【感想・ネタバレ】歩きながら考えるのレビュー

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Posted by ブクログ

歩きながら考える
著:ヤマザキ マリ
紙版
中公新書ラクレ 773

テルマエロマエの著者であるヤマザキ氏が、コロナ禍の中で感じた日本人としての、アイデンティティを語っています。人間は生まれた国の文化や考え方を強く受けますが、他者と異なるアイデンティティを認めながら共生することが可能といい、イタリア人である夫との生活はその形です。

気になったのは以下です

・人間というものは、「自分とはこういう人間である」と自らが、思い込んでいたり、周囲から思われていたりもしますが、そういったイメージに固執する必要はありませんし、むしろ、振り払ったほうがいい
 そうすれば、いくらでも臨機応変に置かれている状況に適応できるようになる

■歩き始めて見えたこと

・自分には、国境がない。アイデンティティもない。どこの国に行ってもアウェイの感覚で生きている無国境人間だ

・拒絶してきたもの、わかったつもりになっていたものでも、いざ蓋を開けてみたら、そこには、自分の偏見も見えてきたし、素直に面白いと感じることもたくさんありました

・日本では、人々が情報を懐疑的に受け止め判断してきた歴史が、他国より浅いと思います。
 いや、浅いどころか、懐疑的になること自体を良しとせず、ほぼそうしていないようにすら私には見えていました

・結果がでないようなことが繰り返されれば、その情報を発信しているものへの人々の信頼が失われるのは当然のことです

・疑う力をもつということは、情報を疑えるだけの知性と、あらゆる可能性に考えを巡らせる想像力があってこそです

・おかしいと思うことを指摘してみれば、「ヤマザキさんも、それはわかっていたとおもうんですけど」、「こういうふうに理解してもらっていると、私は捉えていたんですが、誤解があったようですね」といった言い方での返事をもらうことが実に多かったのです。
 悪気も落ち度もないふうでいて、結果的には、相手の不利を良しとしていた
 こうした対応は、イタリアやアラブ、ブラジルなどで経験した性質のものと違う、日本の社会風土がもたらす独特な狡猾さではないかというふうに感じました

・私はイタリアの美容院には絶対に行かないと決めている
 イタリアの美容師は客の意思よりも、髪型をつくる彼らのセンスこそが優先されるのです
 「あんたがそうしたいと言っても、絶対似合わないと思う。悪いことは言わないからあたしの言う通りにしなさい」と圧力をかけられて、結果的にとんでもない頭になる
 そのような目に何度も遭いましたので、こちらの希望通りに何とか切ってももらおうなんてことはもう諦めました

■コロナ禍の移動、コロナ禍の家族

・この大和の展示を通じて私がもう一つ感じたのは、「一生懸命勤勉に取り組めば、結果を生むかもしれない。たとえ結果を生めなかったとしても、尽くしてやったという価値が残ることに意義がある」という、ほかの文化圏ではおよそ通じないであろう日本ならではの美徳でした

・自分たちのもてる技術力、精神力のすべてを投じることが美しいという価値観の真意は、おそらく、何事にも神が宿るという「八百万の神」を信じる日本人の精神性からくるものではないでしょうか

・一緒にいるときでも、お互いの生き方にいちいち干渉したり、自分たちの価値観を押し付けたりしない

・人が好きじゃないのに、人がいないと生きていかない

・夫婦の間で互いに理解できないことや同意しかねることがあっても、価値観の無理な共有は求めずそれぞれの考え方や生き方に干渉させしなければ、良好な関係性は、保てます

・世界の多くの男性が妻に求めるのは、自分のダメなところを認め、どんなときも無条件に寄り添い、慰め、許してくれるかどうか、という点なのではないでしょうか
 どこかで羽目を外すことがあっても最後には許してくれる
 妻に認められるこうした精神的忍耐は母性的な寛大さとほぼ同質だと思われる

