感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2012年11月05日
★トンコ
養豚場の運搬トラックから一匹の子豚が逃げ出す。その子豚・トンコは先に出荷されたきょうだいたちの臭いを頼りに森をさまようが、声は聞こえど姿は見えず。
★ぞんび団地
親の愛情に飢えた少女は、ゾンビになりたい、と懇願する。
★黙契
ふたりきりの兄妹。妹は自殺してしまい、残された兄はなぜ気づいてや...続きを読むれなかったと苦しむ。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
食用豚の目線から描かれる人間世界は酷く奇妙で歪んでいて
美味しいものが欲しい!とブヒブヒ鼻を鳴らすトンコたちの世界はなんてシンプルで素敵なんだろう
なのに食物連鎖は常に人間を頂点にしている
皮肉なことだ
ところで
「しょうが焼き」からは兄のにおいがして
「ソーセージ」からは妹のにおいがする...続きを読む
じゃあ、トンコは何になるんだろう?
Posted by ブクログ 2019年11月23日
「トンコ」はもの悲しい話ですが、怖くはありません。
「ぞんび団地」は怖い話なのに、ゾンビに愛嬌さえ感じてしまいます。
「黙契」はこんな文体も書けるんだと驚きましたが、ラストで納得しました。
雀野日名子の紡ぎ出す物語は、いずれも私の心にしっくりくるものばかりでした。
Posted by ブクログ 2021年10月19日
3話の短編。
それぞれの作品の主人公が豚だったり、死人だったり、物語を語る『視点』が特殊で面白かった。
高速道路での事故をきっかけに逃げ出した食用豚が、大冒険の末に結局ニンゲン様に食べられるという表題作の『トンコ』が一番よかったかな。あ、オチまでいってしまった笑
ところでこの作者は結局なにが書き...続きを読むたかったんだろう。
私たちが食べてる豚だって生きてるんだ!だから、もっと生き物に感謝しようぜ!
ではない気がする。
ただ単純に豚目線からすれば養豚場から食肉加工工場に運ばれるってホラーだよね?っていう着想からこの小説をかいたのかなーなんて思いながら読んだ。いい作品。
Posted by ブクログ 2015年08月09日
たまたまこの本の前に読んだのが重くてしょうがない本だったので、この本を二日で読み終えてしまった時、なんとも言えず気楽な気持ちになったのです。表題作以外の二作は、どこか既視感がある内容になってるけど、そもそもホラーとか推理小説は無制限に新しいネタが作られ続けていくわけでもなく、どういう語り口で進めてい...続きを読むくか次第みたいなところもあろうし、まぁそれは良いかなぁ、と思いつつ、軽いものが読みたいところにたまたまあたって良かった。
Posted by ブクログ 2013年05月18日
短編集。
怖くないホラー小説。
ホラー風味のファンタジーというか。
表題のトンコは、ぶたが主人公の逃走劇。
話の筋は違うけど雰囲気的には「かわいそうな象」的なお話。
私は割と単純な性格なので、最後のほう通勤電車で危うく泣きかけました。
他、「ぞんび団地」なんかが好みでした。ぞんびいいよねぞんび。
...続きを読む
救いのない話がどうしても嫌!許せない!ってことはないのだけど
害意のない動物や子供なんかが出てくると
悲惨な最期にはなりませんようにって
どうしても思ってしまうので、このくらいでちょうど良かった。
まぁ、ホラーとしてはそういうのちょっとずるいよなーとも思うけど。
Posted by ブクログ 2011年10月20日
高速道路で運搬トラックが横転し、一匹の豚、トンコが脱走した。先に運び出された兄弟たちの匂いに導かれてさまようが、なぜか会うことはできない。彼らとの楽しい思い出を胸に、トンコはさまよい続ける……。日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作をはじめ、親の愛情に飢えた少女の物語「ぞんび団地」、究極の兄妹愛を...続きを読む描いた「黙契」を収録。人間の心の底の闇と哀しみを描くホラーの新旗手誕生。
