【感想・ネタバレ】その話は今日はやめておきましょうのレビュー

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自分にとっての近未来のリアルを示された気分。それだけに終わり方がありがたい。映画『パラサイト』を、縮み志向&曖昧な含みで日本的にリメイクするとこんな感じになるのかなと思った。何にせよ文章がうまい。

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2023年01月25日

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あるところに、荒くれた若者がいました。若者は根っからのクズではないものの、すさんだ生活をしていました。ある日、善良なお爺さんお婆さんと出会い、若者は老夫婦のお手伝いをしていくうちに、素直な心を取り戻していったとさ。めでたしめでたし。とすんなりちゃんちゃんといかないのが井上荒野。もうクライマックスがヒヤヒヤ。地面に放置された金魚のように呼吸困難になった。若者でもなければ老人でもない私は、誰に感情移入しているのか?さっぱりわからないが双方の心の機微がうまいのでかなり面白かった。結論:スポーツはやっぱりイイネ!

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2021年02月22日

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ネタバレ

面白くてあっという間に読んでしまった。
穏やかな老夫婦のもとに、人を殴るのが気持ちいいというヤバめの若者が家事手伝いに来る段階で、どうか相互に良き影響を与える話であってくれ…と祈った。
実際はどうだろう、若者は詐欺まがいのことをし関係は崩壊するが、老夫婦は困難を解決できたことで自分に自信を取り戻し生活は活性化した。
若者の方も、たまたま気持ちがそっちに振れて悪事をしてしてしまっただけで、多分もうああいうことはしないんじゃないか。

老夫婦、50万円を詐欺られそうになった時に子供に相談しないし若者の身元を調べようともしないし悪手を打ってばかりで、これを回避できたのは本当に運がよかっただけなんだけど、
でもこれは詐欺だという結論を2人で話し合って出せた、その点がすごく良かったな。
きっとこれまでもそうして知恵を絞って支え合ってきたからこの穏やかな老後があるんだろうなと思った。

しかし老夫婦がロードバイクで走る描写、普段電動自転車に乗っている身として肩身狭かったな〜。

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2020年10月02日

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人生の終盤、老いの現実に揺らぐ夫婦と、身の振り方が定まらず迷える20代半ばの青年との関わり。

どの年代もそれぞれの葛藤がありますね。

会う度に小さくなる私の父母が、肩寄せあってふたりで暮らしていることを想いながら読みました。

穏やかな老後の生活につむじ風がたったくらいの、何気ないストーリーです。それをこんなにも豊かに描きあげているのは素晴らしい。

老夫婦の心の機微、その形容しがたい心の細やかな動きを、身を置く場所、会話、見るもので表現しています。
丁寧な書き筋に、品の良さを感じる作品でした。

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2020年08月17日

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第35回織田作之助賞受賞作。

72歳の大楠昌平と69歳のゆり子の老夫婦。
昌平が事故に遭い怪我をして、通院のためにサイクルショップで偶然出会った26歳の青年石川一樹に、お金を払い、車で送迎を頼むことに。
ついでに、家の中の掃除や庭の手入れなども頼みますが、一時は隣家の住人に勝手に切られた植木に対して文句を言ってくれた一樹に対して頼もしい気持ちや親しみを覚えますが、次第に一樹によって家の中は不穏な空気に包まれていきます。その時のゆり子や昌平の不安感が上手く描かれていました。

人は老いてくると若さというものを頼りにしていたのが、形勢が変わってしまえばすぐにも恐怖にさえなってしまうのですね。老いは誰もが避けられない道だし非常に怖いことだと思いました。
もしかしたら、一樹の側に立って、鼻持ちならない老夫婦だと解釈する読者がいるとしたら、もの凄く怖いと思いました。

一樹のいいかげんさに途中までなんだか気持ちの悪い話を読んだ気持ちにさせられましたが、最後はハッピーエンドとはいえませんが、一樹も人間らしい一面がうかがえました。
ただ、これはお話ですから、実際にこのようなことが起きたら、それではすまされないような気がしました。

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2019年10月13日

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ネタバレ

ロードバイクでのサイクリングが趣味の定年後夫婦ゆり子と昌平。
昌平が事故で足首を骨折したことをきっかけに、以前知り合っていた青年一樹を家政夫として雇うことにした。

