【感想・ネタバレ】タイタンのレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月04日

仕事とは何か…。普段ある『仕事』がどんなに面倒くさくて有り難いものなのかを感じた。それにしても…AIに助けられすぎる生活というのも怖いものですね…。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年12月08日

人類が生み出したAIに人類の全てを管理してもらっているという未来の話なのに、どんどん神話の世界に戻っていくような展開がとても面白かった。コイオスと内匠成果の思索の旅も、旅だからいつか終わりが来てしまうのが寂しかった。
人類が神様を創ってしまった。そんな神話の一ページに立ち会っているような驚きや感動が...続きを読むある。人間には感知できない何かがこれから始まるのだという、その変化と進化の瞬間の物語は、ドラマチックに感情に訴えかけてくるものがあり、何度もうるっとさせられた。
数少ない登場人物がみんな魅力的で、信頼できる仕事仲間という関係性が構築されていく過程も楽しく読めた。なぜだか想像しやすく、頭の中でみんなが映像で動いていた。
人の自我は言葉でできている、と成果が言っていたのが印象的だった。言葉を肯定してくれてありがとう。人類は万物の霊長なんかじゃなかったというラストも良かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月19日

 とても完成度の高い本格SFで、非常に満足しました……! 「AIに管理された未来の世界」というとディストピアを思い浮かべがちですが、この作品は実にまっとうに科学を進歩させた末の、いわばユートピアが舞台。生活基盤が全て機械に任され、誰も「仕事」をしなくて済むようになったらどうなるかをリアリティを持って...続きを読む描き出しており、そこにまず大変感心させられました。
 暴走AIと言えば何かと悪役にされがちですが、この作品のAIたちはただただ人間のために健気に尽くしてくれていて、だからこそ、そのAIを助けようとする主人公にも共感できます。
 主人公と「コイオス」による対話を通じて、「仕事」や「人間」、「生きる」ということについて丁寧に考察されており、その説明もとても分かりやすく、専門知識がない読者でもしっかりと話についていけるのも嬉しいところ。
 エンタメ作品としての魅力もふんだんに含まれており、未来の人間社会の風景、コイオスが「巨人」と化して暴走する瞬間や終盤のフェーベとの対面シーン、大陸沿岸部に沿って旅をしながら出会う景色、四人が警備タイタンから逃走するカーチェイスシーンなど、一本の映画としてぜひ観てみたい作品でした。

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Posted by ブクログ 2023年06月15日

天才野崎まど。
さすが、2023年一月に出てるので、ちょうどChatGPTが席巻する前くらい。
滅茶苦茶タイムリーな話。
でもこれアニメにはしないほうが良いと思う。あまりいい絵面がイメージできない。
表紙ってなんのイメージだろう?
気になったのは、1kmのタイタンジャンプしたとか薙刀見えない速さで振...続きを読むり下ろしたとか…分かってて書いたのかな。実際にそんなことしたら地震とか、衝撃波とか凄そうな気がする…気がするだけ。

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Posted by ブクログ 2023年05月06日

至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれて人々が労働から解放された未来。
しかし全部で12のタイタンのうちのひとつ、コイオスに不調があらわれて…という、コイオスの不調の原因を探りながら『仕事』や『働く』というのはどういうことかについて考えるSF小説。

フォロワーさんにおすすめしていただいた...続きを読むのですが、まずは純粋におもしろかったです!!
私はSF初心者なのですが、主人公である内匠成果とコイオスとのやり取りや、途中のロードムービー的な展開、『働く』って何?という疑問…全てに引きずり込まれて夢中で読めました。

あと、SFなので、どこか知らない世界のお話なのかなと想像していたら、いきなり出てきた地名が立川だったのでちょっと笑ってしまった。
未来だけど、ちゃんとこの世界のお話なので、より入り込みやすかったのかもしれません。

AIが人の仕事を代わりに行う、というのは、今はどちらかというと「仕事を奪われる」というマイナスなニュアンスで言われるようなことが多いように感じているのですが(AI絵師とか、ChatGPTがライターに取って代わるとか)、しっかりと共存がされている、ディストピアではなくユートピアとして描かれているのがとても印象的でした。

私自身、今の部署ではもう4年近くずっといちばん下っ端で「この仕事を、私がする意味があるのかな…」と折に触れて考えていたタイミングでもあり、改めて『働く』とはどういうことかを見つめ直すこともできたように思います。
結末がシンプルな分、考えやすいというのもあったかも。

