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Posted by ブクログ
代表作になるとは思えないのだけれど、旅、酒、汽車と揃うとどうしても点が甘くなる。休日に気持ちいい読書ができたので5☆。そもそも金沢について書いている人なので不思議ではないが、このタイミングでの刊行は北陸新幹線開業に合わせてたものでないかと勘ぐってしまう。まあ、それはそれで。
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英文学者にしてあの吉田茂の息子による旅と酒と食のエッセイ。東京駅からひたすら飲み続け(多くは夜行)、到着した街でも午前から飲み続ける。特に金沢がお気に入りだったようで、金沢のエッセイが多い。
当時の文豪というか文士の飲みっぷりが良く分かる。不思議な魅力の作品。
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収録されている最初のエッセイの書き出し。
【引用】
三ヶ月目毎に、或は大体その位の所で五、六日ずつ、或は一週間位、旅行が出来たらどんなにいいだろうと、思う。
【引用終わり】
まさに。
この出だしに引き込まれた。
また、こんなことも書かれている。
【引用】
全く、旅先で一晩旨い酒を飲むこと程、我々の寿命を延ばしてくれるものはない。後は寝るだけで、そう考えただけで夜はとてつもなく前方に向って拡る。その晩も、やがては寝たようである。
【引用終わり】
旅と食と酒。
「汽車旅の酒」という題名だけれども、「酒と食の汽車旅」の方がぴたっと来る。
Posted by ブクログ
「酒が本当に上等になると、人間は余りものを言わなくなるものである。」そうですね(^-^) 酒は静かに飲むものだと思います(^-^) 吉田健一 著「汽車旅の酒」、2015.2発行、中公文庫です。一番心を揺さぶった箇所はw「人間は仕事が出来る間が花だ、と言うが、むしろ、したい仕事をしてしまって、天気なら日向ぼっこをし、雨なら小料理屋の隅で雨の音に耳を澄ましたり、家で読書に耽るとかする境涯こそ、人生の花と呼んでいい時期なのではないだろうか。」なんだか、読んでて無性に嬉しくなりました。