・人間は繁殖だけを目的に生きている生き物ではありません
 知性がある限り、精神面での健康維持は肉体の健康を保つのと同じくらい重要です。
 だとすると理想的家族という既成概念に縛られない生き方や最初から家族をもたない幸福というものも、もっと当たり前に認められていくべきではないかと感じています

■歩きながら人間社会を考える

・夫以外の男性の前では髪を覆い隠すことで、凶悪な負の力とされている嫉妬という人間の驕りから発生するトラブルや混乱を回避しているという理論です

・イスラム圏のような宗教的戒律はありませんが、他人様の目、いわゆる「世間体」が我々の生き方を統制する戒律として機能していると思います
 人間は誰しも自分ではない他人を通じて自己を肯定する側面はありますが、日本では特にその傾向が強い
 世間体という戒律が成立するに至ったのも、島国という地理的な特質や歴史など、日本のあらゆる条件が合わさったなかで、群れの存続に必要なものだったからだと考えられます

・世間体という戒律、共通倫理、全体主義
 今の社会で起きていることやその予兆について考えていると、いつも帰着するのが、「群れ」というものです

・エリアス・カネッティ「群衆と権力」:人間が群れる習性をもつこと、群衆が生まれれば権力が発生すること、群衆になることで人々は精神的な安寧を得られること、などに触れられています。

・古代ローマの有名な格言に、「カルペ・デ・ディエム」というものがあります。
 その日の花はその日のうちに摘み取れ
 つまり、人生は限定的なのだから今を楽しめ、という癒して的な意味を成しています

・「哲学」というと、日本では西洋史や美術史などと同じように学問として難しく構えがちですが、イタリアでは、一人の人間があらゆる経験と思考と試行錯誤を積んだ末に抽出される、その人なりの考え方や思想を指す言葉としても使われます

・宗教が生まれるその背景には、やはり生きることへの苦悩が必然としてあるのだと思います

■知性と笑いのインナートリップ

・監獄に収監された人が熱心な読書家になり、非常に博識に……、という話を聞きますが、私にも似たようなことが起きたのです

・世間一般で当たり前と思われていることを覆し、それを洒落にする
 そんな笑いが通用するのは、その社会にゆとりがある証拠です

・私は男性の格好良さは、繕っていないところにあると思っています

・安倍公房の一連の文学作品には、「壁の外に行こうともがく人」が基本概念にあります

・エドガール・モラン他「祖国地球-人類はどこへ向かうのか」異なる文化が共存したときには同化よりも並存や序列化が進むことや、排他性が生まれることなどにも言及していて、その思索の深さには読む側の視野も広がります

・ギリシアの哲人、アリストテレスの言葉
  自己とは自分にとって最良の友人である
  大事を成しうる者は、小事も成しうる
  自然には何の無駄もない

■心を強くするために

・人は誰しも、逃げ道がないとなれば壁にぶつかり、行き詰まります

・人間は基本的に怠惰な生き物である

・社会においては美徳としか扱われない「信じる」という行為も、よく考えていれば怠惰を象徴するものだと私は捉えています
 まっすぐで濁りのない、美しい言葉のようでいて、その実は自分で考えることを放棄し、信じる対象に責任を委ねているにすぎません

・期待通りにならない場合の落胆への心構えを怠ってはいけません
 夢は叶うもの、ではなくて、夢は叶わない場合もある
 もっと正直なことを言えば、叶わない場合のほうが多い
 努力を重ねていても、望んだようにならないことが人生にはある

目次
はじめに
第1章 歩き始めて見えたこと
第2章 コロナ禍の移動、コロナ禍の家族
第3章 歩きながら人間社会を考える
第4章 知性と笑いのインナートリップ
第5章 心を強くするために
おわりに

ISBN:9784121507730
出版社:中央公論新社
判型:新書
ページ数:272ページ
定価:900円(本体)
発売日:2022年09月10日

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

前著「たちどまって考える」同様に、コロナ禍に
おいて書かれたエッセイです。

しかし今回はコロナ禍であるため日本に留まり、
執筆されたので、コロナから抜け出しつつある
日本人に対して「いつまでも下を向いていないで
次のステージへ行こうよ」とエールを送る内容に
なっています。