自分が今まで読んでこなかったジャンルの、とても良い作品に出会えました。

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Posted by ブクログ 2023年04月24日

久々に面白いSFだった。
仕事とはなにか。社会人として働いている自分にとって仕事を俯瞰的に考えられる作品。

(自我のある)仕事とは影響すること。
仕事の成功とは影響を与えられること。
じゃあどんな時に人は(AIは)仕事をしたと実感できるのか?100の力を出して仕事をして、100の結果を出せた時、仕...続きを読む事をしたと実感できる。
それに必要な仕事の要素とは端的に言うと、、(これ以上はネタバレ。もうだいぶしてるけど笑)

自分は仕事ってその取り組み(組み立てる、物作るとか)がお金に直結するものってイメージが強い。
(メーカーで働いてるし尚更)
でも実際の自分の今の仕事は研究チックで直接お金になっているわけではないからずっとモヤモヤしていた、、笑

けれどこの本を読んでふと思ったのは、
確かに誰かを動かせた時、誰かに働きかけた時、なんか前に進んだなぁって感じるし、仕事したなぁって思うのかもしれないってことなのかなと。
(つくづく思うが仕事は一人でするもんじゃないな。)

だからまあ端的にまとめると自分の中での仕事の定義が広がったってことかなと思います。
(てか、そう思いたい。)

余談ですが、
ベックマン博士の最後のセリフカッコ良い。
「スピードを出すのはとても楽しいことだ」
→自動運転が普通になってきたらもしかしたらノンフィクションのこの世界でもそう思うかもしれないなぁ。

あと、またまた余談ですが、主人公の名前がちょい仕事と引っ掛けてるのかなと想像すると面白い。だって「成果」さんだから笑

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Posted by ブクログ 2023年04月04日

仕事とは何かを考えさせられる話。彼等は物語を通じて彼等なりの答えを出したけど。人それぞれにあって良いと思うし、ずっと探し続けても良いものではないかと思う。
仕事に疲れ、日常離れて本の世界に…と読書を始めたのに仕事のこと考える本を手に取る俺って笑

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Posted by ブクログ 2023年03月30日

・仕事とは何か。
・もし本当に、AIが全ての仕事を成り代わって、人間が仕事をしなくなったとき、私は幸せなのか。確かに、医療系や運送業において、メリットは多いだろうが、果たして人間の仕事が全くなくなったときに、私の趣味は趣味として成り立つのだろうか。自分の好きなことだけをして生きていくことは、楽しいの...続きを読むだろうか。

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Posted by ブクログ 2023年03月27日

特に社会人におすすめします!!まじで最高です。
仕事ってなに
働くってなに
なんで仕事するの?
そういう疑問を少しずつ解き明かしていくのが、
自分に腑に落ちる部分とか共感する部分があって
言葉が心に刺さりまくりました。

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Posted by ブクログ 2023年03月18日


人の遺伝子を応用し創られた至高のAIタイタン。
構成物質と大きさ以外は人間と変わらない
という設定がなんか好き。

働くとは生きることだ。
生きていくためには働かなければいけない。
というふうに考えていたけど、
働かないと生きられない、という前提条件がなくなったら、仕事にはどんな意味があるのか、

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年03月08日

AIが人の仕事をすべて肩代わりして、人は仕事することも貨幣経済に支配されることもなく生きている。そんな世界で、仕事に疑問を持ってしまったAIと、カウンセラーである女性が、旅を通じて「仕事」とは何なのかを考える。そんな物語です。
まず世界観の構築が素晴らしい。AIと女性が積み重ねる「会話」も誠実で愛お...続きを読むしい。彼らの旅の結末を見届けてほしい。そう思える作品でした。

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Posted by ブクログ 2023年02月07日

とても考えさせられる作品で面白かった。
野﨑まどさんの初読み作品である『タイタン』は、途方もない未来を描いたSFでありながら、どこか現実の延長に有り得そうな世界観で読みやすい一方、非常に考えさせられるメッセージ性を感じた。

『タイタン』と呼ばれるAIによって、人々から『仕事』と言う概念すら過去の歴...続きを読む史になった世界。内匠成果という女性は、心理学を『仕事』ではなく『趣味』として世界の人々に発信する日常を送っていた。

