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また素晴らしい小説に出会えたことに感謝。そして、また大好きな作家が増えました。津村氏の語る言葉のあまりの熱量と、また、それを軽くいなすようなユーモアセンス、言葉のチョイスなど、どれも最高っす!イノギの「そこにおれんかったことが、悔しいわ」は最強に優しい。
主人公ホリガイのブレブレではあるが
やるべき時にはやる、行動力は素敵すぎる。動くべき時のために普段いかに準備しておけるか。誰かの為に…。
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津村記久子のデビュー作のタイトル「君は永遠にそいつらより若い」は改題されてつけられたものらしい。作品を象徴するとても秀逸なタイトルだと思う。このタイトルに惹かれ、沢っっ山の人に作品が読まれるといいなと思う。
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男らしく/女らしくと期待され、すり減るさま。
いとも簡単に人は死ぬってこと。
表層を舐めて理解した気になるグロテスクと、到達しえない他者理解という理想郷。
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映画を見てから、原作を読みました。
原作と映画では大きく印象が異なることが多いのですが、この作品は原作の雰囲気を映画にも上手く投影してるなと思いました。
性について思い悩んだ青春時代。自分が何者かと言う問いと、何者でもないと言う絶望の狭間で、ごく『普通』に生きてきました。
なにかその若き日の漠然としていて、切実な思いみたいなものを思い出させられる作品でした。
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言ってしまってから、やってしまってから、言う前から、やる前から、の後悔が多いホリガイだけど、誰よりもちゃんと傷ついて、誰よりもちゃんと他者を想っている。短所の数が長所の数を上回っても、ヘラヘラした振る舞いの下に隠れる、たった一つの揺るがない信念があればきっとそれでいい。
もう充分人の抱えた痛みに敏感な彼女を、それでもまだ自らが感じる言いようのない欠落感を持て余す彼女を、大事な人のためにとっ散らかってしまう彼女を想う。この本を、映画を思い出すと、彼女に対する共感や愛おしさ、私自身への情けなさと不甲斐なさ、そして自分にとっての大切な人のこと。いろんな感情が湧き出してきて眼の奥がツンとしてしまうのだ。
自分の中で痛いほどの強度を持って刺さってしまいました。
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かたくかたく自分で膝を抱えて、腕に食い込む爪が自らをきりきりと痛めつける。
誰か、救ってくれかるかな、なんてもう半分は諦めてるよ。
この種の痛みを抱えている人としか分かり合えない気もするし、そういった人はそうでない人と居ないと壊れてしまう気もしている。
愛してくださいなんて、もうとっくに枯れた声では、心では、とてもとても言えなくて、孤独にもとっくに慣れた。
心を開けなんて言わないで。だって、誰がこれ以上傷付きたいというのだろう。
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穏やかで平凡で退屈で怠惰な日常と、残酷すぎる悪意の表出
弱いものを踏み躙る無自覚な強者の存在
作者は迷いながら、その連帯に希望を見出さんとする
焦燥に追い込まれないように
僕はホリガイさんが好きだ
彼女の焦りも葛藤も全て自分のもののようだった
ホリガイさんが映画になるのはとても嬉しい
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何かが起こった後の不穏な空気を孕みながら、本題にふれずにダラダラ進んでいく感じが、どこに向かっていくのかわからず、大丈夫かな、と多少不安になりながらも、ポツポツと挟まれるじめっとしたヒントのようなものを頭で繋げながら最後まで一気に読んでしまった。
絡むエピソードがどれも強烈で、主人公の周りに集中して起こるのはドラマが過ぎるけど、現実ではそれぞれの事件は日々起こっていて、私もまたそんなエピソードを持っていて、この物語の登場人物の1人だ。
イノギさんの過去の詳細が回想される場面は不意打ちで、胸に重りが乗ったみたいになった。
自分に対してどこか諦めた態度や、他人への嫉妬心も静観し部外者みたいに分析するホリガイは、若干22歳の若者というより、ミドルエイジみたいだな、と思ったりもしたけど、所々で突然衝動に突き動かされ、彼女曰く、"変"な部分が理性を突き破って面にでる。そんな情熱?を秘めているところに、あぁ、彼女はただ、若者特有の迷いの中にいるのだなと安心した。
彼女の思考には共感する部分が多く、児童福祉に関わろうと思った理由には(自分が児童福祉に興味を持った理由と同じで)とても共感した。
"それはあまりにもつたなく、衝動的なものだったからだ。……それをうまく他の人に説明する自信はまだなかった。その男の子のことを考えるときの、私の心の内は、明らかに標準の大人として不適切だと思われたし、どこか妄想じみてもいた。”
