【感想・ネタバレ】琥珀の夏のレビュー

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Posted by ブクログ

やっぱり本当に辻村深月さんの世界が好き。
最後の最後までドキドキ、先を楽しみに読み終えた。
難しい狭い世界の、いわゆる宗教的な見えない暗闇を本当に想像できる表現でストーリーが作られていた。
読み応えがあり納得できる終わり方。
続編があればぜひ読んでみたいです!

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2024年05月03日

Posted by ブクログ

カルト団体的な施設で暮らして来た子ども達のストーリー。

読み始めは場面設定や時代設定にあたる情報が不足していて読みづらいなあと思っていたが、ようやく中盤くらいでそれも意図的な演出と気づき、一気に面白くなった。
カルト団体との関わりは全く経験が無いが、それでもそこに暮らす人々のリアルが手に取るように想像でき、流石の辻村先生だと思った。
(カルト団体のモデルは、時代的に◯ームオブハートかな?笑)
また、幼稚園や小学校の子どもの心理描写もすごくリアルだった。話に引き込まれるにつれ、遠い昔の自分の子ども時代の記憶を呼び覚まされた気がした。

全体の9割は陰鬱なトーンだが、最後はほんのりハッピーエンドで終わってくれるので、救いようがあるのも良い。
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一番良いと感じたのは、このカルト団体のことを全面的に悪いとは断罪しない展開になっていたこと。危険な側面をしっかり描きつつも、この団体の魅力や美化された思い出も揺るぎない事実としていることで、団体側の人物にうまく感情移入できた。

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2024年04月17日

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ネタバレ

【内容】
子供教育の理想を掲げ、集団生活を行うミライの学校とその外部にいる、夏休みのみミライの学校に通った弁護士との物語。
この学校では基本的に実親とは離れて暮らす。

【感想】ミライの学校の理想は必ずしも間違いとは言えないが、問答のあり方や大人の人間関係等の現実であり世俗的な面を子供に見せないようにすることに無理が出てきていた気がした。
また、学校を出た後に何の学歴にもならず、社会に繋がらない点により、子供達がミライの学校を離れづらくなるループが出来ている。
大人も子供も社会の中で、育つ必要があり、ミライの学校に決定的に抜け落ちているアタリマエであった。
つまりは社会性が大事である。
法子は美夏にとって、子供の頃の短い夏休みに育んだ友情関係があり、わずかに残っていた社会との繋がりであり、それに触れ合ったことで最後に少し救われたと感じる。

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2024年03月21日

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続きが気になりすぎて、睡眠時間を削ってしまった。
なんかもうザワザワしちゃうんだよな。
手に汗握る展開とかではないんだけど、心理描写がとても丁寧で、その年頃の子どもたちのあるあるがめちゃくちゃリアルに描かれていて胸が痛い。

大人になったらなんてことないことも、子どもの世界では一大事で夏の間だけでも学校ではない場所で親と離れて暮らすってすごく冒険だよなー。

でもそこには日常的に親と離れて暮らしている子供たちもいて…

崇高な理想のようで結局ら大人のエゴで破綻してしまう世界に子どもを巻き込んでいてやるせなかった。

でも、ミカがこれからの人生まだ取り戻せたらいいなと思ったし、取り戻すには遅くないと感じた。

幸せになってほしい。

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2024年03月11日

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辻村深月はかがみの孤城に続いて、読むのは2作目。550ページ超えの長編だが、展開が気になってしまい、読むのがやめられない作品でした。
カルト団体もしくは宗教的団体の子どもたちと、その後の話が描かれています。宗教二世などが世間で話題になっていたので、そのような状況にあわせて作った小説なのかなと思ったら、それよりも前に出版されていた作品でした。
このような話だと、こういうカルト団体を最終的には悪として描いていくのかなと思ってしまうのですが、単純にそんなことはなく、良い面もあり悪い面もあり、その狭間で、いろいろと振り回されて生きてきた、その複雑な心理描写が非常にうまく表現されていると思いました。
カルト的であり、かつミステリー的である小説で、とても面白かったです。