だが、ある日を境に『タイタン』の異常を治すために人生初の『仕事』に携わる。そして『仕事』とは何か?タイタンと人との関わり方とは?と、様々な時間を通して学び、理解していく。

と、概要だけを書くと面白さが伝わりにくい所ですが、私達の常識が未来の人々にとって非常識になる時代を考えると、シンギュラリティという言葉の重さも違った意味を持ちそうだなと感じました。

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Posted by ブクログ 2024年01月14日

 本作は、ヒトの「仕事」が全てAIに取って代わり、過去の概念に成り果ててしまった未来の物語です。人類の英知を超えた究極のAI誕生によって、何が起こっているのでしょうか?

 時は2205年、ジョン・レノンの『イマジン』の世界観を具現化したような、国境も戦争もないユートピアとして描かれるのですが‥

...続きを読む 世界に12拠点あるうちの一つ、北海道の第二知能拠点のAI『タイタン』が処理能力低下に陥ります。
 ごく限られた就労者(管理者)側は、このAIを一旦人格化し、臨床心理の観点から原因分析しようと試みます。この【働けなくなったAI】の【カウンセリングの仕事】を強制依頼されるのが、心理学を趣味(仕事ではない)とする主人公の内匠成果。

 物語の中心となる展開は伏せますが、まずは非常によくできた話だな、と思いました。昨今の科学技術の進歩を考える時、妙な近未来として現実味を帯びている気がしてきます。
 でも、ヒトの仕事を全てAIが代替している世界は、本当にユートピアなんでしょうか? これ程読み手に仕事の意義を考えさせるSF小説もないと思います。

 個人的には、社会的な役割がなくなれば、個人の能力を発揮する場面が減り、人間の想像力が退化することで、社会の存続も発展も減衰していく気がします。全ての判断がAIに委ねられる世界は、もはやディストピアではないでしょうか?

 「今後10年〜20年間で 、49%の仕事がAIに取って代わられる」「AIが人類の知能を超えて、制御不可となる技術的特異点が訪れる」などと、不安を煽る分析や学説は聞き覚えがあります。
 私たちの子どもたち、さらにその子孫に、素晴らしいと思える世界を残していく義務が、今を生きる大人には確実にありますね。

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Posted by ブクログ 2023年12月17日

AIが全ての仕事を行う近未来の世界で、
仕事とは何かを解いていく物語
テクノロジーが今とは比べものにならない程に
発達している世界でも、現代社会に通じることを
扱っているので抵抗なく読めた。
傑作。

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Posted by ブクログ 2023年10月10日

大人になることは、相手に合わせて力を加減することを覚えること。でもファーストロットのタイタンであるコイオスは、まだ子どもなのでそれができず、やりがいのない=簡単すぎる仕事に対して満足できず、休んでしまったという展開がなんとも理解できておもしろかった。

p.313 重いものをして動かす。引いて動か...続きを読むす。重ければ重いほど力が必要で大変な仕事になる。同時に、どれだけ力を加えたとしても、動かなければ仕事ではない。変異、つまり位置の移動が発生しなければ仕事とは定義されない。

p.323 何より、君たちが3時間もかけて作ってくれたものだ。美味しくないわけがない。

今日の夕食はそれの研究でもあるんです。どうして人が作った料理の方がおいしいのか。

要はテニスと同じだ。壁に打って戻ってきた様より、人が売ってきた球の方がはるかに楽しい。

自分で自分の料理を食べるのが壁打ちで…人の料理を食べるのが対人ということですか?

カフェは何も話せない。けれど、人には言葉がある。食べるだけでなく打ち返すことができるんだ。コイオス

p.353 それにいつだって、大人よりも子供の方が強いいものですよ。子供は現象に近く、単純で、だからこそ壊れにくく、迷わず、性を払う。大人はそこから時間を経て、可能性を拒否して、多くのものを身に付けている。子供より複雑で専門的になります。けれど、その家庭で手に入れるものは良いものだけではない。不用品も身に付けてしまう。弱さも学んでしまう。

p.422 質量はどれくらい動かしたかと言う。物理的な意味での仕事。一応動かす。熱と仕事は交換可能。

物理的に何かが変わるわけじゃない。命に関わるものでもないし、芸術や娯楽は仕事とは言えないのかと考えたこともあった。でもやっぱりこれも仕事だと思った。情報を持って人の心を動かす作業。情報を駆使して、心の位置を変化させる仕事。媒介が全然違うから別物に見えているけれど、物理の仕事と情報の仕事は、現象としては同じだと言えるじゃないかと思った。

