【感想・ネタバレ】アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か? これからの経済と女性の話のレビュー

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このタイトルを思いついただけで勝ちでしょう。

本書の骨子は「経済人」偏重の市場経済に女性の存在が無視されているという、社会のあり方に異議を申し立てる。フェミニストは上野千鶴子のようなもっと狭義のジェンダーの違いから受ける不利益にフォーカスするものであるという先入観があったので、経済との関連で論じるものはとても新鮮。新しい社会のあり方、寛容さへの期待みたいなものを感じる。(今ちょうど観終わった「不適切にもほどがある」と共通するテーマ)

少し具体的なところでは2008年金融危機への解説が秀逸。デビット•ボウイの逸話との絡め方と専門用語なしの人間の情動的な反応による説明が、腹落ち度高い。ここだけでも読む価値あるかな。

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2024年04月07日

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経済学は「愛の節約」を研究する学問になった。社会は利己心で成り立っている。アダム・スミスの見えざる手から経済人は生まれた。愛は私的な領域へと追いやられた。社会に漏れださないように、しっかり管理しなくてはならない。そうしないと、愛が枯渇してしまうから。
経済学は愛を節約しようとした。愛は社会から隔離され、思いやりや共感やケアは分析の対象から外された。そんなものは社会のとみとは関係ないからだ。

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2024年03月20日

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タイトルが秀逸です。アダム・スミスの食事を誰が作っていたのか、誰も真剣に考えたことがありません。実はアダム・スミスは生涯独身だったので、彼の食事は実の母親が作っていたそうです。

結局、スミスの経済学では女性は完全に無視されています。合理的な経済人とは完全に男のことが想定されています。家事や育児を担っている人間のことは閑却されています。

著者のマルサルさんはスウェーデンの出身だそうですが、スウェーデンでさえやはり女性に不平等な制度、慣行が多いそうです。

男女平等度が特に低い日本は真剣に女性の地位向上に取り組むべきであると痛感しました。

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2024年02月05日

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産休育休時短勤務を通して感じた社会の理不尽について、気持ちよく言語化されていました。
あのとき感じた無力さや、怒りを思い出すと共に、自分たちが少しずつ変われば、次の世代の人々はあんな目に合わずに済むかも知れない、といつ希望も感じられました。

就活に勤しむ学生の皆さんや、出世・昇給に目が眩んでしまう人、とにかくいろんな方に読んで欲しいです。

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2023年11月22日

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「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」kawade.co.jp/sp/isbn/978430…
さすが河出だぜ。経済学からこぼれおちる労働資本と具体的な生産性の話。よくある家事の経済価値の話やフェミ論じゃないところがいい。経済の成り立ち自体を疑う姿勢はとても好きだな。なおタイトルから妻を想像したけど違ったw

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2023年10月08日

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経済学で自明のものとされる"経済人"とそれを当たり前だと思っている社会に対して、フェミニズムの観点から問い直しをしていて、とても面白かった。
難しそうな印象だったが、文章はとても読みやすい。

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2023年08月02日

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この社会の歪みを的確に、そして執拗に問い詰める一冊。「アダム・スミスの夕食作ったのは誰か?」という出発点のユニークさがあまりにも秀逸で、この時点でまんまと著者の掌の上に乗ってしまった。
確かに同じテーマについて繰り返し記述される部分はあり読む人によってはくどいと感じることもあろうが、むしろそのくどさこそ女性が置かれているしんどさを表すひとつの指標になっているのではないか。簡潔に、スマートに、シンプルに、女性が現在進行形で置かれている苦境を述べよ、などというのは全くのエゴなのではないか。

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2023年03月21日

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素晴らしい本
フェミニズム関係の本で探して読んだが、経済学の本だった。
現在の格差社会、競争社会がなぜそうなのか。
現状分析の新たな視点と考え方の必要性を順を追って分かりやすく解説している。
人間にとって何が大切か、社会はそのためにどんな風に進めて行くか、経済と共存する社会の為に何を考え行くべきか提示してくれているとても素晴らしい本でした。

