【感想・ネタバレ】教養としてのエントロピーの法則 私たちの生き方、社会そして宇宙を支配する「別格」の法則のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

熱力学の第二法則=エントロピーは必ず増大する、は別格に確からしさが確認されている法則。=自然の状態ではどちらの方向に向かうのか、を教えてくれる。
情報エントロピー=取り得る状態の数。
エネルギー保存の法則=熱力学の第一法則。エンタルピーは変わらない。=特定の系の総エネルギー。熱エネルギーと力学的エネルギーの和。
エントロピーは、系の熱量を温度で割ったもの。
第二法則は、不可逆的変化であり、様々に表現される。低温から高温に熱を移せない=一つの熱源から熱を吸収して仕事に変えることは不可能=トムソンの原理。
赤インクを一滴水の中に入れると、赤インキ分子の取り得る場所は、水の中全体に広がる=場合の数が増える=エントロピーが増大する。

エントロピーの増大なしには何の変化も起こらない。
熱エネルギーが加えられると、個体から液体、気体へ変化する。金属原子は重いので、少しの熱では変化しない。液体、気体のほうが高いエントロピーにある。
環境のエネルギーの増減を考えると、変化する場合は必ず全体のエントロピーは増大する。
自然な状態では、各人の1円を集めることはできない=ばらまき政策が成功しない理由。
エンタルピーから温度×エントロピーを引いた値はマイナスになる方向に動く=ギブスの自由エネルギーはマイナスになる。

水素が燃える反応は、エントロピー的にはマイナスになること=自然には起こらない。エンタルピー的には、ギブス自由エネルギーはマイナスなので、変化が起きるはず。活性化エネルギーを乗り越える必要がある。触媒によって乗り越えられる。
液体の水のほうが気体の水よりもエントロピーが低い。

オキシドールからの酸素の発生は、傷口のカタラーゼという酵素が触媒となって、活性化エネルギーが下がる。

太陽からのエネルギーは膨大でエントロピーはかなり低い。=変化が起こりやすい。地球での活動で使うとエントロピーは高くなる。それを宇宙空間に捨てる。温室効果ガスで捨てにくくなっている=地球のエントロピーが増大して地球の温暖化が起きる。

動物は外界から食物を取り入れて、エネルギーを使って必要なエントロピーを減少させている。=グルコースの酸化で大きな自由エネルギーを得る。その反面、エントロピーは増加する。熱と二酸化炭素の形で排出する。
病気の進行はエントロピーの増大と同期する。自由度が高い細胞は制御が効かずがん化することがある。

進化の法則は熱力学の第2法則に比べれば確実性は段違い。

自由と平等は両立しない理由。
所得の分布はボルツマン分布に似ている。所得を決める要因がランダムではない=ランダムなら正規分布になるはず。場合の数が最も多い分布は、エントロピーが高い状態=ボルツマン分布になる。自由に所得をやりとりすると、エントロピーが高い状態=ボルツマン分布に近くなる。富が富を生む構造。
マタイによる福音書に、「もてるものはより豊かに、もっていないものは取り上げられる」とある状態と同じ。マルコやルカの福音書にも同じ記述がある=聖書の時代からエントロピー増大の法則を多くの人が体験していた証拠。=自由と平等は両立しないことは、熱力学の第2法則が教えてくれている。
マタイ効果=研究室の研究費、名声、地位など、豊かなものに集中する効果。=エントロピーの増大法則の副産物。
自由度を増加させる=エネルギーを与える=規制緩和をする=格差が拡大する。エントロピー増大の法則からは自明のこと。
古くからの規範や因習はそれを律する方法だったかもしれない。皆が平等なのは社会活動が低い状態でのみ実現可能。社会活動が高くなると平等は失われる。
地球全体のエントロピーは増大している。空間移動が増えて文化の均質化が進む。=文化的にエントロピーが増大している=語彙が少なくなっている。赤、と朱、と紅、の違いがなくなる。ヤバい、のように定義があいまいな言葉が広範に使われるようになる。語彙の減少が進む=文化的なエントロピーが増大方向になる。
情報の多さは我々の心理状態も撹乱し、情報エントロピーが増大している。

旧約聖書の創世記のノアの方舟は、最大になったエントロピーを洪水でリセットしたもの。人間社会は放っておくとエントロピーは増大し、救世主を求める。仏教の諸行無常も同じ考え方。老子の小国寡民の思想も同じ。

熱力学の第2法則は、文系研究者のシェークスピアと同じようなもの。
部屋が散らかる、イヤホンコードが絡まる、は熱力学の第2法則から来ている。
SDGSでは解決できない。これら17項目は権利の拡大を主張しているもの。エントロピー増大の法則に反している。
江戸時代はエントロピーの収支のバランスが取れた社会だった可能性がある。閉鎖系の社会でときどき火事でリセットした。浄土思想から精神的なエントロピーが低い状態が続いた。
命はエントロピーを下げる努力を続けている。

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2023年09月09日

Posted by ブクログ

数式を使って正確に、かつ論理的にエントロピーを解説している。が、正確がゆえにどうしても説明が長く感じてしまい、読み物の面白さとしてはイマイチだった。
ただ、今まで何となくしか知らなかったエントロピーについての理解は進んだ。情報にもエントロピーがあり、確率が収束していくのもエントロピー増大というのが感覚と違って面白かった。

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2023年09月02日

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