【感想・ネタバレ】「言いたいこと」から引ける 大和ことば辞典(東京堂出版)のレビュー

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Posted by ブクログ

行きつけの神保町東京堂書店の自社出版コーナーで手にした、近年その美しさが見直されるようになった「大和ことば」についての辞典。
和語、漢語、外来語から成る日本語の中で、日本にもともとあった「和語」、その中でも、主に平安時代に用いられた優美で洗練された言葉である「雅語」、「雅言」が、現在一般には「大和ことば」と言われている。
最近はニュース番組等で頻繁に外国語を耳にするが、中国語や韓国語、西洋の言語に比べて、日本語の響きの柔らかさ、心地よさは際立っており(フランス語は比較的柔らかいが、それでも濁音が多い)、日本人の穏やかな気質・細やかな感性は、この言葉の影響が大きいのではないかとさえ思う。
「おくゆかしい(奥ゆかしい)」、「かぐわしい(香しい・芳しい)」、「ほがらか(朗らか)」、「あでやか(艶やか)」、「たおやか」、「つつましい(慎ましい)」、「みずみずしい(瑞々しい)」、「こうごうしい(神々しい)」、「しなやか」、「うららか(麗らか)」。。。
「五月雨」、「時雨」、「にわか雨」、「通り雨」、「小糠雨」、「篠突く雨」、「村雨」、「春雨」、「氷雨」。。。雨ひとつにこれだけの言葉がある言語は、ほかにあるだろうか。。。
五十音順ではなく、「言いたいこと」毎に並んでいるので、とても使いやすく、また、適当に拾い読みをしても楽しめる。収録語は約1,800語。

1
2017年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表紙のデザインが好みで紙の本を購入した。中の挿絵も素敵だった。
同じような意味ごとに書かれているので理解しやすかった。例文と補足があったのも分かりやすかった。



****以下、自分メモ

日本語には3種類の言葉(和語、漢語、外来語)がある。

和語は日本にもともとあった固有の言葉。日々の暮らしの中から共通認識のもと、自然発生的に生まれたことばも多い。その中で、主に平安時代に用いられた優雅で洗練された言葉をやまと言葉という。いわゆる雅語、雅言。


【第1章】こころ・こころの働き・表情

泡を食う→慌てる
安んじる→安心する
訝る(イブカル)→怪しむ
と胸を突く→びっくりする
口惜しい、歯噛みする→悔しい
蔑する(ナミスル)→軽蔑する
臍を固める→決心する
臍を噛む→後悔する
拘う(カカズラウ)→こだわる

ぽつねんと→ひとりだけで寂しそうにしているさま
身につまされる→同情する
差し含む(サシグム)→涙ぐむ
時雨れる→涙をもよおす
袖を絞る→ひどく悲しんで泣くすする
面憎い(ツラニクイ)→顔を見るのも嫌なほど憎い
憂き身をやつす→熱中する
面映ゆい(オモハユイ)→照れくさい、決まりが悪い
託言(カゴト)がましい→ぐちっぽい
繰り言→同じことを繰り返して言うこと、とくにぐち
とつおいつ→あれこれ迷うさま
結ぼれる→気分がふさぐ
後ろ暗い→やましいところがある
笑壺に入る(エツボニイル)→大いに笑う、思いどおりになって思わず笑みを浮かべる


【第2章】あたまの働き・思考・論理

惟んみる(オモンミル)→深く考える
諳んじる(ソランジル)→書いたものを見ないで言えるように頭の中で覚える、そうして覚えたものを口に出して唱える
肯う(ウベナウ)→認める
噛み分ける→物事の違いを見分け、よく理解する
推し当て→根拠もなく、想像で物事を判断すること
端なくも→思いがけないことに、図らずも、ふと
旗印→行動の目標となる主義・主張


【第3章】からだの働き・状態・感覚

差し込む→急に激しく痛む
矯めつ眇めつ(タメツスガメツ)→いろいろな方向からよく見ること
左見右見(トミコウミ)→あちらを見たりこちらを見たりすること
目が近い→遠くのものがよく見えない
まんじりともしない→少しも眠らない
尿(シト)→小便器
渋る→便意がありながら便通が良くない
放る(ヒル)→体の外へ排出する
糞(マリ)→大便
くちい→満腹である
飢える(カツエル)→「飢える」の文語的表現
饑い(ヒダルイ)→お腹がすいている


【第4章】人となり

おおどか→おおらかでゆったりとしたさま
渋い→けち
吝い(シワイ)→けち
さもしい→心が下劣でいやしい
狡辛い(コスカライ)→抜け目がなくてひどくずるい
五月の鯉の吹き流し→さっぱりした性格のたとえ
心延え(ココロバエ)→持ち前の性質、気立て
陰日向がない→人のいるときといないときで言葉や態度に違いがない、裏表がない
せせこましい→こせこせしてゆとりがないさま
さがない→性格が悪い、ひねくれている
旋毛曲がり→性質が素直でなくひねくれていること
臍曲がり→性質が素直でなくひねくれていること
拗ける→素直でない、ひねくれている


