感情タグBEST3
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はじめての山田詠美さん。
力強い文体と恐ろしく細かい描写に、江國香織さんが好きそうな感じだなぁと思った(泣かない子供の作中で紹介されていた作家さんが山田さん)。
とっても女性らしい作品で、こんなに感情を分析でき、文章にできる力量に乾杯したい。文学の力を実感した。
この作品は本当に「女」っぽい。
薫子、よかったね。
Posted by ブクログ
父の愛人の子に恋してしまった三姉妹の物語
父の愛人が亡くなって引き取られてきた男の子、新堂力(リキ)
裕福な家庭に暮らす高見澤家の三姉妹
長女の麗子は「お嬢様気質」
しかしその振る舞いは空回りしているように見える
次女の咲也は読書家で斜に構えるひねくれ者
三女の薫子は天真爛漫
力とは犬仲間のように思っている
そんな三姉妹の三者三様の恋模様とその表現
そして母親による力への攻撃
もの凄く歪んだ愛の形なのか?
三姉妹の誰もがそれぞれの方法で力に執着している
麗子が空回りしているのはわかる
これ系の物語の主人公として咲也が一番適切なんでしょうけど
色々と拗らせすぎてるからなぁ
でも、一番力の事をわかっていたのは咲也なのではなかろうか?
だからこそ一緒にはいられないわけだけれどもね
すったもんだの末に中年になってから薫子とくっつくというのが一番意外な結末だったな
薫子、うーん薫子かぁ……
ないわけではないけど、憐れんだという意味では三人とも同じなんですけどね
執着し続けた年月の重さか?
そんな意味で、母親エンドというルートも有りな気がするんだけどね
家族の中で唯一憐れまなかったから王子様という理屈
この辺が文学的な発想だよなーと思う
Posted by ブクログ
再読。ハードカバーの時、一回読んでた。
何度読んでも、父親の愛人の子として高見沢家に引き取られ、みなしごとして憐れみをかけられながら、成長するリキの魅力的なことといったら、そりゃあ家中の女性たち、母、長女の麗子、次女の咲也、三女の薫子、お手伝いのタカさんまでも、それぞれのアプローチの仕方で近づき、振り回されていく。
リキは憐れみよりも憎しみ罵倒されたほうがまだ良かったんだね。
それが高見沢家では唯一、母のだったんね。
ラストは犬同士の薫子との結ばれる感じで終わる。
中年に近い歳になってるふたりだけど、それだけに年月が必要だったんだね。
ファースト・クラッシュは初恋の意。
初恋は砕けるものだから?
Posted by ブクログ
初恋を3者の視点から描いた本作でしたが、初恋の描き方が凄く印象的でした。
初恋はしばしば小説のテーマになりがちですが、この作品では恋を知らなかった人が、心のモヤモヤを初恋であると認識した瞬間を実にドラマティックに表現しているように感じました。
物語の内容については、3者の個性的な性格も相まって、ユーモラスな印象が強かったですが、今時こんな人たちいる?っていう印象もまた強かったです。