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幼稚園を舞台とした食中毒事件からはじまる。実はアゾラという植物に含まれているカドニウムが原因と判明、その後解決に向け、善人が何人も登場。悪人がいないというのも気持ちの良いものだ。悪気なく事件を起こしてしまってからの対応に迷う人間模様。
良し悪しの判断は難しい。一生秘密を背おって生きるのもひとつの道か。
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北関東の農村風景が残る幼稚園に桧垣学は、訪れていた。恋人の原島聡美がこの幼稚園の先生をしてた。今日は、夏の暑い日。園児達は、父兄と一緒に農業研修に出掛けてた。桧垣は、聡美のために手伝いにきてた。おにぎりと鴨鍋のお昼御飯。無事に終ったと思われたが、その日の夜相次いで病院に駆け込む園児たちが・・・。
園児達の症状をみて、おにぎりの杜撰な管理から出た単純な食中毒だと思われた。だが、大人に一人も症状が出ないのは、おかしい・・。病院の医師の町田信夫は、慎重に原因を調べる。吐しゃ物を調べるとカドミウムが検出された。公害病の「イタイイタイ病」の原因となった物だった。
安易な発表が農家の風評被害に繋がる事を恐れて、病院・保健所・警察
は、慎重に捜査を開始した。毒を盛ったのは、誰か?毒は、どこから来たのか?真相は・・・。
第一回小学館文庫小説賞を受賞した仙川環の作品です。医療ジャーナリストによる医療ミステリーの第三弾です。医療ミステリーは、海堂尊「チームバチスタの栄光」が真っ先に浮かぶ人が多いかな?個人的には、こちらのミステリーの方が好きです。面白いと思うので、仙川環の本を読んで見てくださいね
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農村風景が残る関東の幼稚園で起きた食中毒事件の話。
園児の病状から、幼稚園で食べたオニギリのズサンな管理が原因の単なる食中毒と思われたけど調べれば調べるほど原因が特定出来んかった事件。
調べていくウチにカドミウムが原因って分かったんやけど、簡単に発表してしまうと農家への風評被害が起きてしまう事を懸念した地元病院、保健所、警察は慎重に慎重に捜査、、、。
誰がカドミウムを入れたん?
ていうかカドミウムはドコから入手されたん?
色々と調べていくウチに自分が良かれと思ってした事が巡り巡って事件の原因になったのが分かったんやけど、、、。
その後に、証拠隠滅の為にした事は良くないけど被害を増やしたくない一心やったんやろうなぁ。
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「感染」「転生」に続く医療ミステリー。
気になる作家さんの一人です。
今回は医学界ではなく、幼稚園で起きた食中毒から
事件に発展していくという展開。
環境の事を考えて、良かれと思ってやったことが
とんでも無いことに・・・
食中毒の問題はもちろん、環境の問題も考えさせられる内容です。
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幼稚園で起きた集団食中毒事件。
だがそれは、単純な食中毒などではなかった。
管理体制に問題があったわけでもなく、誰かの責任でもない。
分析の結果特定された原因が何故混入してしまったのか。
何者かによって意図的に混入されたものではないとしたら・・・。
人は驚くほど強くもなれるし、脆く崩れ去ってしまうほど弱い面もある。
追い詰められた人間は、より安易な道へと逃げ場を求めるものかもしれない。
それにしても安易すぎる展開に唖然としてしまった。
たぶん仙川さん自身もそう感じたのではないだろうか。
主人公が反省する場面が描かれている。
身近な恐怖・・・環境問題を絡めた重いテーマを描いているのに浅く感じてしまったのは何故だろう。
犯行にいたるまでの犯人たちの行動が唐突に思えて、物語についていききれなかっただけかもしれないけれど。
日本は食の安全性が高いと言われている。
本当にそうなのだろうか。
物語を読んでどことなく不安な気持ちになってしまった。
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園児のために良かれと思って企画した農園実習がこんなことになるなんて・・・。収穫してきたネギやニンジン、そして近くの農家で飼われている鴨肉を使って鍋を作り、おにぎりと一緒にみんなで食べた。数時間後、園児達が次々と調子を崩して病院に運ばれ、中には意識が戻らない子供まで。おにぎりの管理が杜撰だったために起こった食中毒であろうと思われたが、農園実習を企画した原島聡美によると、保存は特に慎重に行っていたという。そして他にも腑に落ちない点がいくつもあり、調べ続けた結果なんと、カドミウムという思わぬものが検出されたのである。
途中までは良かった。一緒になって楽しんでいたくせに、事件が起きると手の平を返したように態度が激変する保護者たちと幼稚園側の攻防もありありと浮かんできた。しかし、中盤で物語の雰囲気がガラッと変わったというか、登場人物の印象がむちゃくちゃになった(苦笑)。責任感の強いまじめな2人かと思いきや、自分達さえよければそれでよいただのバカップルだったのか・・・。この小説で一番罪深いのは誰か?中盤以降の聡美の思考や行動には腹立たしいことこの上ない。放火は立派な犯罪。それを1人に押し付ける形になった上に、「私が待っててあげなくちゃ、支えてあげなくちゃ」って何様のつもりなのか。真相を知った他の人間も、隠ぺい工作を思いついて「それいいねぇ!」って子供みたいに盛り上がられても困る。テーマは興味深いのに、出てくる人間達が残念すぎる。
