【感想・ネタバレ】ロシアの眼から見た日本 国防の条件を問いなおすのレビュー

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Posted by ブクログ

ロシアから見た日本は、アメリカの「衛星国」としてしか見られておらず、交渉相手ともみられない冷徹なまなざしがあるのが現実。アジア諸国からは本来期待されている(た)はずが、その期待がしぼんでいるかも知れない。

「シアター」として、日本の周りには北朝鮮、北方領土、尖閣地方、台湾等、リスクに囲まれており、いつ何が起こってもおかしくない。長い目で見れば、平和は戦争と戦争の間のつかの間の平和であり、大国間やアクターたちの微妙な均衡で成り立っているに過ぎない。

このような状況で、衛星国である日本はいかにふるまうべきか。正面から切り込んだ良著と言える。著者はこの本を書くために外交官を辞めたのか?と思わせるほど、持論、正論をしっかりと示して、国民が正しい危機感を持つことと外交の重要性を示していると思う。

特に後半の、日本を守る観点からの論説は、その複雑性、重要性、現実性から大変勉強になった。外交とは大変幅広い要素からなる芸術品のようなもので、単に国力や戦力をカバーして行うだけのものではないようだ。人類の英知とも言える複雑な思考とセンスが求められる。

北京で読んだことも、より現実感を感じる一因だったかも知れない。また、いまやっている仕事に厚みや意義を与えてくれる一冊でもあった。出会いに感謝。

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2024年04月04日

Posted by ブクログ

 本書は外交官の立場から、国際政治や外交を感情を入れずに実利で冷静に判断し、徹底したリアリズムで国際社会が書かれている。
 ウクライナ侵攻について、感情的にはロシアの蛮行は許せないが、一方的に我々の価値観で断じられるものでもなく、国家の関係を我々の価値観のみで考えるから間違っていると理解できた。
 日本はロシアを経済的に弱小国と捉え格下に見ているが、ロシアは戦後日本を非主権国家として一人前には見ていない。これについて、戦前からの日露関係を紐解いて合理的に論じられており、納得できた。
 戦前について自虐史観の反動なのか、最近は日本はアジア独立の盟主として振る舞ったとの史観に注目が集まっているように思う。どちらの主観も一面では真実であるかもしれないが、ロシアという明治維新以来の仮想敵国の目から日本を見ることで、日本の戦前の立ち振る舞いや現代ロシアの世界観、善悪で論じられない国際社会のリアルを見られる一冊であった。

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2023年07月29日

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