【感想・ネタバレ】ヘーゲル哲学に学ぶ 考え抜く力のレビュー

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Posted by ブクログ

 今、ヘーゲル「精神現象学」にトライ中。もちろん素人がいきなり読むのはムリだと言うことは分かってるつもりで、何冊かの入門書を事前に読んでおいたのだが、半分で敢えなく挫折(それでも数ヶ月かかった)。一年のブランクを経て再度チャレンジ、ようやくラスト近くの「宗教」章まできたが、解説書では理解できても原書はナニを言っているのかさっぱり、というところが大半で読むのが苦痛。一旦柔らかめのヘーゲル本で頭をリセットし、自分の現在地を確認すべく本書を購入した次第。

 著者は若手のヘーゲル研究者。内容は現代的テーマが多く取り入れられ肩肘張ったところがなく、ビジネスをはじめとする実践の場での活用と、ヘーゲル哲学のザッピングという「二兎」を追う著者の狙いは一応成功していると感じた。
 例えば第1章の生き方の指針を「社会と個人、普遍と個別」のどちらに求めるべきかという問題は、「精神現象学」の「精神」章で何度も立ち現れてくる重要なテーマであり、カントとの対立軸の置き方も明快で非常にわかりやすい。また、弁証法がどっちつかずの「スッキリしない」方法論であることを逆手にとり、常に思考し続けることを要求するものだと論ずる点も、「現象学」で四苦八苦している僕にとって「すぐに分からなくてもいいんだ」と思える点で福音となるものだった。

 ただ、違和感を感じる部分もなくはない。例えば第5章「認識」で、確かにヘーゲルはカント的「感性/悟性」の二元論に飽き足らないものを感じており、カントが分裂させた「対象」と「認識」とを再統合する試み(それが「現象学」執筆の一契機となったようだ)を行ったのだろう。そしてそこから「生のデータというものは存在せず、全ての情報は何らかの処理が加わったものだ」と言う警句を導くことも可能なのかもしれない。しかしそうすると、普通はデリダとかドゥルーズとかの「差異」を扱った思想家の方が先に連想されるのではないだろうか。「ほんとにヘーゲルってそんな現代的な視点持ってたの?」と訝しく感じる読者も多いと思う。もちろん、この警句が現代の情報リテラシーをめぐる議論において極めて重要であることは論を俟たないのだが…

 ともあれ、著者が提示する「どっちつかずで前後撤回を繰り返しながら前に進む」と言うヘーゲル像は、僕の浅薄な「現象学」の読みで得たイメージと間違いなく合致する。もう少し頑張ってヘーゲルを続けてみよう、という気持ちになることができた。

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2023年02月18日

Posted by ブクログ

どっちつかず、の気持ち悪さに耐えられるかの重要性を学べる一冊。ビジネス書の延長として読める手軽さも魅力。

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2023年02月14日

Posted by ブクログ

ビジネスパーソンに向けた日常における具体的応用は
素直に首肯しづらいものの
その分説明対象を絞ったヘーゲル哲学の理解の筋道は把握しやすく、説明も市井に向けてわかりやすかった。

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2022年04月11日

Posted by ブクログ

オーソドックスなカント解釈とは言えないコースガードのアイデンティティを前面に押し出した解釈を批判した上で、本丸である定言命法には触れないまま「カントを乗り越えたヘーゲル」のような誘導は感心しない。

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2023年02月20日

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