第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞
Posted by ブクログ 2011年04月13日
トンコは微妙だったけど、ぞんび団地と黙契は面白かった。黙契のラストがちょっとよくわからなかったけど、最後に出てきたのは妹だったってこと?それとも主人公の妄想?なにか伏線があったのかと思って読み返してみたけど、よくわからず。
Posted by ブクログ 2011年01月21日
豚が主役なのにホラー?しかも賞を受賞している…。
普段あまりホラー小説は読まないのだけど、気にならずにはいられなくて読んでみました。
お、おもしろい‥(笑)
話の内容がおもしろいというのもあるけれど、こういうアプローチの仕方もあるんだ‥という見方でのおもしろさも感じた。
ホラーは、折原一さんや鈴木...続きを読む光司さんの小説くらいしか読んだことがないのだけど、そういう正統派?のホラーとは違う気がする。
短編集で三作収録されてて、三作目の『黙契』は正統派だけど、表題作の『トンコ』と二作目の『ぞんび団地』は、雰囲気的にはファンタジーに近いような感覚も。
特に『ぞんび団地』は語り部が小学生の女の子であるためか、読んでいる感覚は絵本みたいなのに内容は怖いから、その不思議なギャップがおもしろいと思った。
三作とも全く作風が違うから、どれが一番好きかはとても決めがたい。
ただ、全てに共通して、“切なさ”の要素があったように思います。
ホラーなのだけど情緒のようなものも感じられるところが、日本のホラーってこうだよね、と思わせる。
ホラーやミステリ、サスペンスってやっぱり、続きが気になる!のエネルギーで読書が遅い私でもぐんぐん読める。
たまにはホラーもいいな、と。
表題作の『トンコ』はホラー要素は薄いので、苦手な人でも読めるはず。
Posted by ブクログ 2010年02月15日
第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作です。
表題の作品のほかに、「ぞんび団地」、「黙契」が収録されています。
食用にされるために搬送される途中で逃げてしまった豚のお話です。
本当にそれだけなんです。
でも、信じられないほど面白いです。
ホラーの概念が覆ります。
逃げ出した主人公の豚の、なん...続きを読むと純粋な心の持ち主であることよ、と思わされることで、人間どもの身勝手さ、醜悪さが際立ってくるという仕掛けのようです。
著者は、同じテーマ・同じ登場人物・同じ設定で書いたとしてもここまで読ませる作品に仕上げられる人はそうそういないのではないだろうか、と思わせるだけの確かな筆力の持ち主であり、その証拠に、同書収録の「ぞんび団地」では、コミカルな設定の中にそこはかとない切なさが、そして、「黙契」に至っては号泣せずには読み進めることが難しい溢れる哀しさと兄弟愛が、まぐれではない著者の力量を如実に示していす。
短編というジャンルの難しさ、奥深さをまた実感した思いです。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
「豚の死なない日」「僕とポーク」つながりで、読んでみる。
印象深かった部分>
ぶひ。
ぷぎぎぃ。
ぼととん、ぼひ。
生姜焼き弁当からは、「M02」の臭いがした。
場長は廃材の前でしゃがむと、トンコと向きあった。
そして作業着のポケットからハンカチを取り出すと、
生姜焼きを拾い、丁寧に包んでポケッ...続きを読むトに収めた。
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兄弟の臭いや声を追い求めてトンコが彷徨う物語。
どのへんがホラー括りなのか良く判らないが、
もしかしたら豚を殺して食べることに何の疑問も躊躇も無くなっている
人間のさまが、ホラーなのかも?