基本生活塔(ベーシックスティック)は、他者ということ。火山は、動かすということ。映画は、変化ということ。仕事とは、影響することなんだ。

p.428 マグマや内臓には自我がありません。観察する体を持っていません。自我がなければ血管について考えたり、その適当さを判断する事はありません。だから自我を持つ私たちの仕事を定義するには、追加の条件が必要になる…

影響すること、影響を知ること。
本当に面倒。本当に厄介。自我があると言うだけで、あれほどシンプルで美しかった仕事が、途端に難しく、複雑なものになってしまう。仕事するだけじゃダメなの。仕事をした、と思いたいのだ。自分がした仕事の結果を知りたがる。仕事をしてどんな影響があったのかを知りたがる。結果のフィードバックを受けて、私たちは初めて仕事が完結したと思える。その上、さらに面倒なことに、仕事と結果を見合っていなければならない。私はさっきの2つの図にそれを書いた。何もしていないのに影響が出ても仕事をした気にならない。自分がやってもほとんど影響がなかったら仕事をした気にならない。100の力で仕事をして、100の結果が出た時。人は、タイタンは、自我初めて仕事を実感できる。

このことを端的に表す言葉が既にある。「やりがい」


「初めはタイタンだからだと思っていた。人間と違うのだから、心理診断の誤差は仕方ないのだろうと。でも旅の中であなたを見ていて、そしてあなたたちの対面を見て、その違和感は明確なものに変わった。私はタイタンの途方もない能力を体感したのよ。思いつきで革新技術を作り出してしまうよ創造性、自身の身体も再生できてしまうほどの虚心から晴子に及ぶ理解力と処理能力。それほどの力を持つ性別を、さらに圧倒するほどのあなたの力。そんなあなたが、人の世話と言う過重労働で心を病んでいたこと」私は間違っていた。真実は逆だった。「あなたは確かに精神を病んでいた。けれど、過重労働が原因で精神に変調きたしていたんじゃなかった。あなたは、仕事が簡単すぎて、心を病んでいたのだ」

仕事が簡単すぎる。やりがいがない。たったそれだけで、精神は簡単にバランスを崩してしまう。様々な理由で感触となった人が精神に不調をきたす事例を、私は過去の症例文献の中で何十と見てきた。特に熟練の技術や知識を持つものに関しては、それを活かせないときのストレスが爆発的に増加するデータがある。そして彼は、この星で最も高い能力を持つ、タイタンだ。恋オスにとって人の世話は容易にすぎる仕事だった。人間のために食料を生産することも、製造物を並べることも、娯楽作品を提供することも。それら全部合わせても彼には足りなかったのだ。今、彼に必要なものは、彼に見合った仕事だ。

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Posted by ブクログ 2023年08月23日

AIをカウンセリングする。

その一文でかなり心惹かれた。
ドラマチックでありアクション性もあるストーリー展開は、この作者の得意とするところでサクサクと読めた。

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Posted by ブクログ 2023年08月16日

人間が理想とする仕事をしない世界。いったん、フラットになった世界で改めて仕事とはを考えている。日常煮溶け込みすぎているからこそ、はっきりと言葉にされると思い知らされる。

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Posted by ブクログ 2023年06月29日

究極のAI、タイタンによって支えられた世界。
それはユートピアであった、多分。

進化したAI、タイタンによって人間の生活全てが支えられている世界。
そこに突然降りかかる災厄、タイタンの憂鬱。
臨床心理学の専門家内匠成果が取り組むのは、タイタンの治療、完全な回復。

ごく初歩的な段階ではあるが、すで...続きを読むに動き始めた生成AI。
そのAIに依存し、支えてもらう人類。
現実のリアルの先に起こりうる未来の暮らし、そしてそこに起きる問題を預言しているような作品だった。
面白かった。、

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Posted by ブクログ 2023年05月20日

概念が生まれる前からあったはずの「仕事」に対する意味を少し理解できた気がします。
また、タイタンによる整形とかパーソナルトレーナーとか管理栄養士とか、この時代の人間の方がなりたい自分になっているのではないかとも感じました。

