【感想・ネタバレ】マキアヴェッリの独創性 他三篇のレビュー

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Posted by ブクログ

 本書に収録されている『理想の追求』は、著者バーリンの思想的歩みが自身の口から語られている。著作を通して出会ってきた哲学者や思想家からバーリンが如何なるものを汲み取ってきたかが率直に論じられる。
 バーリンの取る相対主義の立場と多元主義の違いが分かりやすく説かれているのが、特に印象的だった。

 表題作のマキアヴェッリのほか、ヴィーコ、モンテスキューが論じられている。

・マキアヴェッリについて
 マキアヴェッリは特殊道徳的価値と特殊政治的価値とを区別したのではない。彼が区別したのは、二つの非両立的な生活の理想、二つの道徳の区別である(39頁)。
一方の道徳は異教世界のそれであって、勇気、精神力、…正義、自らの正当な要求の主張、要求の充足に必要な知識と力に価値を置いている。他方はキリスト教の道徳で、慈悲、あわれみ、…彼岸での生活への信念、個人の魂への救いへの信仰である。

・ヴィーコについて
 世界ー自然ーは、それを作った神のみがそれを完全に知ることができる。人間が完全に理解できるのは自らが作った芸術品、政治制度、法制度、ルールが決められている全ての学問、そして人類史である。(158-160頁)

・モンテスキューについて
 モンテスキューの用心深い経験主義、法律を普遍的に適用することへの不信、人間の能力の限界に対する鋭い感覚といったものが、「恐るべき単純化をするひとびと」に対して敢然と立ち向かっていく(253頁)。彼らは知的に明晰であり、道徳的に心が純潔であるからこそ、巨大な抽象の名において、人類を幾度となく犠牲に供してきた。
  

 ヴィーコとモンテスキューの著作は何冊も積ん読状態。バーリンの読みに導かれながら、何とか読破したい。

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2022年10月04日

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