【感想・ネタバレ】人生を整える 距離感の作法(マガジンハウス新書)のレビュー

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Posted by ブクログ

大好きな作家、曽野綾子氏が、昨今のコロナ禍でのソーシャル・デスタンスから、距離感を扱ったエッセイです。
さっぱりしていて、感じたことを、感じたままで表現する。そんな小気味よさを持った書でした。
160頁あまりの分量で、読みやすく、分かりやすい。

気になったことは以下です。

・私は、世の中はすべて仮の姿だと信じている。だから、不平等さや区別というものは気にしない。
・何事も「いい加減」でいい。「いい加減」を英語に訳すと、ほどよく適切なという proper と おざなりな という rough といった言葉に分かれる。
・「親のために」と心を込めてはだめ、心をこめずにやるから、長く続くのだ。
・子供への接し方は、「人格を認める」言葉は好きになれない。「存在そのものを許す」ほうがしっくりする。
・私は、「自分は正しい」と思っている人は嫌いである。
・日本の子供たちに決定的に足りないのは、「人を見抜く力」だろう。はじめから人を信じてはいけない。疑ったあとに信じる。それが正しい順番だ。
・小さい嘘はいいが、大きな嘘はだめだ。大きい嘘は、「裏切りの嘘」のことである。
・「世の中は思いどおりにならないもの」というのがわからない人が一番困る。
・本当に譲れないものは何かを考えて、そこから優先順位をつけていくようにしていた。本当に譲れないもの以外は適当に流したほうがいい。
・約束した仕事は、家の都合より優先する。と考える人のことを「プロ」という
・相手の「聖域」には踏み込まない。「秘密の部分を持たせたままでいてあげられる間柄」が本当の親友だ。
・自分が直接聞いた話でも間違いはある。他人か聞いた話ではなおさらである。だから、噂話はしないほうがいい。
・「私のことなんか知りたがる人なんていないのだから、いい気になるな」
・あらゆる人とのつき合いは、それがうまくいかなかったときはには諦めるほうがいい。それがいちばん有効な、人間関係の極意である。
・物事に、善悪の両面があると知ることで、初めて人生には厚みが出る。
・死を意識すると、生涯は限りあるものだとわかってくる。そうすると、人生の一瞬一瞬を大切にしていこうと思えるのである。
・遺品というモノではなく、その人と出会い、その人を知っていたということの感動が真の資産であって、それは心の中にのみある。
・努力さえすればなんとかなるという考えは大間違いだ。努力しなければいけないことは確かだが、どんなに努力をしても、駄目な時もある。
・いざとなったら「盗む」という覚悟
・アフリカでは「死ぬのは他人にまかせて、自分は生きろ」ということから教える。

結論となるのか、終章をかざるのは、次の言葉です。
「人と同じことを求めていては自分の道は見つからない」、人生を左右するものは運命だとますます思うようになった。
世の中には、自分の死に方をあれこれ考えている人がいるが、これほど意味のないことはない。死ぬ前に家をかたづけることはできるかも
しれないが、どんな経緯をたどって死ぬかなど、当人には何ひとつきめることができないからだ。

目次は以下です。
まえがき
第1章 人生百年時代のソーシャル・ディスタンス~距離感の大切さ
第2章 家族はいちばん身近な他人である~家族との距離感
第3章 幸せな結婚生活は奇跡に近い~夫婦の距離
第4章 人づき合いは、「手広く」よりも「手狭に」~友人、知人との距離感
第5章 死は恐れるものではなく学ぶもの~「死」との距離感
第6章 人生は思いどおりにいかないから面白い~「運命」との距離感

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2022年07月10日

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