【感想・ネタバレ】デフレと円高の何が「悪」かのレビュー

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金融を知らない人にでもわかりやすく書かれている!
今、何をしたらよいのか?!
がよくわかる1冊でした!

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2019年05月04日

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ネタバレ

日本経済がどう回ってるのか、分かりやすく解説した入門書。初心者には読み易くて非常に嬉しい。
他方、国の要職に就いている方の発言に対して「トンデもない!」などと批判的なコメントが目立つため、読んでてあまり気持ちの良いものでは無いです。コメントに対して対案や改善策を具体的に提示してたらまたテイストが変わってたかも。

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2018年01月04日

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勝間和代氏のブレーンとして知られる著者が円高・デフレについて優しく解説する。
著者は本書内でも断られているが、決して経済学をきちんと学んだわけではない。しかし、膨大な書籍を読み、その中から事象についてキチンとした根拠の示されているものを選び取りながら学んだことに基づいて本書を構成したそうだ。
その結論としてはいたってシンプルで、「良いデフレなんてない」こと、「円高も円安もすぎると良くない」ことを基本に、財政再建についても言及されている。
そこには、税率をあげても税収が増えない根拠も示され、結局のところデフレに陥っているならば早期にインフレ目標を設定し、その目標に到達するまで金融緩和を実施して緩やかなインフレを実現し、経済の拡大を図る必要があることが非常にわかりやすく解説されている。
野田内閣の財政再建のための消費増税はデフレ下にある現時点では大きな間違いであり、インフレが過熱気味になってきた時こそ実施すべきであること、そして安倍内閣にはスケジュール前提ではなく、あくまでも景気動向を見極めて増税の判断をしてもらいたい、と切に思った。

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2013年03月19日

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わかりやすい。話を単純化することが課題解決には重要、と改めて思う。単純化しすぎていて「本当に?」と思うところもあるが・・・経済に明るくない人にもオススメの一冊。

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【読書メモ】

●デフレも円高も、政府と日銀が協調すればたちどころに終わらせることができます。要するにモノに対してお金の量が不足しているわけですから、お金を刷って効率的に分配すればいいのです。ところが、マスコミはこのことをきちんと伝えていません。

●「今日の特売で買わないと明日は値段が上がる」という物価上昇期待が存在しなければ、いくら値下げしてもモノは全然売れません。「デフレは良くない」というと、「おまえは特売やタイムセールスに反対なのか?庶民感覚が分かってない!」と批判する人がいます。これは本当に的外れな批判だということが分かっていただけたでしょうか?

●思わず手がでてしまうというのは、心の中に将来値段が上がるという期待があるからです。この期待をインフレ期待といいます。特売とかバーゲンで働いている心理は「明日になったら値段が上がる」という「物価上昇期待=インフレ期待」です。

●デフレの最大の問題は、借金返済の負担が契約上の利率よりもずっと重くなるということです。

●円高が進めば、海外通貨で計ったときの価格は上がってしまうので、製造業の海外での売上が減少する。輸入農産物は値段が下がるため、国産の農産物は厳しい価格競争にさらされる。また日本では労賃が高いので、日本企業ですら日本で生産することをやめて海外に出ていくことで、国内の失業がますます深刻化する。

●中国からの輸入急増や規制緩和、構造改革の効果を含めても、物価引き下げの圧力は過去10年で0.4%程度。デフレは中国が原因ではない。

●物価というのは特定品目の価格(相対価格)ではなくて、世の中に存在するモノの値段(一般価格)を指しているのです。したがって、いくらガン治療薬や紙より薄いノートパソコンなどを作っても、他の支出を削ってそちらに振り向ける限り、結果は同じになってしまいます。…私たちは知らず知らずのうちに、相対価格の上昇とインフレを混同しています。しかし、自分が普段買っているモノの値段が上がっても、物価が上がっているとは限らないのです。

●CPIというスピードメーターは、スタート地点から離れれば離れるほどくるってくる、ということを理解する必要があります。

●海外でコアCPIといわれているものは、日本ではコアコアCPIに相当する数値(酒類を除く食料およびエネルギーを除く総合指数)

●(デフレは)お金不足が原因ですから、お金を刷って供給すれば、かならずいつかデフレから脱却することができます。…もし、いくらお金を刷ってもデフレから脱却できないとしたら、いくらお金を刷ってもインフレが起こらないということから、安心して通貨を大量発行することができます。政府は、毎年の支出に相当する金額を、紙幣を刷って調達することが可能になります。しかし、実際にはこんな虫のいい話はありません。絶対どこかのタイミングでインフレが起こります。…巷ではこれをバーナンキの背理法と呼んでいます。