【第5章】姿かたち

末生り(ウラナリ)→顔色が青白く弱々しいこと
嫋やか(タオヤカ)→女性の姿や動作がしなやかなさま、しとやかで優美なさま
お多福(オタフク)→醜い顔の女性
ひょっとこ→醜い顔の男性
箸に目鼻→痩せた人のたとえ
太り肉(フトリジシ)→太っていること
優形(ヤサガタ)→姿かたちがすらりとしていて上品なこと
痩せぎす→体が痩せて骨ばっていること
痩せさらざえる→痩せ衰えてみずほらしくなる
柳腰→女性のほっそりとしてしなやかな腰つき
霜を置く→白髪になる
緑の黒髪→女性のつややかで美しい黒髪


【第6章】老若男女・呼称

益荒男(マスラオ)→強く勇ましい男性
むくつけき→無骨でむさくるしい
おぼこ→世間なれしてなくて純真なこと、そのような若い娘
早乙女→田植えをする若い女性
手弱女(タオヤメ)→しなやかで優美な女性
蓮っ葉→軽はずみで品がないこと、そのような女性
幼けない(イトケナイ)→おさない
緑児(ミドリゴ)→生まれたばかりの子、3歳くらいまでの子
稚児(ヤヤコ)→赤ん坊
手前→自分のへりくだった言い方
てんでん→ひとりひとり、それぞれ


【第7章】能力

目から鼻に抜ける→賢くて物事の理解や判断がすばやい
目端が利く→その場その場に応じて機転が利く
枯れる→人格や芸などに気取りや無駄がなくなり円熟味が増して深い味わいが出る
玄人はだし→素人なのに玄人のように非常に巧みなこと
おしゃま→女の子がませていること
早生(ワセ)→早熟なこと


【第8章】人とのかかわり

相身互い→似た境遇にあるもの同士が互いに同情し合い助け合うこと
心安い→親しくて遠慮がいらないさま
友垣→友だち
相思い→男女が互いに愛し合っていること
秋風が吹く→男女間で愛情が冷める
徒心(アダゴコロ)→移ろいやすい心、浮気な心
色が褪める→愛情が薄れて冷たくなる
色に出る→心の中で思っていることが顔に出る
浮き名→色恋のうわさ
心恋(ウラゴイ)→心の中でひそかに恋しく思うこと
岡惚れ→他人の恋人をわきからひそかに恋い慕うこと
後朝(キヌギヌ)→男女が共寝をして迎えた朝、その朝の別れ
恋衣→恋を身につけて離れない衣に託していうことば
恋の鞘当て→同じ女性に恋をした2人の男性が争うこと
花心→浮気な心
二心→浮気心
見初める→初めて会った異性を好きになる
道行(ミチユキ)→愛し合う男女が連れ立って駆け落ちすること
理無い仲(ワリナイナカ)→理屈では割り切れない仲、特に男女の倫理上許されない恋愛関係について言う
背の君→結婚相手としての男性、夫、恋人
妻恋・夫恋(ツマゴイ)→夫婦が互いに相手を恋い慕うこと
山の神→自分の妻のこと
生さぬ仲→血のつながりのない義理の親子の間柄
継しい(ママシイ)→親子が血縁関係にない
同胞(ハラカラ)→同じ母親から生まれた兄弟姉妹


【第9章】人生/暮らし/信仰

身2つになる→妊婦が子どもを産む
はかなくなる→死ぬ
身罷る(ミマカル)→死ぬ
むなしくなる→死ぬ
ハタチ、ミソジ、ヨソジ、イソジ、ムソジ、ナナソジ、ヤソジ、ココノソジ
還暦→61
古希→70
喜寿→77
傘寿→80
米寿→88
卒寿→90
白寿→99
上寿→100
方便(タツキ)→生活の手段
見過ぎ→生計を立てて暮らしていくこと、その手段
左前→経営が順調でなくなること
結い→住民同士が互いに力を貸して助け合うこと(田植えや稲刈りなど)
言祝ぐ(コトホグ)→お祝いや喜びのことばを述べる、ことばで祝福する
野辺の送り→死者のなきがらを火葬場や墓地まで送ること
遊び(スサビ)→気の向くままにすること
甍(イラカ)→瓦葺きの屋根、その瓦
厨(クリヤ)→台所
仕舞屋(シモタヤ)→商店ではない普通の家
釣瓶(ツルベ)→縄や竿の先に付けて井戸の水をくみ上げる桶
憚り(ハバカリ)→便所
花筐(ハナガタミ)→摘んだ花を入れるカゴ
火熨斗(ヒノシ)→布のしわを伸ばすための道具
口汚し→客に食べ物をすすめるときにへりくだっていうことば
竜田揚げ→奈良県の紅葉の名所「竜田川」から(揚がった色が赤っぽく所々が白く見えるところを竜田川に流れる紅葉に見立てて名付けられた)
猫跨ぎ→まずい魚
襟巻き→マフラー
お仕着せ→季節に応じて従業員に衣服を与えること、その衣服
隠し→衣服の外側あるいは内側に縫いつけた小さな物入れ
帷子(カタビラ)→裏をつけていないひとえの着物
うつ田姫→冬を司る神
産土神(ウブスナガミ)→その人の生まれた土地の守り神
障の神(サエノカミ)→悪霊や疫神などの侵入を防ぐために村落の境や峠などに祀られる神
佐保姫(サオヒメ)→春を司る神
竜田姫→秋を司る神
つつ姫→夏を司る神
のの様→仏を敬い親しんでいうことば
八百万の神→非常に多くの神々


