【感想・ネタバレ】灼熱のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「わたしも自分の過去が大っ嫌い。だから今、必死で過去とかけ離れた自分に変わろうとしてる。そうじゃないと、また不幸になってしまいそうで怖いから。これ以上不幸になったら、きっともう二度と這い上がりたいと思わなくなる。そのまま世界からこぼれ落ちて、死んでしまってもいいやって。だから今、わたしは必死なの。変わることで前を向こうとしてるのー。」(P.52)
「じゃあな」
ぶっきらぼうに片手を上げ、彼はバイクを発進させた。
スピードが上がるにつれて高まる音と共鳴するかのように、わたしの体に残る振動の余韻が疼き、息苦しくなる。
闇の中に溶けていくテールランプを見送りながら、わたしは彼を好きになってしまったことに気づいた。(P.56)
自分のために立てられる包丁の音は、こんなにも心を穏やかにするものだったのか。(P.141)
わたしの言動で、彼は一喜一憂する。くるくると表情を変える。自分の存在が常に誰かの中心にあることは、なんて嬉しいことだろう。(P.155)
なんだかくすぐったい。くすぐったくて、甘やかな気持ちに胸が満たされる。
もう認めないわけには行いかなかった。
ああ。
わたし。この人に惹かれ始めているー。(P.165)
きれいなもの。真っ黒なもの。透き通ったもの。どろどろに濁ったもの。甘いもの。酸っぱいもの。辛いものーこれらは、わたしの感情の瓶詰めなのかもしれない。(P.188)

愛する夫の死の真相に近づくため、夫を殺した疑いのある人物に、整形をして探りをかける絵里こと咲花子。しかし、一緒に生活をしていく中で彼に恋愛感情を抱くようになる。夫を殺したはずの憎むべき人なのに、周囲の人の評価や、住んでみて、この人に人が殺せるのだろうか…という疑問も出てくる。この人が好きだ、愛しいと思うほどに、自分が苦しくなり、咲花子の心の葛藤や迷いが細かく描かれ、切なく、悲しかった。そして、結婚生活が終わりに近づいた時、衝撃の真実が明らかになる。咲花子の救われなさには見ていて辛くなるものがある。これから、亜希子と二人で生きていくのだろうか。すれ違った運命が再び交わることがないところが救われなく、ただただ悲しい。

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2024年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ


殺された旦那の復讐として加害者だと見込んだ男性に近づき咄嗟に惚れているとの、言葉を出す

一生懸命愛し続けていた旦那への愛と
憎悪、復讐などがリアルに描かれていました
心はやはり言葉や表情に現れる
騙すことなど難しく暴かれていた
それでも本当の愛だったものが
すれ違う瞬間を描いているのもまた素晴らしかったです
最後の章では感動し涙でした
ありがとうございました!

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2022年08月09日

Posted by ブクログ

根っからの悪人はどこにもいなかった…たぶん。

最初は絵里こと咲花子の言動に感情移入できず…なんだこの女、嫌いなタイプ!みたいな気分で読み進めましたが。
徐々に彼女の境遇やバックグラウンドが明らかになってくると、単に「嫌いなタイプ!」で終わらせられなくなってくる。
思い込み激しいなとかは、浅慮な言動だな、とかはあるけど「(彼女の復讐が)うまくいって欲しい」みたいな気持ちになってくる。

…からの、彼女の気持ちの変遷。そして、最後のどんでん返し。
そう着地するのかぁ!!と。
過去のことが積み重なって、それも少しずつ少しずつズレてて積み重なっての、最後の結末。
別な方向にズレて積み重なれば、全く違う結末にもなり得たのでは??とか思うと余計にやるせない感じ。

偶然ではなく、全ては登場人物達の意思をもった行動の結果……みたいなストーリー展開はすごく好みでした

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2022年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物が少なかったのでこんがらがることなくスムーズに読めた。

復讐のために英雄に近づき結婚した咲花子。
途中から英雄のことを愛するようになっていき、信じたいのに疑ってしまうという葛藤が切なかった。

亜希子がただただ自分勝手に見えてしまった。
病気だから我儘を言うのも仕方ないのかもしれないけれど、それで英雄の自首に猛反対したり、兄が殺人犯になると1人では生きていけないからという理由で今度は咲花子を殺そうとしたり。

亜希子が咲花子を殺そうとしなければ、やり直して幸せな未来が待っていたかもしれないだけに、咲花子と英雄のすれ違いがとても悲しかった。

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2022年07月21日

Posted by ブクログ

帯の「一気読み必至」はホント。同著者の作品の中ではあまり好きだと思えなかったにもかかわらず、どうなるのかが読めなくて途中で止まれませんでした。

自分の夫を殺したとおぼしき男に復讐するために、顔を変えてまで近づいて結婚する。でも相手の男はどうやらそれに気づいているらしい。怖っ。

しかしその後は意外な展開。意外すぎてしばし目が点になりました。「ほおっ」というよりは「そんなん、あり!?」の気持ちのほうが本作に関しては強い。いつもの、かなりどんよりさせられる嫌ミスのほうが好きかもしれません。って、性格が悪いか(笑)。

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2024年01月15日

Posted by ブクログ

帯にあった復讐のために、女は整形し、身分を変え、憎い男の妻となった…というのに惹かれました。
こういう重そうなやつにしては、読みやすかったです。
最後も予想外でした。
意外に幸せになるのではないか…と途中思ったのですが。
幸せになってほしかったです。

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2023年02月07日

Posted by ブクログ

序盤の闇っぷり、おー秋吉理香子だ、と思って読み進めると何か平和になっていくが、不穏な空気が流れた後の展開はやっぱり秋吉理香子。もうちょい捻くれたオチが来るかと思ったけど、予想はしてなかった展開。終盤は一気読みしてしまった。

※電子書籍を登録してしまったので、紙の方を登録し直しました

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2023年01月15日

Posted by ブクログ

予想した結末とは違い、少しびっくりした。が、とても読みやすい作品だった。
ひとときでも、相手を好きだと思え幸せだと感じたのはすくいだったのかなと。

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2022年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

顔も名前も変えて最愛の夫を殺した容疑者の妻になり、いつしかその男を愛してしまった咲花子の灼熱の夏の終わりを見届けたくてたまらなくなる。
ターゲットの医者の秀雄が優しく穏やかな人物と知れば知るほどその欲求は強まり、一方で憎しみに凝り固まり犯罪の証拠探しに躍起になっていた彼女の急激な変化になかなかついていけなかった。もっとその愛憎の葛藤とぶつかり合いが描かれていれば…。
秀雄の妹で心臓病を患う亜希子の存在がどう絡んでくるか見どころ。
復讐の炎が燃えたり縮んだり燻ったりの軽めのサスペンスだが、読後のやるせなさは重い。

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2022年08月17日

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