人以上が死亡し、約600人が負傷した。
ここでも日系人は虐げられていた
勇は死亡し、認識票のみが、ツールレークの隔離収容所に居る天羽の家族に渡された。
勇の葬儀には、天羽乙七、テル、賢治と同じ収容所の大野保と長男夫婦、娘だけだった。
乙七の胸にはヨーロッパ戦線で戦死した四四二部隊の息子の表彰と勲章の授与式が、鉄条網の中で行われたことに対する怒りと屈辱があった。
一方、日本軍の立石小隊に属する、弟の天羽忠は最前線のルソン島リンガエン湾に送られる。
天羽賢治はアメリカ軍第六軍第一軍団に属し、リンガエン湾の六万八千人の上陸部隊とともに上陸する。
そこでは、死亡寸前の日本兵の口から、忠がいることを知る。
後に、忠と賢治は、戦場で遭遇する。賢治は誤って弟を撃ってしまった。
忠を捕虜として米国の陸軍病院へ送った。結果、弟の命は取り留める事ができた。
忠は、祖国日本を裏切った兄が許せなかった。兄弟の心にはシコリが残った。
カバルアン・ヒルから日本軍は撤退し、アメリカ軍六師団第二十連隊長のアーノルド大佐は戦闘終了を告げた。

ーーウイキペディアよりーー
第二次世界大戦において、1941年12月22日に本間雅晴指揮する日本軍がルソン島侵攻の際にリンガエン湾に上陸した。1945年1月9日にはダグラス・マッカーサー指揮するアメリカ軍が、ルソン島侵攻の際にリンガエン湾に上陸した(リンガエン湾上陸(英語版)、1945年1月6日 - 1月9日)。

ーーヘンリー・アーノルドーー
アーノルドは1945年6月16日の日記に「アメリカでは日本人の蛮行が全く知られていない」「ジャップを生かしておく気など全くない。男だろうが女だろうがたとえ子供であろうともだ。ガスを使ってでも火を使ってでも日本人という民族が完全に駆除されるのであれば何を使ってもいいのだ」と書いている。6月17日の日記には「マッカーサーはさらなる日本攻撃にB29を使う我々の計画への理解が足りていなかった。ジャップの30か所の都市部と産業地域を破壊したうえで侵攻地域となる場所には一か月ごとに20万トンの爆弾を投下し侵攻する日には8万トンを投下することをちゃんと説明したらマッカーサーも気に入ったようだ」とある。7月23日には「スターリンとチャーチルに『現在のペースでB29が飛び続ければ東京には何も残っていないことでしょう。そこで会議することになりますね』と言った」とある[12]。民間人を無差別に虐殺した汚名を後世に残すことになった。

ーー「日刊まにら新聞」Webからーー
一九四五年一月、鹿児島県出身者で構成される旧陸軍歩兵第七一連隊所属の大盛支隊約九百四十人が丘に陣取り、米軍の艦砲射撃や爆撃にさらされ約二週間で八百人強が戦死した。

広島に原爆が投下され、太平洋戦争は終結した。
天羽賢治は米国戦略爆撃調査団の一員として、広島に派遣される。
広島の惨状を目にした賢治は、呆然とした。灰燼に帰した市街を見て、涙で目がかすんだ。
敗戦国日本における東京裁判の米国通訳モニターとして賢治は参加することになる。
……
リアルに綴られる、フィリピン ルソン島での忠の目から見た、日本軍の惨憺たる様子に、戦争の虚しさを感じた。
物語は三巻目へと続く。

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2023年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この巻でもっとも心に残るのは、やはり天羽家三兄弟のあまりにも酷過ぎる運命ではないでしょうか??  日系2世というまさに本書のタイトルどおり、「二つの祖国」を持つ三兄弟が、たまたま太平洋戦争突入時に何歳でどんな教育を受けどこにいたのか?という偶然性も手伝って、1人は米軍兵士として、もう1人は帝国陸軍兵士として、そして長兄として常に二つの祖国を強く意識し続けた最後の1人が米軍の語学将校として戦争に巻き込まれていく・・・・・。  その非情さには言葉もありません。

家族だからと言って誰もが同じ哲学、同じ思想というわけにはいかないのは、どんな時代であれ、そしてどんな境遇であれ、必ずしも珍しいことではないと思うけれど、彼らの場合はあまりにも残酷です。  まして、末弟の勇君はヨーロッパ戦線だからまだしも、長男 & 次男は同じ戦線に赴き、戦場で顔を合わせることになるな~んていうのは、平和ボケ時代の KiKi には想像さえできなかった出来事でした。  初読の時にはどちらかというと「小説特有の悲劇性強調型プロット」として読んでしまったこの境遇が今回の読書では「実際にそういうことがあったかどうかということ以上に、残酷な人間性の黙殺の象徴」として胸に迫ってきました。

三兄弟のお父さんの描写があまりにも痛々しい・・・・。  彼は「自分のためにも家族のためにも良かれ」と考えて移住を決意し、移住後も苦労を重ね続けて、善良に、そして真剣に生きてきただけの人だったのに、人生の後半で第二の祖国からは人種差別で受け入れられず、祖国に帰ることもできず、収容所内の同じ日系1世の人々の姿にも違和感を覚え、収容所内の遺体処理係として時を重ねていきます。  その姿には、ファッションではない「ニヒリズムの極致の姿」が表れていると感じました。  そしてそんな父親の姿を見守るしかない賢治の苦悩も心に響きます。

そうであるだけに、その後の賢治の選択には常に彼の抱える「矛盾」が溢れていて、読んでいて辛いものがありました。  ある意味では弟二人のように自分の「帰属」を宣言できる若さがまぶしく感じられてしまったぐらい・・・・・。  もちろんそんな彼らも己の存在をかけて戦っているわけで、何とな~く生きているようなところのある現代の私たちには想像できないような困難と日々向き合っているわけではあるんですけどね。

そして原爆投下。  8月になるとTVでは毎年のように放映されるあの「きのこ雲」。  アメリカで当時、どれくらいの人たちがあの悲劇の実態を知っていたのかは甚だ疑問だと思うし、二つの祖国の間で身も心も引裂かれた1世、2世の人たちがそれを知っていたのかも、不勉強な KiKi はよく知らないんだけど、祖国日本と父の死後日本に帰国した母・妹を捨てて身も心もアメリカ人たろうと努力してきたチャーリーであってさえも受けた衝撃の大きさが胸を抉ります。

さて、第3巻は東京裁判です。

(全文はブログにて)

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2012年06月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今まで嵌らなかった山崎豊子作品が、二つの祖国でやっと嵌った。

勇の「ノウ」のシーンが映像のように頭に浮かんだ。
何度でも思い出せる。喜びと皮肉さがかみ合っている。

賢治が、見なくて良い所まで突き進み過ぎてる気がする。最初は仕方なくだったのに、心の奥底に観察者としての好奇心が潜んでいるようにも見える。

先に書いた勇のシーンと、マリーの叫びが突き抜けていた。

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2012年07月07日

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