【第10章】おこない・行動/態度

お目通り→身分の高い人にお目にかかること
お目文字→お目にかかること、お会いすること(手紙文)
綾なす→たくみに扱う、あやつる
持て扱う→①大切に扱う、世話する②取り扱いに困る、持て余す
顔が揃う→予定していた人が全員集まる
顔を揃える→ある目的のために多くの人が1箇所に集まる、勢ぞろいする
集く(スダク)→群がり集まる、特に虫などが集まって鳴く
円居する(マドイスル)→大勢の人が集まって輪になって座る、親しい人達が集まって楽しく時を過ごす
寄ると触ると→人が集まるといつでも
そぞろ歩き→あてもなく、ぶらぶら歩くこと
経巡る(ヘメグル)→あちこちを巡り歩く
息巻く→激しく言い立てる
嘯く(ウソブク)→偉そうに大きなことを言う
押っ取り刀→緊急時に取るものも取りあえず急いで駆けつけるさま
直押し(ヒタオシ)→ひたすら押すこと
圧す(ヘス)→押し付ける、押しつぶす、圧倒する
賺す(スカス)→おだてて機嫌を取る
小買いする→さしあたって必要な分だけ少しずつ買う
認める(シタタメル)→書き記す
被く(カズク)→頭の上にのせる、かぶる
梳る(クシケズル)→髪の毛を櫛ですいてととのえる
かかずらう→関わりをもつ
燻らす(クユラス)→煙を静かに立ちのぼらせる
呑む→たばこをすう
相携える→互いに協力しあう
託言がましい(カゴトガマシイ)→なにかほかのことのせいにして言い訳がましい
こと寄せる→自分がしたいことをするためにほかのことを口実にする
衒う(テラウ)→自分の才能や学識などを誇ってひけらかす
転けつ転びつ(コケツマロビツ)→ころんだりころがったり
絡げる→ひもなどを巻きつけて縛る
一絡げるにする(ヒトカラゲニスル)→ひとつにくくる、ひとまとめにする
閲する(ケミスル)→調べて確かめる、改め見る
蹲う(ツクバウ)→うずくまる、しゃがむ
育む→羽含む(ハククム)の意で、親鳥がひなを羽の下につつみこみ育てることをいう
平める(ヒラメル)→ひらたくする、平らにする
寝刃を合わす(ネタバヲアワス)→ひそかに悪事をたくらむ
黙す(モダス)→だまる、口をつぐんでものを言わない
阿る→相手の機嫌を取って気に入られようとする
諂う(ヘツラウ)→機嫌を取ったりお世辞を言うなどして相手に気に入られるようにふるまう
傅く(カシズク)→そばに仕えて大切に世話をする
誂える(アツラエル)→特別に注文して作らせる
拵える(コシラエル)→材料に手を加えて形のあるものを作る
ひしぐ→推しつけてつぶす、勢いをつぶす
ひしげる→押されてつぶれる
悪たれる→ひどいいたずらをしたり乱暴したり憎まれ口をたたくなど反抗的な態度を取る
弓を引く→仕えていた人や目上の人に反抗する、反逆する
被ける(カズケル)→責任や罪などをほかの人に押し付ける
捏ねる(ツクネル)→手でこねて丸くする
伸す(ノス)→縮んだり曲がったりしたものをまっすぐにしたり平らにしたりする、のばす
のっつそっつ→伸ばしたりそらせたりするさま
悖る(モトル)→当然そうあるべきとされることに反する、道理にそむく
論う(アゲツラウ)→ささいな点を取り上げてあれこれと批判する、とやかく言い立てる
戯ける(オドケル)→こっけいなことを言ったりしたりしてふざける
戯ける(タワケル)→常識外れなことやばかげたことをする
巫山戯る(フザケル)
舫う(モヤウ)→船をほかの船につなぎ合わせる、杭などにつなぎとめる
踏み拉く(フミシダク)→踏んでめちゃくちゃにする、踏み荒らす
手を束ねる(ツカネル)→何もしないでただ見ている
訪う(オトナウ)→人やある場所をたずねる