●失業率3.5%というのは、いわゆる自然失業率といわれるもので、どんなに給料をもらっても絶対に働きたくない人の割合を示しています。つまり、失業率3.5%を下回ると、企業は人手不足状態に陥るのです。

●戦争や間違った政策による生産設備の破壊や機能停止と、極端な生産量の低下がないとハイパーインフレは発生しない。

●デフレが終わらないということは、モノの値段が将来にわたって下がり続けるという期待が日本中に蔓延しているということです。今買うより先送りにしたほうが安くなるので、当然人々は消費を手控え、モノは売れません。

●デフレ下では増税よりむしろ減税こそ検討するべき。

●現在、私たちが抱えている国の純債務387兆円のうち93%については、国民が政府に貸している。最後の日本人が最終的に右と左のポケットを相殺すれば何の問題もない。要するにこの部分は返す必要のない借金。

●そもそも財政危機とは何だったのでしょうか?「日本の財政赤字は危機的な状況で、消費税を増税しないと破綻してしまう!」と言われていましたが、財政赤字のほとんどは返さなくていいお金でした。また、財政再建を果たすためには消費税の増税は全く効果がなく、むしろ名目GDPを伸ばすべきであり、そのためにはデフレを脱却することが重要だという結論になりました。

●国際貿易のトリレンマ…どれか2つを達成すると、残りの1つは絶対に達成できなくなる・固定相場制(金本位制)
・資本移動の自由(外国への投資、また外国から自国への投資の自由)
・金融政策の自由(自由に通貨を発行したり、吸収したりすること)


●日本人の一つの欠点は、余りに根本問題のみに執着する癖だと思う。この根本病患者には二つの弊害が伴う。第一には根本を改革しない以上は、何をやっても駄目だと考え勝ちなことだ。目前になすべきことが山積して居るにもかかわらず、その眼は常に一つの根本問題にのみ囚われている。第二には根本問題にのみ重点を置くが故に、改革を考えうる場合にはその機構の打倒乃至は変回のみに意を用うることになる。

●そもそも目標として設定できない「構造問題」を目標とすることは問題。まして、「構造問題」を解決するだけで経済的停滞から脱却できると考えるのは間違った考え方です。

●政府と日銀が「デフレが終わるまで世の中にお金を大量に供給する」という政策目標を共有し、その目標を達成するために「あらゆる政策」を実行する。

●具体的なアコード(政策合意)の例
1.来年度以降のGDPデフレーターの上昇率1~3%の範囲に収める(インフレーションターゲット型)
2.GDPデフレーターの上昇率と失業率の双方について目標範囲と優先順位を定める(テイラールール型)
3.1ドル=110円~130円の購買力平均並みになることを目標に金融政策と為替介入を行う(為替ターゲット型)
4.来年度以降名目経済成長率を2~4%に収めるために財政政策と金融政策を協調的に実施する(成長率ターゲット型)
5.1ドル=120円の時限的固定相場制の導入を目指し、各政策、各政府部門および日銀等の特殊法人のシステムを改編する(固定相場制型)

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2010年08月19日

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デフレ・インフレ・円高・円安についてわかりやすく書いていた本。
どうすれば日本経済が良くなるのか?をリフレ派の意見として著されていた。

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2022年03月17日

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ネタバレ

 10年ほど前に出版された上念さんの本。デフレ脱却には金融緩和すべしという超基本的なことをおさらいできた本であった。また、産業政策の効果というものについてあまり分かっていなかったが、マクロで見るとたいして効果ないんだなと分かった。
 経済記事なんか読むと、日本の経済を立て直すには、上述した産業政策や構造改革をどうすれば云々とダラダラ書いているものが多いが、まずお金を刷れってなんで言わないのかと思う。

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2022年01月08日

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勝間和代さんらの「反デフレ」キャンペーンの第一弾。

ただ、後に「リフレ派」と呼ばれる「反デフレ」の本は、
多く出ていることも知る。

複数読んで理解を深めるのがいいと思います。

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2020年04月03日

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この本を読むと、デフレがなぜ良くないのかが、ほんとうによく分かる。
デフレと円高がどう自分たちの暮らしに影響するのかを具体的に説明してくれている。また歴史を振り返って説明してくれ、今の状況は昭和大恐慌に匹敵する恐ろしい状態であることがよく分かった。
日銀と政府はデフレ脱却のための効果的な策をなぜ打たないのだろう。この本を読むと、ますます理解できなくなる。

