感情タグBEST3
Posted by ブクログ
東直己のススキノ探偵シリーズは、いわゆる第一期、つまり主人公の「俺」が20代後半から30代だった時代の作品(具体的に言うと『探偵はひとりぼっち』まで)しか読んでなかったので、このいきなり十年以上の年月が経過していて「俺」が春子と結婚し、別れ、そしてなんと中学生にもなる息子までいるという舞台の変化にあまり気持ちの良くないとまどいを感じたのは確か。
生活スタイルや行動様式はあまり変わっていないようでいて、しかしながら確実に時間の経過というものを認識せざるをえない、主人公の「俺」を含めおなじみの登場人物たちの「老い」を感じざるを得ないところに一抹の寂しさを感じてしまう。
とくにあまり登場シーンもなかったが高田とか。うーん、彼がチンピラ相手に大立ち回りを演じるシーンが毎回好きだったんだけどねぇ。
この『探偵は吹雪の果てに』はススキノではなく道内の田舎町が直接の舞台。作者の田舎町とそこに住む住民に対する呪詛とも思える嫌悪感がにじみ出ているような。
でもまあ、排他的な田舎の町って、日本中どこでもこういうところ、あるよね。常によそ者でありつづける宿命の転勤族には辛いのねん。
Posted by ブクログ
ちんぴらに袋叩きにされて、“俺”は入院した。そこで偶然、病院の付添婦をしている昔の恋人と再会。彼女からの依頼で雪の田舎町まで一通の手紙を届けることになった探偵だが、町に着くなり身辺に不審な男たちの影がちらつき始め、理由も解明できないまま町を追い出されてしまう。やくざの組長の桐原の助けを借り、再び町に舞い戻った探偵に最大の危機が!雪原を血にそめる死闘の果ての意外な結末とは?
Posted by ブクログ
読み応え充分な内容。
俺も歳取ったな…と前半は流して読んでいたら、怒涛の後半はドンチャン大騒ぎ。
シリーズの伏線にもなっていて、おぉ!おぉ!とシリーズを読み返したくなりました。
Posted by ブクログ
「俺」も人並みに年をとり、45歳という世間的にはそれなりの年齢になっているのが本作である。
しかし、45歳になってはいても「俺」は変わらない。息子を持つ親父になっても「俺」は変わらない。
誰がなんと言っても譲れないものは譲れないのだ。
「俺」だけに通用する「俺ルール」が、けっこう好きだ。
男という生き物はなんと切ないのだろう。
甘ったるく、それでいて意地っ張りで、大切なものへの思いを胸に生きている「俺」が特別な存在なのだろうか。
男は夢に生き、女は現実に生きる。
まさに今回の騒動は、そんな男と女のしがらみが引き起こしたものかもしれない。
このシリーズはどれも好きだけれど、中でも「探偵は吹雪の果てに」は最高レベルではないかと思う。
何よりも物語の構成がいい。
スピード感あり、サスペンス要素あり、切なさもあり。
「俺」の不器用なあたたかさが心に沁みる。
ハードボイルドは少し苦手・・・そんな人にも受け入れられる作品ではないだろうか。
Posted by ブクログ
2015.4.21-24
相変わらず政官財の癒着は最後の種明かしにほんのサラリと触れるだのスタンスがこの著者の味なのか。決して軽い内容のものではないものの、台詞回しに毎度爆笑しつつ読めるのもあえてのものかと1日で読み終えた。
Posted by ブクログ
既出のシリーズは全巻読んでいると思っていたのに、なんと初読のようです。
いつもの仲間たちがほんの脇役でしか登場せず、俺とエキストラだけでほぼ構成された珍しい一冊。田舎町の住民を徹底的に馬鹿にしたような記述のオンパレードは、中途半端な遠慮がなくて清々しいほどです。東氏の問題意識は北海道の政官民が結託した汚職と、頭の悪い若者、文化人気取りの3つに向けられていて、ブレないところが魅力です。
Posted by ブクログ
慕情。
まさしく、そんな副題が似合う一冊。
今回はハードボイルドだったな。
今ある自分の癖が別れた女の影響を受けていたなんて辺りや...