普段はイタリアと日本を行き来しているので、グ
ローバルな視点を通して、「だから日本人は・・」
みたいな上から目線の語り口調ではなく、そして
「世界はこうだ」のような型にはめるような論調
でもありません。

むしろ宗教や哲学に根ざしたニッポン人への激励
に終始しています。

そういう内容はとても新鮮です。

次の週末には「とにかく外へ出て、どこかへ行っ
てみるか」と背中を押される一冊です。

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2024年03月13日

Posted by ブクログ

昆虫の視点から人間世界を描くところがよかった。

昆虫はただ生きるだけに精一杯なのに対して、人間は住みやすいように楽をしようとしている。そして、ひとたび混乱が発生すると、パニックになってしまう。

昆虫のように生きよ、とは言わないが、彼らから学ぶ点もあるという。にしても、昆虫好きの女性がいるとは珍しいのでは。

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2023年10月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

パンデミック前は、"旅する漫画家"だったヤマザキマリさんが、パンデミックによって日本に長くとどまったことで、見えてきたこと、考えたことなどをまとめた本。

地球上の生き物の一種として人類を見たり、予定調和に沿った生き方、発言がよしとされる日本人の特性、慣習・文化を指摘したり、パンデミックの最中、反対する声も多かったにも関わらず、オリンピック・パラリンピックを十分な説明もないまま押し切って開催する政府の姿勢に対する違和感を述べていたりと、社会や人の生き方・考え方に対する深い考察が述べられた本。

古代から何度もパンデミックが起きているが、人はそれを生き抜いてきた遺伝子を持っているから、今回も大丈夫だというイタリア人の(ヤマザキさんの舅の)発想を含め、個人的には共感することが多かった。
特に次の点は今後も意識していきたいと思う。

・「常識」ではなく「良識」で生きる。
・Keep moving: 常に好奇心と感性を動かし続けろ。
・「パブリックイメージという予定調和」を過信しない。(パブリックイメージには予定調和的な期待が込められていることが多いので、鵜呑みにするのではなく、本質を見るようにしたい。)

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

『たちどまって考える』があまり、でしたが、せっかくならこちらも、と思って読んだところ、ずっとよかった。

「人間というものは、『自分とはこういう人間である』と自らが思い込んでいたり、周囲から思われていたりもしますが、そういったイメージに固執する必要はありませんし、むしろ振り払ったほうがいい。そうすれば、いくらでも臨機応変に置かれている状況に適応できるようになる。」

「人間の不完全さを認識できさえすれば、欠陥や失敗すらも余裕をもって見られるようになり、逆に腹も立たなくなってきます。人間は本来ならこうでなければいけない、ああでなければいけないと、理想を盛り込み過ぎるのはストレスを溜め込む要因になると思います。」

前著では、イタリアの家族とかなり密に過ごされているような印象を受けましたが、実は、義両親の家に毎週会いに行くのはわずらわしかった、ともあり、コロナで気づけたと思えば、悪いことばかりでもなかったと思えます(まだ完全に過去形にはできませんが)。

イタリア人のご主人が、「精神を宗教的な倫理で拘束されていない日本人を理解できないところがある。」など、日本人の根底にある考えにも気付かされます。

「シングル3つ」の距離感もいいなあと思いながら、同じ家の中でヤマザキさんの家族より多くの時間を一緒に過ごしているはずの自分の家族の方が、気持ちの距離は離れているような気がしたり…

また、何度か読み返したいと思います。

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2023年03月08日

Posted by ブクログ

「予定調和」という単語が印象に残った。
日本に住んでいる人たちは、甘やかされているように思えました。甘やかされて贅沢してるというわけではなく。。
私が想像したのは、日本人は言ったら(クレーム)言うこと聞いてもらえると思ってそう、という。
ピーチクパーチク言うだけで、自ら考えて自分のことは自分で責任を取ると思って決断できない。
自己責任論が蔓延ってるけれど、自分は責任取ろうとしない。他人のミスを過剰に挙げつらい成敗した気になってる。。
言えば改善してもらえる、管理してもらえる、コントロールしてもらえる。
IT化が進んだことで勘違いして、万能感を抱いてるのかもしれない。