ザワザワと嫌な気持ちになるお話。
それでも先が気になりやめられませんでした。

ゆり子と昌平夫妻がお人好しとも言い切れず、近所との付き合いも疎遠だったがために一樹に頼ってしまった所があったのだろうと思うと、寂しさを感じます。
一樹も、暴力的な衝動を持っているとはいえ、根っからの悪人ではなかったのではないかと思わされ、それは私もお人好しなのかなと反省したり…
これを機に、夫婦の結束は更に強くなるのでしょう。
一樹も真っ当に生きていってくれる様な終わり方でしたから、それを祈りたいと思います。

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2018年10月08日

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意外な結末だった。
タイトルやジャケットも謎めいていて、怪しい雰囲気だったからだ。
作品は登場人物のゆり子、昌平、一樹のそれぞれの視点から描かれており、描写が丁寧で気持ちやその変化が読み取りやすかった。

老人=弱い立場=憐みのイメージが最後にはいい意味で払拭されて清々しい気持ちになった。

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2024年03月08日

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定年後の夫婦の趣味としてクロスバイクを楽しんでいた昌平とゆり子。

昌平が交通事故で骨折してしまい、通院やリハビリ、これからの生活のことで不安に駆られるなか
夫婦が出会ったのはかつてサイクルショップで見た一樹という青年だった。

一樹に通院や家の手伝いのアルバイトを頼むことになり、彼の素性や知らないままだったが、関わっていく中で彼に対する信頼はゆるぎないものだった。

大楠夫婦はいい人たちで、たとえ衝動的に破滅的な思いに駆られたとしても、決して彼らを裏切れないと思っていた一樹だったが、
出来心からゆり子のジュエリーを盗んでしまい、悪い友達にそそのかされ金銭の要求にまで及んでしまった。

老いていく体。残された時間。
結婚し子供が独立し、お金にも多少の余裕があり、夫婦水入らずの静かな時間に突如あらわれた、魔が差した青年の存在。

誰もが老いていくのは事実で、私も身を引き締められたような感じ。
恐喝で目が覚めるゆり子、大楠夫婦の決断が、よかった。
甘いよとかもっと早く警察に言うべきとか思うんだけど、一樹を信用していたからこその行動が、またリアルで、荒野さんすごいです。

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2023年08月11日

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いつもどんよりとした曇天を連想する井上作品
今回もそこかしこに不穏な空気が漂っていました。

72歳の昌平、69歳のゆり子、二人が住む一軒家で通いの家政夫として働く事になった若者、石川一樹、この3人を軸として物語は展開します。

どこにでもいそうな人の良い初老の夫婦が、一樹と関わる事で気持ちが揺れ動きます。
根は「いい子」隣人とのトラブルを小気味よく解決したり頼まれた仕事は快くこなす、その反面、厭世的で暴力的、自暴自棄な面もある一樹

一樹の危うさと、「老人」と呼ばれる事に抵抗を持ち、老いに逆らおうとする夫婦の感情がリンクしてそこにリアリティーを感じます。

実際に存在しているかの様な登場人物様、それぞれの心理描写が秀逸で絶えず脳内映像で場面が見えた作品。

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2023年02月11日

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リタイア後の老夫婦と、一人の青年の物語。青年は仕事もなくただそのひぐらしで生活していたが、ひょんなことから老夫婦のところで、「何でも屋」として、小遣いを稼ぐようになる。

元々不器用だが性格は悪くない青年は、自分のできることで、老夫婦の生活をささえていくが、方や心のどこかで彼らを蔑む感情を持つ。

少しずつ、悪い感情と行動、またそれに徐々に気づきながら、彼の行動と決めつけたくない老夫婦。

性善説の中で揺れ動き、あるタイミングでそれらが衝突する。なんとも日常の中でありそうな、リアルな物語で不思議な読後感であった。

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2022年07月08日

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いつか自分にもこんなふうに若者に騙されたりする日が来るんじゃないかとはらはらした。すごく不快な気持ちで読んだ。
一樹は根っからの悪人ではないけど、そこがまた腹立たしいというか、いらいらした。ゆり子は上品で思慮深く、時にしっかりと自分の意見を放つ。
惚れなおした、という夫はどこか頼りないけど、老夫婦の姿としては理想的なのかも。

