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警察小説で、八つの短編集。
その短編全てに共通してでてくるのが、『終身検視官』の異名をもつ、52歳のベテラン検視官倉石。誰もが他殺と思う事件を殺人と見破り、殺人と思われる事件を事件性なしと覆していく。その観察眼で、組織に流されず検視官の仕事を淡々とこなしていくその姿がとにかくかっこいい。短編それぞれ内容が濃くて、飽きずに読めた。下剋上とか、組織をひっくり返すとかじゃなくて、淡々と事件が解決されていくし、そこに雑誌の記者たちも絡んできたりして、でもそれもひとつひとつ布石になってるのが巧みだなぁと思った!
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8編収録の警察小説
どの作品もおぉって感じる結末でした
調査官・倉石が主人公で他殺か自殺か見分け
事件の核心に迫る
この人がいたら無敵なんじゃないだろうかと思わせました
おもしろい作品ばかりでした
Posted by ブクログ
私はなぜ、今まで横山秀夫を読んでこなかったのだろう。そんな後悔を覚えるほど、濃密な佳作が詰まった短編集。
それぞれの話で主人公が変わり、それぞれの主人公視点で話が進む。が、内容は結局一人の検死官のことに集約されていく。「お仕事小説」にジャンル分けしてみたが、ミステリでもあり、人情話でもあり...割と何を書いてもネタバレになりそうで(^ ^; あらすじなどを書くのは諦めた(^ ^;
兎にも角にも、あらゆる角度と関係性から「検死」にまつわるストーリーと人物像を作り上げているが...主人公以外はとてもリアルな人々が登場する。主役はちょっと「マンガっぽい」ほどの完璧なヒーロー像で描かれるが、あえて主役を主人公に据えないことで、物語をリアルにすることに成功していると思う。
どんな仕事でも、経験を積めば「慣れ」が出てくる。慣れるということは、ある意味「パターン学習」の積み重ねであり、仕事の効率化には結びつくが、その反面予断が多くなるのが世の常である。ところがこのヒーローは、全ての予断を捨て去ることを自らに課し、鋭い観察眼と膨大な知識を持って、常に新鮮な目で事件と向き合う。そのために、他人が気づかないような痕跡を見つけ、辿り、真相にたどり着くことができる。
冷徹でありながら、決して人の心を忘れた訳ではなく、むしろその本質は人情家であると言えるくらい。鳥や虫などに詳しいという設定だが、おそらく作者が持つ膨大な知識が、それぞれのストーリーを紡ぎ出すことを可能にしている。ジューイチと鳴くカッコウの仲間など、全く知らなかった(^ ^;
最後の最後、「その後」が気になる終わり方をしているが...ぜひ長く続いてほしい、魅力的なキャラクターである。
ノースライトで打ちのめされて、さっそく横山氏の過去作を大量購入。しばらくは、私的「横山祭り」である(^ ^
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。
ただの警察小説かな、と思っていた自分が恥ずかしい。
連作短編集だが、長編で読んでみたいくらい内容が濃いと感じた。
『終身検視官』の異名を持つ倉石義男。
この男がカッコよすぎるんだな。
彼の“執念”と呼べるほど徹底した検視や鑑識眼が、事件の真相を見つけ出す。
そこに秘められた各人の想いを知った瞬間、あまりの切なさに涙が出そうだった。
Posted by ブクログ
▼横山秀夫さんはほんとに凄い。凄いんだけど、そりゃいろいろ読んでいけば読み手の好みによって凸凹はあるわけで。この本は「検視官」という役目の中年警察官・倉石が主人公の連作短編。面白いところも、いまいちかなあというところもありました。
▼素人的にいうと。殺人事件の現場に現れて死体を検分するんだけど、「医者」ではない。刑事。そういうのの専門家。まあそんなような役割ですね。主人公の倉石さん。
▼なによりこの本は、横山さんなりに「ヒーローものをやってみました」なんです。倉石さんという検視官が、めちゃくちゃ出来る。間違わない。事故死か自殺か他殺かの判断から、他殺の場合の犯人の目星、自殺の場合の事情や動機まで、ズバズバ当てて間違わない。ヒーローものの安心感。
その代わり、倉石さんでは人間ドラマは描きづらいのか(まあそりゃそうだよなあ)、連作短編は必ず別に主人公がいて、倉石さんは言ってみれば全部の話で「トメ」的な脇役で出てくる。その作り自体はうまくいっているかと。
▼ただまあ、どうしてもそれなりに凝った設定(つまり偶然要素も多い)し、謎のための謎ということも多くなります。主人公が検視官で短編でけりをつけていくから、仕方ないですよね。そのあたりはまあ。
