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Posted by ブクログ
正直、数式はいっこもわからないし、なんなら数式以外のところもわからないのだが、それでもおもしろい。アインシュタイン方程式(重力場方程式)は10次の微分方程式で、その厳密解を求めるというのはたいへんで、変数を少なくするためにいろんな簡略化をしながらいろんな人がその解を明らかにしていった歴史があって、それがブラックホールの予言とか、宇宙の構造についての理解とかにつながっていってという歴史だけを拾うだけでもなかなかよかった。ブラックホールに種類があって、アインシュタイン方程式のわずかひと月後に明らかにされたシュバルツシルトのやつは静止してるとか、カーの解のやつで宇宙のすべてのブラックホールがあらわされるとか、なんか胸熱じゃないですか。この本、半分もわからないけど、そんな読者にも面白いと思わせてくれる著者に感謝です。
Posted by ブクログ
宇宙検閲官仮説~「裸の特異点」は隠されるか~
特異点とは、「あらゆる物理法則が破綻をきたしてしまう『無限大』を導く点です。物理的には『あってはならない』不適切な場所」。
その特異点がブラックホールの外に存在することを許すかどうかの議論から、一般相対性理論と量子力学とを統合する理論を待ち望む物理学の世界を紹介するブルーバックス。
本書では、次のような話を展開してきました。
・一般相対性理論にもとづくと、ブラックホールや宇宙膨脹の解が得られること。そしていづれの解も、特異性のある点を含んでいること。
・時空に特異点が存在してしまうのは一般的であることが「特異点定理」として示されていること(時空の対称性や、具体的な解に依存しない証明がされていること)。
・特異点がブラックホールの内部に隠されない「裸の特異点」が出現する可能性を却下するために「宇宙検閲官仮説」が提案されたが、特殊な場合では成立しないことが指摘されていること。
・特異点定理や宇宙検閲官仮説が、新しい研究の扉を開いてきたこと。
はたして、私達は時空特異点に対して、どう考えていけばよいのでしょうか。いろいろな意見があることでしょう。
・特異点の出現問題は、おそらくブラックホールの内部だけの問題だろうから、放置しておいてよい。
・特異点の出現は、理論の不完全さを示しているので、決して現れることがないように理論を修正すべきだ。
・特異点の出現は、次のステップの理論への足がかりとなるから歓迎すべきだ。
どの立場が正しいのかはわかりませんが、現状では「一般相対性理論を超える理論が欲しい」というのが研究者に共通する認識だと思います。
(237~238頁)