【感想・ネタバレ】チルドレンのレビュー

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Posted by ブクログ

 伊坂幸太郎、アンソロジー以外でちゃんと読んだのは『グラスホッパー』以来。
 これは温まる話だった。陣内さんが周りの人を翻弄(まったく嫌な感じはしない)していく様がワクワクする。5つの短篇だけどどこか繋がっていて伏線が回収されていくのが気持ちよかった。

 陣内さん再登場の『サブマリン』も読みたい!

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2024年05月03日

Posted by ブクログ

時間軸設定としてはおそらく、1990年・2002年の二つの世界を行き来しつつ、
キーパーソンである『陣内』の周囲に起こる出来事を、
異なる4つの目で観測された物語。

陣内はどこか通常の人とは違う一種独特な倫理・道徳観を持っていて、
突飛な行動の数々でいつも周りの人間を驚かせています。
これは恐らく、知識をたくわえ地位を得て、理性で自らの真の姿を隠そうとする父親を偽善者と捉え、
あくまでその正反対を生きようとするロックンローラー的な気質を表しているんでしょう。

全編を通してその本質はブレずに描かれていき、語り手である四人はそれぞれ、
陣内に影響を受けては新しいじぶんの姿を見つけていく様が見て取れます。

人間は子どもから大人になるに従って年相応の『ものわかり』の良さを身につけ、
そこをはみだし素朴な疑問や欲求を持つものをおかしいものと見るようになります。
そして誰しも計算や打算で本来の姿を隠して、自らを偽って生きています。

陣内はそういうまわりくどいことを抜きにして、学生時代には当たって砕けろの精神で、
そして少し先の未来では、家裁調査官となって目の前の事に取り組む姿を見せてくれます。
面白いのは、12年経って核になる所は変わっていないものの、
少年を更生させる事はあくまでも『奇跡』と捉えている部分です。

がんばって結果が出なくても、元が奇跡なら裏切られてもあきらめがつく、
数多くのケースを目の当たりにして現場に立ったものだからこそ出る、
ひとことの格言には確かな成長の跡が感じられます。

偽りの美辞麗句を並べる卑怯な大人が居並ぶこの世で、
たとえ不器用でも『かっこいい大人像』にこだわる。
自分の感情に正直で、ちょっとイタズラっぽいチルドレンのような、
それでいて彼なりの正義の姿。
本当にロックだな。

そんなふうに自分には受け取れました。

伊坂幸太郎氏の作品を手に取るのはこれが初でして、名前だけは
聞いたことがあるものの、なかなかきっかけがつかめませんでしたが、
なるほど、こういう切り口もあるのか、って新しい気づきを得ることができました。
他の作品も必ず近いうちに読んでみようと思います。

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2024年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み始めてすぐ、「伊坂さん、銀行強盗好きだな〜」と笑ってしまった。

全編に渡って登場している陣内さんのキャラクター好きだなぁ。テキトーなようでしっかりしていて、テキトーなようで気にかけることもできて、歌とギターが上手くてバンドをやってるからというわけではないけれど、すごくロックを感じる人物像だ。

P.290〜291の陣内さんのバンドのボーカルが明君のお父さんなのが発覚するくだりが一番好きだったかなぁ。鳥肌が立ったし、ほろりと感動する場面だった。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

伊坂幸太郎ならではのセリフまわしと人物が魅力的。永瀬が知らないおばさんから5000円を貰い、屁理屈論破マン陣内が「なんで俺がもらえないんだよ」「関係ないっつうのずるいじゃねえか」はスッキリするシーンだ。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

陣内さんの屁理屈はすごい。なぜか納得させられる。一人でもこういう人が周りにいればそりゃ楽しくなるだろうな。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

傍若無人で身勝手、周りに迷惑しかかけない男ー陣内と、その周りの人達に起こった出来事の数々をまとめた短編集。周囲の人達による視点で描かれているため、いろんな視点から陣内を楽しむことができます。

伊坂幸太郎さんが好きなのですが、チルドレン&サブマリンはまだ読んだことがないなぁと思い、手に取ってみました。
そしたら、陣内の性格が私のドストライク!身勝手だけど周りに『悪影響を及ぼす』だけでなく、『奇跡を起こす』ところが最っ高にイイ!!奇跡を起こせるだけのポテンシャルがあるのもさらに良き。

