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現代は「成熟拒否」の社会である。
大人になるおということは「断念」しながら「現実適応」していくことである。しかし「無力」であることを受け入れることが現代人はできなくなっている。万能感の否認を拒否する方向が引きこもりや鬱であり、怒りとなって他責に向かうとモンスターペアレントやモンスタークレーマーとなる。モンスターペアレントは親としての万能感を保持して「パーフェクト・ペアレント」「パーフェクト・チャイルド」を失いたくないからこそ親の非も子供の非も認めずに学校や教師の責任とするクレーマーと化す。
消費社会があきらめないでというメッセージを発信し続ける以上は、一方で肥大化した自己愛的万能感を抱えて、あきらめきれない「成熟拒否」が増加し、他方で薬物などによって自己愛や万能感を補おうとする現象が生じるのは当然の帰結、というお話。
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対象喪失。成熟拒否。
死亡体験の欠落と、死に対する救いの消失。
欲望を諦めさせてくれない消費社会。
パーフェクトチャイルド、パーフェクトペアレント。
幼児的万能感。
否認、怒り、取引、抑鬱、受容。
キーワードの多い本。
若干引用が多い気もするが、今の社会を見るに、良い入門となると思う。
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エリート精神科女医が現代人の病巣を明快に説明していて痛快な良書です。引きこもりも、薬物中毒のジャンキーも、切れキャラのモンスターペアレントも病因は同じだと指摘する。これらはみな傷つかずに育ったマザコンで いわゆるI love me!のうたれ弱い現代人が自己防衛反応として起こしているという。 私たちは様々な困難や失敗をして傷つき、克服し大人になっていく、このプロセスを妨げる過保護が根底にあり この過保護な親のことをカーリングペアレントと呼ぶらしい
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タイトルから今の世の中への批判満載な内容なのかと思っていたがそうではなかった。
精神科医であるがゆえに、現代の困った人々のこころを冷静に捉えていると思う。思わずドキッとしてしまうような指摘が多々あった(つまり自分も困った人々の一員)。
対象喪失を受け入れられないことで成熟拒否を起こし、ひきこもり、他責的な性格、うつへとつながる。そしてその根本には幼児期での自己万能感がある。誰だって自分だけが(は)常に正しいと思いたいし、思っている。問題なのは、問題の起こったある時において喪失を受容できるかどうか。「受容」に至るには、否認や怒りを含めた辛い過程をたどる必要がある。でもその一つ一つが現実と向き合っていくことに他ならず、そして自分以外の誰しもが同じ経験を経ていくものだと認められるようになれば、それが成熟するということなのかもしれない。
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大人が子供化している現代社会を見事にまとめています。オススメの一冊です。
大人が子供のままでい続け、大人になりきれない状況を、第1〜3章で説明し、第4章では、大人になる過程で失われる夢や理想をいかに克服するかの「対象喪失」について、第5章では、現代の子供化している社会に対しての処方せんを提案しています。
近頃話題になっている、引きこもり、モンスターペアレント、自分を甘やかす現象は、全て大人の子供化というキーワードで説明できます。本当であれば、第4章で説明している、社会に揉まれながら乗り越えて行く苦労や困難を経験して、大人という成熟した段階へと成長するはずです。しかしながら、そのようなつらい経験を拒否し続けると、いつまでも精神年齢は子供のままでいてしまい、体だけが大人に成長してしまうと説明されています。
以前なら、かわいい子には旅をさせよ、若いうちは買ってでも苦労しろ、といった風潮があったのに、現代では、いつの間にか周囲も気を使って、苦労をかけないようにと、本人を囲ってしまいます。
今の時代、精神年齢が低い=かわいいみたいな風潮がある気がします。あたかも、子供化している状況を正当化するような。そうやって子供化自体が問題視されず、本人のキャラ、個性で片付けられてしまうのは非常に危険だと思います。
著書では、子供化を進行させないよう、挫折や困難などの「転ぶ」経験をたくさんして、転んだ時に、
1.他人のせいばかりしない
2.敗因を分析する
3.自分で起き上がる
の、3つの練習を積み重ねていく処方せんを提案しています