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おかしみの中に悲しみのある、血の通ったユーモアだ
題がとても好きです
大学生という、羞恥をすてて、無意識で過ごしたほうが勝ち、みたいな時期をこうも自意識ばちばちに過ごしてしまっては、それはポチョムキンにもなるよなあ、と覚えがあります
一度読んだだけではなんともまとめられないけど、とても好きな感じでした
あと何度か読む
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他の方も書かれているが、タイトルが圧倒的に素晴らしい。そして、タイトルの意味もわからぬままダラダラと読み進める、大学時代のダラダラとしたやるせない日々の物語りはなかなか面白い。本題はなかなか提示されない。
「雨のように降ってくるトラブルを、僕たちは夢中になって拾い集め、ポケットに詰め込んだ。」
たまたま並行して読んでる関係のない小説の一節だが、そんな無意味にも見えるけど愛おしい日々。だけどそんな日々のトラブルの中に、雷のような悪意が潜んでいた。
かつてはやり過ごすしかなかった理不尽な悪意に対し、今でも解決出来るかは判らないけれど、それでも前向きに進んでいく、そんな主人公に寄り添いたくなる小説です。
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こんな話だと思わなかった。
いろいろなことが書かれていると思うけど、この本がどんなテーマの物語なのか、わたしには言い当てることが難しい。
でも、(わたしの選ぶ言葉が正しいかわからないけれど、自分の言ったことで誰も傷つかないことを願うけれど)自分がいかに平凡で、それがどんなに幸せなことなのか、能天気に生きていられていることの非凡さを痛烈に感じた。
読み終わったあと、わたしはどうしたらいいのかわからなくなって、気づいたら昔の自分の子どものころの写真を見返していた。
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うまく表現できないが題名からおしはかる芯のテーマと、全体のストーリーとが噛み合わない気はするけど、その散らかったまとまりきらない雰囲気も含めて名作だと思う。
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楽しい事や悩み事が有りながら、日常を過ごす若者。
日常の中ある突然の計り知れないほどの暴力行為。
サラリとした文章で書く事で主人公や周りの人達の心情がよりどんなものか分かり、引き寄せられる。
希望と言うベースがきちんとある事が嬉しかった。
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そんなに大きなことが起きず、淡々と進むから、この感じでずっと行っちゃうのかなーと思っていたら、残り三分の一くらいからは、一気に持っていかれた…
結構、ドロドロしたことが起こっているのだが、それをまるで白黒の世界のように描ききるから、読む力みたいなものを引き出されて、読み終わりは放心状態だった。
『君は永遠にそいつらより若い』と言えるホリガイは、このあと、きっと仕事を全うできる。
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タイトルの印象強さに即買い。
読みはじめは、どこに進んでいくのか分からず
読みづらさがあったけれども、
半分過ぎたあたりからはどんどん読めてしまう。
主人公の独特な冗談や、
周りの人間の多様な人間性に
頭をフル回転させながら読んでいく。
思わぬ方向に進んでいくけれど、
冒頭の印象からは
想像できない読後感が味わえて良かった。
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主人公の考え方や言い回しがおもしろくて、ストーリーよりも友だちの話を聞いてる感覚に近くてほんとにおもしろかった。
その中に潜む重いテーマの書き方も、なんとも大衆的ではなく、奥ゆかしさと言うか淡々としてると言うか、これ見よがしでなく、とても良かった。タイトルが秀逸。
文才の伴う面白い作家を見つけた。
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「これは一体何の話なのだ」と戸惑いながら読み進めると、もともと津村さんの文体は苦手なもので、途中で投げ出したくなってしまいました。しかし、最後の1/4くらいで物語が急展開して俄然面白くなってきます。
津村さんのデビュー作である2005年の太宰治賞受賞作『マンイーター』の改題。
デビュー作にありがちな力の入り方、凝り方で前半は判り難くかったのかもしれません。変わり者と思われている長身で処女の女子大生ホリガイとその友人たち。少グダグダして、ちょっと可笑しい青春物語だけど、そこに秘められた若者らしい生真面目さや悩み、辛い過去等が表に出て来る後半が見事です。
全く知らなかったけど映画化されたようです(2021/9封切)。ナルホド、映像化すると映える作品かもしれません。
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ホリガイのイノギさんへの気持ちがなんだか不思議。
恋?尊敬?友情?
