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素敵なお話でした
婚約者に5年間も放置され、その上に結婚すると聞かされ、悪意を持ってその結婚式に招待される｡そんなヒロインを待っていたのは勇者アレクとの出会いだった｡2人の出会いはお互いと周囲の人々を巻き込んでいく。
勇者アレクと妹リィアが、実は孤独に生きているところに、ヒロインの存在はその心を救うもので、また、2人の存在は元婚約者の仕打ちで心を痛めていたヒロインの心の痛みを和らげていく｡とても素敵なお話でした。悪い奴らには、しっかり鉄鎚が降ろされ、痛快でした。剣を持てなくなった剣聖には、是非惨めに生きていってほしいですね。両親も村にいられないでしょうから、人を裏切った報いを受けてほしいものです。
Posted by ブクログ
アレクはまさに高潔な「勇者」というキャラ。
彼を前にして聖女アキやラネの元婚約者の彼が劣等感を刺激されるのも仕方がなかったとは思う。
だからといって、本編で彼らがやらかしたことを許すことも、またその後の展開に同情もしないが。
特に二人に訪れた「不幸」については想定以上に容赦がなくて驚かされた。
ざまあ展開というには酷すぎたというか、本当に容赦がない。
ラネが傷つきながらも、彼らを断罪しようとはしなかったのに対して、本編が彼らに厳しすぎた。
そう、結構厳しいのだ、この話。
ラネが元婚約者に聖女と結婚するからと捨てられる展開も酷なら、折角勇者アレクと心を通わせても、彼の不在期間が意外に長い。
何しろ彼は魔王を倒し1000年の安寧を世界にもたらしたとはいえ、まだ残留する魔物を退治するために駆り出されざるを得ない勇者だから。
あっちへ行き、こっちへ飛ばされと、なかなか結ばれない。
彼が歴代最強だとしても、命のやり取りをしていることに変わりはない。
心休まる蜜月は、本当に短い。
しかも、ラネを捨てた元婚約者とラネを捨てさせた聖女に訪れた展開も酷だし、そこから坂道を転げ落ちるように不穏な展開に陥っていく。
王太子のキャラでさえ、安全な立場にいられないのだから。
ラネとアレクが本当に心通わせた場面が、アンデットドラゴンの前だったというのが、また……
恋は命がけである。
幸い、ラネがチート能力に目覚めたため、何とかなったが。
作中で某キャラが言っていた通り、ラネもアレクも性格が割と似ている。
高潔で、思い込んだら少し暴走しがち。
ちゃんと結ばれるには、少々絡まった事柄を解す必要があった。
でも、一度思いを確認できたあとの二人は、まさに最強。
この二人なら、確かにこの先1000年の安寧は約束されたも同然だろうと、やっと安心できた。
アレクの妹リィネも交えての幸せなエンディング。
本編の不穏さと違って穏やかな、本当に穏やかなエンディングでびっくりした。
穏やかというか、地味というか。
勇者とその嫁の日常にしては、本当に穏やか。
本編の不穏さを払拭できるほどの甘やかさが最後にあってもいいかなと思ったら、それは特典SSにて。
様々な意味で苦労してきた二人だから、この先の人生はせめて穏やかであってくれと願うばかり。
他者に当たり散らし、見下すことでしか、自分の事を肯定出来ない、剣聖と聖女。
ただ、他人を救う為に、魔王を倒した勇者。
その勇者と、義妹の支えになりたいと思って、聖女の力に目覚めたヒロイン。
他者を思いやり、真っ直ぐに生きていくことは、難しいけど、そんな２人だったから、本当の幸せを感じる事が出来るんだろうなあ。