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2024年03月09日

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なかなか終わらないなーと思ったら500P越えの長編だった
辻村さんの作品はしっかりと人物像を教えてくれるところが好きです

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2024年03月07日

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ずっと「問答」をしているようだった。
子どもは親と一緒にいるほうがいいのか?
それはどんな親でもそうなのか?
親じゃなくても、愛情のある大人と一緒ならいいのか?
親が子どもと離れたいと思うのは悪いことなのか?
子どもと離れた親は子どもを愛していないのか?
いい親と悪い親、いい宗教と悪い宗教、いい教育と悪い教育、それは何?境目はどこ?
考え続け、答えをもっても、本当にそうですか?この場合はどうですか?と、ずっと問われ続ける。でも嫌じゃない。楽しくて、面白くて、ハマっていく。

幼少期の紀子の考えることのほとんどに身に覚えがある。一人になりたくない、あのかわいい子たちとは仲良くなれそうもない、でも友達として選ばれたい、選ばれたことを自慢したい。文を追えば追うほど紀子は自分だという気持ちになってくる。それゆえに、紀子が、ミライの学校に魅せられていく気持ちがよく分かる。紀子が考えること紀子に起こること全てが自分ごとのように感じられる。共感ともまた違うような、本当に何度も気持ちを揺さぶられ続ける。

ああ、本当になんて楽しい時間なんだろう。
読書は最高の娯楽!

ページ数はあるけれど、読みやすいし、大人はもちろん、中学生、高校生にもおすすめ。また読みたい!

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2024年03月07日

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ネタバレ

まだ年端もいかない子供に「大人」になることを強要させることの残酷さを強く感じる作品だった。
幼少期は喜怒哀楽を大人よりも激しく感じる傾向にあり、それを表現することで成長していくと思う。しかし家族と離れて暮らすミカは、夜の泉にしか自分の気持ちを吐き出せなかった。はじめは綺麗に感じた泉が、読み進めていくうちに悲しい場所となるのが切なかった。
年相応の悩みで頭を悩ませるノリコに対して、孤独や我慢をしていたミカでは、ミカの方がよっぽど大人だと感じたが、子育てをする側になった法子が、子どもの頃の罪悪感に苛まれ、「ミカ」のまま時間が止まっているような美夏の弁護をするという、幼少期と大人になってからの逆転が起きたことに、過度な放任主義の限界を感じた。
半強制的な「問答」で社会を生き抜く力を育てようとした「ミライの学校」が、結果としてミカを「琥珀」の中に閉じ込め、本当の意味での「大人」にさせなかったという結末が、親子の在り方に警鐘を鳴らしているのではないかと感じた。

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2024年03月05日

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人物造形に巧みな小説は多々ありますが、「ミライの学校」という内部集団をこれほど深く書き上げてあることに驚きました。

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2024年03月03日

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最初から最後までぞくぞくし続けた。
問答の大切さを感じる中で、それがいつの間にか誘導になってないのか。なんだか胸の下奥をぎゅっと掴まれた気分に。

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2024年05月12日

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ネタバレ

エピローグが最高だった。

ミカとノリコ、それぞれの関係性の変化、個々人の変化が感じ取れるエピローグだった。

ミカの娘の呼び指す鳥の先にいる、ノリコに気づく。表現があったが、映像として見て取れるような書き方で凄すぎる。

本当に何があったかわからないが、自分の想像しうる悪い方に考えてしまうことはある。その中で最後に頼れる大人が先生でなく、親であって欲しかったなと思う。

子供の頃にあった記憶、なぜかすごい覚えている記憶とかある。
良いことと悪いことの両方が切り離しようもなく捻れてくっつき合い、闇と向こうで不気味にうごめいている。


本作とは関係ないが、自分ごとのように考えると、小さい頃から、親と離されて暮らすのはやはり辛いなと思う。たしかに離れて暮らすことで子供たちとの間でのコミュニケーションなどは上手くなると思うが、親、家族とでしか得られない愛とか信頼とか安心とかそういったものがあると思っている。それを大事な時期に感じられない環境にいるのは少し勿体無いことだなぁと思った。