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2018年11月12日

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輸入小麦などの価格上昇に伴うパン等食品の値上げ、ガソリンの値上げがあって、生活実感的には全然デフレじゃなかったときも本当はデフレだった等という経済の基本がよく分かった。経済初心者にはわかりやすくて良かったです。

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2018年10月20日

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デフレはお金が不足した状態
だからお金を刷って、モノとお金のバランスを元に戻す
デフレとは、物価下落が2年以上継続している状態
消費者物価指数CPIは、5年ごとに基準改定、バイアスにより0.9%高めの数値が出る
変動の大きい生鮮食品を除く、コアCPI
食料およびエネルギーを除く、コアコアCPI
ハイパーインフレ、年率13,000%の激しいインフレ、過去にドイツ、ハンガリー、ジンバブエ
日本では戦後でも年率59%のインフレ

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2015年12月24日

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アベノミクスを導いた立役者の1人上念さんの本。
デフレの問題点が明確にわかりやすく書かれている。
デフレは、結局庶民のマインドが内向きになってしまい消費が滞る事が問題なのだ。
紙幣の供給を増やす事で、インフレが起こり消費が高まり景気が回復する。

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2014年07月27日

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今更ですが、読んでみました。異次元緩和政策が取られている現時点では、この著の言い分をどう考えるべきか?

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2014年04月08日

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・デフレ
→モノの需要が減りお金の需要が増えること。

・デフレの定義
→物価下落が2年以上継続している状態。


・通貨供給を唯一行わなかった日本。
リーマンショック以降、アメリカ・イギリスは3倍、ヨーロッパは2倍のお金を供給。「放置すると日本みたいになるぞ」と日本の失敗に学んでいる。
お金の量の差が為替レートに反映し、日本以外の国は通貨安になり円高のデメリットをもろに受けている。

・デフレは中国のせいか。
アメリカや韓国の方が日本よりも中国への貿易依存度が高いにもかかわらずデフレになったとは聞かない。中国からの輸入額の増減とインフレ率は相関性はない。
自国の金融政策の失敗を他国になすりつける行為。

・消費者物価指数(CPI)
日本の常識は大変な非常識。数値計算の問題と海外のCPIと言われてるものの違いを指摘。

日本の消費者物価指数
総合指数(CPI)
生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)
食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)

海外の消費者物価指数
総合指数(CPI)
生鮮食品を除く総合指数→使わない
食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数(コアCPI)

・ハイパーインフレ
→経済学の一般的定義は年率Ⅰ万3000%のインフレのこと。

共通点
戦争や間違った政策による生産設備の破壊、機能停止、極端な機能低下。普通に通貨を発行してもインフレになる。

いまの日本は生産設備も人もたくさん余っている。設備と人が足りなくなるまでインフレは発生しない。それが解消したとしても数パーセントの上昇でいきなり1万30000%はない。

・税収を増やす2つの方法
税収=名目GDP×税率

財政危機論
巨額の債務→1人当たり○○○万円→消費税増税

税収を増やすには税率のほかに名目GDPを増やすとこもポイント。

税率アップした場合
増税してもお金の量は増えていない→お金不足続く(デフレ状態)→モノの値段が下がり続ける→買うことを先延ばしにする→手控えてモノが売れない→売れないから企業は経費を切り詰める→新規雇用の見送り→給料カット→リストラ→失業→消費が落ち込む→・スパイラルが続く→名目GDP増えない→税率アップしても無駄→日本経済どん底。

マスコミはなんで消費税増税だけに注目するんでしょうかねぇ。

・歴史は繰り返す
国際貿易のトリレンマ
→3つのうちどれか2つを達成すると1つは絶対達成できなくなるというもの。

①固定相場制(金本位制)
②資本移動の自由(外国への投資、または外国から自国への投資の自由)
③金融政策の自由(自由に通貨を発行したり、吸収したりすること)

金本位制
①固定相場制(金本位制)→採用
②資本移動の自由(外国への投資、または外国から自国への投資の自由)→採用
③金融政策の自由(自由に通貨を発行したり、吸収したりすること)→不採用

弱点
→金融政策の自由がない。つまり通貨発行、吸収の自由がない。通貨発行量の上限を金の保有量までとする制度。政府がお金を発行しすぎることを帽子できる。しかし生産力が上がりモノが増える過程では経済の足かせになる。

