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Posted by ブクログ
もっと韓国の文学作品に触れてみたくなった。胸が苦しくなる部分も多いけど、この本を読んでから韓国文学に触れたり再読すると、より深みある読書になると思う。
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解放後(日本の「戦後」にあたる)の大きな出来事(解放、分断、済州、朝鮮戦争、維新、光州、IMF、セウォル、キム・ジヨン現象、等)について人々がどのような思いを持ってきたか。文学作品を紹介しながら、それらをたどっていく。それぞれの出来事が韓国の人々にどれだけインパクトのあることだったのかを教えられる。民主化前の出来事に関する部分は特にヘビーなので、現代から時代をさかのぼる構成にしたのは正解だったと思う。
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著者の斎藤真理子さんは韓国文学好きに知らない人はいないだろう翻訳者で、日本における韓国文学ブーム立役者のひとり。
植民地支配、朝鮮戦争、南北分断、光州事件、IMF危機、セウォル号事故、女性問題...
非常に重く複雑な韓国の歴史を読みやすい文章で解説してくれている素晴らしい一冊。文学作品を通して現代の朝鮮半島の根底にあるものに触れることができる。不条理な暴力や歴史的経緯が、韓国文学に感じる抗ったり切り開いていく雰囲気に影響しており、自分も胸を打たれ心が震えるのだろう。
一度読んだだけでは到底理解できなくとも、本書は韓国文学を読むうえでの地図となる。紹介されている作品は次々手に取りたくなり、リーディングリストがさらに増えていく楽しみを得た。
文学好きのみならず、あらゆるKカルチャー好きにもおすすめしたい。
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書評集を好んで読む。しかしこの本は書評集ではない。韓国と言う国、日本という国について、韓国文学という側面から描き出そうという試み。こころ、あるいはからだのどこかに重く沈み込む鎖のようだ。
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2023.3
この3年で触れてきた本・映画のことや、その間色んな作品に触れながら自分なりに学んできたことを振り返っている。と同時に読みたい・観たい作品が増えていく。知りたいことが増えていく…(そして気付けばまた夜更かしをしている)
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大げさにではなく、いままで抱いていた戦後のイメージが180度変わった。
通り一遍の韓国の歴史の本も読んでいたけれど、韓国と日本とでは、経験してきた歴史やそこから見える景色がこんなに違うのかと愕然とした。
この先、ドラマを見たりアイドルが兵役に行ったりするたびに、きっと本書の内容を思い出すと思う。
戦後、朝鮮特需や韓国への罪悪感とともに戦後を乗り越えてきたという日本人の姿は、ヘイト渦巻く現代には見えなくなってしまっているけれど、たしかにもう少し昔の人たちは日本の戦争責任や反省をもっと普通に口にしたり書いたりしていた気がする。ごく最近読んだ茨木のり子さんのエッセイでも、日本が朝鮮を植民地化していたことを失念していて恥じ入る記述があったけれど、今あんなことを書こうものなら叩かれかねないもの…
セウォル号に関しては、政治や社会が正常に機能しなくなりつつある今の日本を予見しているかのような内容でゾッとした。民営化によって人命救助が十分にできなかったとか、船長は非正規雇用せだったとか、当時操縦していたのは新人だったとか。知床遊覧船の事故も、これを読み終えた直後に起きた梨泰院の事故も、根っこは同じな気がする。
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韓国社会が経験する苦難に作家はどう向き合い、そうして生まれる作品を読者はどう受容してきたか、の一端が見えてくる。
また、1960年は日本と韓国にとって分水嶺だったんだな、と。市民運動の成功体験と失敗体験は、その後の両社会における主権者意識にも根深い影響を与えたことが、比較によって鮮やかにわかる。
そして、知れば知るほど日本について、自分について考えることを余儀なくされる。韓国社会の痛みや苦しみを「よその国」の出来事とするには、日本の関わりはあまりに深い。
個人的に物心ついたとき既に日本は経済大国だったし、それを享受してきた自覚もあるが、その発展の礎には隣国の悲惨な戦争が含まれ、その戦争が今も終わっていないということ、しかも日本においてそのことはほとんど意識されないということ。意識せずにいられる状況の中で、価値観や歴史認識が形成されているということ。そういったことと否応なく向き合うことになる本だ。
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各誌における年末のまとめで取り上げられているのを複数回目にして、これは読んどかないとってことで。気持ち的にはブックガイドとして手に取ったものなんだけど、その実、初心者向けの韓国現代史の良い教科書。セウォル号事件はじめ、自分がほとんど知らないあれこれが提示されていて、隣国のことなのに…と忸怩たる思いにかられた次第。特に気になった下記著作からまずは手に取ってみて、少しずつでも理解を深めていきたい。
キムジヨン
こびとが打ち上げた小さなボール
少年が来る
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韓国の文学について、韓国の歴史の中での大きなできごとを織り交ぜながら記述されている本。
セウォル号事件は知っていたが、ほかの事件やIMF危機、朝鮮戦争など、知らないことが多すぎた。ここまで悲惨なことが起きていたとは。
国の主導権を国自身が握れないことの恐怖、そして今なお戦争が終わっていないことの重大さ、 日本人はもう少し関心を持つべきだと思った。
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東アジアで隣同士の国。日本と韓国。似た風土であるが、過去からの文化も違い、また歴史も違っている。その韓国の文学を最近から遡って日本からの解放までの時間軸で文学を論じている。沢山の読んでみたい本を紹介された。それらの本で少しでも韓国の風に触れたいと思う。
第一章:キム・ジヨンが私たちにくれたもの、第二章:セウォル号以後文学とキャンドル革命、第三章:IMF危機という未曽有の体験、第四章:光州事件は生きている、第五章:維新の時代と「こびとが打ち上げた小さなボール」、第六章:「分断文学」の代表「広場」、第七章:朝鮮戦争は韓国文学の背骨である、第八章:「解放空間」を生きた文学者たち、終章:ある日本の小説を読み直しながら。
Posted by ブクログ
隣国を知ることで、自国の特徴を知ってみようと、本書を取る。
が、本当にここまで悲惨な状況なのだろうか。文学では過剰に表現されるためなのか。
彼我の差を感じずにはいられない。