疎抜く(オロヌク)→間引く
間引く→本来あるべきものの中から一部を省いて間隔をあける
擡げる(モタゲル)→ある部分を持ち上げて起こす
徒や疎か→軽々しく粗末にするさま
等閑(ナオザリ)
忽せ(ユルガセ)→注意を払わず適当に扱うさま、いい加減にするさま、おろそかにするさま
角張る(カドバル)→堅苦しくものものしい様子をする
鹿爪らしい(シカツメラシイ)→堅苦しく形式ばっている、もっともらしい
しゃちこばる→いかめしく構える、緊張してかたくなる
脂下がる(ヤニサガル)→得意になってにやにやする、うぬぼれて気取る
骨身を惜しまない→苦労をいとわない
忠実(マメ)→まじめで努力を惜しまないさま
忠実忠実しい(マメマメシイ)
慎み深い→節度をわきまえ礼儀正しく控えめであるさま
居丈高→相手を見下して威圧するような態度をとるさま
嵩高(カサダカ)→人を見下して横柄なさま
嘯く→とぼけて知らないふりをする、空とぼける
知らぬ顔→何も知らないふりをすること
空々しい→わざと知らないふりをするさま、空とぼけているさま
空惚ける→わざと知らないふりをする
及び腰→中途半端で消極的な態度、かくしんのないあいまいな態度
腰を入れる→本気になる、覚悟を決める
なまくら→何かをしようという気力がなくてなまけてばかりいること、そのような人
のんべんだらり→何をするでもなくだらしなくただ時間を浪費するさま
物臭(モノグサ)→物事をするのに面倒がること、そのような人
横の物を縦にもしない→ものぐさで何もしない、ひどく無精なさま
しだらない→だらしがない
疎疎しい→いかにもよそよそしいさま
素気ない(スゲナイ)→人に対する態度が冷淡で思いやりがない
七重の膝を八重(ヤエ)に折る→丁寧なうえにさらに丁寧にして相手に謝罪したり懇願したりするさま
烏滸がましい(オコガマシイ)
仮鼻(カリバナ)→人の意見を受け売りにして得意がること
我褒め→自分で自分を褒めること
阿漕→欲が深く無慈悲であくどいさま
猛々しい→ずうずうしく恥知らずなさま
白々しい→本心ではないことが見え透いているさま
空々しい→うそであることが見え透いているさま、わざとらしい
怖めず臆せず→少しも気後れしないで
賢立て→いかにも賢いふりをすること
賢しら(サカシラ)→いかにも賢そうにふるまうさま


【第11章】ようす・状態/程度

生新しい→あまり時間が経っていなくてまだ新しいさま
何くれとなく→あれやこれやと、いろいろと
何やかや→あれやこれや、いろいろ
鄙びる(ヒナビル)→いかにも田舎の感じがして素朴である
煽り→物事が引き起こすよくない影響
名残→「波残り」、風がおさまったあとにしばらく波が立っていることから
事事しい→いかにも重大事らしく見せたり思わせたりするさま、おおげさである
物々しい→見るからにいかめしく、おおげさである
間怠っこい(マダルッコイ)→のろのろしていてじれったいさま
あえか→色や匂いなどがかすかなさま、弱々しいさま
幽し(カソケシ)→色や音などがかすかなさま
末枯れる(ウラガレル)→寒さなどで草木の葉先や枝先が枯れる
末枯れる(スガレル)→草木の葉先や枝先や花などが盛りを過ぎて枯れ始める
手もなく→手数をかけずに、いとも簡単に
偶さか(タマサカ)→思いがけないさま
饐える(スエル)→食べ物が腐って酸っぱくなる
神寂びる(カンサビル)→古めかしくて神々しい趣がある、古風で趣がある、古びている
喧しい・囂しい(カマビスシイ)
已むを得ない
由無い(ヨシナイ)→とるべき方法がない、しかたがない
拠ん所ない(ヨンドコロナイ)→そうするよりほかにしようがない、しかたがない、やむをえない
重る(オモル)→重量が増す、重くなる
追風(オイテ)に帆を揚げる→物事が勢いに乗り順調に進むことのたとえ
渉が行く(ハカガイク)→物事が順調に進む
捗捗しい(ハカバカシイ)→物事が順調に進むさま
静寂(シジマ)→物音ひとつしないで静まり返っていること
しめやか→しんみりと静かなさま
裏表(ウラウエ)→裏と表のように対照的であること
裏表(ウラオモテ)→裏と表が反対になること
せせこましい→ひどく狭くてゆとりがない
所を得る→自分にふさわしい職や地位につく
似気ない(ニゲナイ)→につかわしくない、ふさわしくない
聳り立つ(ソソリタツ)→上に向かって高くそびえる、そびえ立つ
屹つ(ソバダツ)→ひときわ高くそびえる、そびえ立つ
生半・生中(ナマナカ)→中途半端なさま
旁(カタガタ)→〜を兼ねて、〜のついでに
のべつ→少しの休みもなしに、絶え間なく、ひっきりなしに
引きも切らず→途切れることなく続いて、にっきりなしに
節榑立つ(フシクレダツ)→樹木の幹や枝などが節が多くてでこぼこしている、手などの関節の部分が盛り上がってごつごつしている
響もす(ドヨモス)→声や物音をあたり一面に鳴り響かせる、どよめくようにする
相成る→ある状態になる
賑々しい(ニギニギシイ)→非常ににぎやかである
文目も分かぬ(アヤメモワカヌ)→物や物事の区別がつかない、見分けができない、分別がつかない
平らか(タイラカ)→起伏がなく平らなさま
なだらか→傾斜がゆるやかなさま
偶さか(タマサカ)→めったにないさま、まれであるさま
目鼻がつく→物事がほぼ完成しおおよその検討や見通しがつく
言うも愚か→口に出して言うのもばかばかしいほど分かりきっている、当然のことである
鮮やぐ(アザヤグ)→周囲からはっきりと目立つ、あざやかに見える
しなやか→やわらかくて弾力があるさま
嫋やか(タオヤカ)→物がしなやかなさま
なよやか→やわらかくしなやかなさま
雅やか→上品で優美なさま、みやびなさま
徐に(オモムロニ)→動作がゆっくりと落ち着いているさま
やおら→動作がゆっくりとしているさま
※急に、という意味は「矢庭に(ヤニワニ)」
たゆたう→ゆらゆらと揺れ動く、ゆらぎただよう
似通う→複数のものが互いによく似ている
似寄り→よく似ていること、そのもの
明け透け→包み隠さずありのままのようす
至って→もうそれ以上はないというさま、きわめて
強か(シタタカ)→程度や分量などが非常にはなはだしいさま
頗る(スコブル)
類ない(タグイナイ)→他に比べるものがない
等し並み(ヒトシナミ)→同じ程度であること
割合に→ほかの同種のものやある基準と比べて
いとど→いよいよ、ますます、さらにいっそう
転た(ウタタ)→いよいよ、ますます
心持ち→ほんの少し
おさおさ→少しも、決して
露ほども→ほんの少しも、わずかばかりも、これっぽっちも
夢にも→少しも、まったく
努努→ほんの少しも、まったく、決して
大凡(オオヨソ)・凡そ(オヨソ)→だいたいのところ、おおかた、あらまし
殆ど(ホトンド)→ほぼ全部
挙げて→残らず、すべて
遍く(アマネク)→すべてにわたって、広く
推し並べて(オシナベテ)→すべてについて同じようなことが言えるさま
挙って(コゾッテ)→1人残らず、みんな
悉く(コトゴトク)→残らず、すべて
頻りに(シキリニ)→ひっきりなしに
繁繁(シゲシゲ)→間をおかず何度も、しきりに
屡屡(シバシバ)→何度も、たびたび
如何ばかりか(イカバカリカ)→どれほど、どんなにか
(度合いのはなはだしさを推測していう)
いっかな→どうしても、何としても
然しも(サシモ)→あれほど、あんなに
然程・左程(サホド)→それほど、たいして
何程(ナニホド)→どれほど、どのくらい
(反語を用いて取るに足らない、たいしたことはないの意でも用いることが多い)
絡み→〜くらい
高高→多く見積っても、せいぜい
ものの→およそ、ほんの