管理通貨制(現在)
①固定相場制(金本位制)→不採用(変動相場制)
②資本移動の自由(外国への投資、または外国から自国への投資の自由)→採用
③金融政策の自由(自由に通貨を発行したり、吸収したりすること)→採用


デフレ脱却過程
井上準之助(昭和恐慌の発生)
金本位制復帰→金の保有量をお金の上限としてお金の量を増やす(減らす)→デフレ発生

高橋是清(昭和恐慌の脱却)
金本位制離脱→お金の量の上限を撤廃
日銀国債直受→実際にお金の量を増やして世の中に供給する→デフレ脱却
高橋是清(昭和恐慌終了後の財政金融政策)
お金の量が十分に増えてきたので調整→緊縮財政→軍部に恨まれて暗殺

この過程を正しく認識することで問題解決できる。平成の大不況の原因はデフレ不況だから。

管総理への5つの提言
①来年度以降のGDPデフレーターの上昇率1~3%の範囲に収める(インフレーションターゲット型)
②GDPデフレーターの上昇率と失業率の双方について目標範囲と優先順位を定める(テイラールール型)
③1ドル=110円~130円の購買力平価並みになることを目標に金融政策と為替介入を行う(為替ターゲット型)
④来年度以降名目経済成長率を2~4%の範囲に収めるために財政政策と金融政策を協調的に実施する(成長率ターゲット型)
⑤1ドル=120円の時限的な固定相場制の導入を目指し、核政策、各政府部門および日銀等の特殊法人のシステムを改編する(固定相場制型)

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2011年07月03日

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ネタバレ

 「デフレは物の値段が安くなるからチャンス」、「円高は円が強い証拠。国益だ」といった経済常識の嘘をわかりやすく暴く本。

 例によって学んだこと、確認したことをいくつか挙げると、

・インフレ=悪、デフレ=善、と考える人は、インフレやデフレで物価だけでなく、給料も上下するという認識が抜け落ちている。

・円高の原因は、円が強いからではなく、通貨供給量(発行量)が少ないため。

・「デフレは中国のせい」というのもデタラメ。日本より中国からの輸出入に頼っているアメリカや韓国ではすでにインフレ傾向にあるのに、日本だけデフレから脱却できていないのが何よりの証拠。

・「国債総額(借金)は約864兆円で、国民の借金は一人あたり678万円だ!」などという戯言で世論をミスリードする知識人が多い。864兆円という数字は総負債で、総資産(約475兆円)を引いた純負債は約387兆円。
 さらに、日本国債の93%は国内で消化されているので、本当に返済すべきなのは約27兆円(387兆×0.07。国民一人あたりだと約22万円)だけである。

・昭和恐慌時の蔵相である高橋是清は、金本位制離脱により通貨量の上限を撤廃し、国債を日銀直受けにすることで通貨量を増やして供給することで世界一早くデフレから脱却した。

 経済学の素養がなくても読めると謳っているだけに、かなりわかりやすい。一部知識人やマスコミの垂れ流すデタラメに流されないためにも、是非とも読みたい本。

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2011年06月06日

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 上念氏の著作。少しデフレ脱却の方法に楽観的過ぎると思う。
 
 量的緩和とインフレ目標を政府と日銀が併用しなければデフレの脱却は困難なのは理解できる。しかし、量的緩和には、ベースマネーの増加は期待できても、その積み上がった資金が民間経済に流れることは、経済的な活況がない限り異常に困難で、「資金需要」が生まれ難い。そこでインフレ目標の解除の時期を「時間軸」としてある程度の期間を設定するべきなのである。

 量的緩和や信用緩和だけでは、ベースマネー銀行に積み上げられた中央銀行へ預ける預金量の拡大はあっても、マネーサプライが拡大する二までは時間がかかる。財政出動がともななわなければ、所得の拡大がないから、実物経済にまで影響が及ばないことになる。流通予備軍のお金が増えても、家計や企業にまでお金が回らなければ、物価下落をとめる力にはならないのである。これを防ぐには、政策当局のインフレ目標の設定によって、社会的なデフレ期待からインフレ期待が図られる必要がある。
 しかし、この転換は転換を受け入れる側には多くの抵抗がある。就業者には、インフレよりデフレの方が受け入れやすい。というのも賃金が一定だと考えるからである。就業者の大半はデフレの期待を持つことに吝かではない。FRBは実質のインフレ目標はあるのだが、未だにインフレ目標を公表、政府との共同宣言を公表していない。これが足かせとなって、ディスインフレへと、流動性の罠≠政策金利がゼロで金利政策が効かない状態へと陥りつつあるのである。
 