親密にはなりたくないけど、武藤のように先輩後輩の関係程度になれたら、きっと人生観が変わるだろうなぁと思います。彼の自分の軸を曲げない性格、言葉の操り方、説得力等々、『良いところは』真似していきたいなぁと思ってしまいました。奇跡を起こす男『陣内』の解像度が高い小説、ぜひ読んでみてください。

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2024年03月07日

Posted by ブクログ

短編集ならではの読みやすさ、伏線回収の面白みがあって、何よりも人の暖かさが胸を打つ。
家裁調査官の仕事、視覚障害者の世界が新鮮で興味深い。
妻が夫への愚痴を言い放つことを「攻撃的な念仏」と表現してるの良かった。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

登場人物がリンクした 5つの連作短編集。

それぞれの物語で色んなところに伏線が散りばめられているのだが、それらがだんだん繋がってきて、最終的には一つの長編になるような構成になっている。

それゆえに、次々とページをめくりたくなるような高揚感がありつつも、メインキャラの陣内を含む登場人物一人ひとりのキャラクター性、発言にも惹かれる要素も多く、全体的な構成とディテールのバランス感覚が素晴らしいと感じた。予想するオチも難なくかわされ、意外な展開になっていくところも気持ちよかった。

続編のサブマリンを読むのが楽しみだ。

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2024年02月07日

Posted by ブクログ

話によって語り手が変わるけれど、しっかりそれぞれの心情が描写されていた。一見すると、なんでこの人たちが一緒にいるのだろうと思うメンバーの集まりなのに、陣内を軸に、掛け合いがとてもおもしろかった。
陣内のような人が実際に周りにいたら厄介だろうと思う一方、自分が言えない不満や要求を代弁してくれている感じがして好感がもてた。
子どもとの関わりも現実ではこんなうまくいかないかもしれないけれど、ほんの少し気持ちが揺れ動く描写が最後に見られるだけで温かい気持ちになれた気がする。

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2024年01月04日

Posted by ブクログ

おもしろかった★
友人に薦める★
脇役が次の主人公になる系★
スラスラ読めた★
また読みたい★

主人公が変わっていくタイプ好きです。
世界が繋がってる感じ好きです。

大人が子供の事を思いやっている感じも好き。

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2023年12月19日

Posted by ブクログ


陣内、嫌いじゃないなぁ。
面倒くさい奴だけど、友人にいたら面白いタイプ。少女時代に会ってみたかった大人(?)でもあるな。
こーゆー奴が子どもや動物にわりと人気があるのは、目線をあえて低くしてこないからだ。

伊坂作品はには魅力的な登場人物が多く居る。

盲導犬絡みの内容は盲目的に良く思えちゃうんだけど、それでも最後の話は良かったな。
そりゃあ、足音もしなければべスも怪訝な顔するよね!(笑)

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2023年10月21日

ネタバレ 購入済み

伊坂節満載

保護観察官の大人たちと子供の話。俺の仕事は奇跡を起こすことだというフレーズを読みたいがためにたまに読み直してしまう。

#アツい #ほのぼの #感動する

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2021年07月07日

購入済み

文章はひたすら軽妙、でもわざとらしく狙っていないのにすごくあったかい気持ちになってしまい、やられたって感じです。

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2018年07月20日

購入済み

大体愛らしい

学生時代に読んだ作品でしたが学生時代の記憶が抜けていてさっぱり抜け落ちていて伊坂幸太郎の新刊を読んだ気になっていました、サブマリンを中古で買ったので手前陣内の話を初めから思い出したいなと思い電子で購入し2日ほどで完読です。
世界は結果論で満ちている、あらゆることを結果論で考えればうまくいきそうなのでそうします。

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2018年04月15日

Posted by 読むコレ

大仕掛けもなにもない...一見日常的な
淡々とした話しの短編連作。
でも個人的には伊坂作品の中では
「重力ピエロ」と同じくらいに好きな作品。

主人公の陣内のセリフは一々突き刺さります。
かなり恥ずかしい告白だと思いますが
こうありたい、そうありたいという事を
圧倒的にあたりまえに発言する彼を
羨ましく思います。

もっと若い頃にこの作品に出会っていたら
どうなっていたんだろう...と思う。
まだ間に合うのか...?

