感情タグBEST3
Posted by ブクログ
#岡野大嗣 #短歌
生活のちょっとした場面がドラマのワンシーンのように蘇る。平易な言葉で優しい眼差しが伝わる。
バンド活動もされているから音楽に関する歌は特に好き。外来語カタカナや身近な店名が効果的、一コマ空ける効果も活かされていてじんわり沁みとおる。
装丁は名久井直子さん、写真は岡野さん自身で閉じこみが幾つかあるのも楽しめる。
特に気になった歌を抜粋
うしろから3曲目?のやつよかったね お互いおぼろげを泳ぎつつ
いま買ったレコードを見る 出てすぐの階段の夕日の踊り場で
あなたとは次の90年代を巡ってもいいラジカセ掲げて
注文に声を張れない3人で2回に1回は通らない
隠しごとを打ち明けるなら春の夜の廻るタイプのジャングルジムで
きみの撮るきみの近所はうつくしい世界遺産も間近だろうね
誰にでもわかるパスワードでひらく今日のよかった時間の写真
ヨドバシはいつ来てもクリスマスのにおい、ってまぶしそうにしている声の主
タワレコを出て水を飲む トイレまでのタワレコではないエリアを歩く
Posted by ブクログ
とてもやわらかい感覚をお持ちの方だと思う。
ともだちのお師匠さんの本。
虹色えんぴつの直筆短歌、サイン入りのものを買いました。
そんなことをされてしまってはたくさん買いたくなってしまう。みんなそれぞれ違う色で違う短歌が書かれている遊び紙。
短歌の歌集というものはとてもすてきなものなのだな、と一層思った。
とてもすき。大事にする。
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きらりと光る、日常が蘇る、そんな短歌が散りばめられた歌集だった。
短歌なんて興味はなかったし、少し敬遠していた存在だったように思う。でも、短歌とはこんなにも日常に近いのかと、文字数という制限のある短歌だからこそ、さらに凝縮された「原風景」が込められていると思った。
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心の友に教えてもらった岡野大嗣さん。
以前別の著書で、夜にそれぞれの家から漏れるオレンジ色の光を、いろんな国のはちみつのビンと表現されている歌があって、なぜだかずっと忘れられずにいた。
今回また同じような表現があって、大事にしていたものにまた出会えたようで嬉しくなった。
Posted by ブクログ
『NHK短歌』の2023年度の選者のお一人でもある岡野大嗣さんの第四歌集です。
岡野さんの歌集は初読みです。
音楽のお好きな方でやっていらしたのかもしれないと思いました。
軽~く詠まれているような感じがしました。
わざとやっていらっしゃるのかもしれないですけど。
ちょっと素人っぽい感じがして、プロっぽくないところがいいと思いました。
<あげるのにもらった気分 巣みたいにラッピングしてもらった陶磁器>
<春といえば鳴らしていない自転車のベルがほのかに鳴ってくる道>
<おかわりを最初とおなじにしてみせるおひつごはんのおいしいお店>
<一生って早いよね、ってどこにでも見られる花をよろこびながら>
<あらすじにふれずに話してくれている大切だった絵本のことを>
<住んでいた町での夏を思い出す2番の歌詞で歌う感じに>
<先に夢を捨てたひとからめいめいに幸せになれるならなってくれ>
<ように、から先は読みたくないような詩のようにたとえばさよならを>
Posted by ブクログ
かわいい装丁に素敵なタイトル。
岡野さんの作品は日常を切り取った歌や、音楽に関する歌が多くて、私は特に日常の歌が好き。それからたまにグサっと刺さる短歌もあって、それも好き。
ふとしたときに思い出して、ふふってひとり微笑みたくなるような、そんな短歌たちだ。
裾がいい服を着ていく今日たぶん俯きがちなわたしのために(90ページ)
今回いちばん好きだなぁと思ったのはこの短歌。やらなきゃいけないことだとか、悪い結果がみえているときだとか、落ち込むことはあるけれど、自分にしかわからない、小さな好きや希望をこっそり携えて出かける。そういう時ってあるよなぁ、と思った。
これからうつむきがちになりそうな日は、裾のいい服を着ていくこと間違いなし。そしてそんな時は、この短歌を口ずさむこと間違いなしである。