齢を重ねてからの思い、想い。
哀愁漂う慕情の一時。
今回は胸を打つ回だった。
Posted by ブクログ
前半ちょっとダルいけど、後半の展開はたたみかけてくるので、先が気になり読むのが止まらなかった。東直己の作品にもやっと馴れたかな。前作からいきなり15年?後の設定にはちょっとビックリ!
Posted by ブクログ
おー、結婚生活いつの間にやら、終わりを告げて
独り者の「俺」45歳、だっけ。
ずーっと、あの部屋は解約してなかったのかしらん。
今回の中年になった「俺」は自らが動くというよりは
あれよ、あれよと巻き込まれる。
そのうちに、周りの人が解決。
ひょっとして、「俺」が行かなくても
遅kれ早かれ、同じことになったんじゃ?という感じ。
町の怪しげな感じが、すごーく嫌な感じで面白かった。
おじいちゃんのスノーモービルの後ろに
しっかりつかまって乗る太った「俺」
いいねー。
携帯電話を持つべきか持たざるべきか・・
悩む「俺」が可愛い。
Posted by ブクログ
人を食った表現のオンパレードであるものの主人公の気持ちや感覚が手に取るようにわかるのが不思議。
基本的には主人公はなにもしていないにもかかわらず、勝手に周りがわらわら動いて抗いたい展開に巻き込まれていくのも、無理なく受け入れられる。
Posted by ブクログ
今回は「俺」の若い頃の彼女・純子が死んだと思っていたら生きていて
再会するところから始まり、事件に巻き込まれていく。
小説だから・・・といってしまえば仕方ないけど、どうしてこうも「俺」は
事件に巻き込まれるのか(笑)
その度に、古い付き合いの高田や桐原、松尾に助けられ事件を
解決していく。
発売された順にシリーズを読破しようと読み進めていますが
どのシリーズも面白くて、あっという間に読めてしまう。
昨日から駆けてきた少女を読み始めました。
Posted by ブクログ
ススキノの「俺」のシリーズ6作目
いかん、一日で読んじゃった。前作の最後のエピソードでなんだか、ヌルい展開の話が一、二作続いたりしたらどう収拾をつけるつもりかな?と思ってたら、あっという間に年代をとばして「俺」のイメージダウンは免れた、「俺」がススキノの住人となる頃のエピソードを軸になかなか切ない展開でまたまた、ガーっと読ませて頂きました。
Posted by ブクログ
ススキノの俺シリーズ第五弾。
チンピラに袋叩きにされて入院した病院で、かつての恋人と偶然再会した俺。
彼女からの依頼で雪の田舎町まで一通の手紙を届けることになったのだが……。
シリーズ最高峰との呼び声高き作品。
一度でも恋した奴なら、俺に共感できるはず。
巻末に著者の後書きがあるのも氏にしては珍しい趣向。
Posted by ブクログ
こういうのはもう、聞き飽きた。こいつらは、オリジナリティというものに恵まれていない こういう怪我は、薄汚い、クズの金で治すべきだ 失楽園ミルトンのだぞ。渡辺淳一のじゃなくて。そこんとこ、間違えないでくれ。間違えないよ。あんたはクリスチャンなのか?親がな。だから、正義の陣営に入っちまった人間が、どれほどバカんなるか、それは知ってる 寄る年波には勝てない 卑下ひげ 今年で、45 になる もう60よ、私 俺の知識はいつも中途半端だ いわれ謂れ 女の腐ったみたいなヤツ 付添婦 深川市 清田区のホスピス 斗己誕 スピーカーはボーズ 奥寺御殿 心朗らかにシャワー・トイレを使った 坪内翁おきな この歳になって、自分のコミュニケーション能力が、目の前でめきめきと向上するのを感じて、俺はしみじみと老け込むには早い、と自分に言い聞かせた。まだまだ頑張ればいろんなことができる。 「人間てよぉ、なぁ、あんた、お客さん、スケベなもんがないと、生きてけないべさ。それは、田舎でも都会でも、同じだ。