当たり前のことかもしれないけど、意外に難しいです。要は、自分に厳しく、自己鍛錬を行なっていけるかにかかっていると思います。そう思うと、人生は修行って気がします。つらい現実を直視し、向き合って乗り越えていくことで、人生の経験値もあがっていくと思います。ドラクエと同じように、逃げ回ってるだけじゃあ経験値はもらえず、レベルアップしないのと同じように。
親の責任も大きいと思います。子どもが可愛いからといって、いつまでも甘やかしていると子どもの精神年齢が上がっていきません。子どものためを思って、時には厳しく接し、突き放すことも大事だと思います。自分も父親として、子どもを叱って面倒な状況になるより、子どもの機嫌を取っている方がラクだなあと安易に考えがちです。短期的に見ればそれで良いのかもしれないけど、長期的な子どもの成長の視点で考えれば子どもにとってプラスとは言えません。著書を読んで反省しました。
目次
第1章 「打たれ弱い」という病
第2章 一億総「他責的」社会
第3章 依存症―自己愛の底上げ
第4章 大人になるってどういうこと?―対象喪失とは何か
第5章 子どもを子どものままにしないために(処方箋)
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精神科医として臨床現場でお仕事をされている筆者が、近年増えていると感じる「打たれ弱い人間」「他責的な人間」「依存症の人間」の三者を対象喪失の克服という観点から見直している本です。
この本はすごく参考になりました。私自身、「喪失」の過程にいたものですから、それをどうやって乗り越えるのかが参考になりましたし、元気も出ました。同時に今という時代の残酷さや生きづらさもヒシヒシと感じ取ることが出来て、生き方を見直す良いきっかけになりました。
「諦める」というよりも「挫折を受け入れて努力すること」が大切なのであって、同じ失敗を繰り返しても諦めないでしがみつき続けるということは、学習能力がないと言わざるを得ません。失敗から学ばないのがダメになる原因だったんです。また、挫折したからと言って全てを放り出してしまうことも愚かなことです。
まず何よりも挫折を自分の痛みとして受け入れること、受け入れてなおやる気があるなら頑張れということなんだなぁと。
痛みから立ち上がるのはとても大変なことですが、頑張らないとなぁと気が引き締まりました。
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自分がまさに積極的に成熟を拒否したいと思う人間なので手に取った。大変示唆に富む内容で、自省を促される指摘も多々ある。また、大人=理想的人間とはどうあるべきか思惟を喚起してくれる。
ただ、冒頭で筆者自身も「成熟における『対象喪失』という側面に着目して、~一つの切り口を提示してみたいと考えている」と言っているため、分かった上であえてそうしているのだとは思うが、いくらなんでも全てを「対象喪失論」と結びつけすぎではないだろうか。こじつけと思える部分もいくらかある。
例えば、幼児的万能感の喪失に耐えられない大人がモンスタークレーマー化するとの主張だが、そもそもその万能感を持っている当の幼児はモンスタークレーマーだろうか。むしろ知らない相手に対しては萎縮するのではないか。子どもは車に轢かれても「轢かれ逃げ」する。電車内でトラブルを起こすのも幼児でも未成年でもなく、決まって成人だ。そういった意味で、幼児は確かにある種の万能感を持ってはいるが、モンスタークレーマーと言われる大人の持つ万能感とは少々質の異なるものなのではないだろうか。
薬物依存についても、対象喪失に耐えられないためというケースも多々あるのだろうが、単純にカッコイイからとか、フィジカルな快感を求めてとかといったケースもあるのではないだろうか。
「対象喪失論」の流れに全てを収束させようとするあまり、どうも安易なこじつけに見えてしまう箇所が少なからずあり、論理的に突っかかってスムーズに頭に入ってこないところが残念だった。テーマ自体は大変興味深いので、このあたりが改善されたらより面白い内容になったと思う。
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・すべてを他責にする人間が増えている。
・挫折してもそれを乗り越える力が不足している人が多い。
・モンスターペアレントが増えているのは、自分ができなかったことを、子供に対し過度に期待するため。(星一徹型?)
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「やったら、できる!」
という言葉がある。
時には、そうだろう。
でも
「やっても、できない!」
ことの方が
世の中には多い気がする、
いや、確実に多い。
ますます、
その通りだ!
