【感想・ネタバレ】頭の中がカユいんだのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

らもさんの初書籍本にしてノンフィクション・飾りっ気なしのぶっつけ酩酊ラリリ本。
僕に踏まれた町~→アマニタパンセリナと読んできてこちらの本を読みましたが、最高です。
らもさんの酩酊ラリリっぷりの素行を既にこれらの本で触れていたから……というのもあるかもしれません。構えず「そういうもんだ」という風に読めました。一緒にラリパッパ。

ラリパッパの他に、仕事に責任に人生に追いやられ、フラストレーションは溜まりに溜まり、だいぶ疲れちゃってイカレちゃって、「頭の中がカユく」なる、「ワラが詰まって」いる感じ、現実逃避の余り思考があっちこっち支離滅裂……な感じが、今の自分の状態と重なる部分があり、読んでてよりのめり込んでしまいました。

甘やかでくすぐったく、そして優しいセックスの描写というのも……ちょっと、たまらないものがありましたね。
理性的で、獣にあらずでありながらも、はっきりとした下心。いいですね。

いつの間にか夢か現実かわからなくなってしまう、そんな感覚がとてつもなく気持ち良い本です。「夢」とわかりやすい場面ではエモいイマジネーションにフワフワと酩酊し、「夢か現か幻か」という場面では、そのサイケデリックさに酔い、微かなしかしはっきりと香ってくる現実の薄汚い香り、動物的な臭気とコンクリートジャングル的な無機物の臭気……がとても良い味出してるんです。

"「人間が一人」と羊が樹の下で呟いた。"
"珈琲は黒い腐った血"
言葉のセンスがたまらなく美味です。

子羊を抱き海岸線を走る電車に乗り、どこか知らないとんでもないところへ到着し、大事に抱えていた子羊は石英に変化しており……。
この辺りから、ラストの海底と水平線のくだりにかけて、本当にいい塩梅にラリリでしてね、最高です。

悪夢のような「東住吉のぶっこわし屋」、どろどろに濁った卑屈の青春の体液を泳ぐ「私が一番モテた日」、一夜の夢と"バチ"とS・O・S・トゥ・ザ・ワールドの「クェ・ジュ島の夜」……これら短編もかなり"キ"てますね

いや、面白かったです本当に。
理屈とかそんなものはどうでもいいんです、感じたままを舐めとる本。

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2014年08月19日

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