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2013年01月30日

購入済み

そんな陣内が、大好きだ

私はこの小説のあるシーンがたまらなく大好きである。

盲目の男がなぜかおばあさんから突然お金を渡される。不憫だと思われたからだろうか。その時に男が感じる複雑な心境。それを聞いた破天荒な陣内は「ある一言」を発する。

私はこの一言が大好きで、この本を何度も読み返してしまう。

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2012年08月15日

Posted by ブクログ

『俺たちは奇跡を起こすんだ』
『俺たちは奇跡をやってみせるってわけだ。
ところで、あんたたちの仕事では奇跡は起こせるのか?』
.
『そもそも、大人が格好良ければ、子供はぐれねえんだよ』

この本の登場人物
陣内 の言葉の面白さと
ユニークさがくせになる

伊坂作品によく出てくるビートルズもあり
とてもこの人らしい作品

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

言葉も漢字も簡単で、会話のテンポも良く、非常に読みやすい短編集。
はっちゃけておりユーモア溢れるが、芯があり、ピンチの時は頼れる?陣内のキャラクターが良かった。
皆から慕われ、人を惹き付ける魅力のある、個人的には理想的な人物像であった。

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2024年04月17日

Posted by ブクログ

目が見えない人に対しての白色の表現が詩的で読み始めたのがきっかけ。全ての短編が繋がっていて時間の前後もあって読み進めると本当に面白い。登場人物がみんな憎めなくて好きになっちゃう!

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2024年04月05日

Posted by ブクログ

陣内というキャラクターが素敵。
陣内のセリフの一つひとつが、自分の中の価値観や先入観に新たな光を与えるような、物事の見方を一新するような印象があって新鮮です。

それとこの「チルドレン」に限らず、伊坂幸太郎先生お得意の秀逸な伏線は小説を読む楽しみを広げてくれます。
各短編の終盤、一気に伏線を回収していく気持ちよさ。
たしかに、この登場人物はそう言ってもたかも、そんなこと書いてあったかも、と読者の記憶を絶妙にくすぐってくるのです。
もどかしさの中で上手いなぁと今作でも感動させられました。

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2024年02月16日

Posted by ブクログ

癖が強すぎるひとの話。
この作者の視点はいつも面白い。
また銀行強盗の話?と思ったら、一個人にまつわる話しでした。
続きもでてるみたい?機会あったら読んでみたいです。

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2024年02月16日

Posted by ブクログ

伊坂幸太郎ワールド!
短編になっているので読みやすく、
登場人物がほぼ同じなので物語が繋がっています

憎めない友人?の陣内を中心としたストーリー

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2024年02月06日

Posted by ブクログ

スカッとしてほっこりする、ファニーな短編。短編なんやけど登場人物がずっと一緒なので一つのつながったお話。大人がカッコよかったら子供はグレない。僕もカッコよくならんと。

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2024年02月05日

Posted by ブクログ

家裁調査官としてのお仕事小説でもあり、陣内という憎めない破天荒キャラのクスッと笑える言動によって面白おかしいコメディになっています。
子供は親の背中を見て育つ。非行に走る若者には理由がありますね。

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2024年01月04日

Posted by ブクログ

SNSでこの本のワンフレーズに興味をそそられて読みました。
最初はなんとも自分勝手な陣内に嫌悪感を抱いてたはずなのに、物語が進むにつれて不覚にもそのキャラクターにどんどん魅力を感じてしまいました(笑)他の方もおっしゃるように現実にいたら少し考えものですが、自分の思ったことを的確に言語化してズバッと物言いできる鋭いところに憧れと嫉妬を覚えました。わたしもこんなふうになりたかったのかも。

個人的には2作目と4作目が好きでした。少年犯罪というテーマも多かったので最近の本かと思ったら20年も前の本でびっくり。名作は時代を選ばないとはこのことかと

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2023年12月30日

Posted by ブクログ

職場にこんな先輩がいたら間違いなく鬱陶しいけど、何だかんだで絡みに行ってまうかもしれん。だって興味深すぎる。

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2023年12月25日

Posted by ブクログ

10年前ぐらい、大学の先輩カップルから誕生日プレゼントに貰った本。ずっと積読になってて、ふと読み始めたらとても面白い。「短編集のふりをした長編小説」がすごくよくわかる心地良いまとまりのある作品。すべてに共通して出てくる陣内のキャラクターがすごく好み。屁理屈を述べたり鬱陶しがられたりする面がある一方で、家裁調査官で子供から慕われていたり皆んなから褒められるような格好良さがあったり、多面的で非常に魅力的。通勤の際に読むにあたり短編集がいいなと最近感じている。次は何を読もうかな。