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2024年05月05日

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辻村深月さんの書く文章は、古傷が開くというか、ものすごく心を抉る
こんなに心を晒して大丈夫だろうかと心配になる。


読んだあと、物語から浮上するのに時間がかかる。
登場人物の彼女らには幸せになって欲しいと願う。

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2024年04月14日

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ネタバレ

法子は小学生4-6年生の夏休みの度に、「ミライの学校」というカルト集団のサマースクールに参加していた。その際、ミカやシゲルといった友人たちに出会っていた。
ミカもシゲルも麓の学校からは切り離され、「ミライの学校」で生活せざるを得ない小学生であった。やがて法子が大人になった際、ミライの学校の敷地からは子供の白骨遺体が見つかる。
弁護士となっていた法子は、吉住という老夫婦から生き別れた孫ではないかという捜索依頼を受け、「ミライの学校」に乗り込むことになる。結果として、吉住の孫娘は別に生きていることがわかる。
しばらくして白骨遺体は久乃という娘のものであることが判明する。

「ミライの学校」の窓口役となっていたミカは、当時の久乃との関係が深かったことから久乃の母より訴えられることに。ミカと結婚していたシゲルからの依頼もあり、ミカの弁護に立つことになる法子。
やがてミカの口から真相が語られる。久乃はミカによって自習室に閉じこめられたのだが、そこの天窓から抜け出そうとして、転落死をした。当時の大人は誰もミカは悪くない、という。
そうではない、ミカは何が起きたのかきちんと知りたかった。罪と向き合いたかった。悪くないと告げることで、大人は全てをミカのせいにし、全てを隠蔽しようとした。ミカは久乃と大人になりたかった。だけれど、全ては琥珀の中に閉じ込められてしまったー

法子との出会いはその琥珀を砕く契機となった。琥珀からはあの時、あの夏、そして友情と罪が溢れ出してくる。

主題は辻村深月の最高作だと思います。

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2024年04月14日

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どこか、なんとなく理想的に映る「ミライの学校」から白骨遺体が見つかり…… という話。ノリコやミカの心情に翻弄されながら読み進めていくうちに、ミライの学校の大人たちや子供たちに、どこか、なんとなく覚える違和感、奇妙さ、あやしさとあやうさ。友情や裏切り、愛情や無関心など交差する結末は絶望か希望か。「読んだ時間、返せっ!」とは思いませんでした。

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2024年03月29日

Posted by ブクログ

これまで読んだ本の中でも特に後半から面白くなる本。
子供時代の友情が大人になった時にどうなっているかなど、扱っているテーマが絶妙だと感じた。
また、友人が他人の下ネタにぐいぐい来る感じが嫌だなと思うのはなんでだろうと思っていたが、人の尊厳を脅かす行為だったんだなと腑に落ちた。