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2022年11月26日

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アダム・スミスの夕食を作ったのは彼の母親だった。母はアダムの行くところにはどこでも付き添い、生活を支えていたという。しかし、アダム・スミスの思想からは経済を支える「母」あるいは「ケア」の視点はすっかり抜け落ちているように見える。それはなぜか?それは問題ではないのだろうか?この本はそのような問題意識を出発点にしている。

男性と女性、精神と肉体、論理と感情、競争とケア、など西欧の社会は世界を二項対立で捉え、どちらか一方に高い価値を置いてきた。女性は、自分たちに伝統的に充てがわれてきた低い価値の役割から高い価値の役割への転換を試みてきたが、この挑戦は正しかったのだろうか?

結局、二項対立のどちらか一方に価値を置き、その価値観自体を問わないのであれば、苦しみは再生産され続けるのだろう。ただ、問題は見えても解決策はなかなか見えない。

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2022年10月24日

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経済学を、そもそもの根本から捉え直す試み。フェミニズムが問題なのではなく、問題とすること自体が問題なのだ。このテンポの良い語り口、経済学の歩みの俯瞰と現状への警鐘が分かりやすく述べられ、なるほどと腑に落ちた。
「世界を所有するかわりに、世界に居場所を見つけることができる」筆者のいうそんな社会を実現できる経済学であってほしい。

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2022年03月28日

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訳者あとがきにあった
「フェミニスト経済学の考え方をベースに、既存の経済学をバサバサと斬っていく爽快な読み物です」
のとおりの本。面白かった。

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2023年05月13日

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ネタバレ

性別役割分担の解消について語るとき、〜男性が「まともに取り合ってもらう」ために花柄の服を着るべきだ、と主張する人は見かけない。〜でもビジネスの世界で活躍する女性に対しては、控えめな格好をすることが未だに求められている。〜ニュートラルな服装、つまり、男性っぽい服装だ。男性の身体に合わせてつくられた世界に、女性は自分を合わせなくてはならない。

ところが男の子の服装については、なにもいわれなう。ピンクのバレリーナみたいな服装に顔をしかめる保育士も、男の子がサッカー選手の格好をするのは問題ないと考えているようだ。
p.210-211


すごい。目から鱗が落ちた。少し読みにくいところもあったけど、読んでよかった。自分の無意識に気づくことができた。

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2023年01月23日

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 シカゴ学派やゲーリー・ベッカーが「人のあらゆる活動は経済モデルで分析できる」として、女性は非生産的だから賃金が低い、女性の稼ぎが少ないのは、女性は高い賃金に値しないからと、堂々巡りの論を展開し、賃金の少ない女性が家事を担当するのは当然だと、偉そうに言うところ、腹立たしく読んだ。
しかし、全て数式で生産性は割り切れるわけはないと、ゲーリー・ベッカーを喝破してくれるので、腹立ちもカタルシスとなってクセになる(笑)
当たり前だが、全て数式で生産性は割り切れるわけはないのだ。
世の中は全て合理的にできているから市場は常に正しいとするシカゴ学派が新自由主義を生み、今もなお、多くの国の経済を低迷させ、格差を生み続けている。

「アフリカの人口の少ない地域では環境汚染が不当に少ない。所得水準の最も低い国に有毒廃棄物を移動するのは経済合理性のある話」なんて寒気のする言説がまことしやかに公の場で話されたりすることになる。
作者の言うように、もし先進国が産業廃棄物の責任を引き受けたら、将来を見据えた技術的な解決策が見出されるかもしれないのに…。

現代の課題を安易に現代の技術のみで解決できる合理性で片付けると、そこからは何も生み出されない。停滞だ。ゲーリー・ベッカーにノーベル賞を与えてしまったのは、痛恨のミスだ。

