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ギリシャ、ローマ世界から中世へ続くヨーロッパの歴史って断片的にしか把握できてなかったね。この1冊のおかげでだいぶ整理できたような。そう思わせてくれる良書だ。西ヨーロッパの神政政治と東の皇帝教皇主義。教皇権と皇帝権の対立というか優先権の争いがあったわけだけど、どういう順序で歴史が進むのかは地域によって異なる。アジアと違って宗教に支配される地域、それがヨーロッパというわけだ。
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著者は「ヨーロッパというものは第一義的には『文化的概念』」という。そしてその構成要素を「キリスト教の霊性」、「ギリシャ・ローマの理知」、「ゲルマンの習俗」、「ケルトの夢想」とする。ヨーロッパ入門として読みやすく、コンパクトにまとまっているのは良い。しかし、著者の専門外の分野では内容が古い。ミケーネ滅亡ドーリア人原因説、ビザンツ=皇帝教皇主義、テマ制=屯田兵制、これらはいずれも今や否定されている旧説だ。文献案内にある本を読めば、これらの説が通用しないことは明らかになる。その意味で文献案内があるのは良心的か。
Posted by ブクログ
近世に入ったあたりから登場人物が増えて羅列されるようになったのが分かりづらかった。
主旨ははっきりしているし参考文献欄も充実しているので気になるところを読者が深めていくといいかも。