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2024年03月15日

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p.614 解説
わたしは、子どもには(愛)と(平等)の両方が必要だったのだな、と読後にしみじみ考えた。家庭などのプライベート空間には(愛)があり、学校などの学びの空間には(平等)がある、それが理想だといったら、理想を語りすぎだろうか?かつての先生は「利己的になってでも、その子のことだけを考える親の存在が、どんな子にも必要です」と分析するが、ミライの学校にはそういう大人はいない。子どもはただ苦しいほどに(平等)だった。しかもその平等))は平時にしか存在してくれない。非常時になれば、大人は理想を捨てて保身に走り、生える子どもの口をふさぐ、そんな環境だったのだ…。
残酷な現実ではあるけれど、学校であれ、家庭であれ、理想的とはいえない環境で生きのびるしかなかった子どもは、いびつな足場に合う独自の魂の形を作って成長し、その形に固まり、自分だけのバランスでかろうじて立っているような大人になるのではないかと思う。そうやって生き残り、大人になってから、「その足場、間違ってますよー」と誰かの手で正しいものに急に入れ替えられたりしたら、逆にバランスが取れなくなって倒れてしまうかもしれない。かつての先生によるあまりにまっすぐな科弾の言葉から、そんな危うさをわたしは感じとった。
では、いびつな足場に立って、自分なりの独自の魂のバランスで生きるかつての子どもを、誰が、どう救えるのだろうか。
大人になり、自分もまた人の親となったノリコは、もしかつての子どもの誰かとまた会えたら、そのとき何ができるのか。作者がそのような難しいテーマの物語に託した思いの、大人としての確かさ、子どものころのままの軽やかさの両方が、物語の終わりに音楽のように豊かに流れ、胸を打つ。

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2024年03月14日

Posted by ブクログ

一見怪しくて胡散臭そうな集まりも、入ってみたら意外と楽しくて普通の人たちじゃん、
と思うこともあるけれど
何も知らない外野から「なんとなく関わりたくない」と思われている時点でダメなんだなと思った
渦中にいると忘れてしまうが…

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2024年03月10日

Posted by ブクログ

宗教団体(のようなもの)を舞台に据えた設定自体はさほど目新しくはないけど、主人公の少女時代から現在への話の繋げ方とか、ミカちゃんはどうなったのか?という謎の明かし方など、ストーリーテリングは相変わらず達者だ。団体の大人たちがとった些細な行動で読者に違和感を覚えさせ、「善意」と「正義」は必ずしも両立しないという、本作の隠れたテーマを意識させる手法もうまくいっていると思う。
一方でリアリティの面ではいまひとつ納得できなかった部分もあり、事件の真相がこうなのであれば直後の団体の大人たちの対応はいくら何でも不自然だし、世間の受け止め方についてもいささか過剰すぎるのではなかろうか。
まぁ何だかんだ言いつつも、読んでいけばそれら違和感を払拭してしまうだけの力は確かにあるし、ラストシーンも含めて実に辻村さんらしい作品だなあと思った。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。すごい怖い宗教の話というよりかは、大人の愚かさの話。この人の本は新しい視点を与えてくれる。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

子どもの時に感じたことと大人になった時に感じたことの変化を上手く表現されていた。
理想と現実の矛盾。子どもにとって自分だけを見てくれる親が必要だと感じた。

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2024年03月05日

Posted by ブクログ

子どものしてしまったことを大人が庇い、揉み消すのは、子どもに責任を負わせているだけ。
自分は良かれと思って行動しているようで、いつの間にか自分は悪くない、責任がないと思うように自分から誘導していることが多々あることに気づきました。
ノリコちゃんがミカちゃんのことを救い出すことができて本当に良かったと思いました。

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2024年03月05日

Posted by ブクログ

ピュアな事、綺麗な事は素晴らしいと思うけど、やはりそれだけではダメで弊害があることもきっちり描いていてよかった。
辻村さんの作品は夢中になって読んで、後からじわじわと考えさせられるなぁ。

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2024年02月25日

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子供の主体性を育てるために親元を離れて山の中で暮らす子供たち。
自分たちで考え、深掘りし、行動に移す。
確かに大事な事だが、現実世界から切り離され理想郷のような山の中で育った子供が大人になった時何を考えどう生きていくか。
弊害がこんなにも大きくなるんだなと。
麓で暮らす子供たちとの差がくっきりと書かれていて面白かったです。

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2024年02月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

