【感想・ネタバレ】藤原道長のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

 おそらく大河ドラマ放映予定の影響だろうか、1988年刊行の本書が文庫化された。「この世をば」の歌が余りに有名で、摂関政治の最盛期の人物と言われる道長であるが、本書では、当時の公卿の日記、『御堂関白記』を始め『小右記』や『権記』等によってその人物像を明らかにしていこうというもの。

 まずは、道長の父、兼家の全盛時代から説き起こされる。兼家の子が道隆、道兼、詮子(一条天皇の母)、道長などである。兼家没後、その後継者の道隆は、娘定子を一条天皇の中宮とするなどして中関白家が栄えるが、道隆没後、長徳の変により伊周、隆家が没落すると、道長は、娘彰子を一条天皇の中宮にするなどして、力を得ていく。
 
 一条天皇の時代、三条天皇の時代、後一条天皇の時代と、ほぼ年代に沿って道長の動向が描かれるが、概略で言えば、一条天皇とは良好な関係を築くが、その後の三条天皇とはギクシャクした関係であったことが印象に残る。

 最後の章は「道長の宗教生活」と題して、寺院の建立や様々な法事を営んだことがかなり詳しく描かれる。

 著者の専門ではないからか、当時の政治、行政制度下での道長の動きや、経済的状況についての記述があまり多くないのはややもの足りなかったが、道長にスポットを当てつつ、当時の主要人物との関係がうまく整理されているので、摂関政治の具体相に一定のイメージを持つことができた。
 

0
2023年07月19日

「学術・語学」ランキング