【感想・ネタバレ】ヴェーロチカ/六号室~チェーホフ傑作選~のレビュー

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Posted by ブクログ

ロシア文学の巨匠チェーホフの短編集。表題作「ヴェーロチカ」は世話になった場所を去る時に少女から「好きなんです、あなたが!」と告白される話。ところがこの主人公の青年は煩悶し告白を袖にします。この展開が読めば読むほど奇妙で、しかし分かるようで、読み返すたびに色々な読み方ができそうです。

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2023年07月07日

Posted by ブクログ

ひたすら暗いイメージで、救いなく、どこかおかしい作品群だが、妙に味があり最後の1編まで楽しく読めた。ヴェローチカの残念なラスト、退屈な話や6号室のような虚しい人生の幕切れ。カシタンカのような動物物も展開に意外性があっておもしろい。6号室での、狂人の定義とは健常者の常識から病気に仕立てられたのでは、というのも時代背景を考えれば大いにありえると思う。
訳者の手腕かもしれないが読みやすい文体でした。

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2023年09月23日

Posted by ブクログ

「小説は問題を提起しても答えは与えない」というチェーホフのスタンスが相変わらず(他の作品と同じで)示されている。教訓となるわけでも無いし、決して登場人物に共感できるわけでもない。にも関わらず、チェーホフ作品に惹かれるのは、彼の生きた時代におけるチェーホフのスタンスが現代に通じる点にあると思う。革命前夜の時代、教養はあるが社会で実際に役割を持つことはできない貴族、貧しい暮らしに喘ぐ下層階級、誰もが今の社会に不満を持っているのに、どうにもならないという諦観を持ってしまっている(直接的な批判を加えることをことごとく避けているチェーホフ作品において「しまっている」という表現はそぐわないかもしれない)。作品の中にこのような人々の姿が現れているが、これは問題に答えを与えないチェーホフにも同様である。チェーホフの作品にはこの時代のロシアの抱える問題が忠実に描かれているが、そこには革命への意欲などは全く感じられない。淡々としているのである。これが現代にも通じると思い、作品には共感しないがチェーホフには共感してしまうのだ。今の時代に問題ならいくつも挙げられる。だがそれをどう解決するかといえばお手上げ。自分の無力を漠然と感じるしかない。チェーホフ作品には「冷めた」現代人に通ずるところがある気がするのだ。

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2024年02月22日

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