【感想・ネタバレ】プーチンの失敗と民主主義国の強さ 自由を守るウクライナの戦いを経済学から読むのレビュー

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Posted by ブクログ

本書は、著者が昔から不思議に思っていたことで書く機会がなかったことを一冊の本に著したものだそうです。それは、独裁者の目的は何か、自由と民主主義は素晴らしいものなら何故世界に広がらないのか、第二次世界大戦でフランスがドイツにあっさりと負けてしまったのは何故なのか、戦争やパンデミックに自由主義体制は対応できるのかといったことです。ウクライナ戦争をきっかけに世界の知識人が「話し合いで解決できる」と主張することにも疑問を感じていたそうです。上記の事を様々な引用文献で分析しつつ、民主主義国の戦争での強さを、定量的に分析し著されています。

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2023年02月08日

Posted by ブクログ

未だ解決の見えないロシアによるウクライナ侵攻。著名な学者の中には西側がロシアの干渉地帯を踏み躙ったとか、人類学史的には他民族国家のウクライナをプーチンが取りに行くのは必然であるとか意見は様々だ。また独裁に近いロシアが国民世論を味方につけて国を挙げて侵攻を歓迎しているといった報道もあり、一概に現状とその原因を説明するのは難しい。間違いないのは市民が巻き添えを喰って住居を失ったり死者が出ているという事実だけ。勿論学者達もそれをやむを得ないとか是認するわけでもない。
プーチンが引き起こしたこの様な事態を権威主義対民主主義と捉え、終わりの見えない現在の状況を踏まえると民主主義自体が敗北してるのではないかという考えがある。それを真っ向否定するのが本書の基本的な立場だ。中国の新型コロナ対策のゼロコロナも一時期はうまくいった様に見え、社会が危機的な状況では、国民を纏められる強い権威が成功するように見えなくもない。だが結論からするとその様な国から出てくる報道自体が捻じ曲げられてる可能性は高い(死者ゼロ自体が嘘だし、基準自体を独善的に決めている)。
権威主義は3つの脆さがあるとする。反対派弾圧で権威を持続的に維持できるためリスキーな戦争に容易に導かれてしまう脆さ、国内反対勢力を押さえ込むために外と内の2方面で構えなければならない脆さ、イエスマンばかりに囲まれて正確に判断出来なくなる脆さ。この3点から民主主義と比較し危うさを十分抱えている=弱いとしている。確かに勝ってるうちは民意もついてくるが、一旦負けに入ると一挙に打倒される可能性はある。民衆は熱狂的な支持から排除に一気に傾くかもしれない。またロシアは強制的に若者を追加招集したが、国外に多く退避(逃亡)してしまった。実際は団結としては更に脆い可能性もある。
経済制裁についても、効果に疑念があるといった報道はあるが、借りた金も払わない国と今後まともに付き合う国がどれほどあるか。寧ろ離脱の痛みさえ慣れて仕舞えば、長期的には苦しむのはロシア側だ。短期中期長期の視点で効果は測るべし、これは全くその通りだと思う。ロシアもそれなりに内需はあるだろうが元々豊富な天然ガスを中心とした資源で外貨を稼ぐ体質からそうは簡単に抜け出せない。筆者の言う通り、仮に西側が買わざるを得ない分をウクライナ支援で代償すると言う形に変えることが出来れば、より窮地に立たされるのはロシア側だ。
本書を読んでいると民主主義国家の強さをまだまだ感じられ勇気付けられる。モチベーションは明らかに上なだけに、一層の団結で早期にロシアの撤退を成功させたとき、改めて本書を手に取り読み直したい。

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2023年04月19日

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