 高いインフレ率は所得が増えるという将来への期待を前提とし、また供給が戦争などにより設備が大量に破壊されたり、社会主義的に供給量が不足している社会ではインフレを強制的に価格統制によって押さえこんでいたりする社会が価格統制を外したり、民間経済に供給量以上に通貨が大量に供給され、かつ、インフレ容認を政策当局が採用するときに起きる。
 
 
 資金需要は、失業率の低下による低下した設備の稼働率が向上、民間企業の内部留保の取り崩しによる設備資金への投入が始まってから起こる現象だ。それは上念も述べるとおり、デフレの脱却が始まって一年間か二年間後のことである。
 
 さらにインフレ目標のインフレ率は、コアコアCPIーーー生鮮食品とエネルギー価格を除いた消費者物価の上昇率を2%以上においたうえでの設定でなければ有効に効かないとされる。
 
 
 財政のフアイナンスとなるような長期国債の引き受けに、日銀は消極的である。池尾や池田などが金融政策と財政政策の差を解いて、禁じ手を打ってはいけないとしている。彼らは政策目標とその手段を混同しているか、長期の物価下落というデフレの原因を循環的な作用とみていないかもしれない。根本的にマクロの経済の見方が、違うのである。彼らのデフレの原因の説明を聞きたいのだが、どうも金融政策に財政政策を期待してはいけないとか、金融政策や財政の政策はマクロ経済の安定のために使われる「手段」であるはずなのだが、それを経済専門家としては、手段を目的化しているような気がしてならないのである。
 
 話がずれたが、異常な円高は長期的な物価下落期待を社会の中に持ち込むシグナルとなる。所得の減少と支出の減少により物価下落が常態化している日本で、この圧力は想像以上に物価下落圧力と輸出企業の海外生産へのシフト圧力を高めるだろう。経済が縮小しているときの産業構造の転換は、必要以上の痛みをともなう。産業構造の転換は好況期に起きるのが、望ましいのだが、それもないのだから甚だしい痛みを構造の転換先の産業に与えることになる。

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2010年11月04日

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デフレ・円高のなにが悪影響で、今、この日本の不況について、問題提起と捉え方についてとても分かりやすく書かれた本。
今何が起きているのか、過去はどうだったのか、シンプルに整理したときにどういう事実が見えてくるのかが徐々に明らかになっていく内容で、とても腹落ちしやすく理解しやすかった。
難しい用語はなく、過去、学校の授業で習ったような用語が多く、それでも正しい理解にそろえるために解説もしてくれるので、自分の学生時代の学びがまさに生の情報として身に付く感じもする。
また、たとえ話も分かりやすく状況を身近に想像しやすい。
メディアや政治家の表現を鵜呑みにする事なく、多くの因果関係や利害関係を理解して自分自身の頭で考える力をつけるためにも、経済初心者にぴったりの入門書であろう。多くの人に読んでほしい内容だった。

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2010年10月06日

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日本はずっとデフレである!

CPI(消費者物価指数)
基準年から離れれば離れるほど誤差が生じてくる。
CPIは高めに表示されてしまう。その原因は「代替バイアス・品質調整バイアス」
0.9%ほど高めに表示されてしまっている(by日銀工員)
+1.8%という研究結果も…(Christian Broda&David E. Weinstein2004. Defining Price Stability in Japan): A View from America)

日本の消費者物価指数
総合指数(通称:CPI)
生鮮食品を除く総合指数(通称:コアCPI)
食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数(通称:コアコアCPI)

海外の消費者物価指数
総合指数(通称:CPI)
食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合指数(通称:コアCPI)
見るべきは一番下!物価が乱高下するものはあてにならないから!

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2010年06月18日

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ネタバレ

デフレこそが不況の最大の要因。デフレ故に人は値崩れ期待からモノを買わないし、企業は将来もっと安価な人材を雇えるから採用を見送り、リストラを進める。昔の大企業は苦しいときには内部留保を取り崩し下請けや孫請けに回しリストラを回避したというが、真相はインフレ期待による経済合理的な行動をとったにすぎず、心が温かかったわけでもモラルが高かったわけでもない。技術革新や産業振興施策によって特定の品目の価格が高騰したとしても、結局は他の支出を削っていいモノへ充てるだけ。全てのモノの平均価格である物価は金の絶対量が同じである限り上昇することは決してない。金とモノの需給バランスを正常化しない限りデフレが解消されることはない。日本には864兆円(国民一人当たり678万円)に上る公債があるというが、約475兆円の総資産があるうえ、発行した国債の93%は国内で消費されている。借金の取り立ては自分自身であり、いわば右のポケットから左のポケットにお金を動かすだけ。財政危機など一切ないと喝破している。むしろ消費増税は消費を冷え込ませるだけで、財政再建には何らの効果もない。橋本政権が既に実証済みとしている。
著者は金の量を増やすマクロ施策を説く。しかし、肝心の金の増やし方については触れていない。日本の低金利ジャブジャブ策がバブルを生み実体経済を疲弊させ、リーマンショックさえ引き起こしたと一因と言われているのだが。

