【感想・ネタバレ】日本のナショナリズムのレビュー

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Posted by ブクログ

中国在住経験のある著者による、よく調べられた面白い本である。ただし、マルクス主義ではないにしろ左翼的な反帝国主義に固執した発言が気になった。「幕末に、ヨーロッパ列強の覇権争いに日本もいち早く参加するため開国した」「日本の植民地政策により、収奪されたアジア諸国から恨みがずっと残った」は、誤りであると思う。また、「信念を貫いた祖父を見習うべき」とか「大政翼賛会に賛成したから悪い」等の、時の話題性トピックを無理につなぎ合わすジャーナリスト的レトリックで話が進められている箇所があり、論理的学術性に乏しい。
印象に残った箇所を記す。
「李登輝が「台湾のわれわれに文明を伝えてくれたのは日本である」という見方から「認識台湾」という教科書をつくった。それまで中国の清朝は台湾に何もしてくれなかったのに、日本は文明的な方法をいろいろ施し、指導してくれた」
「戦争の最中でも、植民地の台湾人は軍属止まりであって、士官学校にも行けない。ところが、併合された朝鮮半島の人々は、日本国民に準ずる権利を持ったので、士官学校に行くことができ、最後は中将になった人までいるように、日本国民とほぼ同じ権利を与えられていた。ところが台湾人は、最後まで二等国民、軍夫という民間人のかたちでしか採用されなかったのである」
「「夷の術をもって夷を制する」佐久間象山」
「中華の外側は外夷で、中華文明では外交という発想はない。外の野蛮を接待してやる「接待所」はある」
「よく見る人(予言的思想家)、見ておこなう人(坂本龍馬、高杉晋作)、そしておこなうときには果決するという政治的な人間(木戸孝允、西郷隆盛)、この三種類の人間が、開国のような変革期には必要になる」
「戦前:テリトリー・ゲーム、冷戦後:アイデンティティー・ゲーム」

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2018年11月26日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
近代日本のナショナリズムはどこで道を誤ったのか。
一九一五年の対支二十一カ条の要求や、統帥権干犯問題、斎藤隆夫の粛軍演説の問題、北一輝の思想などを題材に、戦前日本のナショナリズムが迷走し、暴走した原因を追究する。
さらに、現代の東アジアにおけるナショナリズムが惹き起こしてきた領土や歴史認識をめぐる各国間の軋轢を根源から再考察し、民主党への政権交代で注目を集めている東アジア共同体構想を含め、ナショナリズムを超えた東アジアの未来像を展望する。

[ 目次 ]
第1章 日本国家の未来像(「第三の開国」とアジア重視への転換;「開国」とは何か)
第2章 日本ナショナリズムの曲がり角―対支二十一カ条要求とポピュリズム(「大東亜戦争」と「東洋」の真意;「対支二十一カ条の要求」と膨張主義 ほか)
第3章 リアリズムとロマン主義のあいだで―斎藤隆夫と北一輝(予言的な思想家;明治の天皇機関説 ほか)
第4章 日本のナショナリズムとは何か(パトリオティズムとナショナリズム;東アジアにおける国民国家の形成 ほか)

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2014年10月30日

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