【感想・ネタバレ】小説 伊尹伝 天空の舟 上のレビュー

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<上下巻を通してのレビュー>

商の湯王を補け、夏王朝から商王朝への革命をみちびいた稀代の名宰相伊尹の生涯と、古代中国の歴史の流れを生き生きと描いた長編小説。
桑の木のおかげで水死をまぬがれた《奇跡の孤児》伊尹は、有莘氏の料理人となり、不思議な能力を発揮、夏王桀の挙兵で危殆に瀬した有莘氏を救うため、乾坤一擲の奇策を講じる。


舞台は夏王朝末期。
桑の木のおかげで生き延びた摯(後の伊尹)を中心とした話です。
生まれながらに不思議な運命を背負って生きてきた摯がいるところ、必ず福が訪れるという・・・・・その背景には摯の能力を認め、身分を超えて優しく接し教授してくれる人々がいて、そして、自分に驕らない摯の姿があります。
料理人から始まった運命が、夏王発の目に止まってさらに開花され、発の死後に夏王桀からの攻撃から有莘氏を救ったり、夏王桀を補佐したりしますが、摯の生き様の根底にあるものは、名もなき民を救うという一念でした。
夏王朝を支える立場から商王朝を支える立場になり、商王から伊尹のポストを授けられても決して驕ることはない。

夏王朝から商王朝へと変わる激動の時代に、神が使わした者なのかもしれませんね。

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2020年11月14日

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ネタバレ

古代中国、夏王朝を倒した、商(殷)の湯王に仕えた名宰相・伊尹(いいん)を主人公に据えた歴史長編。
3500年以上も過去の人物について、史書の記述を結び合わせ、伝説の域にある事象をも、ひとりの人間を形作るエピソードとして語る筆力は説得力があり、圧倒される。
上巻では未だ天命を見出していない伊尹が、どのような道を辿って不朽の名を残すに至るか、下巻の展開を追うのが待ち遠しい。

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2018年02月27日

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宮城谷はすべて読んでいるが、最初に読んだこの小説のインパクトをこえるものはなかった。伝説の時代の殷を書いてくれたことだけでも感激なのに話の進め方も素晴らしい。日本の中国歴史の伝道者。

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2017年04月24日

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ネタバレ

10年以上前に読んだことがあったけど、また読みたくなって再読。

夏王朝を妥当し、商(殷)王朝を樹立した功臣、伊尹のお話。
ようやく実在が明らかになってきた夏王朝を舞台に据えた日本の小説は、おそらく本書が最初じゃあるまいか。
史料も少なかったろうに、よくぞここまで物語を構築できたなあ、と脱帽。

実なんぞわかりっこないのだから、あくまで読み物として楽しむべきなのだけど、はるかな古代の生活観に触れた気になれるという点で、貴重な本なんじゃないかなあと思う。

あらすじは割愛するけど、語られる素朴な生活観・倫理観が非常に力強い。
「政治とはどうあるべきか」的な為政者の観点だけじゃないところから描かれている点が、よくある歴史小説とはちょっと違う点。

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2012年10月11日

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古代中国の雰囲気、こんなんだったんだろうな、と思わせられる。おおらかな時代といった空気が漂う。伊尹がその考え方と行動によってのぼっていくさまが楽しい。彼が若いころに草庵にこもって生活するシーンがとても爽やかに印象に残ってる、そこがすごく好きなんだ。でも、エピソードはやはり、仕える主君への愛情を感じるものが心に残る。

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2009年10月04日

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商(殷)の開祖、湯の名補佐である伊尹が主人公。なんといっても話の舞台は、もはや伝説上にしか見られないような古代だというのが驚きだ。にもかかわらずあたかもその目でその時代を見てきたかのように活写する宮城谷氏の力量には驚嘆する。甲骨文字から当時の習慣を読み取るなど、単なる史料も彼の手にかかれば、その価値が何倍にも増幅されてしまうようだ。
現在、中国の歴史モノを書かせれば、この人が日本一だろう。

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2009年10月04日

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宮城谷さんの作品で一番最初に読んだのがコレ。夏王朝から商王朝への革命を成功にみちびいた稀代の名宰相伊尹(いいん)の生涯なんですが、成長モノあり、冒険あり、友情あり、恋愛あり、オカルトあり、陰謀あり…と、小説としての読み応え満点。冒頭の洪水のシーンの描写も恐ろしくも美しくて、ハートをガッチリ鷲掴みにされました。主人公・伊尹の友人(?)となる“顎どの(名前は語られない)”は、『孟嘗君』『晏子』にも通じる“快男児”のルーツ的存在だと思う。

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2009年10月04日

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上下巻。中国最古の王朝・夏が滅び、殷へと変わる時代。殷の湯王を補佐した名宰相・伊尹の物語。阿衡、という言葉で知っている方も多いかもしれません。天下の民が彼の政治によって公平を得る様を、是非。

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2009年10月04日

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ネタバレ

夏王朝末期、桀王は衰退していく夏王朝に拍車をかけるように、酒池肉林を催し、自分は天子であるとして、諸侯を力で屈服させてきた。東からは、商の湯王が立ち、徐々にちからを蓄え、夏王朝の自滅のような感じになる事を待つかのごとく徳をつんでいく。伊尹と言われることになる、摯は、桀王や湯王に従うというのではなく、民草の声を率直に伝えて、死をも恐れず、直諫し、商の執政へと活躍の場を与えられていく。

長く生きていると、恨みばかりがつもるものだ。その恨みをどう残し、どう捨てるかで生き方が違ってくる。まず己を治めること、それをしないで他人を恨むと、その者は一生の間悲憤が付き纏う。その悲憤が極限に達して自分がどうにもならなくなったら、いっそ自分を捨てることだ。
全二巻

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2020年05月22日

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宮城谷氏の本を三国志読本から入るという、かなり異質なアプローチからこの本にはいる。たとえば、古代中国では信仰や呪術がすべての基本にあったことなどは、読んでいて妙に合点がいったところだった。下巻がたのしみ。

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2017年06月25日

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下巻のレビューを先に書いてしもうた…。
生きることにあまり面白さを見出せてない、覇気のなさそうな主人公に好感を抱くかまたは反発するかは気分次第。

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2011年05月10日

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宮城谷 昌光さんの作品の中で上位に好きな作品です。

上巻では子供の頃の伊尹が主で
生まれてまもなく聖なる桑の木に隠されたまま他の国へ流され
神童“日”の生まれ変わりと呼ばれながら
料理人の養父母に育てられる。
ひょんなことから 王宮へ入ることになり
王子に疎まれ 何度も殺されそうになった 子供時代
大きくなり度重なる不運を乗り越えていきます。

歴史の中でも一番古い時代?
文字もまだ出来ていない位の時代です。

最初は中国独自の考え方や 登場人物の多さ
名前 国名など少し抵抗を感じるかもしれませんが
比較的に読みやすく 伊尹の考えや気持ちが
ぐいぐい引っ張ってくれるように思います。

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2009年12月12日

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古代中国、商の名宰相「伊尹」を書いた作品なり。
湯王を輔け商王朝の建国の一翼を担った人物で古代中国の名臣の一人といえますなり。

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2009年10月04日

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商王朝の名宰相伊尹の生涯。宮城谷さんのは主役が脇に食われることも多いけど、これはそうでもなかったので一安心。

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2010年03月01日

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桑の木に助けられて未曾有の大洪水を生き延びた嬰児の生涯を描く。かつては伝説だと思われていた古代中国夏王朝の末期が舞台。感想は下巻にまとめる。

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2009年10月04日

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