Posted by ブクログ 2009年10月07日
3作とも、ホラーというイメージとは違っている気がした。
静かに流れる空気、哀しみ、苦しみ、切なさがうまく入り混じり、独特の雰囲気をかもし出している。
トンコの豚といい、ぞんび団地のあっちゃんといい、黙契の絢子といい、自分の中で、辛く、苦しみもがくしかすべがない弱さが共通点なのだ。
Posted by ブクログ 2016年05月14日
3編からなる短編集。表題作『トンコ』は出荷された運送トラックが横転事故を起こし、一匹の豚が逃走するという…ただこれだけの話。一般的なホラーを期待するとトンでもない肩透かしを喰らうだろう。だがもし自分が豚だったらと視点を変えた瞬間ホラーになる面白い作品である。養豚場の世界しか知らない豚が逃走中に体験す...続きを読むる様々な出来事は恐怖であり切なく哀しい。醜悪な人間達が純粋無垢なトンコに向ける狂気は涙を誘う。本格ホラーも書ける著者が投げた変化球本は、ホラー版『およげ!たいやきくん』である。
Posted by ブクログ 2015年08月10日
2015年、32冊目は第15回日本ホラー大賞短編賞、受賞作品含む、雀野日名子の短編集。三編収録。
これで第15回は大賞、長編賞、短編賞×2と全て読みきりました。
簡単にあらすじ&感想を……。
トンコ:輸送車輌の事故により、逃げ出した食用蓄豚のトンコ。トンコは離ればなれになった家族、兄弟を思いな...続きを読むがらもさまようのだった。
ホラー度はほぼなし。食用蓄豚を人に置き換えて……。その変換使うなら、個人的には、もっと不条理だったり、ドロドロのホラーに仕上げていただきたかった。
ぞんび団地:小学校二年生のあっちゃんはぞんびになりたくて、ぞんび地区、くちなし台に連日通うのでした。
全体をあっちゃんの語りのように「です」「ます」調で描かれている。オチは、途中である程度気が付きました。コックリさんでもぅ少しヒネるかな(あっちゃん目線だから仕方ないが、コックリさんがチョット上位概念的存在だったりする)、とも思ったんだけど……。虐待、イジメ描写は神経逆撫でられる。
黙契:地方警察官である兄は、出張中に、東京で暮らす妹の自殺の報せを受ける。
タップリの腐乱描写の割にベタでしたね。すれ違いの兄妹の愛情。裏側で、生真面目な人が新興宗教に傾倒しやすいという警鐘が鳴ってたりする。
お気に入り順は「黙契」「ぞんび団地」「トンコ」の順かな。
Posted by ブクログ 2014年02月11日
子豚のトンコが出荷途中、トラックの事故を切っ掛けに知らない世界を冒険する話しである。トンコを子豚ではなく人と置き換えるとその恐怖は倍増する、とても上手くできているお話しである。
トンコが豚舎で飼われている駄犬のマネをしてお回りをする場面がラストにあるのだが、それを見た従業員が「おまえは、そうい...続きを読むうことをするために生まれてきたんじゃないんだ」とつぶやく、そして家畜のトンコは残酷にも出荷されるのである。なんと物悲しいことか。
Posted by ブクログ 2013年05月17日
ホラー短編3集。
ぶひ。 ぷぎぃぃ。
・トンコ。
ホラー小説大賞短編賞を受賞したみたいだが、
どこがホラー?ってかんじ。話自体もよくわからん。
ぼととん、ぼひ。
・ぞんび団地
可哀想な女の子のお話なのだが、ユーモラス。
漫画のネタになりそな話。
・黙契
悲しくて不気味で泣かせる。これが一番読ま...続きを読むせた。
Posted by ブクログ 2013年03月15日
短編が三作品。
豚に感情があるっていうのはちょっと…
表題作の「トンコ」は少しばかり幼稚である気が。
オイラ的には、最後の「黙契」がよかった。
縊死した妹と、警察官の兄との心の絆。
おどろおどろしさに目が行きがちだが、兄妹の心の機微が丹念に描かれ、ホラーでなくても充分に読ませる作品だ。...続きを読む
兄の視線の先々に突如現れる、妹が死んだアパートの光景が怖すぎ。
「ぞんび団地」も可愛い女の子が主人公の可愛い物語なのに。
どことなく平山夢明を彷彿とさせる容赦ない残酷描写が寒々しい…
バリエイションに富んだ短編集だった。
てか、まだ方向性が定まっていないのかなあ。
Posted by ブクログ 2013年09月23日
角川ホラー小説大賞の短編賞受賞作。