「深い闇を焚き火の灯りが削り取る。」
「不用品も身に付けてしまう。」
「彼...続きを読むの"生き甲斐"であれるように。」

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Posted by ブクログ 2023年04月17日

チャットGPTなどテクノロジーの発展がめざましい昨今。この本のような世界もいよいよ現実味を帯びてきたのかと思います。多分10年前なら「トンデモSF小説」扱いだったと思うけど「近未来SF小説」に近づいてきてますね。

決して仕事をしたい訳ではないのだが、ここまで行くと「ただ生まれて生きて死んでいく」だ...続きを読むけの人生になってしまいそうで、こんな世界を望むか?と言われれば結構疑問符。
完全にニーチェの言う「末人」状態ですね。

というわけでテクノロジーの発展と人生観について考えさせられる一作でした。

1点だけ疑問点を言うと、主人公がなぜあんなことし出したのかよくわからんかった。コイオスヘの感情移入?ナレインへの反骨精神?

余談ですが、自分の中ではナレインのイメージはバイオハザードのウェスカーですw

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Posted by ブクログ 2023年03月23日

展開が凄い。
自分の仕事に対する考え方を見直すきっかけになった。

セリフがアニメっぽいので、苦手に感じる方もいるかも。

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Posted by ブクログ 2023年03月23日

『AI 2041 人工知能が変える20年後の未来』の最終章のエピソードが、もっと具体的に描かれたもの、という感じがしました。
急にこの本を読んだら、そんなAIで日常生活や仕事をまかなえるの?なんて非現実的に思えたりフィクションじゃんって軽く流して真剣に受け止めなかったりしてしまうかも。
AI2041...続きを読む〜の本を読んでから、この本を手に取ったので、この未来は実現可能なのでは、と思える。
自分が生きている間には、技術の発展よりも人々の価値観のアップデートが追いつかず、批判や非常識な行動をする人の問題行動などでうまく進行しないかもしれないけれど、世代が変わって新たに生まれた人たちにとっては当たり前の世界になっていったら、世界中で仕事や日常のあり方が変わる気がする。
その過渡期はきっと、辛いだろう。仕事を奪われたり何のために生きてるのかなんて悩んだり。

そういった、仄暗い湿ったトーンがあるのかと思って本著を読み始めたら、AIがサポートする暮らしに慣れきったカラッとした雰囲気で読み進めやすかった。
でもまさか、人間が悩むのよりもAIがもっと真剣に悩むことになるとは、、意外でした。

「仕事」というのは、やっぱりやりがいや感謝を感じるのが重要なのだと新しい形でアプローチしたと思います、面白い小説でした。
フィクションらしさが少し過ぎるほどに終盤は人間臭さやフィクションあるあるが詰め込まれてご都合主義的な展開ではありますが、それもご愛嬌。
AIが仕事に対して心理学を学ぶ人間と対話して何か探っていく行程は今まで見たことがなく興味深かった。

仕事に特化したAIだからこそ、仕事に対して、が軸となりブレなかったのがよかった。
内匠さんへの想いが強すぎて仕事をほっぽってしまうとか恋愛感情になるとか、そういう方向ではなく。

AIが当たり前にある時代で繰り広げることで、今の世の中の人たちの仕事観にも訴えるような気がします。
やりがいとなると、昨今はやりがい搾取という言葉の存在感が強まってる気がしますが、やりがいが悪なのではなく、給与や待遇が悪くやりがいで有耶無耶にするのがいけないわけですので、給与や待遇を改善するだけ。やりがいはやりがいのままで、尊重され大事にされ続ける世界であってほしい。
どんな人に対しても。貴賤をつけずに。

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Posted by ブクログ 2023年03月19日

面白かったです。chatgptなどのAI分野が発達している現代とリンクしている気がして面白い。よくできてるTHE・SF小説です。

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Posted by ブクログ 2023年01月25日

『無職の私は働き疲れたAIと旅に出た。』という帯の文章が気に入って手に取った初めての作家さん。

アニメ化されそうなSFだけど、この先の未来にあり得そうな世界。
物語を通して「仕事とは」何か考えさせられるテーマも良い。
私のように日々の仕事に疲れた人もきっと別世界に連れて行ってくれるのに、元の場所に...続きを読むちゃんと連れ返してくれる一冊。