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2023年12月22日

Posted by ブクログ

5つの短編集でありながらも、同じ人物が今度も登場し、過去とみらいを行ったり来たりするストーリー編成がとてもコミカルで見応えがあった。
特に陣内の破天荒で無責任だが、不思議と周りを惹きつけるこのキャラクターがとても良かった。
あと永瀬と優子とベスの関係がなんとも言えないほのぼのさを演出していて気持ちよく読めました。
他にも伊坂作品を読んでみたい。

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2023年12月12日

Posted by ブクログ

取り扱うトピックで考えれば深刻な場面やメッセージが増えそうなところ、本作はいい意味でそういった雰囲気がほとんど感じられませんでした。
無理が通れば道理が引っ込む、とでもいうような独特の正義感と共感性を持ちあわせたキャラクター陣内、各編で描かれるミステリー要素と随所に取り入れられた遊び心のテンポの良さがとても楽しい作品でした。
重苦しくない、という意味では印象に残る作品にはなりにくいのかもしれませんが、好きな作品の1つになりました。他の伊坂幸太郎作品も読みたい。

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2023年12月05日

Posted by ブクログ

特別何か大きなことが起こるわけでもないけど、ああ!そういうことか!と思える場面が多々ある。陣内みたいな人間に憧れる。

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2023年11月26日

Posted by ブクログ

 楽しく心温まる物語。

 久々の伊坂幸太郎作品。ほんわかしたスローテンポのお話が続いたので、新鮮だった。

 引き出しが多く、テンポのよい世界観。伏線回収が見事。面白かった。

 陣内は奇想天外な部分はあるが、優しくて、思いやりに溢れている。彼の行為に、ほろりとくる場面が幾度もあって、温かい気持ちになった。

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2023年11月14日

Posted by ブクログ

無頓着にも作者さんの書かれた時系列でいうと後に出てきた本を読んでしまっていたので、あ!あの話のキャラの原型を思わせる人がいる。と、ニヤニヤしながら読んだ。
伊坂先生の登場人物の目線がそれぞれ語られる形式はダントツ好き。

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2024年01月05日

Posted by ブクログ

全話に登場する陣内の個性が特別で面白い
彼を主人公にした長編が読めたいと思いました
それぞれの話で主人公になる永瀬や武藤なども個性的で面白い
ただ、短編集なのでそこまで話が盛り上がらずに終わってしまうので、残念に思えてしまう
いつかこのメンバーでの長編を読みたいです

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2024年04月16日

Posted by ブクログ

伊坂幸太郎さん初期の頃の連作短編集
『チルドレン』
5つの短編は主要な登場人物は同じで、過去や現在を行ったり来たりしながら繋がる。

妙な例え話が得意で話し出したら止まらない陣内と、目が不自由だが感覚神経に優れた永瀬、盲導犬に嫉妬する永瀬の彼女の優子、彼らの周りで起こるクスッと笑える珍騒動が、いかにも伊坂さんらしい作品だった。

陣内のキャラは、何処かでお会いしたような・・・
と思わなくもないが、そこも含めて愛着を持って楽しむのが伊坂作品なんだろう。

銀行強盗から始まるお得意の場面設定や(銀行強盗がお得意ってどうよ!?だけど、今回はなんと人質側なのだ)突飛な比喩であちこちに脱線する主人公、各タイトルにインならぬ韻を踏んだりと(最後の「イン」は少々無理やり感があったけど笑)遊び心満載だ。
エンターテイメントとしてサクッと楽しむのに適した一冊だった。

収録作品は以下のとおり
・バンク
・チルドレン
・レトリーバー
・チルドレンⅡ
・イン

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2024年03月31日

Posted by ブクログ

短編集だけど、重複登場人物が存在する。

時間じくが異なるため、登場人物の性格や考え方の変化も読み取れるし、その変遷を想像するのも楽しい。

本作には目が見えない人物が登場し、彼が一人称として置かれている物語も含まれている。

そのため、目が見えない人だからこその視覚に頼らない情景描写が秀逸で、視覚を使えないからこそ全てが語られないわけで、それがフックとなり、物語終盤の伏線回収へと繋がる気持ち良さもある。

伊坂幸太郎という作家を追いかけるように、他作品も手に取ってみたい。

あらためて、そう思わせるような作品だった。

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2023年11月03日

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