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2021年05月27日

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ネタバレ

うーん、よかった。今、自分の口角が上がっているのがわかる。あと味悪くないラストでよかったとホッとしたのだ。

上品で健康で金持ちで呑気な老夫婦、おまけに仲がいいとくればもう、申し分のない二人だ。子供達もそれぞれに幸せで。そこにささやかに波風を立てることになる一樹、こちらも本当の悪党ではないからまずいことにはならないのだった。

素敵だったな、ゆり子さん。

この手のワールド、得意だよなぁ荒野さん。

一樹が春子と一緒になって、まっとうな職を得て子供に囲まれて幸せになったんたらいいなぁ。

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2021年02月13日

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Eテレのネコメンタリーという番組で、井上荒野さんが出ており、言葉選びにこだわっているという事をおっしゃっていたので読んでみたくなりました。井上さんのご著書は初めて読みます。

上品な老夫婦のもとに、上司を殴ってクビになった青年が現れ、家事手伝いのバイトをすることになる。

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2020年07月31日

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ネタバレ

*定年後の誤算。一人の青年の出現で揺らぎはじめる夫婦の日常―*

なんともはや。
巧過ぎます。
老夫婦の寄る辺なさ。どちら側にも簡単に揺れてしまう青年の脆さ。
最後は「だまされていることじゃなく、だまされちゃいけないと言うことに気が付いた」老夫婦に軍配が上がってほっとしましたが、「いつでも誰かや何かが、したくないことを俺にさせる」青年は何処にたどり着くのでしょう・・・
なんとも言えない寂しさの残る読後感ではありますが、双方の心の機微が痛いほどに伝わってくる、巧みな表現力に脱帽です。

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2020年07月13日

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人は必ず老いる。どのように人生を経て、老い、それを受け入れて生きてゆくのか。若さはズルイ。ずるくて弱い。それでも純粋な部分を解ってくれる大人がいれば少しは変わるものだ。老夫婦と若者の出会いが彼らの心と生き方をすこしだけ動かすストーリーは、なんだか春の陽射しのようで暖かい気持ちになった。

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2020年04月11日

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泣けた…老いが近いものとしては…
若さとは本当に残酷なもの。そして、持てるものと持たざるものとの溝は深い。

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2020年03月11日

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なかなか良い人情話だった井上荒野(アレノ)作品。夫婦二人住まいになった昌平72ゆり子69は健康の為に始めたクロスバイクに嵌まり日々楽しんでいたがパンクした時に立ち寄った自転車店で好感度の青年に修理して貰った。その後、昌平が交通事故に遭い不便な生活を余儀なくされていた時に偶然の出逢いで家政夫まがいの通い仕事をくだんの青年にして貰うことになるのだが......
人を信じること信じられることの機微が語られる作品。
寸前に読んだエッセイ集「夢のなかの魚屋の地図」の余韻が残っているので随所に"なるほど部分"があるのも納得でき楽しく読めた♪

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2019年12月12日

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一樹はだらしないだけで、必ずしも悪い人間ではなかったということがより恐ろしさを感じた。
悪い人間ではなくとも、悪事は行われる。
大楠夫妻の老いたことによるべなさと若者をそばに置いておきたいという気持ちは目が開かれた。

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2019年01月03日

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一樹にしろ 老夫婦にしろ
相手を心の底から嫌いになれなかったから
老人をないがしろにしたり
若いから悪いやつだと決めつけずに
やっぱり嫌いになれない
という感覚は信じれたから
毅然とした終わり方が出来たんだと思いました

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2018年09月20日

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ネタバレ

2018.8.11.
老夫婦の家に入り込む青年の内に秘めた暴力的衝動。
立ち向かわなければならない…後半はドキドキしながら読んだ。思っていたより、内容に入り込めよかった。

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2018年08月31日

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素敵過ぎる老夫婦。本当は優しい?のかよくわからない一樹。現実感ないまま終わった。
お隣さんと、息子が死んだって言いに来た人はなんだったん??