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Posted by ブクログ 2024年04月12日

AIタイタンが世界をコントロールし、人が働かなくなっている未来、一機のタイタンが変調をきたし、その解決を通じて「仕事」とは何かを考える。個人的にはあらゆる「欲」の要素を過小評価してると感じた。しかしAI発達により気づけばしなくなっている事は今後増えると思われるし、一つの仮想世界を通じて未来を想像する...続きを読むいいきっかけになった。

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Posted by ブクログ 2024年03月21日

荒唐無稽な設定と哲学的な問題提起。
この2つがSF小説の重要なポイントだと改めて感じた。

まず本作の設定はかなり荒唐無稽だ。舞台は約180年後の2205年。超高性能AIによって世界はコントロールされ、仕事も貨幣経済も国という概念さえもなく、人々は平和で幸福な生活を送っている。これはまあいい。SFと...続きを読むしては割とよくある設定だ。しかし物語の後半、AIの一つが身長1kmのヒト型で歩行してある目的に向かうというトンデモ設定になる。いやいや、流石にこれはいくら何でもあり得ないでしょ。

次に哲学。本作の重要なテーマは”仕事”とは何か。人間としての”仕事”の本質についての考察が展開され、最後にはこの作品(作者)の考える”仕事”の定義が披露される。

この2点が本作のSF小説としての重要なポイントだが、あまりにも荒唐無稽だからダメだとは私は思っていない。むしろSF小説は作者の想像力の及ぶ限界までのトンデモ設定にするべきだ。少なくとも私の想像力では巨人AIを歩行させるという発想は出てこない。
では何故、とんでもなく荒唐無稽であるほど良いのか。
そうすればするほど様々な問題提起が可能になり、第2ポイントの哲学的な深く難しいテーマを論じることができるからだ。例えば名作「華氏451度」。本を読むことが禁じられた世界を設定しているからこそ、本を読むという事の意味、考えることの意味、人間として何が大切かといった深いテーマに触れることが出来る。

そういう点では、本作はSF小説として重要なポイントをきちんと押さえた作品だと思う。
あとは個々人の好みだ。
少なくとも私は自分が生きているうちにこういう世界になってくれたらありがたい。

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Posted by ブクログ 2024年03月16日

AIが全てやってくれる時代。
便利なのか?面白いのか?快適なのか?
まだ想像が追いつかないが興味深いお話しでした。

そもそも働くとは??

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Posted by ブクログ 2024年01月16日

好きなことだけして生きていけるユートピアの未来で、社会を支えるAIのうち1機が鬱になり仕事のパフォーマンスが落ちてしまった。主人公はこの時代にはほぼ壊滅した「人間の仕事」として、そのAIにカウンセリングを行い、仕事とは何かを一緒に考えていく。

結末はそっちに行ったかー!という感じ。終盤まではあまり...続きを読む起伏がなく、ユートピアや仕事についてなるほどと思いながら進んだ。同僚の3人がちょっと濃くて面白かった。

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Posted by ブクログ 2023年12月24日

タイタンが人間の仕事を肩代わりした世界で、何もすることなく生きる人間は、果たして楽しく幸せなのだろうかと考えてしまった。
ストレスのない世界は絶対すぐにボケちゃうし、退屈なのではないかと?

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Posted by ブクログ 2023年06月18日

――

 他者無くして自分を保てない弱さ
 なんて子供みたいな方便ね。



 ギリシャ神話をモチーフに、けれど国産みや国造りを思わせるのはオレが日本人だからか。特異点を描くとき、それは新しく産まれようとするものを記しはじめる。そんな一編。

 導入部も勿論だけれど、言葉遊びもりもりで「働く」という...続きを読むテーマに向かい合いはじめる中盤以降がハイスピードに面白く、ある種人間らしくスケールダウンするクライマックスもその勢いのままで読ませてくれる。自分たちの生み出したものに自分たちが敵わない、或いは適わないという自縄自縛もまるっきり人間らしくてとても良かった。

 登場人物も多くないのだけれど、皆が皆的確に仕事への向き合い方を様々な形で持ち合わせていて、それを当然と思えたりそうではなかったり、と自分を測る指標になってくれているようで、気付いたらまぁまぁ皆好きになっていた。皆、いい仕事をしたじゃない?(笑


 参考文献に地球の歩き方があるのがとても好印象。関係ないところが大事なのよ、うん←
 ☆3.4




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