▼個人的に(おそらく多くの読者が)「横山さんでいちばん好き」ではないでしょうが、楽しみはしました。内野聖陽さん主演でテレビドラマにもなっていますね。未見ですが、当然ながら相当に改変してるんだろうなあと推察しますが。
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内野聖陽主演ドラマ臨場を観てから原作、の流れ。
横山作品は4作目なので、世界観は何となく把握しながら読んだ。
主人公倉石検視官、又の名を『終身検視官』『死体掃除人』『クライシス・クライシ』のキャラクターは物凄くカッコいい。
天才肌、孤高、男っぷり、仕事熱心、男にも女にもモテる…。
男尊女卑、仕事、恋愛至上主義、良くも悪くも昭和の価値観の時代。
スナック『マダム』40オーバーのホステスの店を
老人ホームと言ってる男はジジイだし、部下の小坂(女性)が倉石にいちゃいちゃする件も気持ち悪い。女性キャラ、みんなおかしい。
特に『声』は酷い話だったが、女性に対する男性の認識がわかる興味深い内容だった。
好きな女性に振り向いてもらう為に、その女性を不幸にする。同じ人間と認識してないから、出来るのだな、と。彼らにとって女性は同じ人間ではなく『女』という記号でしかない。そして女性側もそういうモノだと刷り込みされていた時代。
今となってはこの世界観は嫌いだが、この世界観でないと倉石のかっこよさは表現出来ない。
よって、今現在の世の中では成立しない
もはやファンタジー、もしくは古典として読むと面白い。
臨場 スペシャルブックより
前作臨場文庫本に未収録の短編4作あり
文庫本より後の話なので、倉石がガン闘病中の描写あり。そして文庫本版より数年たってるからか、女性の扱いが酷くなく、スッと人情話が入ってくるので面白かった。
『罪つくり』からのセリフ
『本望じゃねえか。死ぬほど悲しませるのも親孝行のうちだ』
『人は誰だって、テメエでテメエの生きざまを決めてんだ。自分の一言で、他人様の人生を変えられるなんて自惚れは持つんじゃねえ』
グッときた。
どちらのセリフも心を楽にさせてくれる。
やっぱり倉石はカッコいい男だった。
Posted by ブクログ
終身検視官と呼ばれる倉石の周りの人々、八編。すべて短編なのに読後感がどれも良い。警察小説特有の男臭い重みもありながら、スッキリとした爽快感がある。横山秀夫さんは2冊目ですが、やはり面白くて堪らないです!
Posted by ブクログ
短編集なので、スラスラ読み終わった。
倉石検死官、かっこよすぎです。組織に媚びず、周りに流されず、ただ事実だけを見て感じて真相を導き出す。しかも検死官として優れているだけではなくて、人の感情にも敏感で、事件の裏にある人の思いにまで気がついてさりげなく弱い者を助けてくれる……素敵すぎます!
最後、倉石検死官の体に異変が……みたいな終わり方だったので、続きが気になります。
それと、倉石が倉石になるまでのストーリーも読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
●久しぶりに読んだ一冊。
●倉石というキャラで統一感はあるが、これだけ多彩な話を組めるのは素晴らしい。
●警察幹部の闘争ネタも好きだけど、こういう現場の話もいい。
●何より警察出身じゃないのにリアル感がすごい…本当かどうかはわからないけれど、いかにもありそう、本物そうっていう描写が大事なんだよね
Posted by ブクログ
ドラマ化されるとのことだったので久しぶりに横山さんの本を手に取りました。
横山作品は、個人的にあまり好きではないものもあるのですがこれは好き。
様々な人物の視点から、各事件と検視官・倉石氏が描かれており事件の謎解きのみならず心地よい人間臭さを楽しむことができます。
上手にドラマ化されることを期待します。
Posted by ブクログ
前に読んだかも。芝居っぽい人物の作り方とか好き。現場重視の職人が全てを読み切っているのはよくあるパターンかもしれないが、読んでいて気持ちが良い。スカッとする。男臭い、女はすべてメス、的なステレオタイプを受け入れられればおススメ 80
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捜査一課調査官倉石義男が活躍する人情味溢れるドラマ。死者からならメッセージを的確に調べ上げ己の道を貫く男の話。テレビドラマにもなっていたのでイメージしながら読むことができました。続きがあれば読みたいシリーズです。
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警察小説やけど、主人公は検視官。
「終身検視官」
「死体掃除人」
「クライシス・クライシ」
などなど、数々の異名を持ち、やくざのごとき風貌と辛辣な物言いで周囲に睨みをきかせている。
上には疎んじられてるはんめさ、若手には信奉社外が多い。
かっこええ生き方やな!