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2012年07月10日

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タイトルにもありますが、デフレと円高は自分にとって悪いのかどうかが判断できない状態だったのは恥ずかしながら事実です。デフレ下では借金は可能な限り減らして現金を持つべし、というアドアイスに従ったのが良かったのが今になってようやく分かってきました。

円高なのは日本の国力が評価されいているからと思い込んでいたのですが、日本円の通貨発行量が少ないから(p52)というのは大変ショックでした。

また戦後の日本においてハイパーインフレが起きたとばかり信じていましたが、そうではなかった(たった年率59%の上昇)事実を数値で見せられて(p129)愕然としました。

総額864兆円の国債は実質は27兆円になるという考え方(p164)は本当かなと思いましたが、国債についてはもう少し勉強すべきだと思いました。

以下は気になったポイントです。

・デフレとは、モノ全体の価格がこの先も下がり続けるという期待が世の中に蔓延している状態で、人々の意識に物価が下がる続けるという恐怖が刷り込まれていて、その恐怖から逃れられない現象を指す(p25)

・モノが売れない理由は、モノよりも欲しいモノ(お金)があるから(p31)

・物価が下落する分だけ、実質的な金利負担は増える、2009年8月の全国消費者物価指数:マイナス2.4%とすると、契約上は3%金利でも実質的な金利は5.4%となる(p41)

・企業がインフレが続く(継続的にモノが売れる)と確信できれば、労働力を安定的に確保しようとする、具体的には派遣社員の正社員化、女性待遇の改善、給料増額、社員寮完備等(p43)

・外貨はどんどん印刷されて量が増えるのに、日本の円は変わらないので、日本円だけ高くなるのは当たり前(p52)

・デフレは中国から安い輸入品が流入してきているというのはウソ、日本よりも中国からの輸入依存度の高い国がデフレになっていないのを見てもわかる(p57)

・インフレ、デフレは世の中全体のモノの量と、お金の量のバランスによって起こるので、いくら新製品をつくっても他の消費が削られれば何も変化しない、世の中に出回るお金の量を増やさない限り、デフレは解決不可能(p69)

・金融資産1億円以上保有している世帯は90.3万で、全体の1.84%、平均貯蓄額の中央値は500万円(p108)

・一般人にとっては、住宅ローン金利が預金金利よりも高くなるので、利上げは圧倒的にデメリットが大きい(p112)

・通貨発行を増加させると、いずれはインフレが起きてしまう、そうでなければ政府は毎年の支出に相当する全額を紙幣により調達することが可能(無税国家)となるので(p115)

・失業率3.5%というのは自然失業率と言われるもので、どんなに給料をもらっても絶対に働きたくない人の割合を示す(p118)

・ハイパーインフレの経済学での定義は、年率約1.3万パーセント(100円のジュースが翌年には130万円)である(p123)

・歴史上においてハイパーインフレの定義に合うのは、1)1923年のドイツ(1月に250マルクのパンが、3990億マルク)、2)2007年のジンバブエ(年率2.3億%)、3)ハンガリーの3つのみで、モノ生産量が極端に減少したことが引き金になっている(p126)

・1945年9月を基準とした自由、闇価格ベースの消費財物価指数は、1949年4月にピークとなり8倍となった、連続複利計算したインフレ率は月率で4.9%、年率で59%(p129)

・国内で作られたあらゆるモノの売上を表す便利な数字として名目GDPがある、実質でなく名目を利用する理由は、税金は常に名目売上値にかかるから(p136)

・2009年11月に財務省が発表した債務残高は864.5兆円、日本政府には475兆円の資産があるので純債務は387兆円(一人当たり678万円)、国民一人当りの資産が387万円なので、291万円となるが、国債の93%は日本国内で消化されているので最終的には相殺することで返済不要となり、本当に返済すべき総額は27兆円(p164)

・高橋蔵相の金本位制からの離脱により、通貨発行の上限撤廃、日銀の国債引き受けによる通貨発行量の増加により、昭和恐慌からの脱却が可能になった(p187)