【第12章】あいさつことば・取り立てていうときのことば・忌み詞

あらあらかしこ→女性が手紙の終わりに用いることば
(粗略で恐れ入ります、の意)
おはよう→「お早く」の音便、「お早いですね」の意
さらば→「それでは(別れよう)」の意
さようなら→「さようならば」の略し、「そのようであるならば(別れよう)」の意
ごきげんよう→「どうぞ機嫌よくいてください」の意、「ご機嫌よくいらっしゃいますか」の意
憚り様(ハバカリサマ)→①人にせわになったときや頼み事をするときに恐れ入ります、すみません、の意でいうことば
②非難を受けたときなどに反発していうことば、おあいにくさま
可惜(アタラ)→惜しいことに、もったいないことに
豈図らんや(アニハカランヤ)→予想と違って
剰え(アマツサエ)→そのうえに、おまけに、さらに
いみじくも→非常にうまく、まことにたくみにも
弥が上にも(イヤガウエニモ)→さらにますます、なおその上
言わずもがな→言わないほうがよいと思われること、言うまでもなく、もちろん
況んや(イワンヤ)→まして、なおさら、〜は言うまでもない
得たりやおう→うまくいったぞ、やったぞ
得てして→そうなりがちであるさま、そのようなけいこうがあるさま、ともすると、とかく
惜しむらくは→惜しいことには、残念なことには
糅て加えて(カテテクワエテ)→そのうえさらに、おまけに
苟且にも(カリソメニモ)→①(打消しの語)仮であっても、決して②たとえ不十分であっても、曲がりなりにも、いやしくも
蓋し(ケダシ)→思うに、おそらく、たしかに
希わくは・冀わくは・庶幾わくは→ひたすら願うことには、なにとぞ、どうぞ
然りとて(サリトテ)→そうだからといって
然のみならず・可之(シカノミナラズ)→そればかりでなく
然らずんば(シカラズンバ)→そうでなければ、さもなければ
達て(タッテ)→ぜひとも、無理に、強いて
偶さかに→もしかして、ひょっとして
兎角(トカク)→そうなりがちであるさま、そのような傾向があるさま、どうかすると、えてして
兎に角→ほかにすることがあっても、それはさておいて、いずれにせよ
ともすると→どうかすると
就中(ナカンズク)→多くのものの中でとりわけて
望むらくは→望むことには
憚りながら→こんなことを言うのも遠慮すべきところ、恐れながら
曲げて・枉げて→強いて、無理でも、是が非でも
宜なるかな(ムベナルカナ)→いかにももっともなことだ
動もすれば(ヤヤモスレバ)→そうなりがちであるさま、そのような傾向があるさま、どうかすると
縦しんば(ヨシンバ)→仮にそうであっても、たとえそうであっても
当たり石→硯(「摩る」が賭け事などで金銭を使い果たすときの「する」に通じることを忌み嫌っていう)
当たり鉢→擂り鉢(「擂る」が賭け事などで金銭を使い果たすときの「する」に通じることを忌み嫌っていう)
当たり目→するめ(「する」が賭け事などで金銭を使い果たすときの「する」に通じることを忌み嫌っていう)
当たる→剃刀で顔やひげなどを剃る(「剃る」を「する」ともいい、賭け事などで金銭を使い果たすときの「する」に通じることを忌み嫌っていう)
有りの実→梨(「無し」に通じることを忌み嫌って言い換えたもの)
稲積む(イネツム)→寝る
稲挙ぐ(イネアグ)→起きる
入れ物→柩
得手・猿(エテ)→猿(「去る」)
鏡開き→正月に供えた鏡餅を割って食べること(「割る」ということばを忌み嫌って「開き」という)
切らず・雪花菜(キラズ)→おから(「から(殻)」は「かす」の意で、「から」が「から(空)」に通じることを忌み嫌って、料理をするのに切らなくてよいという意味でいう)
薬→病気
お開き→終わり
直る→死ぬ
休み→病気
葦(ヨシ)→イネ科の多年草「アシ」の別称(「悪し」に通じることを忌み嫌って「良し」と言い換えたもの)
嫁が君→正月三が日のねずみのこと(ふだんは害をもたらすものとして嫌われたが、大黒様の使いでもあり、正月にもてなす意味で呼び方を変えたものとされる。ほかに、ねずみの「ね」が「寝」に通じることから忌み嫌った、ねずみの害を減らすため、など諸説あり)