人々の窮屈な感じは国土の狭さが関係してるのか?とぼんやり思った。

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2022年11月20日

Posted by ブクログ

ヤマザキマリさんの前向きな考え方には目から鱗のところが多かったです。
非常事態の時どのような行動をとったかなど、参考になりました。
世界的視点で今回のパンデミックを見ているところもヤマザキさんならではだと思いました。

普通に考えたらただの困難な道も独自の打開策は必ずあるからあきらめずに思考することだと思いました。
何か、他の御著書で読んだことがある気がするのですが、一番参考になったヤマザキマリさんのエピソードを以下に抜粋します。


(P221より)
日本でアニメ化もされた19世紀イギリスの児童文学を私に読ませた母の目論みは、絵描きになりたいと言い出した娘を思い直させようというものでした。ご存知の方も多いと思いますが、あの物語は実に悲しいクライマックスを迎えます。画家になる夢をもった牛乳運びの貧しい少年ネロが、極寒のなか、大聖堂のルーベンスの祭壇画の前で愛犬パトラッシュと絶命してしまいます。アニメ放映の最終回では大概の人が「かわいそうに」とその死に涙しました。今でも思い出すと泣けるという友人もいます。母も最後のぺージをじっと見入っている私に、兼ねてから準備していたと思しき言葉を掛けてきました。
「ね?かわいそうでしょ?絵描きさんになるということは、そういうことなのよ」
しかし、物語を読み終えた私には、ネロをかわいそうだと思うことができませんでした。
そこへ至るまでの彼の煮え切らない態度に何か納得のいかないものを覚えていたので、「ネロは勇気がなかったからこんな目に遭ったんだ」と受け止めたのです。誰かが自分の絵を認めてくれるのを待っている姿には、謙虚さよりも「驕り」すら感じました。誰かの助けを当てになどせず、いざというときには知恵を狡猾に駆使すればいいだけのことだったのではないか、運河に停まっている船にでもこっそり乗り込んで、もっと暖かい地域に行っていれば、犬まで道連れにして死ぬようなことはなかったのでは、と考えたものです。
当時、私が『フランダースの犬』と共に読んでいたのが、『シンドバッドの冒険』と『ニルスの不思議な旅』でした。二つの物語に共通するのは、主人公が困った状況に陥っても、より広い世界に目を向けて冒険に乗り出すという点です。「才能があるのにそれを発揮することもなく、誰にも認められないまま死んでいくのね。かわいそう」という慈愛の倫理よりも、私にはシンドバッドのずる賢さのほうがずっと魅力的に思えてなりませんでした。
フランダースのネロも、外に目を向ければ逃げ道がたくさんあったと思うのです。目の前の環境だけでなく、地球全体を見るつもりで、自分なりの価値観を築いていけば生きていくこともできる。実際、ちょっと後ろを振り返るだけでも、「なんだ、あっちにもこっちにも道や扉がたくさんあるじゃないか」と違う進路が見えてくる。事実、私はそうして17歳のときに、絵の道を選ぶことが推奨されない日本を飛び出して、未知の国イタリアへ行ってしまいました。

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2022年10月10日

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ネタバレ

ヤマザキさんの本を読んでいると、知的好奇心・探求心が刺激されて、世界についてもっと知りたい、知らなければという思いにさせてくれる。狭い自分の安心できるテリトリーで安穏と生活していないで、もっと広い世界に目を向けなさいと叱咤激励されているような。
楽しいことばかりではなく、辛いこと苦しいこともあるのが人生で、それが生きるということなのよと言われているような。
考えてみれば、現代は便利になりすぎて、ついどれだけ楽をするかということがゴールになってしまっていないか。思考をやめてしまっては、他者の都合の良いように利用されてしまう。
自分で調べて、考えて、行動しなければ。
また失敗を恐れすぎると、結果的に無難なことに落ち着き、平々凡々な人生となってしまう。色々な経験をして、地に根を張って生きている人の発言には自然と深みが出て、人生の豊かさを感じさせる。私も人生の酸いも甘いも経験して、ヤマザキさんのような層の厚い人間になりたい。