と思ってしまった。
精神的に未熟であるがゆえに
世の中で
起きてしまっている事象の数々、
また、
その未熟さを助長してしまっている
未成熟な家庭の人間関係、会社組織での人間関係、他者との関係をうまく築けない未熟な心の構造の数々、
それらを
具体的な事例を挙げながら
分かり易く分析してくれている
一冊でした
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他責について知りたくて読書。
他責の人間が増えている。日本だけの現象なのか不明だが日本は確実に増えているなと感じている。
本書は、著者が接している患者などの例も含めてモンスター〇〇について紹介されている。
他責の癖がある人間が、新型うつ病と呼ばれる現象の原因になっていると指摘される。では、どうして他責の人間が増えてきたのか。
著者は、現在の日本社会が原因だと指摘してると読み取れる。不況からの閉塞感や先の不安、現状の不満から自分を守るため責任を他人に押し付けることで無意識に自分自身を守っているのかもしれない。
問題は、周りで関わる人間に他責の人間やモンスター〇〇の類がいたときの対処法だ。それが知りたいと思った。
他責人間になるのは社会の問題もありそうだが、家庭教育にも原因がありそうだ。著者が指摘するように挫折や失敗が少ない人間は、自己肯定力が異常に高く、自己客観視や自己分析力は弱いと思われる。失敗やちょっとしたつまづきを多く経験させて、そこから立ち直るための助言や援助を経験して立ち直って前進してきた人間は他責人間にはなりづらい。
大切なのは、転んだとき、
一)他人のせいばかりにしない。
ニ)敗因を分析する
三)自分で起き上がる
この三つの練習を積み重ねていくことだ。(p247)
自責ばかりだと抑うつ状態になるので、他責と自責はバランスが重要。心のなかで思うのは自由なので、メンタルヘルスコントロールのために、意図的に他責を用いることも方法の1つ。
前に読んだ人が、p47の引きこもりの子がインターネットに没頭するのは、インターネットは無限のパワーを手に入れた氣分にさせるからの下りに書き込みがあった。
違う、インターネットに没頭するのは、楽で飽きないからだ、と。
これに関しては書き込んだ人に同感で、インターネットや依存に陥るのはその行動の方がハードルが低くて楽だからだと思う。
電車で読書よりスマホでゲームやLINEをやるのは、後者の方が楽だからだと思う。行動に多少の苦痛がもとないハードルもやや高いが読書をする人は、読書にそれ以上の価値があることや得たい目的があるからその行動を選択していると思う。
本書は色々なことを考えさせてくれた。
覚せい剤に溺れた芸能人の心理分析は、なるほどと思った。過去の栄光と現状とのギャップに耐えられない。そこにはやや歪んだ自己愛が関係している。
かくいう私も先月末にこの10年で経験がないほど落ち込んだ。我ながら弱いなと思ったのだが、そんなときに本書を手にしたのは、潜在意識が手にさせたのかもしれない。
読書時間:約1時間25分
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モンスターペアレント、モンスターペイシェントの生まれる過程を社会の移り変わりを交えて説明していく。
第4章は哲学的な内容が続いてどうも苦手だった。
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「スゴイ自分」を捨てきれない大人が増え続ける日本社会に警鐘を鳴らす。ちょっと前にそこそこ話題になった本。
ひきこもりやモンスターペアレントや依存症患者は「あきらめる」ことができないという点で同じであり、彼らのような人が増えた背景には、「あきらめるな!」というメッセージを発し続ける社会の影響があるというのが主な主張。
ちょっと言い過ぎな感じも受けたけど、なかなか納得できる本だった。「『あきらめない』のであれば、当然、そのために重ねるべき努力も、あがくことに伴う苦悩も、失敗したときに味わう絶望も、引き受ける覚悟がなければならない」という著者の言葉が重い。
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自分自身、甘ったれてばっかだなあとずっと理想と現実のギャップに悩んでる。
どうやったら理想の、なりたい大人になれるのかを知りたくて手に取った本。
大人になることは何でも出来るようになることじゃなくて、何でも出来るわけじゃないと認めていくことなんだ。と納得。
ガキのわたしには、耳が痛いことばかり。
処方箋は、失敗したときに他人の所為にせず敗因を分析し自分で起き上がることを何回も練習する。
具体的にどうしたらいいのかまだわからないけど、それを簡単に言葉で解答できたら一億総ガキ社会になんてならないか。
うーんがんばってみようかな。