「コンゴに住む女性が缶詰3個を手に入れるために武装組織の男性と寝ることも、チリの女性が危険な農薬をたっぷり使った農園で働き脳に障害のある子どもを産むことも、モロッコの女性が工場に働かに出るため長女に学校をやめさせて幼い妹や弟の面倒をみさせること」
これら全て合理的な意思決定ということの残酷さ。

他者からの支え、ケアがないと社会は成り立たないことは自明のことだ。その点を無視する経済が成立すると思うことがあまり賢いことではないだろう。

これからの経済学がどうあるべきか、よくわかる本だ。

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2022年08月12日

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アダム・スミスが研究に勤しむ間、身の周りの世話をしたのは誰!?女性不在で欠陥だらけの経済神話を終わらせ、新たな社会を志向する、スウェーデン発、21世紀の経済本。格差、環境問題、少子化――現代社会の諸問題を解決する糸口は、経済学そのものを問い直すことにあった。
アダム・スミスは経済学の授業で習ったけれど、そこにジェンダーの問題を組み合わせて考えたことは一度もなかった。でも言われてみるとここまで女性の存在が無視されていること・主に女性や貧困層が担っている『家事労働』の価値が非常に低いことは経済学者たちが定義してきたことで、根本的に変えていく必要がある。具体的にどうしたらいいのか、この本が書かれた当時(2012年)から10年たつにも関わらず明確な答えは出ていない。だけど、経済人にならないために、ひとりの力は小さいとしても今後も声を上げ続けたい。

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2022年05月08日

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すごい考えさせられる本だった。

たしかに、昔から経済は男性視点での話ばかりだったし、歴史的に見ても、男性が国や地域を占めるということがほとんどだった。

それが現代経済でも引き継がれていて、その経済に率直な疑問をぶつけたのがこの本だと思う。

僕は今、雇い主が女性で、その方は企業で活躍されて、今は独立している。「女性だから〜」とかそういう一言で片付けるのは大変失礼だし、女性だからこその魅力をたくさん持っている。

「家事や育児は女性がやるもの」という考えは古い。確かに、身体の大きさや腕力といった部分は男性のが強いのは明らかだけど、頭の良さやリーダーシップ、人間性は男性も女性もフラットだし、男性よりも優れた能力を持つ女性はたくさんいる。

そして、「女性が首相になったら戦争が起きなかったのではないか?」という疑問は、僕は激しく同意する。女性が核兵器を作って、国を破壊し合うというのが僕には想像できない。それこそ、激しい口論で、バチバチとやって解決するのではなかろうか。

今の世の中を見るための、新しい視点をくれる本でした。

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2022年05月05日

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アダム・スミスの夕食を作ったのは誰なのか。スウェーデン出身女性ジャーナリストによる、ジェンダー視点の経済論。

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2022年04月06日

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最終的な解法については世の学者の領分になるが
ジャーナリストによるウィットに富んだ語り口で
経済とフェミニズムの結びつきに関しての視座を得られる。

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2022年03月22日

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経済の本というよりも、社会への抗議書、エッセイに近い。
経済は男性、それも経済学のために作られた合理的で孤立した個人としての男性しか想定していない。
その裏にいるはずの、家事労働、ケア労働をしてきた女性は経済的には価値のない存在として無視されてきた。

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2022年03月08日

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今まで経済書の類は全く読んだ事がなく、新聞の読書欄にて興味を持ち購入
このジャンルは初読であるも、変わった視点からの書き方なのだろうなというのは感じ取れた
深く考えずに受け入れているが、よく考えると確かに変だという事柄は経済以外でもよくあることかなと
翻訳本という共通点だからかもしれないが、若き日に読んだ沈黙の春を思い出した

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2022年02月18日

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アダム・スミスの経済論には、食事を作ったり洗濯したりは入っていない。夕食は利益の追求によって手に入れると彼は言ったが、どうもそうでもないね?彼の母親が作ったから、彼は夕食を食べることができたのだ。

前半は、バリバリのフェミニズム?とも思ったが、それだけじゃない。子どもを育てたり食器を洗ったり病人をケアしたり…お金にならないことは労働にカウントされず、見ないことにされてきたのだ。でもそれはあり続ける。
誰がやるの?