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2024年02月04日

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パンデミックに奪われた、これまでの自由。でも、たちどまったままではいられない。先行き不透明な世界で、私たちはどう生きていけば良いのか? 「旅する漫画家」による、自分の足で歩き続けるための実践的指南書。

いろいろ考えさせられた。

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2024年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本書を読むと、自分の価値観がとても凝り固まっている気がした。ある程度は想像力を働かせたり周りの意見を取り込んでいるつもりだったが、良くも悪くも「日本らしさ」の枠の中に収まっていて考えが足りていなかったような気がする。
本書でも述べられている通り、疑念を抱くことはとても疲れる。しかし、漠然とした不安を抱えながらそれでも幸せに生きていくためには、一つ一つに向き合って頭を使って考え続けなければならないと感じた。

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2023年09月09日

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コロナが始まってからの世の中をヤマザキマリさんの冷静な視点で考察していたり、家族との関係の変化なども書かれていて非常に興味深く読んだ。日本とイタリアでは文化も違うし、考え方も違うけれど、様々な国で生活をしてきた経験のあるヤマザキさんはどんなことに対しても柔軟な対応をしていて尊敬する。

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2023年07月09日

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コロナ禍のために思いがけず東京で長期滞在することになったときに考えていたことがまとめられている。世界各地で生活してきたからこその俯瞰的な視点で見る日本の様子が興味深い。自分で考えることの大切さを考えさせられる一冊。

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2023年04月14日

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ネタバレ

人生の速度がジェット機から徒歩に変わったら見えてきた世界。

2022年9月発行。『テルマエ・ロマエ』の作者、ヤマザキマリさんがコロナ禍で日本に長期滞在しその中での体験が綴られている。

昆虫の飼育、東京五輪、息子の就活、などなど。

ヤマザキさんの作品は『テルマエ・ロマエ』を冒頭ちょこっと読んだだけなので、ヤマザキさんが息子さんを一人で産み、その後(子の父親ではない男性と)結婚されたということをまったく知らなかったので、毎ページ驚きの連続でした。普段は日本在住ではなく世界のあちこちに移住されていてるんですね。バイタリティーがすごい。

歴史を取り扱った漫画を描かれる漫画家さんは資料としてたくさんの書物を読まれているしもともと本好きな印象がありますが、ヤマザキさんも多種多様な本を読まれていて考え方も行動も理知的な方でした。面白かったです(*´ω`)

こちらは2020年発行『たちどまって考える』の続編だそうで機会があればそちらも読んでみたいです。

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2023年01月18日

Posted by ブクログ

コロナ禍でまさかの日本への長期滞在。ウィズコロナの生活でヒトという生き物について深く考察する。

筆者の博識に何より驚かされる。18歳こらのイタリア留学。筆者の作品を支えるのは波乱の人生経験だけではないことが良く分かる一冊。秀逸な指摘が実に多い。

コロナを通じて考える筆者独自の文明論。

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2023年01月07日

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ヤマザキマリさんがコロナ禍で考えたこと。

外に目を向ければ逃げ道はある。
思考力と想像力。
keep moving

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2022年11月12日

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パンデミック下で考えたエッセイ。頷けること多数。ウィルスに対して勝ち負けで語るのは変。共有を前提にしない関係の意味など。

この人と暮らすと本当に面白いだろうなと思う。自分の頭で考え、偉ぶらず、卑下せず。

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2022年11月07日

Posted by ブクログ

何事も自分の頭で考えることの大切さを教えてもらえる本だ。信じることは一種の怠惰、という表現に感銘を受けた。

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2022年10月31日

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前作たちどまって考えるからアフターコロナ歩きながら考えるをヤマザキマリさん講師小樽市民大学講座で学んだ。