【第13章】とき

暁→夜が明けようとするころ、明け方
曙→夜がほのぼのと明けはじめる頃、明け方
朝ぼらけ→朝、空がほんのり明るくなるころ
朝まだき→夜が明けきらず、薄暗いころ
彼誰時(カワタレドキ)→夜が明ける間際の薄暗いころ、明け方
東雲→東の空が白むころ、明け方

昼下がり→正午を少し過ぎたころ
昼日中→「昼間」「日中」を強めていう語

逢魔が時→夕方の薄暗いころ(大禍時の転)
暮れ泥む(クレナズム)→もう暮れてもよさそうなのになかなか暮れないでいる
黄昏→夕方の薄暗いころ、夕暮れ
火点し頃→夕方暗くなってきて明かりをともす頃、夕暮れどき
夕間暮れ(ユウマグレ)→夕方、薄暗いこと、そのころ、夕暮れ
夕闇→夕方の薄暗さ(日が沈んで月が出るまでの暗さ)
宵の口→日が暮れてまもないころ
宵闇→宵の薄暗さ

可惜夜(アタラヨ)→明けてしまうのが惜しい夜、なにもしないで過ごすにはもったいないような素晴らしい夜
明けやらぬ→夜が明けきっていない
草木も眠る丑三つ時→万物が眠りあたりが静まりかえる真夜中(午前2時から2時半頃)
小夜→夜
夜の帳→夜の闇(「帳」は室内の仕切りとして垂れ下げる布、垂れ絹のこと。夜の闇が物を見えなくするさまを視界をさえぎる垂れ絹にたとえていう)
応接にいとまがない→次々と来客があって休むひまもない
枚挙にいとまがない→たくさんあっていちいち数えていられない

追っ付け→もうすぐ、まもなく
既の所(スンデノトコロ)→もう少しのところで
立ち所に→ただちに、すぐに、すぐさま
忽ち(タチマチ)→きわめて短時間に、またたく間に
玉響(タマユラ)→ほんのわずかな間(「ゆら」は玉がふれあう音を表す)
束の間→(「束」は手を握ったときの指4本分の幅のこと)

絶えて→あることがやんでから長い間再び起こらないさま
未だし→まだそのときではない、まだ早い
夙に(ツトニ)→早くから、ずっと以前から
朝な夕な→朝となく夜となく、朝晩、朝夕、常に、いつも
終日(ヒネモス)→朝から晩まで、一日中(「ひねもすがら」の略)
間がな隙がな→少しでも時間があればいつでも
夜っぴて→一晩中、夜通し
夜もすがら(ヨモスガラ)→一晩中、夜通し
夜を日に継いで→昼夜の区別なく休まず続けるさま

折節(オリフシ)→時々、時折
時たま→時々、たまに

今し方→たった今、ほんの少し前、ついさっき
今しも→ちょうど今、今まさに
今の今まで→たった今、ついさっきまで
今日日(キョウビ)→きょうこのごろ、近ごろ、今どき
差し当たり→今のところ、さしずめ
差し詰め→今のところ、とりあえず

来し方行く末(コシカタユクスエ)→過ぎ去ったときとこれから先、過去と未来
一頃(ヒトコロ)→少し前のある時期
一昔→もう昔だと感じられるくらいの過去、およそ10年前をいう

幾久しく→いつまでも、末永く
永久・常しえ・長しえ(トコシエ)→いつまでも変わらないこと、永久に続くこと

暁→望んでいたことが実現したそのとき
時恰も(トキアタカモ)→ちょうどそのとき、まさにそのとき
折悪しく→時機が悪いことに、あいにく
折から→ちょうどそのとき
折しも→ちょうどそのとき
折も折→ちょうどそのとき
潮時→ある事をするのにちょうどよいとき
時ならぬ→時節はずれの、思いがけない
砌(ミギリ)→ころ、とき、おり