ナイチンゲールが、看護師の待遇改善に生涯をかけて取り組み、善い行いと金銭的な豊かさは両立しうると考えていたこと、これは覚えておきたい。

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2022年02月10日

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産めよ、育てよ、働けよ、、、。
無理だよ!!!!
男性視点で作られた経済の仕組みに女性を入れてかき混ぜても女性の負担が増えるだけ。
なるほど、そりゃそうだ。女性を潰す気か。
女性が働きやすい環境は、男性が働きやすい環境でもある。

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2021年12月27日

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確かに経済学は合理的な判断で経済活動に参加する個人を想定しているが、彼らだって生きていくために家族や周囲の人々に支えられている。特にその多くは女性だが、彼女らのケア労働はGDPにカウントされず、古典的な経済学から無視されてきた。そういった意味で今までの経済学は生身の人間の感情や行動を無視してきたと言える。女性の視点からみた新しい経済学が必要なのでしょう。

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2021年12月12日

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もっと若い時期に読んだら一面的だと反発していたかも。おっさんになった今なら素直に読めました。思春期の子どもに読ませるのに良いかもしれません。

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2024年03月09日

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フェミニストの語りや経済について基礎的なことが学べる1冊。2012年に書かれたものなのでやや論調が古いかもしれない。定常社会や厚生経済学については触れられておらず物足りない人もいるかもしれません。

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2022年09月29日

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最初はとても引き込まれただけど、翻訳ものにありがちな、同じような内容の繰り返しが多く。。
著者の視点の鋭さやジェンダーに対する論理はすごく納得いくものの、じゃあどうすれば?っていうのがなく、ふーんなるほどね!で終わった。
そういう意味では勉強になった。

特にデビッドボウイの話が面白かった。

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2022年06月12日

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古典派経済学の父と言われ、個人の利益追求が社会の利益追求につながることがあると説いたアダム・スミス。利己的な「経済人」像の確立に大きな影響を与えたスミスは生涯独身で、食事をはじめ身の回りの世話は母親に頼っていた。でも、彼の経済学からは、主に女性が担ってきたケア労働のことがすっぽり抜け落ちているのでは

作者はアダム・スミスの話をつかみに、経済学が長らく無視してきたケアの問題、カウントされない経済行為の問題に踏み込んでいく。ケアは無償で行うべきものだという誤った捉え方が、常に国家の富に貢献してきた女性の労働を、ひいてはその地位を貶めていると指摘する。

うまいタイトルだなと思う。このタイトルに心を奪われて、手にとってしまった。

原著はリーマンショック後の2012年にスウェーデンで刊行された。刊行から10年経っての翻訳だが、2012年当時の日本ではまだ受け入れられなかったかもしれない。この間、国際的に日本の女性の地位の低さが指摘され、国内的にもケアという言葉が注目されるようになってきた。労働にはそれに見合った対価があるのが当たり前。経済活動に組み込まれるべきだろう。社会でバリバリ働く女性がいていいし、ケアに従事する主夫がいてもいい。働き方や性別で区別する意味はない。

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2022年04月03日

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 「経済学」の本だと思って読んでみたら、「経済と女性」の本だった。作者はスウェーデン出身の女性ジャーナリスト。
 
 プロローグより「フェミニズムつねに、経済を語ってきた」。また、訳者あとがきには「フェミニズム経済学は女性の置かれた立場を分析します」と。 そして「フェミニズム経済学の考え方をベースに、 既存の経済学をバサバサと斬っていく爽快な読み物」とある。

 そして「経済人」モデルが、いかに現実にそぐわないかを明らかにしている。また、経済を「ジェンダー」の問題として捉えたのが新鮮だ。こういう観点はいままでなかったと思う。 