自分はホラーは苦手なタチだと思ってきた。角川ホラー文庫の黒い背表紙は本棚に並べたくないと思っていた。
でも、日本ホラー小説大賞の受賞歴を見て、恒川光太郎、小林泰三、貴志祐介等が載っていたので、おや?もしかしてそんなに恐くないかも・・・と思って、この本を読んでみた...続きを読む。
・・・結果、わかりやすく恐くはなかった。深く考えると恐いし、確かに描写はややグロいところもあるけど、どれもどこか切ないお話。最近のホラーの括りは、単純に恐い、気持ち悪いだけではないのですねぇ。
Posted by ブクログ 2013年01月18日
三話収録。
全体を通して物悲しい雰囲気に満ちていた。
・「トンコ」
交通事故で逃げ出した一匹の豚トンコはどこからともなく聞こえてくる兄弟豚たちの声に導かれるように野山や街中を探し歩くが、姿は見えず…聞こえてくる幻のような泣き声、街中から感じる兄弟豚のにおい。
いつのまにか、「トンコ」の気持ちにな...続きを読むって読んでいた。巻末の評にもあったように、ホラーというより、幻想文学のかおりがした。
・「ぞんび団地」
以前アンソロジーで読んだ作品。ぞんびになりたいと思う女の子の心情が胸が苦しくなるほどせつない。
子供が虐待される話はホントに苦手。
・「黙契」 二人で暮らしてきた兄妹の妹が自殺してしまい、その動機を必死で理解しようとする兄が痛ましい。兄と妹(妹は死後の気持ち)が交互に語られる。
タイトルは作者の造語かな?なんとも重い言葉だ。
内容は割と好きでしたが、遺体の描写が…
リアルすぎて無理。
ホラーてグロテスクな表現入れなきゃダメなのかな…
三つの中では、やはり表題作の「トンコ」がよかったです。
Posted by ブクログ 2012年08月24日
短編。「トンコ」「ゾンビ団地」「黙契」と進むごとにホラー度が増していく。
ホラー小説超初心者の私がおすすめする作品は表題作「トンコ」。
全体から漂う微かな薄気味悪さがいいです!
Posted by ブクログ 2012年02月16日
ホラー小説大賞の短編賞受賞作。表題作は、豚の視点から見た物語ということで一風変わった仕上がり。
収録されている『黙契』のほうが好みだったかな。怖くないホラー短編小説、という感じで。
『黙契』は、東京進学した妹と地方赴任になってる兄とのお話。両親を早くに亡くして、2人きりだった兄妹はとても仲が良く、離...続きを読むれて暮らしていても、妹は兄に電話やメールでこまめに近況を伝えてくるのです。明るく頑張っていたはずの妹が突然自殺して……という。
Posted by ブクログ 2011年07月21日
やるせない・・・ハッピーエンドはありえないことが予想出来るだけに、終始涙目で読みました。あまりに切なくてやめておけば良かったと思ったけど、引き込まれてしまって結局最後までやめられなかった。収録3作品ともホラーらしくはないのかもしれないし、ミステリーのような意表を衝かれるような展開もないけど、充分それ...続きを読むぞれに魅力ある作品でした。
Posted by ブクログ 2011年06月22日
ホラー好きなのと、表紙の豚の絵がかわいかったので購入。
表題作『トンコ』は、食用豚の脱走劇を描いた短編。ホラーなのか、怖いのか、と言われると微妙なところ。でもこういうアプローチはいままで読んだことがなかったので面白かった。なんともいえない読後感が後を引く。
個人的には表題作よりも、同時収録されていた...続きを読む「ぞんび団地」が好み。ナンセンスなのにせつなくて、フワフワとした哀愁が読む者の心の奥にゆっくりと沈んでゆく。
Posted by ブクログ 2010年07月09日
表題作をはじめとする短編集。悲しい話が多かった。
トンコ、を読んでしばらく肉売り場で佇んでしまいそうだ。
食べ物をだからありがたくいただく。
他の作品も読みたくなった。
Posted by ブクログ 2011年07月16日
【第15回日本ホラー小説大賞短編賞】
表題作の『トンコ』は、不思議なホラーでした。3つめの『黙契』は少しウルルって来た。「帰りたい」って一言が難しいんだよなぁ。
補足:黙契、ウルっとは来たけど、うわぁ;;;というか、う〜ん。ホッとした?とも違うし、良かった、とも違う。妹死んでるわけだし・・・。な...続きを読むんとも言えないけど、食後には読まないほうがいい、と思います。