睦月→1月
(新年を迎え互いに行き来して仲睦まじくする月の意)
如月→2月
(寒さが厳しく衣を更に重ねて着る意で「衣更着(キサラギ)からとされる)
弥生→3月
(草木がますますはえのびる意で、「弥生い(イヤオイ)」からとされる)
卯月→4月
(卯の花が咲く月である説、「苗植え月」の転とされる説)
皐月→5月
(早苗を田へ植えるころで「早苗月(サナエヅキ)」の略とする説、「さ」は神の意で農事の神の月の意とする説)
水無月→6月
(水を田に引く月、「水の月」の意。「な」は「の」の意の格助詞で「水無月」と書くが、水が無い月という意ではない)
文月→7月
(稲の穂がふふむ(含む)月の意とする説、七夕に文を供える説)
葉月→8月
(葉が落ちる月の意で「葉落ち月」の略とする説、稲が穂を張る月の意で「ほはりづき」の略とする説)
長月→9月
(「夜長月」の略、「稲刈り月(イナカリヅキ)」の略、菊の花が咲くころであるから「菊月」ともいう)
神無月→10月
(全国に八百万の神が会議のために出雲に集まり、諸国には神がいなくなるからとされる。なお、「な」は格助詞「の」で、神を祭る「神の月」の意とする説もある)
霜月→11月
「「霜降り月」の略とする説、霜で野菜などがしおれていたむことを古くは「しもげる」といい、しもげる月の意とする説」
師走→12月
(伊勢の御師が来年の伊勢神宮のお礼や暦などをもって家々を回ることからとされる。「師」は僧侶のことで仏名会などで僧侶が忙しく走り回るからともいわれる)

1日→「月立ち」の音便、陰暦で1日ころにそれまで隠れていた月が現れることからいう
つごもり→月の最後の日、30日、晦日、月の終わり。
(つきごもり「月隠り」の約。陰暦で30日ころ、月が隠れて見えなくなることからいう)
大晦(オオツゴモリ)→1年の最後の日、12月31日


【第14章】ところ

野良→田畑、もとは野原の意

女坂→同じところに行く2本の坂道のうちで傾斜が緩やかなほうの坂
男坂→傾斜が急なほうの坂、本来は神社や表の参道
辻→道が十字形に交差するところ、道ばた
九十九折(ツヅラオリ)→道が幾重にも折れ曲がって続くこと、そうした坂道や山道

浦→海や湖などが湾曲して陸地に入り込んだところ、入り江、その浜辺
灘→波が荒い海、潮流が速い海域で航行の難所とされるところ
海神・綿津見(ワダツミ)→海、海原
(龍宮城は「わたつみの国」)
山懐→まわりを山に囲まれて奥深く入り込んだところ
野辺→野のほとり
(死者の火葬場または埋葬場を野にあったことから「野辺」といい、埋葬やその行列を「野辺の送り」といった)
瀬⇔淵
負うた子に瀬を教えられる
瀬→①川の流れが浅いところ、浅瀬②川の流れが速いところ、早瀬③川の流れや潮流
淵→川などの瑞が滞って深くなっているところ
細流(セセラギ)→浅瀬や小川など小さな川の流れ、そのさらさらと流れる水音
沼→底が深い泥状で藻などの沈水植物の生えているところ
(水深が5m以下で湖より小さい)
湖→周囲を陸地に囲まれ水がたたえられているところ
(水深5~10m以下で中央部に沿岸植物が生育しないもの)


【第15章】天候・気象/天文

麗らか→空が晴れて日差しも明るくのどかなさま
五月晴れ(サツキバレ)→5月のよく晴れた天気
小春日和→晩秋から初冬にかけての晴れて暖かく穏やかな天気(春の天気に似ていることからいうもので冬の季語)
日本晴れ→空に雲ひとつなくよく晴れ渡っていること、比喩的に疑いや心配事などが全くなくなって気持ちが晴れ晴れする意にも用いられる
日和→空模様、天気、晴れたよい天気、晴天

秋雨→秋に降る雨、秋の長雨、音もなく静かに降る細かい雨
秋黴雨(アキツイリ)→9月から10月にかけて梅雨のように降り続く長雨
雨催い(アマモヨイ)→今にも雨が降り出しそうな空の様子
卯の花腐し(ウノハナクタシ)→梅雨に入る前の卯の花が咲く頃に降る長雨
お降り(オサガリ)→元日または三が日に降る雨や雪
お湿り→適度に降る雨
狐の嫁入り→日が照っているのに小雨が降ること、その雨、天気雨
霧雨→霧のように細かく降る雨
小糠雨(コヌカアメ)→雨粒のきわめて細かい雨
時雨→晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりして断続的に降る雨
篠突く雨→篠竹を束ねて突き刺すように激しく降る雨
日照雨(ソバエ)→日が照っているのに小雨が降ること、その雨、天気雨
そぼ降る→細かい雨がしとしとと降る
梅雨→梅の実が熟するころ
走り梅雨→梅雨に入る前のぐずついた雨模様
梅雨入り→本格的な梅雨
梅雨晴れ間→期間中の晴れ間
空梅雨→期間中にほとんど雨が降らない
梅雨明け→梅雨終わり
通り雨→しばらくの間降ってすぐに止む雨
(「時雨」と違って季節を問わない)
菜種梅雨→菜の花が咲くころに降り続く長雨、春の季語
涙雨→悲しいときに降る雨
俄雨→急に激しく降り出してすぐにやむ雨(時間に重きを置く)
村雨→急に激しく降り出してすぐにやむ雨(雨の量に重きを置く、本来は「叢雨」)
春雨→春、静かに降る細かい雨(近いところまでならさほど濡れずに行けるような細かい雨)
氷雨→雪混じりの冷たい雨
霙(ミゾレ)→雪が空中でとけかけて雨まじりに降るもの
遣らずの雨→別れがたい人を行かせまいと引き留めるかのように降ってくる雨
夕立→夏の午後から夕方にかけて短時間に激しく降る雨(夕立は馬の背を分けるというようにごく狭い地域に降る)
私雨→限られた小さな区域にだけ降るにわか雨(特に箱根、鈴鹿、有馬などの山地)