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引きこもり、他責性、依存症。これらは成熟拒否、つまり諦めることを覚えずに大人になるということ、により引き起こされるらしい。
中々面白かった。人生において諦めることは非常に重要なのかもしれない。最大の諦めは「死」であって、昔はそれが身近にあったが、最近は医療も発達し核家族化も進み「死」が非現実的なものになったので、失うことの経験が無くなったという。
最終章でいきなり小話みたいな変な展開にしていったのが、残念だった。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「スゴイ自分」(=幻想)を保つためなら何でもする…急増するひきこもりや新型うつ病、何でも他人のせいにするクレーマー、覚醒剤や合成麻薬などの依存症。
精神分析からのアプローチ。
[ 目次 ]
第1章 「打たれ弱い」という病(不登校は誰にでも起こりうる、という認識;ひきこもりの長期化 ほか)
第2章 一億総「他責的」社会(モンスターペアレントは「他責」の象徴;ベテラン教師も疲れ果てる ほか)
第3章 依存症―自己愛の底上げ(マイケル・ジャクソン―「大きな子ども」の典型;失われた子ども時代 ほか)
第4章 大人になるってどういうこと?―対象喪失とは何か(最大の対象喪失である「自らの死」;キューブラー・ロスの「死の五段階」説 ほか)
第5章 子どもを子どものままにしないために(処方箋)(「~しない生き方」を実行するのは難しい;問題点に「気づき」、構造を理解する ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
大人になる=何でも出来る訳ではないことを受け入れる 対象喪失を受け入れる
悲しみや苦しみを乗り越えて人間は大人になっていく。
何でも周りのせいにする他責的な人、問題は自分かもよ
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モンスターペアレンツやひきこもりやうつなどの状態を、
マイケルジャクソンなど有名人を絡めてわかりやすく根本から解説。
みんな幼児的万能感が抜けないんだってこと。
これから抜け出すには対象喪失を経験して心を鍛えることだと。
だが現代社会ではその経験をさせることが少なくなっているから
こどもの心のまま育ったおとなが増えているということ。
後半は専門的な話になっていくけれど、おもしろかった。
Posted by ブクログ
最近こういった、社会の問題の解説•解読本が好きだ。
自分の問題を他責にする人が、モンスターペアレントやモンスターペイシェントになるらしい。なるへそ。
失敗すると、全否定の勢いでだめになり、うつ病にまでなってしまう。なるへそ。
何事も、バランスよくやれないから、モンスターになったり、うつになったりするんだ。
バランスよく、バランスよく。
Posted by ブクログ
ひきこもり、モンスター・ペアレント、依存症に共通する「成熟拒否」は、壁にぶち当たった時こんなはずじゃなかった、と現実を直視しないことによって起こる。全然性格が違いそうなひきこもりとモンスター・ペアレントに原因を同じくする所があったなんて。現実をありのまま受け入れることの難しさは「NANA」でも語られていたな、とふと思い出した。
転ばない方法ではなく起き上がる方法を教えてあげられるようにならなくては。
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「他責」という言葉がポイントになるのだろうか。モンスターペアレント、モンスターペイシェント、そしてマイケル・ジャクソンについての解説が興味深い。もう一度読んでみたい。
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今、どこの書店も、新書コーナーにこの人の本が平積みされている気がする。
ラカン派のお医者さんだと知って、びっくりして購入。
ラカンの理論がこんなに一般受けする時代になったのか!?
理想の自己という「対象」を喪失するつらさを受け止め、自己愛を相対化することが大人として成熟すること。
しかし、現代の消費社会は、便利さ、快適さをサービスとして提供するために、大人になるチャンスを奪っている、tぴうのがこの本の基本的認識。
自分にとっても耳の痛い話でもあったし、なるほどと思う部分も少なくない。
でも、本を閉じて考え直してみると、依存症は成熟拒否なのか?
無差別殺人が起きるメカニズムの説明もわからないところがあった。
自己愛が保てないつらさから他責的になるというのはわかる。
ただ、内なる悪の存在を認められず、それを外部に投影することで無差別殺人が起きるとされている。
自己愛を保てなくさせるきっかけになった特定の対象が攻撃されるのではなく、不特定多数になるのはなぜなのだろう?