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2022年10月25日

Posted by ブクログ

ヤマサキさんの本はユーモア溢れ、説教くさくない所が良い。
過去の苦労を笑い飛ばす明るさ、冷静さ、俯瞰した観点から世の中を見る、賢いカッコいい女性だと思う。

以下、印象に残った箇所をメモ
●カブトムシ
「私が昆虫を好きなのは、彼らとは意志の疎通ができないから。」「通じ合うことがない存在と共生しているという実感」
●我が家の距離感
「一緒にいるときでも、お互いの生き方にいちいち干渉したり、自分達の価値観をおしつけたりしない」
「自分とは違う生き方を受け入れ、さらにそこから良い触発とリスペクトが生まれるかどうか。」
●安倍公房「砂の女」壁の向こうへ行こうともがく人

「大事をなしうる者は、小事もなしうる」
「keep moving」常に好奇心と感性を動かしつづけろという意味
「失敗を恐れるよりレジリエンスを」
「結婚は人生の解決策でもゴールでもない。」
「人間の社会が資本主義というシステムの中で稼働している以上、信憑性をかかげたいかなる推察や憶測も、誰かの利益のために情報として発信されている事は認識しておくべき」
「水溜りを避けて歩く方法論ばかり学んだ所で、水溜りに嵌まった場合にどうすればいいのか、我々の得意な機能である想像力を稼働出来ない人間が今は多すぎるのではないだろうか。極端なひとであれば、水溜りに足を濡らしただけで、ああ、自分の人生はもうおしまいだ、などど自分を追い詰めたりする場合もあるだろう」

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2022年09月22日

Posted by ブクログ

コロナ禍で日本がオリンピックをしたことや、自粛生活中に今までイタリアと日本を行き来していた生活が一変したことで、当たり前だったことがそうではなかったと気づく。
「立ち止まって考える」の続編。
イタリアに長くしたこともあり、日本人の特性や固定観念を客観的に考察されている。
山崎マリさん自身の人生自体が破天荒でおもしろかった。

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2024年03月16日

Posted by ブクログ

すごく楽しみにしていた本だったが、自分としては新たな発見はあまりなかった。

自分のやりたいことをやってる人って、何歳でもかっこいい。

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2023年12月09日

Posted by ブクログ

-----おわりに より抜粋
『人間が70年なり80年なり生きていく上で、失望も屈辱も失敗も悲しみも避けて生きていける可能性など正直皆無と言っていい。なのに、私たちは自分たちの心構えや行い次第で、苦労も苦しみもない幸せに満ちた夢のような暮らしも可能だと子どもの頃から安直に思い込まされ、そうならなかった場合の対処をほとんど修練させられていない。水溜りを避けて歩く方法論ばかり学んだところで、水溜りに嵌まった場合にどうしたらいいのか、我々の得意な機能である想像力を稼働できない人間が今は多すぎるのではないだろうか。極端な人であれば、水溜りに足を濡らしただけで、「ああ、もう自分の人生はこれでおしまいだ」などと自分を追い詰めたりする場合もあるだろう。地球は水溜りを発生させる惑星なのであり、そこに嵌まって足を濡らしたところでなんぼだという原始的かつ進歩的な意識の稼働を必要としない現状というものを、我々はもう少し疑ってみたほうがいい。』

「旅する漫画家」ヤマザキマリさん。
コロナ禍で日本に長期滞在することで、様々な気づきや発見を得た。あちこち海外へ飛び回ってきたヤマザキさんだからこその気づき、日本らしさとは何か?