青田風→稲が青々としている田んぼを吹く風
色無き風→さみしさが身にしみる秋の風
追風(オイテ)→前に進むときに後ろから吹く風、追い風
颪(オロシ)→山から吹き下ろす強い風
風薫る→初夏に若葉の香りを運んでくるさわやかな風
風光る→春になってだんだん日の光が強くなってくるとやわらかく吹く風までも光って感じられるさま
神渡し→陰暦10月に吹く西風(神無月に出雲に出立する神々を送る風の意、「神立風」とも)
木枯らし・凩→11月から12月初めころに吹く強く冷たい風
東風(コチ)→春に東から吹いてくる風
時化(シケ)→風雨が強く海が荒れること、春の季語
凪→風がやんで波が穏やかになること
(風は昼間は海から陸へ、夜間は陸から海へ向かって吹くが、その変わり際に陸地と海上がほぼ同じ気温になって風がやむことをいう、夏の季語)
南風(ハエ)→夏に南から吹いてくる風
(梅雨のころの湿った南風を黒南風、梅雨が明けてからや梅雨の晴れ間の気分を明るくしてくれる南風を白南風)
虎落笛(モガリブエ)→冬の強風が竹垣や矢来などに吹き付けて発する笛のような音
山背→①山を越えて吹いてくる風②夏に吹く北東よりの冷たく湿気のある風(北海道や東北などで吹く、長く続くと冷害をもたらす)

青嵐→青葉の茂るころに吹く少し強い風
芋嵐→仲秋に吹く強い風(里芋の大きな葉をひるがえして吹くことから。同様の風を、重い穂をつけた黍を倒さんとばかりに吹く強い風の意で「黍嵐(キビアラシ)」とも)
野分(ノワキ)→秋に強く吹き荒れる風、特に210日や220日前後に吹き荒れる強風、漢語だと台風

淡雪・泡雪→春のやわらかで消えやすい雪
風花(カザハナ)→風に乗ってちらちらと舞い落ちる雪
垂り雪(シズリユキ)→木の枝や軒などから落ちる雪
六つの花→雪の別称
雪明かり→積もった雪の反射で夜でもあたりがほんのり明るく見えること
雪催い(ユキモヨイ)→空がどんよりと曇って雪が今にも降り出しそうな気配

薄氷(ウスライ)→春先に薄く張った氷

霜の花→地上に降りた霜が白くて美しいさまを花にたとえていう語
強霜(ツヨシモ)→寒気が厳しいころに降りる霜
(霜は大気が冴え渡り晴れて風もない夜に降りる現象)
忘れ霜→春の終わりころに降りる霜(「八十八夜の別れ霜」立春から88日目を過ぎると霜は降りないとされ農家はそのころを目安に種をまく)

茜雲→朝日や夕日を受けて茜色をした雲
鰯雲→白く小さなかたまりがうろこのようにならんだ雲
(巻積雲のことで「鯖雲」「鱗雲」「羊雲」とも)
雲居・雲井(クモイ)→雲のあるところ、空
雲路(クモジ)→月や星鳥などが通るとされる雲の中の路
雲の峰→夏の空に白くむくむくと沸き立つ雲
(積乱雲のことで「入道雲」とも)

はたた神→はげしく鳴る雷、はたはた神の略
(魚の鰰は雷鳴がとどろくころ産卵のために沿岸に群れで近づき漁獲されることから「かみなりうお」とも)

天つ空(アマツソラ)→大空
初御空(ハツミソラ)→元旦の空
星合いの空→棚機の夜の空

日脚・日足→太陽が東から西へ移っていく動き、昼間の時間
日の目→日の光、日差し

有明の月→夜が明けてくるころに空にまだ残る月
十六夜(イザヨイ)→陰暦16日の夜の月
(「いざよい」はためらう意の「いざよう」の連用形。15日の満月よりも遅くためらうように出てくるところから)
居待ち月→陰暦18日夜の月
(満月から3日目の月でそれを座って待つ意。特に陰暦8月18日の月)
朧月→春の夜のぼんやりとかすんだ月
立ち待ち月→陰暦17日夜の月
(満月から2日後の月で立って待つ間に出ることから。特に8月17日の月)
寝待ち月→陰暦19日夜の月
(満月から4日目で月の出が遅く寝て待つところからいう。「臥待月」とも。特に8月19日の月)
更待月→20日夜の月、夜が更けてから出る
三日月→新月から数えて3日目頃に出る
望月→陰暦15日夜の満月
(特に陰暦8月15日の満月)

赤星(アカボシ)→夜明け方の東の空に明るく光って見える金星のこと(「明けの明星」、「彼誰星(カワタレボシ)」とも)
碇星・錨星(イカリボシ)→カシオペア座のこと
昴→牡牛座にあるプレアデス星団の和名(「六連星(ムツラボシ)」とも)
箒星→彗星のこと
星影→星の光
星月夜→星の光が月のように明るい夜
夕星(ユウヅツ)→夕方西の空に明るく光って見える金星のこと
(「宵の明星」とも)

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2024年02月29日

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