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「モンスター〇〇」という言葉が広まって久しい感がありますが、どうしてこんな世の中になっちゃったのかと常々思っておりました。
本書を読んで納得。
ひきこもりの病理も「自己愛が傷ついたり壊れたりすることから逃げるための成熟拒否」とあるのを見て手を打つ思いでした。
確かにそうだわ 。
ひきこもりの人って、社会に出ることには物凄い及び腰だけど、やりたいこととか自分の興味に関わることになるとプライドむき出しになってしかもそれに全く自覚が持ててなかったりします。
そりゃうまく行かないよ、と思うけれどそういうことを言うと「何もわかってない」とか「気持ちがわかるわけない」とかシャッターを下ろします。
「こどもじゃないんだから」ではなく「マインドは子供」なんですね。
奥付を見ると6年前の出版。今現在もこの病理の改善の兆しは見えているとは言えないように思います。
今も一度「ライン」から外れたら戻れない世の中のままです。
「諦める」は大事ですが、これは諦めてはいけない事態だと思います。
著者の文体の癖だと思いますが、文の末尾が「ゆえに」「だが」「ほどに」など言い差し表現で終わっているのが散見され、私だけかも知れませんがちょっと読みにくいと感じました。
言い差し表現ではなく「である」「と考える」など言い切りの方が、こういう内容の文には適切なのではないかなーとちょっと思いました。
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なかなか評価が難しい。
前半は最近話題の事例等も交えて理解しやすいのだが、後半は冗長というか少し難解になってくる。
問題は明確なのだが、どう解決していくのかまで踏み込めていない。
解決方法はない、あきらめろということかな。
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著者は、精神科医であり、精神分析を学んだ経験を活かし、臨床事例と合わせ多数の著書をだしている。
内容的には、以下の3点について論じている。
1.ひきこもり、登校拒否、出社拒否に象徴される現代人の打たれ弱さ。
2.モンスターペアレントなど、他責傾向の強い人々。
3.ドラック、酒などの依存症。
これらが急増している背景には、「対象喪失」を受け入れられない=大人になれない人々の増加が原因であり、「対象喪失」を直視し、乗り越えてゆかねばならない。
この本を読んでいると、説得力があり筋が通っているように思える。
しかし、内容を細かく見ていると、肝心な部分で客観的なデータが示されておらず、結果から論理が組み立てられているように感じる。
「対象喪失」を受け入れられないのは、普通の人にも見られる傾向であるし、時代によってかかるストレスも大きく変化している。
必ずしも大人になれないからという一義的な論点で説明しきるのは無理があるように感じる。
Posted by ブクログ
「打たれ弱さ」「他責的傾向」「依存症」という三つの問題の根源に横たわるのは同じ病理であるとして、「成熟拒否」の人々、「対象喪失」をきちんと受け止められない人々が増えているという近年の社会現象を、精神科医の立場から読み解いた一冊。このような社会を「一億総ガキ社会」とばっさり切り裂く著者についても興味が湧いた。
(要旨)
著者(精神科医)が最近の臨床現場で感じている、三つの特徴的な傾向がある――1.ひきこもりの増加にみる打たれ弱さ、2.何でも他人のせいにして切り抜けようとする他責的傾向、3.覚せい剤や合法麻薬などにすがる依存症の増加……。これからの根源に横たわるのは、実は同じ病理である――いずれも、「こうありたい」という自己愛的イメージと、現実の自分とのギャップが大きすぎ、ありのままの自分を受け入れられないのである。「自分は何でもできるんだ」という空虚な幼児的万能感をひきずったままの若者・大人の増加。その「成熟拒否」の背景には、親の過大な期待と、現在の幼・青年期には失敗や喪失体験が少なく、精神分析でいう「対象喪失」が機能しなくなっていることがある。本書では、臨床例・事件例をもとにこの問題を分析。喪失を受けとめ、地に足のついた真の再生を果たすための処方箋を示す。
子育てや教育は、「いかに失敗させるか」ということがとても重要であることを再確認。チャレンジを推奨して、一方では失敗した時のケアをしてあげる大人の存在が必要不可欠。
日本社会全体的にトライ&エラーができ易い教育の仕組みを構築することが急務なのだけど、なかなかそうはならないのが日本社会のメンタリティの部分での根深い問題。
Posted by ブクログ
この本を読んだのは、何を隠そう、自分がガキ過ぎて嫌気がさしたから。どうにかして大人になりたい。。と。
いかに、完璧な自分なんていうものはない、というものを自覚し、失敗や挫折や喪失を受け入れるか、ということ。自分が失敗してもいいんだ、ということ。傷つくことを受け入れる強さを持つこと。
本当の意味で挑戦していこうと思った。恥ずかしくたっていいじゃないか!