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2022年03月17日

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読みやすいが、議論の書というよりはプロパガンダ。現在の新自由主義が引き起こしている(と思われる)経済格差の拡大、少子化、等の問題の、根源として経済人モデルを挙げているが、経済人モデルの欠落部分をフェミニズムと結びつけているので、むしろ問題が小さくなっているように思える。また、経済人モデルの欠陥は指摘しても、代わりになるモデルを提示するわけではないので、もどかしい。
モデルは、そもそも問題を解析可能にするための単純化なので、それが現状を完全に反映しないことは当然といえる。その中で、そのモデルに反映されていない部分が重要であるとすれば、そのモデルによる分析や予想は現状を把握できないので、改良が必要になる。家庭内労働がGDPに含まれないから経済活動を正しく把握できなという議論と、経済人モデルは、人間が常に合理的で利潤を最大化する様に行動するというモデルが正しくないという議論とは別のものである。どうもそれが混ぜこぜになっているように思える。
女性の権利の拡大として、「男性並み」に働くことがいいことなのかという話もまた、作者自身どちらがいいと言っているのかよくわからない。
ちょっと面白いのは、人はもともと独立していて、独立人同士の契約として社会が生まれるという考え方は間違っているというところ。逆に、他者に依存した存在で、社会抜きにはあり得ず、そこから個人の権利や一定の独立を得ようとする方向に発達するというところ。そうだよね。人間は、一人で地面から生えてくるわけではないから、社会の方が後なんて有り得ない。そこもうちょい掘り下げたい。

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2022年02月12日

Posted by ブクログ

色々とハッとさせられる名著。

経済学がモデルとする経済人とは、完全に経済合理的な存在だが、現実には、あり得ない。利益の追求による自由競争が結果とし合理的な価値交換をもたらすが、そこにカウントされない労働がある。著者は、「利益の追求」に対し「愛の節約」という言葉を引いたが、合理性とは、まさにそういう話だ。

〝合理性=報酬の最大化“にカウントされない労働、つまり報酬を得られない(愛による)労働に従事しているのが、多くは女性であり、まさしく経済人とは程遠い存在。

ここでも気付きがあった。

確かに、例えば家事を自らこなせば金銭は発生しないが、有償委託すれば金銭が発生し、GDPにカウントされる。委託する家事より、自ら従事する仕事の報酬が高くないと成立しないから、結果、家事労働の価値は下がる。女性が家事労働に従事する比率が高ければ、平均年収は下がる。また、日本のようにベビーシッターや家事代行が多くない場合、GDPにカウントされずに全体の労働生産性も下がる。つまり。愛による無報酬の労働が多い程、経済活動としてカウントされないために付加価値が下がって見える。更には、これにより税収も下がるため、無報酬の労働を可視化し、市場化させる事が課題となる。

「女性の社会進出」には、あらゆる労働項目を経済活動としてカウントさせたいという、目的がある。だけれど、本著が主張するように、女性は経済人とは遠い存在。だから、このジレンマに折り合いをつけるためには、合理的ではない企業制度も必要。最近のアファーマティブアクションの強引さは、この辺もあるのだろう。そんな気がした一冊。

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2022年01月08日

Posted by ブクログ

“男性”が作った現代社会に『女性の地位向上』をそのまま入れ込もうとしても意味はない。今なお続く男性優位社会の中、上部だけの政策を盛り込んでも女性に更なる負担がかかるだけだ。根本的な意識改革が必要と思う。女性の賃金格差の問題には妊娠・出産を考慮した政策を手厚くすること、家事育児は女性の仕事だという古い価値観がなくなることが前提になると思う。しかし人種差別同様、過去からの歴史と思い込みがその前提を覆すことに強く尾を引いていてると感じる。ジェンダー教育が進んでいる今、さらに少子化の今、きちんと考えなければいけない問題である。

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2022年01月03日

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