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2012年03月01日

Posted by ブクログ

・デフレ;物価↓、業績↓、失業者↑
⇒資金供給でインフレを起こすしかない。
 国民、企業はある程度ためても必ず消費に回る。
・円高;景気が良くないので、結局円高メリット生かせない。

なぜ、いまだ量的緩和しないのかがわからない。

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2012年01月23日

Posted by ブクログ

結論は「紙幣の増刷がデフレ脱却への近道」との事で、幸福実現党と一致していた。ただ円高についての見方は、正反対である。どちらかというと、巷間流布している話を独自の視点で検証(批判)している、と言う印象がつよい。

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2011年09月12日

Posted by ブクログ

デフレがなぜ良くないのか?物価が下がればバーゲンセールが続くようなものなんだからむしろ良いのではないか?


経済の知識がない一般の私達は、あまりに世の中の経済に対して疎い。
その一例がデフレに対する考え方だろう。


「インフレは給料が変わらないのに物価が上がるので避けるべきだ」

とか

「心が豊かになったので、もうモノを消費する時代は終わった」


なんてことを考えたことがある方は是非この本を一読してほしい。そして僕みたいにもう一度本当にそうなのか自問してほしい。



筆者の書き方が非常に強い断定口調で書かれているため、「本当にそうなのか?」と疑がりたくなることも確かに多い。が、デフレを盲信したりインフレを絶対悪と見るよりは安全だ。


人口限界論で2010年の新書界に旋風を巻き起こした「デフレの正体」によく似た読後感である。こうした経済本は、あまりよく知らない人が見ると非常に影響を受けやすい。ある意味、劇薬のような本である。

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2011年08月24日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
モノの値段が下がり続けると私たちの生活はどうなるのか?
日本が長期停滞から抜け出すためにはどうすればよいのか?
勝間和代氏の共同事業パートナーである著者が、経済学の知見に基づきながら分かりやすく解説。

[ 目次 ]
第1章 デフレと円高は恐ろしい―生活に与える諸影響
第2章 物価の動きをチェックせよ―デフレが進んだ理由
第3章 日本に無税国家が誕生する?―金融政策と金利のメカニズム
第4章 金ならある、心配するな―財政と財源を考え直す
第5章 歴史は繰り返す―昭和恐慌から学べ
第6章 今、やるべきことは何か―具体的な政策を実行せよ

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[ 参考となる書評 ]

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2011年04月10日

Posted by ブクログ

デフレと円高のデメリットを中心に描いた本。真新しいな、と思う箇所はあまりなかったもののデフレと円高に苦しむ日本を知るためにもぜひ読んでおくべき必読の書。

ただ、国債を発行し続けて、国の借金が増え続けるとどうなってしまうか。という部分がいまいちよくわからなかった。

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2011年03月21日

Posted by ブクログ

バブル崩壊から20年が経とうとしているが、日本経済はデフレと円高に苦しめられ未だに停滞したままだ。

ではどうしたらいいのか? そんな疑問にこの本は分かりやすく答えている。ただし、かなり衝撃的な提案なので正しいかどうかはちょっと謎。

今のデフレはモノとお金のバランスが崩れているから日銀にバシバシお金を刷ってばら撒いてもらえば解決すると。そんな簡単だったら、世界各国不況知らずなんだけどね。

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2011年02月21日

Posted by ブクログ

デフレと円高、というよりは、デフレが悪であることを徹底的に論じている。
本人も認めているが、経済に関する正式な教育を受けていない筆者だからこそ、素人にも解りやすい内容となっている。
あまりにも徹底した論点は、デフレが悪であるという認識を高められるとともに、逆に少々うたがりたくなる。
デフレを脱却するためには通貨の流通量を増やすしかないと主張する筆者であるが、通過の流通量が増えた事によりインフレを引き起こしたバブル崩壊後の健全な不況脱却に関する記述が無いのが物足りなかった。
デフレは経済に良くなく、緩やかなインフレこそが一番健全であるとは正当な論点だと思うが、ならばなぜ優秀な官僚たちがそれを実行しないのかについては、借金を嫌ったり、意味の無い根性論が好きな国民性が理由であるとしているま。だからこそ筆者自らもTwitterを利用した世論の誘導にも取り組むなどしており好感が持てる。