天才的に優秀やないと出来ん事ではあるけど。常に自身を磨き、真実を追求する。職人さんみたいに。
上に文句言わさん程の実績ないとあかんしな。
警察組織って、出世ばっかの人やなくて、こういう人が支えてるのかもしれんな。
警察組織だけやなく、会社とかにも、一部やけど、こんな人がおる。そういう人になりたいな!確かに出世は出来んけど、我が道を行く〜
自分も精進します〜!(^_^)v
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警察官と犯罪者、相反する存在と思いがちだが著書というより横山秀夫ワールドにおいては人として脆さや儚さ、怒りや喜び全てひっくるめ事件を観ているような世界観が伝わってくる、犯罪を犯す一線を越えるのは人間誰しもあり得る事で、警官も一般人も関係ない、そこには色々な人生、生き方、人間臭さがあるのだと痛感した。良かった、また短編集ではあるが一つ一つの物語が独立して繋がっていく流れも非常に楽しめた、探偵ではなく検視官という視点も緊張感を味わえ、もっと著者の作品に触れてみたいと感じた。
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読後、いろいろ思い返すエピソ-ド多数。
判りづらい短編も有るが、いろいろな人の生き方、考え、価値観、生き様
読書でしか絶対、出会う事の出来ない人々。
(結構本を読んでいるが)この短編集ほど、生き方の多様性を感じ取った本は無い。
横山秀夫って改めて凄いと感じた。
うぅん~。
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一番印象に残ったのは「餞」。
短編ではなく、ひとつひとつの事件をもっと長く味わいたかったし、倉石の過去や本人目線の回も見たいと思った。
作者が注ぐ人情や心理描写が魅力的で、その人間性は周りが語る。
変わり者だが人間臭く、人情深く、破天荒で無骨だが本物の職人であり、
真実を見抜く鋭い観察力と洞察力、豊富な知識と経験を持ち、死の真相を徹底的に調べ、最期の声を聞き逃すまいと真摯に向き合う姿勢に、熱い漢気を感じた。
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初めて読んだ横山秀夫さんですが、別々の話が8編入っているので読みやすかったです。検視官が現場に臨場した際にどこにまず目を付けるのか、どういうプロセスを経て死因を判断するのかが、読んでいて興味深かった。
倉石の生き様にも惹かれます。「どこにでもあるクソ人生でも、こいつらにとっちゃたった一度の人生だったってことだ。手を抜くんじゃねえ、検視で拾えるものは根こそぎ拾ってやれ」という発言が特に胸打たれました。
横山秀夫さんの他の警察小説も読んでみたいです!
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倉石義男の心理描写は一切無く淡々としており主人公という感じがしない。検視官なので犯人を追いかけたり逮捕することは無いが、そこに辿り着く見立てが凄いのだ。TVシリーズで先に知っていて細かい違いもあったがそれもよし。ただしTVのようにキュウリを齧りながら臨場はしなかった。
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大好きな横山秀夫作品。臨場はドラマや映画で既に観てるので読む前から倉石のキャラが確立されてたけど、そんな先入観に負けず一話一話ハラハラさせられる短編集。一気読みでした。今年もたくさん小説読むぞー。
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2020(R2)8.13-8.20
『64』以来の横山秀夫。骨太で重厚な物語を求めて読み始めたのだが、短編集だったことに驚きと少しの安堵。
と思ったら、なんのなんの!
“終身検視官”の異名を持つ倉石という検視官を、短編集を貫く主人公に据え、それぞれの短編ごとの主人公との関わりを通して、物語のスケールを深くしている。
「これってドラマにすると面白いんじゃないかなぁ。」と思って、今調べてみたら、テレビ朝日ですでになってました。
そんなことも知らない、世間知らずな僕…。
『64』と『クライマーズ・ハイ』しか知らない僕が横山秀夫を語るのは憚られるが、『臨場』は、横山秀夫を知らない、あるいは少し遠ざけている方には、「入門編」としてふさわしい作品の気がします。
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ちょっと倉石が神がかり過ぎかな。
事件→倉石臨場→どんでん返し というパターンに終始せずいろんな視点からそれぞれの物語・登場人物の人生が深掘りされていくのがよかった。
Posted by ブクログ
職人のような検視官が主人公の短編集。
倉石検視官の鋭い観察眼や幅広い知識で解き明かされる事件の真相はあっとおどろくものばかり。短編ではあるが、1話1話、動機や謎をしっかり解明してくれるのでかなり読みやすかった。
ただ全体的に女性の扱われ方が酷い話が多いので再読はしなさそう。
Posted by ブクログ
テレビドラマ「臨場」の原作本だが、想像していたよりも捜査一課調査官・倉石義男の登場場面が少ない。8編収録の連作短編集であり、どの話にも倉石は登場するのだが、決して彼ばかりを主人公にしているわけではない。どちらかというと、倉石は脇役といったイメージの話が多い。それでも独特の存在感を醸し出しているのは、やはり特筆すべきところ。独特の観察眼はさすがの一言に尽きる。
Posted by ブクログ
横山さんが書く骨太な警察小説が好きですが、『臨場』は女性が不幸になる事件が多くて読んでる間モヤモヤしました。
終身検視官という異名を持つ倉石に、もっと集中できれば良かったんだけど。
なぜここまで被害者に寄り添ってくれるのか。
倉石の過去や人となりをもっと知りたかった。
「検視で拾えるものは根こそぎ拾ってやれ」という言葉が心に残りました。