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前巻で結婚した信吾は自分と同じ事をしようとする息子を連れた母親の、波乃はコツコツ貯めたお金を懐に訪れた子供の相談事を解決する。また、信吾と恩ある猫との意味深な会話もあり。最近は物騒な事件が多かったので、初心にかえったな、という印象で面白かった。お嫁さんの登場で、面白さも減るかな?と思ったけど、波乃の朗らかさとユーモアある会話で、予想以上の面白さ!今後、似たもの夫婦の2人が知恵を出し合い、どんな相談事を解決していくのか、ますます楽しくなりそうです。
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「なんてやつだ よろず相談屋繁盛記」シリーズに続く、「めおと相談や奮闘記」シリーズの開幕。
3歳で生きるか死ぬかの重病を経て、動物と話ができたり、記憶が飛んでしまうという症状が出たりという信吾。
子供の頃から好きで、強くもあった将棋指南所と相談屋を始めたのだが、悪党を懲らしめたことが瓦版で話題になり、嫁取り騒動が起こる。
似た物夫婦と、称される様ないいコンビの夫婦。
二人の間には何も隠し事がない。
鬼瓦と影で呼ばれる岡っ引きの権三親分、才能ある女将だった慎吾の祖母からも同じ様なアドバイスがあり、めおと相談屋を始めることに。
奇妙なファンタジーかと、勘ぐりたくなるお話だったが、
前回シリーズも回を重ね読み込んでいくと、人として社会の中で生きるとは?
苦境に陥った時にこそ、知恵を働かせ、より良い選択を、とか、人生の指南書としても読めそうなシリーズ。
今回は、より幅が広くなって、男目線だけでなく女目線からも、人生、生き方を観察できそうなシリーズに。
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結婚した信吾の嫁の波乃は、夫に勝るとも劣らない変わり者で、あっけらかんとしているが、なかなかのしっかりもの。二人は周りの者たちから盛んに似たもの夫婦と呼ばれる。確かに息は合いすぎというくらい合っている。信吾が動物と話せるということも平然と受け入れる。図らずも相談事を引き受け、見事に解決してしまう。いよいよ「めおと相談屋」の誕生。この巻は次回への助走かな。道徳臭さがちょっとあるけどね。
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202110/よろず相談屋繁盛記シリーズ・めおと相談屋奮闘記シリーズ既刊全10作まとめて。毎回平積で新刊を見かけ気になっていたので読み始めることに。最初は、設定てんこ盛り(幼少時に大病、生き物の声が聞こえ会話できる、老舗料理店の長男、鎖双棍の使い手、相談屋と将棋会所を経営)だな~と思ったけど、主人公は勿論、登場人物達が生き生きと描写されているのでこの世界に入り込んで楽しめた。最初は使い物にならずぼんやりしてた小僧の成長ぶりやちゃっかりぶりも微笑ましい。相談事の内容や解決手法等、物語としてパッとしないものや偶然の産物だったりも多いし、自分の好みではない話(将棋会所で皆が艶話や与太話をただただ話すだけとか)もあるし、時代物とはいえ書いている今の時代にそぐわない描写や設定も感じるけど、総じて面白かった。「主人公と話してたら何故か解決してしまう」のと同様、とらえどころのないなんかわからない面白さもあった。
よろず相談屋繁盛記シリーズ(なんてやつだ/まさかまさか/そりゃないよ/やってみなきゃ/あっけらかん)
めおと相談屋奮闘記シリーズ(なんて嫁だ/次から次へと/友の友は友だ/寝乱れ姿/梟の来る庭)
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〈よろず相談屋繁盛記〉シリーズ第六作なのだが、今回からシリーズ名が〈めおと相談屋奮闘記〉に変わっている。
その理由は作中にて明らかになる。
前作でお嫁さんを貰った信吾。とはいえ、まだ仮祝言しか挙げていないので、正式には『押し掛け女房』の段階。
しかし友人知人、将棋会所の常連客には少しずつお嫁さんとして認知されているようだ。
空き家だった隣家を新居兼相談屋の客応対場所にしたことで、信吾は将棋会所と新居をいったり来たりと忙しない。
そしてシリーズ第六作にてようやく相談屋らしい話になって来た。
まずは瓦版に載った信吾の経歴を見て、自分も家督を弟に譲って新たな道へ行くことを考える青年とそれを留まらせたい母親がやって来る。
この時代、武家も商家も原則長男が家督を継ぐことになっているのだが、言い方を変えれば長男に生まれたからには生き方を選べない。そこに窮屈さを感じたなら信吾のような生き方を羨ましく感じ自分もそうしたいと思う者もいるだろう。現にかつて信吾の友人も同じような悩みで相談していた。
そして翌日にはその青年の弟がやって来る。弟もまた、生まれながらにして家督を継ぐ兄を助け家を繁栄させることが求められている。生き方を選べるといってもせいぜい暖簾分けをしてもらって分家するくらいだろう。なのに兄の気まぐれで振り回され堪ったものではない。
信吾の応対スタイルは至ってシンプル。正直に自分の状況や考えを話している。
自分の病については実家の商売上明かせないところもあるので微妙に表現を変えているが、基本的なラインでは嘘はついていない。
将棋会所の儲けなど慎ましいものだし、相談屋に至っては儲けどころか赤字になることもある。だが逆に何も解決していないのに相手がスッキリして報酬をくれることもあって水物商売だ。
そうしたことを素直に明かしてしまうところが相手に胸襟を開かせる理由なのだろう。
そして新妻(仮)の波乃もまた相談を引き受けることになる。相手は子どもたち。皆親が違うという『もらいっ子』ばかり五人の姉弟と養父母との関係について話を聞いた波乃は、見事子どもたちと養父母の気持ちに寄り添い、答えを考えていく。
信吾も爽快だが波乃も真っ直ぐだ。
これまで人生経験も知識も乏しい若者の自分が、誰かの相談に乗るなんておこがましいことではないかと考えてきた信吾。それでも相談屋の客には彼なりに対処してきた。
今回の作品で、親分さんにも祖母にも、それで良いのだと背中を押して貰えた。つまり若い分、余計な先入観や縛りなどがなく柔軟に物事を捉えることが出来るということを武器にすれば良いのだ。
信吾を前にするとつい腹に溜めていたことを打ち明けたくなるというのも武器になる。
勿論これから失敗もあるかも知れない。だが夫婦二人で力を合わせていけば何とかなりそう、という前向きな結末だったので明るい気持ちで読み終えられた。
親分といえば、波乃が連れてきた女中のモトと何かしらの縁があるようで、これから二人に何か起こるのか気になる。
新しい家族、子犬の「並の上」はそのうち信吾に喋るようになるのか、これも気になる。
純粋過ぎてファンタジー?と思わなくもないが、小説の世界だから良い。