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2011年01月28日

Posted by ブクログ

今朝はひどく喉が痛み内科を受診した。
そのうち体の節々が痛みだし、風邪症状がでてくる。
喉の粘膜が剥けて、痛いはずです、とのこと。はい痛いです。
職場に顔を出し、最低限の仕事を片付け帰宅。
年度末が近付くにしたがって、段々忙しくなってくるので
今のうちに休養をとることにした。

勝間さんのメルマガで紹介があったので、
先週購入した表題の本を読む。
日本の歴史を適宜紹介しているのがいい。
Use of History ね。

デフレの悪影響を概観し、統計の裏に潜む今のデフレを直視している。
統計は集計方法で簡単にメッセージが変わるので、
その意図を解釈できる基礎力が必要だと感じる。
消費者物価指数に変化がなければ実際には相当デフレの状態。
理由は、集計品目の代替品バイアス・品質調整バイアスがかかっているから。
実際には、-4.2%のデフレ状態で昭和恐慌やナチス・ドイツ時代の状況に似ているそうだ。
デフレ→失業者増・給与カット→GDP減→こんなデフレ時に消費税を上げると税収減
さらにこの負のスパイラルが促進される。おそろしい!

P.163の国債の説明が特に印象に残ったので書きとめる。
2004年の1億2779万人が日本の人口ピークで、以後は減少。
その減少率で最後の1人の日本人が2975年に存在するとし、
政府と国民が一体となるとみることができる。
B/Sが同一化し、相殺して雑損を計上して、おしまい!
という考え方ができる。とのこと。
国債だけの取引に限れば、
気が遠くなるほど精算を先送りすればいいという考えが成り立つという。

デフレから脱却するために、
マイルドなインフレが起きる施策が必要というのが筆者の提案。
詳細はP.204を参照。
1ドル=100円は超えないと話がはじまらないんだな。

・・・・・・・・・・・・・

ここ2.3日のギリシャショック・オバマショックで
円高というより、ユーロ・豪ドル・米ドル安が進行し、
がっかりしている今日この頃。耐えるしかない。
早期退職を募る企業がトップのニュースになるなど
暗い話題ばかりだな。

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2010年11月14日

Posted by ブクログ

円高とデフレに泣いている私。個人的にも(財テク)サラリーマンとしても(海外売上50%弱)。以降は本からの引用です//日本円の供給が全然増えず外国通貨の供給が一気に増えた結果、日本円が極端に不足して急激な円高が日本を襲ったのです。デフレ下では・・・「いずれ価格が下がるだろう・・・物価下落期待」に世の中全体が覆われています。日本国民の98%は給料で生活するしかない人。日本政府には約475兆円の資産がある・・・純債務は387長円ほどになります。(債務のうち)93%は国民が政府に貸している。金本位制。昭和恐慌。

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2010年09月07日

Posted by ブクログ

一貫して「デフレとはお金とモノのバランスが崩れ、お金が不足する状態である→デフレから脱却するためにはお金の供給量を増やせばいい」ということを主張しています。物価うんぬん恐慌うんぬんのあたりはしっかり経済の勉強をしていない私には少し難しいところもありましたが、筆者は何度もこの一貫した主張を繰り返してくれるのでこの本の要点から頭がずれていってしまうことはありませんでした。日銀の政策については確かに私にも思うところはあります。予想ばっかりしてても・・・と思うこともあります。ただ、これだけ批判されると反発してしまいたくなることも確か。

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2010年08月15日

Posted by ブクログ

私は住宅ローンを申し込むにあたり、経済本をいくつか読みました。
私もこの本と同じように「デフレ」「円高」は「悪」と考えます。
(住宅ローンを持つ人はそのように考えて問題ないです。)
本書はなぜ「悪」なのかに関して書かれています。
私も多くの人に読んでほしい本です。
「デフレ」「円高」を肯定する政策は絶対に阻止すべきです。

しかし、この本の内容は簡単ではないと思います。
確かに経済の専門的な言葉を取り除いているかもしれませんが。
多くの日本人にとって国の借金・経済などは
あまり意識していないのではないでしょうか?
より簡単でないと「わかりやすい」レベルにならないと考えます。

本書の残念なところ
・城山三郎氏(私は初めて名前を伺いました)に関しての記述
小説が与える悪影響は城山氏の責任ではないのでは?

・新聞記事や報道に関する記述
日本の新聞や報道は事実だけを伝えることをしていません。
新聞が売れること、テレビを見てもらうこと
を考えると、
「悪いことはより悪く」、センセーショナルに
伝えなければ、インパクトがないのでは?
だからといって、それを責めるのはどうなのでしょうか?

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2010年04月24日

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