2020年刊行の前作『たちどまって考える』から2年(本書22年刊行)。

パンデミックが始まってから3年以上経ち、世の中も、たちどまったままではない。しかし、依然と先行きは不透明のまま。
戦争、災害、疫病。そういった予測外の事態と向き合うとき、私達人類はそれを起こってはならなかった不幸や不条理と捉え、幸せを遠ざけられてしまった無念な気持ちに見舞われて、落ち込んだり悲しんだりする。

「思考力と想像力は、人間にとっての自家発電装置であり、得体の知れないものに依存するよりもずっと、良質なエネルギーを供給してくれるはずだ」とヤマザキさんはいう。
周りの環境や意見、ネットの情報に妄信的な人が増えた現在、自分の頭で考え、何事にも懐疑心を持つこと。その知識とユーモアがたっぷり詰まった一冊である。

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2023年06月12日

Posted by ブクログ

ヤマザキマリさんの哲学的思考がたっぷり詰まった本。家族のあり方についてはうなづくこともいろいろあったが、歴史観については昔学んだなぁ程度では難しくてついていけないこともいっぱいだった。人間とは地球の中の一生物であるという考え方は非常に面白く、そうだとしても自分で考える哲学的思考の大切さを伝えている本だと思った。

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2023年05月27日

Posted by ブクログ

普段から深く考えてないなーと気づく。
マリさんからすると、怠け者に見えるかもしれない。
私は考えるよりやっちゃえ!今までもなんとかなってきたじゃん派に所属しているものでね(でも慎重派にも所属)。

だから、大きな声で言えないけど、なんか面倒というか、あんまり面白くないなと思ってしまった。あー!言っちゃった!!ごめんなさい。

マリさんの育ってきた環境やお母さんの言葉などはすごく魅力的に思えたし、面白くないと言っておきながら、マリさんを好きなので、前作『たちどまって考える』も読んでみよう。

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2023年04月06日

Posted by ブクログ

ヤマザキさんの本を手にしたのは初めて。もちろんその存在は存じ上げていましたが、ローマ時代を題材にした漫画を描いておられる方、ということしか認識できていませんでした。
確か、養老孟司さんのエッセイでお名前を拝見し、一体どんな繋がりがあるのだろう?と興味を持ち、本屋で何冊か平積みになっている中から一番新そうなこの本を手に取りました。

何の下知識もなしに読み進めると、そのしっかりとしたものの考え方や広範囲で深く広い知識に翻弄されてしまいました。

そもそも、普通の日本人としての人生を送ってきている私とは全く異なる、波瀾万丈な人生を歩んでおられるヤマザキさんのものの考えと同調できるところが多いというのも不思議なものです。山﨑さんの考え方全てに同意できる訳では無いけれど、その考え方には裏付けとなる経験・読書・生活があり、反発は感じられず、「そういう考え方もあるんだ」と視野が広がった思いです。
個人的には、先日読んだ橘玲さんの「バカと無知」の内容を思い出し、重ねて考えるところもありました。

本書の中で紹介されていた本を読んでみたいな!と思って調べてみましたが、すぐに手が出ない値段であることがわかり、また、おそらく積読になりそうなのでやめておきました。
しかし、聡明な人ですね。良い本との出会いができました。

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2022年12月25日

Posted by ブクログ

著者の哲学がいろいろ垣間見えるエッセイ。
ただ、今までの破天荒な内容とは違って、少し期待していたものとは違うよそおい。

とはいえ、再び繰り返される暗黒の時代を危惧している考え方には同調する。歴史をよく知る人にとってのその危機感は説得力がある。

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2022年11月12日

Posted by ブクログ

まず、著者の東京の自宅というか仕事場が
自分の自宅の近くであったことがわかって
そうなのか・・と驚き(本当の驚きまではないですが)ました。

内容的には、根底としては同意する考え方が多く
述べられてあり、同意するものが多く、また
納得というか、気づきをもらったものもありました。

ただ、イタリアや西洋と日本を2項的に比較する態度
には、ちょっとちがうのではないかなあと
思う部分もありました。
もっと、本当はボーダレスというか、何をアイコンとして取り上げるかという態度による違いだけのような気がします。

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2022年11月09日

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