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今回は名刀と言われる刀が理解不能の動きをして、小烏神社の竜晴に託された。
それはその名刀・南泉一文字に付喪神が宿ろうとしていた事変だったのだ。
それは古の物語に由来し、小烏丸の本体の名刀の持ち主だった平重盛の物語がここに明らかにされた。
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シリーズの途中であることは知っていて、南泉一文字を見たくて読んでしまいました。読み易いし、おいちが可愛くて楽しかったです。シリーズを集めようか検討しています。
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〈小烏神社奇譚〉シリーズ第五作。
タイトルにあるように猫がたくさん出てくる。
と言ってもただの猫ばかりではない。付喪神に化け猫に、不思議な力を持つ猫。
もう一つのキーとなるのが『南泉一文字』という銘の刀。元は足利将軍家に献上された刀だったが、現在は尾張徳川家に渡っている。その『南泉一文字』が最近突然鳴動するようになったという。
早速天海大僧正の元で竜晴が刀を調べると、まばゆい光を放った後に生まれたての子猫が現れた。付喪神の誕生だ。
付喪神を扱った作品はいくつか読んだが、誕生の瞬間を描いたシーンは初めて。なかなか興味深い。
刀の銘から「おいち」と名付けられた猫姿の付喪神は、さすが普通の猫とは違う著しい成長を見せていく。
いつも張り合ってばかりの抜丸と小烏丸も、狐の心霊・玉水もクールな竜晴も気になっておいちを可愛がる。もちろん泰山先生や花枝・大輔姉弟もとりこになっている。
更には泰山先生の元で食事をもらっている野良猫たち十二匹も仲間になった。
すっかり小烏神社に馴染んだおいちだが、それだけに尾張徳川家に帰らねばならない現実が切ない。それに帰るためには尾張徳川家にいるらしい何だか恐ろしいモノをやっつけねばならないというミッションもある。
妖刀に斬られた猫たち、墓を荒らす『火車』という化け物の来襲など怖い展開もある。
今回は泰山先生と花枝・大輔の登場は少なめだったが、その分龍晴と小烏神社メンバーが頑張っていた。そしておいちの成長は本当に著しかった。辛い場面もあったがおいちが最終的に安住の地を見つけられて良かった。
小烏丸の記憶がまた一つ明らかになった。彼の主人・平重盛(小松内府)といえば最近読んだ羽生飛鳥さんの〈平家物語推理抄〉シリーズにも出てきたので親近感がある。第二作ではすでに故人となっていた重盛だが、その裏で小烏丸は付喪神になり流転の日々を送っていたのだと思うと興味深い。
※シリーズ作品一覧
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①「弟切草」
②「梅雨葵」
③「蛇含草」
④「狐の眉刷毛」
⑤「猫戯らし」本作