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2024年02月08日

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70代前半の夫と60代後半の妻が老夫婦といえるのか微妙なところだが、若者から常に憐れまれ、蔑まれてると半ば自意識過剰になってるのが寂しい。

「その話は今日はやめておきましょう」と怖いこと不安なことから目を背け、後回しにして、気にしないと決めて問題に蓋をしてしまうと、小さな綻びがそのうち取り返しのつかない問題に発展してしまうという内容。

若者に引け目を感じている夫の昌平が、何かを吹っ切ったかのように3人の若者に話しかけに行き、結果的に何も恐れることはなかったのだと、3人と楽しく話ができたシーンと、
自分たち夫婦を騙した一樹に、妻のゆり子が最後の電話をかけるシーン。
これをきっかけにこの夫婦は何かが変わっていくんだろうな。

盛り上がる部分は無いけど、登場人物の心情が丁寧に表現されていて、こちらも感情移入したり、第三者目線で傍観したりしながら一気に読めました。


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2024年01月27日

Posted by ブクログ

相手のことを想って、あるいは自分のエゴのために、またあるいはただ面倒臭いことから目を背けたくて、後回し後回しにしていた問題が最終的に爆発して、取り返しのつかないことになる。そんなお話。あらすじにするとなんてことないけど、なんてことのないテーマでこんな豊かな一冊の本が書けてしまう井上荒野さんはやっぱりすごいなぁと思う。奇を衒うわけでも、目立とうとするわけでもなく、日常性の静寂の中からじっくりと時間をかけて人間の本性が炙り出されてくるような作品。

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2023年08月15日

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7/100
リタイア後の趣味で知り合った若者と初老夫婦の関わりの中で人の優しさと信頼感…
「それ、あるあるー」
「分かる分かるー」
と共感を得る中で相手の心を考えていきたい。

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2022年01月24日

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ネタバレ

五十万円の押し問答の所からとことん騙されていっちゃうのか…と思ったけど、正気というかちゃんと「疑う」ということを捨てないでよかった。
共有の趣味がある、会話もある、夫婦生活もある、仲の良い夫婦なんだな。
夏希のアメリカ行きも、子供は夏希だけじゃなく睦郎も近くに住んでいるようだからまぁいいんじゃないか

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2021年09月19日

Posted by ブクログ

井上荒野さん、すっごく丁寧に描かれる方で読んでると気持ちがほっこりする。
今回は、大楠老夫婦がなんだか影のある?アウトロー的な雰囲気の青年とのやりとりでちょっとハラハラするストーリー。
真実から目を逸らすというか、無かったことにしたいズルさとか、偽善とか、あまり直視したくない人間の嫌な部分を描かれていて座り心地が悪いムズムズする本でした。
でもラストは、人生の年長者、先輩はやはり一枚上手だしみくびってはいけないとビシッとカッコいい作品でした。

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2020年12月31日

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なかなか面白く、すぐに読んでしまった。
大楠夫婦が一樹に騙されず、果敢に立ち向かっていくところがよかった。ゆり子さん凛々しい。
それにしても一樹の言動が嫌。根っからの悪人ではないとしても普通の人は誰かを殴りたいなんて思わないよ、、

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2020年10月21日

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さらさらと読めたが、もう少しひっかかるところがあったらよかったような。
シニア夫婦間の心の機微はよく描けていると思うが、まとまり過ぎ、あまりに穏やか過ぎで、肩透かしを食った気がしてしまう。

また、一樹の心の中も、もっと奥まで覗きたかった。本人もなぜ自分がこんな行動をするのか掴みきれていないが、その悪意の素は何なのか、ちらっとでも見せてほしかった。きっと自分も同じようなものを隠し持っているような気がするから。

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2019年09月13日

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相手のことがよくわからないのに、あれこれお手伝いを頼むって、それほど最初の印象が良かったということなのね。
第一印象も大切なんだろうけれど、その後の付き合いの程度にもよるかもね、それを信用するかどうかは。
最後に、「お金を振り込むのはやめました」としっかり相手に言うところがいいな。
言わなきゃわからない人には、ちゃんと伝えないといけないんだろうな。ま、言い方には気をつけないとダメなんだろうけどね。調子よく合わせてくるとか、異常に持ち上げてくるという人は何か企みがあるのかも。

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2018年09月02日

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平穏な老夫婦の日常が、一人の若者の出現によって揺らいでいく。老人を馬鹿にする若者。若者に馬鹿にされまいとする老人。問題が起こっても、子供たちにも言えない老夫婦の思い。若者目線と、老人目線で語られる物語は、どちらかというと老人目線にある者としては身につまされる。

読んでいて、これは本当に荒野さんの作品なのかと疑うような内容。確かに不穏な雰囲気は少し荒野さんらしくもあるのだけど、終わり方のスッキリ感とかはちょっと違うような・・・。
荒野さん、歳を重ねて新境地に至ったのかしら。

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2022年10月09日

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