スケベなしじゃ、人間は生きてけないんだ」「スケベで汚いものば、スケベな汚いまんまで転がして置いたら、ダメだべさ。生きてること自体が、悲しくなるべさ」「俺はなぁ。…その、あそこでスケベな物を買うヤツのことを考えると、哀れで哀れで、侘しくて、情けなくて、やり切れない気持ちになるんだよ。あんな汚らしい、残飯やらゴミやら、すんごい臭いんだ、ひでぇニオイなんだ、そんなとこさ行って、スケベなもんを買うヤツのことを考えると、もう、哀れで侘しいさ」優等生たちは、居心地が悪そうだった。オチコボレたちは、わざと威嚇的な、押しつけるような態度で、我が物顔に振舞っている。情けなくて、心が薄ら寒くなるような光景だった。 兎唇としん=ミツクチ したっけ! ケンジ君を守るために、このまま斗己誕で骨を埋める気はない。豊平から来た、オカリナ奏者 ドンケルとヴァイセンを試してみた UA 青空 たかす鷹栖インター ウクライナの連中 スノー・モービル 金属バットの高校生 散弾銃 腐った鰊のような匂い 目は、両方とも、潰れているようだった。口を大きく開けているが、歯は見えなかった 。腕が、普通とは逆に曲がっていた。 士別でも、名寄でも、どこでもいい。 『レオン』や『ホームアローン』とは違う。現実は、映画じゃない、下手するとこっちが殺されるかもしれない。 「俺は勘違いはしていない。ただ純子が生きているから、それが嬉しいだけだ」 官依存根性が骨身にしみている
Posted by ブクログ
シリーズものだが、本作では主人公が同年代になった。年齢と体力のギャップ、思い出したくない記憶など、感情移入のポイントが山盛り(笑)歳を取るって、なかなかよい。
Posted by ブクログ
すすきの探偵シーズなんだけどあんまりすすきのは登場しない。
前作からいきなり15年くらい?年月が流れててまず驚く。
前作でラブラブだった春子さんとも離婚し(前作巻末の衝撃発言「できちゃった・・」の子は無事生まれて成長しているらしい)
高田は店を開き、俺さんはあいかわらずすすきのを徘徊している。
昔の恋人とばったり出会い、依頼を受けて手紙を届けに行った先での大騒動。話的には比較的まとまっていたように思う。
おじさんになった俺さんの今後の活躍に期待か。
Posted by ブクログ
1作目からの伏線がふってある物語。
読みごたえはあったが、前作の続きを期待して読んでしまったので、残念である。気になってしょうがない。なんか心残りだ。
Posted by ブクログ
ススキノ探偵シリーズ第六作目。
前作のラストを読んで、俺がぬるくなったら
読むのをやめようと思ってたのですが
そんなことはなかったですね。
ただ一気に15年ほど話が進むので、飛び過ぎな感はあります。
今回はススキノが舞台ではありません。
主要サブキャラもほとんど出てきません。
でも俺が僕になる話。
いつもと趣きは違うけど、楽しめました。
パンチ不足は否めないけど。
Posted by ブクログ
ススキノ探偵シリーズ第5部。(短編除く)
前作までは30歳そこそこだった主人公・俺が、、、
胡散臭くて男臭くてかっこ良かった主人公・俺が、、、
本作では40代半ばに。中年太りのおっさんに。
結婚そして子供まで授かった前作ラスト。
そこからの近い将来の展開を楽しみにしていただけに、
冒頭でやや冷めざるを得ず。
まぁそれでも面白かったから良しとする。
細部に変化はあるものの、周りの登場人物の根本的な変わらなさは愛着すら湧く。
15年前後飛んでいるため、現代社会は当然急成長している。
しかし、探偵(便利屋)であるにも関わらず主人公・俺は、携帯すら持たないあり様。
そして相変わらず面倒な事に首を突っ込み、
巻き込まれていく。
変わる部分と変わらない部分。
本作でもシリーズものの魅力を大いに感じられる。