カルト団体ミライの学校の在学生のミカ、普通の学校いわゆる義務教育課程、法律で定められている学校の在学生の法子。この2人を中心として物語は語られていく。ミカと法子が大人になった時、ミライの学校の跡地から白骨遺体が見つかる。弁護士になった法子は、その遺体をミカかもしれないと思いつつもそうではないようにと思ってる。法子は小学校時代の3年間ミライの学校の夏合宿に参加しており、そこでミカと友達になったが、最後に参加した夏合宿にミカは参加していなかった。結果、その遺体はミカではなく、ミライの学校のミカの同級生のものであった。
ミカは自分がその子を殺したと言うが、法子達はそれを疑問に思っていた。大人になって再会したミカと法子が何を語るのか。それは本書を読んで読者自ら確認しほしい。
ミライの学校の教育方針的なものについては、理解し得る部分はあったが、子どもが小さい時から親元を離れ子どもたちだけで学ぶ、それ以上にミライの学校の先生がその子どもたちに何かを洗脳してしまい、子どもと親の絆を壊しかねないとも思える恐怖を感じた。もとより、親もミライの学校の教育方針に共感したとはいえ、長い期間子どもを預けるのに疑問はもつはずだが。子ども時代はミカが法子を救い、大人時代は法子がミカを救う、このような物語の構成でとても読みやすく、子どもが親に対する持つ気持ちを汲み取れる物語であったと感じる。

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2024年02月18日

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同じ環境で同じ話、経験を積んでも感じ方は人それぞれで糧にできる人、枷になる人がいる。という当たり前を再確認できた。自分が理解できないというだけで他人が信じているものを貶めるような事はしない方がよい。時には正しさは必要ない場合があるから。

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2024年05月06日

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子供時代に十分な整った環境で教育を受けれるかどうか、また子どもに接する大人の責任とは何なのかを考えさせられる作品でした

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2024年03月16日

Posted by ブクログ

一貫して暗い内容だけど、嫌にはならない。
人は何を信じて生きていくかで大きく変わる。
宗教じみた学園も信じる人にとっては道標のような存在なんだろう。
だけど、思想や考え方を押し付ける事は罪のような気がする。

良い子であれと…いったい誰のための良い子なのか?
それによって大人から子供がミライの学校に翻弄されて生きていくことに悲しさや、憤り、底気味悪さを感じる。
なぜなら、誰も間違っていないから。

裁判後の法子と美夏の電話の内容で全てが救われた、そんな一冊だった。

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2024年03月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった!記憶は美化されるし、美化したい気持ちに不思議としたい思いはすごく共感した。その方が後悔や未練とかも残らなくていいから。
解説がすごい綺麗だし、作家の想像力は凄いと感じた。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

ホラーだなと思った。カルトにハマる大人達、「より良い教育を」と純粋に信じる姿から生まれるもの、なすすべもなく振り回される子ども達、その子ども達が大人になった時に選ぶもの。純粋さは正しさではない。今もこんなカルトが幅を利かせていると思うと怖気がする。

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2024年02月24日

Posted by ブクログ

はじめはもっとエグいカルト宗教の話かと思って身構えていたからか、ミライの学校の理念や先生たちの教えはマイルドに感じて読みやすかった。
だけど、幼少期から内部で育ったミカの視点、麓の子として期間限定で合宿に参加したノリコの視点を通して、じわりじわりとこの団体の罪深さが見えてくるような感覚になったのが面白い。

相手の信じるものが、自分が信じていない、信じられないものだったら。
例え優しさからくるものだとしても、自分の価値観や正義を振りかざして踏み躙ってはいけない。
絶対ダメだよ!やめた方がいいよ!と場合によって伝えなければいけない局面はあるだろうけど、それでも相手にとっては大切なものであったりそれ以外の方法を知らなかったり分からなかったり…
寄り添うこと、相手の気持ちを慮ることは怠ってはいけない。
ミカとヒサちゃんのやり取りからそんなことを学んだ気がする。

うーん、自分の感受性や読解力の問題か、物語の重厚さと比べて自分が受け取ったものが少ないような気がするので、また将来時間が経ってから読み直してみたい。

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2024年02月20日

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