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善かれと思ってやったことが事件を引き起こしてしまうという救い様がない話なので読後はやるせなくなる。
そして周りが善人ばかりで全体的に都合が良いのが無理矢理救いを与えているようでしっくりこない。
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またまた仙川さんの作品をチョイス。
正直ストーリー的にはうまくいきすぎじゃない?って突っ込みたくなる感じ。
でも原発事故の後にこれを読むと、どうしても違った視点で読んじゃうから恐さは感じた。
園児が苦しんだり死んだりする内容だったら嫌だなぁと思ってたけど、最後はハッピーエンドだったからひと安心。
食べ物ってやっぱりちゃんと気にかけなくちゃ駄目だなぁと。
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責任の伴う行動を起こすことは、
本当に大切なことです。
(以下抜粋)
○社会正義をいくら振りかざされても、
人を守りたいという気持ちは揺るがない。(P.200)
○勝手な医者が自分だけの判断で脳死移植をやったことで、
日本の医療はずい分長く、足踏み状態を余儀なくされた。(P.248)
○初めに背を向けるほうが、辛いに決まっていると思ったからだ。(P.259)
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この間本屋でみつけて買おうかどうしようか迷ったのですが結局買わずに古本屋で見つけて購入しました。
うう~ん。可もなく不可もない、といったところでしょうか。
最初幼稚園の描写は面白かったのですが事件の始末がいろいろと無理が多い気がします。それと主人公が多いです。ポコポコと描写が変わるのでそれもあって感情移入がしにくいですね。(だから最後の行動が納得できない、というのもあるかもしれません)
池に浮かんだ水草を捕り切るなんて無理ですよ…(笑)
この方、水槽に水草入れたことないな(笑)
家の小さな睡蓮鉢でも無理ですから…(笑)
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うーん。。すなおに桧垣が警察で事情を説明したら、そんなに大げさにならなかったような気がして、そこが一番ストーリー展開的にひっかかる。まぁ、よくあるパターンかもね。それにしても、罪のない鶏を放火で皆殺しにする方が、隠そうとしたアゾラの件よりよっぽど罪深いとわたし的には思う。
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設定は面白かったが途中からちょっと入り込めなかった。
登場人物の行動と心情が今ひとつよくわからない?感じ。
面白いというデビュー作をまだ読んでないので今度読んでみたい。
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臨場感溢れる作品で、一気に読みすすめました。
残念だったのが…、
どんでん返しを期待していましたが、意外にあっさりしたラストで拍子抜けしました。
心温まるラストをお望みの方は、ご一読を。
描写が上手で登場人物がとても魅力的です。
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途中までは、ぐいぐい引きつけていく畳み掛け方は相変わらずうまいな〜と思う。しかしながら、事件の解決(と言っていいのか、あれ)のやり方が強引というか、そんなに上手くいくものだろうかと思う。いくらなんでもずさんな処理の仕方だろうし、バレるだろ、普通に。そしたら隠匿しようとしたことで却って重い罪に問われそうなものだしなぁ。量刑とかは詳しくないから置いておくとしても、結局「きちんと裁かれ、社会的な影響(風評被害、遺伝子組み換え植物利用の停滞/後退)にも責任を果たす」よりも気持ちの切り替えはつかないだろうし、逆にずっと罪の意識を引きずらなければならない辺りが、むしろ救われてないラストだったかな。
その読後感の悪さを緩和するためなのかどうかは解らないけど、最後は「町田医師の物語として見れば救いのあるいい話」で締めてあって、それがまたズレ感を助長してる感じ。町田医師も確かに第二の主人公と言っても良い立ち居地だったかとは思うけど、主人公カップル(名前忘れた)をそれぞれ勘定すると、むしろ第三の主人公ってところ。それで締められてもなぁ。
扱ってる題材は興味深いだけに、言いたいことを羅列しました、感が、小説っぽさより前面に出てきててちょっと残念。
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最近、注目している女性作家の一人。
夏のある日、幼稚園で食中毒事件が起きた。そして物語は日めくりで、様々な展開を見せていく。
食の安全が大問題となった2007年。
今年の世相を表す漢字も「偽」という字が選ばれたらしい。
(その他の候補も「食」「嘘」「疑」というような関連する字だったそうだ)
不二家、赤福、マクドナルド、ミートホープ、比内地鶏、船場吉兆・・
もちろん食品の問題だけでないとしても、口に入るものだけに安心できなければ売る資格はない。
しかし、大人ならまだしも、子どもたちが食べるものは、細心の注意を払う必要がある。
そして誰が犯人かわからない食中毒事件。誰もが疑心暗鬼に囚われるはずだ。
この小説の「繁殖」というタイトルは、食中毒の原因が判明してしまうと「ああそういう繁殖って意味か」と
納得してしまうが、実は他の意味もあるのかもしれない。
犯人探しで人を恨んだり妬んだりする気持ちの繁殖・・何ともいえぬ嫌な気分だけど。