大学あるあるみたいな感じで読んでたら、急に暴力とか闇的な部分が差し込まれたりして面白かった。
闇を面白いってサイコパスかよ。
まあでも、面白かった。
【2023.5.10追記】
映画を見て思ったけどこの作品には暴力わ受けた人の悲しみが描かれてると感じた。ホリガイが子供を保護したのは暴力が存在する世界での光。
人を傷つけてはいけない。
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あなたがわたしのことをすっかり諦めて忘れてしまっても、わたしはあなたのことを気にしているんだろうということを、どうやってイノギさんに伝えようかと思った。
なにもない。何もないことがある。
小説だから何か起こるけれど、あくまで小説だから。
この作品の世界は、小説でなかったらおそらく何も起こらなかっただろう。
それでも私はこの世界を体験してみたいと思う。
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面白かった。主人公の、ひんやりとした自己分析が、「あーわかるわかる、この気持ちは確かに言葉にしたらこんな感じだよね」というのが何度もあり、小説を読む醍醐味だと思った。
ただ、一方、私の読解力が低いからなのか、最後の結末(タイトルがそのまま出てくるところ)が、少し唐突に感じたというか、それまでとの文脈と上手く自分の中で繋がらなかった。
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読み終わってから毎日、ふとしたきっかけで大学時代の何気ない一コマを思い出します。かつて贅沢すぎるくらいの「自由な時間」を持て余して、ただ好きな人と好きなことしてた大学後期の頃の自分が、物語のくだらないエピソードと薄く広くリンクしていたのだと思います。個性的な登場人物たちと、またあの頃を共に過ごせたかのような。
終わり方も含めて決して明るい物語ではないけれど、読み終わってからしばらく、心地よい余韻が残るような、良い作品に出会えた気がします。
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大学を卒業して四半世紀が経とうとしている。たった4年間なのか4年間もなのか、あの時を過ごした同級生や教授や後輩や先輩は厳密に言ったら4年間に満たないつきあいもあるんだけど、濃密だったなと思い出す。自意識過剰っぷりだったり、自尊心やら屁理屈やらごたまぜになったあの感性を「若さ」でくくるのは乱暴かもしれないけれど、会話の端々に似たようなやりとりしたことあったなと懐かしいような苦々しいような思いがこみあげてくるのは、作者と同世代だからなのか。大学生というものがそういうものだからなのか。私には判断がつかない。
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作者と同世代なんで、大学時代の繁華街の夜の猥雑な空気などを懐かしく思い出した。
当時よく吸っていた煙草の匂いが確かに蘇りました。
性がアイデンティティに深く食い込んで振り回されていたあの頃。
暴力も性犯罪も自傷も死も、ふりかえってみれば意外な程身近にあった事実に、今さらたじろぎます。
評価があまり高くないのは、最初は不器用で人のよい主人公をほほえましく思っていたけど、あまりの煮え切らなさに次第に苛立ってしまったこと。
君は永遠にそいつらより若い、って、揺るぎない事実によって最大限励ましているのは分かる。
でも、それがどうした?
だからって少しでも傷が癒されるのか?
という疑問符も同時にわいてしまうんだ。
あと、最後に出てきた描写が読んでいて胸が悪くなったので。
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脱力感のある文章だけど内容が結構重たくてびっくりした。
改題前のタイトルに納得。
早く冒頭の意味が知りたくてあっという間に読んでしまった。
イノギさんがボーイッシュな格好をしているのはそういうことだったのか。
怖いけど映画も観てみたいな。
津村さんの作品って、登場人物の名前がカタカナだったり漢字だったり平仮名だったり、使い分け方が気になる。
しかも穂峰くんの場合、ホリガイさんが言う時は「穂峰君」、吉崎君が言う時は「ホミネ」って変わるし。謎…
そしてトフィーリキュールというのを初めて知った。
どこで飲めるんだろう。
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序盤は、おもしろくなるのかこれー?と思っていたけど、だんだんギアがかかって読んでいった。
久しぶりに文学作品を読んだなあ。
全てが白黒付けられる訳じゃない。
その中で折り合いをつけて生きていくような
グレーのまま生きていくような
そんな話だと思いました。
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本屋でこの本を見かけて、「映画化」「大学生が主人公の話」に興味を惹かれて読んでみました。
The大学生の日常から、その裏に潜む暴力的な部分がひょっこり現れてきて、なんとも言えない辛い気分になりました。
身体の大小とか体格の描写が多かったのが印象に残っています。力の強弱の差が、日常に隠れる暴力や哀しみを生んでしまうんだろうかと思いました。
Posted by ブクログ
タイトルのインパクトが強すぎて、ある種、ジャケ買い的に特にあらすじも事前情報も入れずに読んだ。
本作は日常に潜む暴力やマスキャラリティに虐げられる女性や子供に焦点を当てているが成人男性の自分が読んでも強く心を動かされるものがあった。二日酔い、宅飲み、終電。大学生らしい日常がゆるい関西弁で綴られていく様子はどこかノスタルジック。その随所に不穏な暴力や理不尽の陰が見え隠れ。暴力を振るった側はそんなことを忘れて、平然と生きている一方で受けた側は一生それを忘れない。でも「君は永遠にそいつらより若い」。
バイト先のうざいフリーターに言ってやりたいなあ。僕は永遠にお前らより若いって。