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Posted by ブクログ
学校と家庭。
その狭い世界の中で、たくさん悩んで戦っていた学生時代。
大人の誰もが懐かしいと思うであろう瞬間が詰まっていた。
「こうしたい」と思うことがあっても、親の都合で諦めなければならないことがある。
まだ子どもだからという理由で。
里伽子もそうだった。
最初、里伽子の自分勝手さは、あまり好きになれなかった。
しかし里伽子の抱えている背景を知るにつれて、この子なりに戦っているのだと思えた。
相手の気持ちを考えすぎたり、何を考えているのか分からなくなったり、自分の本当の気持ちに気づいていなかったり……。
主人公の杜崎や里伽子たちを見ていると、その不器用さがいじらしく、とても愛しく感じる。
この作品は、十代の子が読むのと、大人が読むのとでは、随分と印象が変わるのだろうなと思った。
私は映像作品も見たことがなく、大人になった今初めて読んだが、できることならどちらのタイミングでも読んでみてほしい。
あたたかい土佐弁のなまりと、どこか懐かしいような高知の町並みが良かった。
酒井若菜さんの解説もたいへん素敵だった。